インターンによる長い長い補習が終わり、俺たちインターン組が寮に戻ってきた。
「うーす」
「補習の穴ようやく埋まったぜー」
「本格参加するよー!」
最終的に決定したのは、生演奏とダンスによるパリピ空間の提供というもの。
今はバンドメンバーを決めるところで、勝己が案の定な才能マンっぷりを披露しドラム、ピアノ経験者の八百万がキーボード、演奏経験豊富な響香はベースに決定したらしい。
「じゃ、牙那ギター頼める?」
そんな響香が俺に聞いてきた。
「あ、俺?いいけど…2本いるだろ。後一人どうすんだ?」
「うーん、それなんだよね…」
そんな中手を上げたのは峰田と上鳴だ。
「やりてー!楽器弾けるとかカッケー!」
「やらせろ!」
そんな軽い感じの二人に勝己が言う。
「やりてぇじゃねぇんだよ!殺る気あんのか!」
「あるある超ある!」
そう言って上鳴と峰田がギターを肩にかける。
「ギターこそバンドの華だろィ!」
「…」
上鳴はギターをちゃんと持ててるが、峰田は身長の問題で持てなかった。
「キャラデザのせいで手が届かねぇよ!」
峰田がギターを諦め、部屋の隅でいじける。
そんな中、俺は上鳴に話しかける。
「上鳴って未経験なんだよな。一から教えるとなると、上鳴の頭がショートしかねないな」
「オイ、俺でもさすがにそれぐらいできるってー」
「以外と難しいんだよ、俺も上達するまで時間かかったし」
そんな中、誰かが切ない音色を鳴らし、周りの面々がその方向を向く。
それを鳴らしたのは意外にも常闇であった。
「昔に手を出したことがあるのだが…、Fコードで躓いてしまって手放してな。それ以来だ。これでもいいか?」
「十分だよ、常闇。手を貸してくれるか?」
「もちろんだ」
そういうわけでバンドのメンバーが決まった。
後は…だ。
「それで、肝心のボーカルはどうしましょうか…」
「へ?うたは耳郎ちゃんじゃないの?」
そう言ったのは麗日だった。
「いや、まだ全然…」
「ボーカルならオイラがやる!モテる!」
「オウ!楽器はできねーけど歌なら自信あんぜ!」
「いや、響香でいいだろ」
俺は二人の意見を一蹴する。
「ちょっと、牙那…」
「私も耳郎ちゃんだと思うんだよ!前に部屋で楽器教えてくれた時、歌もすっごくカッコよかったんだから!」
「俺も耳郎推しだな!カラオケでも90点台めちゃくちゃとってたしな!」
芦戸と上鳴が俺の意見を肯定して、響香は顔を赤らめる。
「ちょっと二人も!ハードル上げないでよ!」
「まあ、論より証拠ってことで」
俺はスタンドマイクを響香の前に置く。
「全く、牙那も…」
響香がしぶしぶマイクを持つ。
そして響香が一曲歌うと聞きなれた俺を含め、全員が聞き惚れて響香に拍手を送る。
「耳が幸せー!」
「まあ、これが響香だよな」
「セクシーハスキーボイス!」
「満場一致で決定だ!」
「うぅ…、よろしくお願いします…」
響香はイヤホンジャックをいじりながら赤面する。
「まあ、これでバンドのメンバーは決まったか。バンド名はどうするよ?」
「夜間奏団」
「俺」
…この二人の提案は置いておこう。
「A組全員で臨むという意味を込めて、Aバンドというのは…」
「それだ!」