中国で生まれた発光する赤児を皮切りに、人類は何らかの特異体質を持つ超人が生まれるようになった。 時代が進むにつれて少数派だった特異体質は人類の八割を超える。 いつの日か特異体質は【個性】と言い換えられ、逆に【個性】の無い者は【無個性】と呼ばれて差別されるまでにその数はひっくり返されていく。
超常は日常に。 架空は現実に。
職業の一つに【ヒーロー】が加わり、悪事を働く者達を【ヴィラン】と呼ぶようになった。
ヒーローになるためには厳しい国家試験を突破することが必要であり、数多くの者たちがヒーローを志しながら夢半ばであきらめることとなる。 その中の一部は国家非公認のヒーロー、
「…そんなことも思ってられないか」
夜の街のどこかの屋上で、一人の少年が呟く。 彼は“最恐のヴィジランテ”と謳われる「ドラゴストーム」。 まだ15歳の中学生である。 彼がヒーロー活動を行い始めたのは中学校に入学したときである。 小学校の時に立てこもり事件に巻き込まれ、両親を亡くした。 その時に駆け付けたヒーロー達は人質を取られたことにより、何もできずにいた。 その事件はその後駆け付けたヒーローによって解決されたが、彼の心にはヒーローに対しての猜疑心が生まれた。 彼はあえて無許可のヒーロー活動をすることにした。 この活動を通して現代のヒーローの問題を提起しようと考えたのである。それが彼の
◇ ◇ ◇
「今日で3年…か」
喫茶nascitaでもの思いにふける俺、
…しかし、うまいことも続くわけはなく小学校の時に両親を亡くした。 なかなかしんどいものである。
「大丈夫なの、牙那? コーヒー淹れようか?」
彼女は元プロヒーローであり俺の唯一の肉親でありここのオーナーでもある姉の
「うん、大丈夫だよ瑠莉姉。ちょっと…ね」
「そう…。でもあれから3年か…私もこればっかりは慣れないね。 …そういえば最近ヴィラン退治はどうなの?」
「比較的落ち着いてきている…ってとこ。 あまり手ごたえはないね。」
ヴィラン退治、俺が行っている非合法のヒーロー活動である。 中学校に入ったころから始め、今では日本最恐の地位に君臨している…らしい。というのもウチの姉との特訓によって起き上っては潰され、起き上っては潰され…を繰り返していた。 そのためあまり自分が強い…と思ったことがない。
「まあ何もないのが一番なんだけど…」
「だよねぇ…」
そんな中一人の客が店内に入ってくる。 瑠莉姉に言われて俺は注文を取りに行く。
「ご注文は何にしますか?」
「えっと…、
…頼めますか?」
「かしこまりました」
…ヴィジランテとしての仕事依頼が舞い込んできたようだ。
その他用語解説
・nascita…仮面ライダービルドに出てくるカフェで基地ポジション。 電王のミルクディッパーと迷った末こちらに。
・アップルパイをアップル抜きで…児童書「怪盗ショコラ」より。個人的に最も愛着がある暗号。「怪盗ショコラ」ではこれが依頼の言葉であるので拝借。