個性「tfポケモン」   作:W297

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プロローグ

 中国で生まれた発光する赤児を皮切りに、人類は何らかの特異体質を持つ超人が生まれるようになった。 時代が進むにつれて少数派だった特異体質は人類の八割を超える。 いつの日か特異体質は【個性】と言い換えられ、逆に【個性】の無い者は【無個性】と呼ばれて差別されるまでにその数はひっくり返されていく。

 

 

 

 超常は日常に。 架空は現実に。

 

 

 

 職業の一つに【ヒーロー】が加わり、悪事を働く者達を【ヴィラン】と呼ぶようになった。

 

 ヒーローになるためには厳しい国家試験を突破することが必要であり、数多くの者たちがヒーローを志しながら夢半ばであきらめることとなる。 その中の一部は国家非公認のヒーロー、自警団(ヴィジランテ)として活動するものたちもおり、ヒーローの手の届かない裏社会を活動地とする者たちが多い。 悪ではないが、合法でもない。そんなグレーゾーンの中でヒーロー活動を行う…

 

 

 

「…そんなことも思ってられないか」

 

 

 

 夜の街のどこかの屋上で、一人の少年が呟く。 彼は“最恐のヴィジランテ”と謳われる「ドラゴストーム」。 まだ15歳の中学生である。 彼がヒーロー活動を行い始めたのは中学校に入学したときである。 小学校の時に立てこもり事件に巻き込まれ、両親を亡くした。 その時に駆け付けたヒーロー達は人質を取られたことにより、何もできずにいた。 その事件はその後駆け付けたヒーローによって解決されたが、彼の心にはヒーローに対しての猜疑心が生まれた。 彼はあえて無許可のヒーロー活動をすることにした。 この活動を通して現代のヒーローの問題を提起しようと考えたのである。それが彼の起源(オリジン)だ。 今日もどこかで裁くべき者たちへの罰のため彼は飛び回る。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「今日で3年…か」

 

 喫茶nascitaでもの思いにふける俺、我羅琉(がらる)牙那(きばな)は転生者である。 前の人生で小さな子供を庇ってトラックにひかれて死ぬこととなった。 そのまま俺の人生は終わり…と思っていたのだが、俺を転生させた神(?)によると、どうやら本当だと違う人物が死ぬはずだったのだが、神様側の手違いにより俺が死んでしまった…ということである。 そして俺は「僕のヒーローアカデミア」の世界に転生することになり、今に至る。

 …しかし、うまいことも続くわけはなく小学校の時に両親を亡くした。 なかなかしんどいものである。

 

「大丈夫なの、牙那? コーヒー淹れようか?」

 

 彼女は元プロヒーローであり俺の唯一の肉親でありここのオーナーでもある姉の瑠莉奈(るりな)。 両親を亡くしたことに責任を持ち、プロヒーローとしての現役をしりぞいてこの喫茶店を始めた。 彼女もまた転生者であり俺の唯一の拠り所である。  

 

「うん、大丈夫だよ瑠莉姉。ちょっと…ね」

 

「そう…。でもあれから3年か…私もこればっかりは慣れないね。 …そういえば最近ヴィラン退治はどうなの?」

 

「比較的落ち着いてきている…ってとこ。 あまり手ごたえはないね。」

 

 ヴィラン退治、俺が行っている非合法のヒーロー活動である。 中学校に入ったころから始め、今では日本最恐の地位に君臨している…らしい。というのもウチの姉との特訓によって起き上っては潰され、起き上っては潰され…を繰り返していた。 そのためあまり自分が強い…と思ったことがない。 

 

「まあ何もないのが一番なんだけど…」

 

「だよねぇ…」

 

 そんな中一人の客が店内に入ってくる。 瑠莉姉に言われて俺は注文を取りに行く。

 

「ご注文は何にしますか?」

 

「えっと…、

 

 

 

アップルパイをアップル抜きで。

 

 

 

…頼めますか?」

 

 

 

「かしこまりました」

 

…ヴィジランテとしての仕事依頼が舞い込んできたようだ。

 

 

 

 

 

 

 




その他用語解説

・nascita…仮面ライダービルドに出てくるカフェで基地ポジション。 電王のミルクディッパーと迷った末こちらに。

・アップルパイをアップル抜きで…児童書「怪盗ショコラ」より。個人的に最も愛着がある暗号。「怪盗ショコラ」ではこれが依頼の言葉であるので拝借。
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