「なるほど、それで…」
出久と合流した俺はカイリューに変身し、出久を背に乗せて出久が買い物の荷物を取ってきて、その後、スピードを上げて戻っているときのことである。
文化祭自体はもう9時を回っており始まっている。俺たちの出番は10時からであるが、恐らくもう9時20分ぐらいにはなってるだろう。
「まあ、出久の判断は間違ってねえとは思うがな。恐らくあのままだと侵入されてただろうし。かといって学校に連絡して大事な戦いになることになるのも避けたかったし」
「そ、そう…」
俺は「だが!」とその出久の言葉に続ける。
「まずは周りに何かあったら連絡すること!結果的になんとかなったが、まずは頼れ。先生だけじゃねえ、俺や他の奴らもいるんだからよ。まあまだ資格もってねえ勝己は戦えないが」
「はい…」
俺の言葉に出久は肩をすくめる。…まあ、出久は携帯を部屋に忘れたらしく連絡取れなかったみたいだが、それは置いといて。
「もうすぐ着くぞ」
「あー、やっぱり早い…」
俺は寮の前の庭にゆっくりと着地する。そのまま変身を解き俺と出久は玄関に向かう。ちなみに出久の傷は治療済みだ。
「ごめんみんな!」
「悪い、ちょっと時間かかった!」
周りからはようやく戻ってきたという安堵と何をしていたという疑問で満たされていた。
質問をかわしながら戻る俺に響香が言う。
「遅いよ、牙那!ホラ、さっさと準備!」
「分かってる!」
俺は急いでTシャツに着替えてギターの調子を確認しておく。…いつも通りの感覚だ。
「…最終調整、完了!いつでも大丈夫だ!」
◇ ◇ ◇
AM 9:59
雄英体育館のステージ前は、沢山の人で埋め尽くされていた。
ステージの垂れ幕の裏では俺たちAバンドの面々が待機している。
観客の声も俺たちに聞こえてくる。体育祭の時とはまた違う感覚だ。
「お、お、始まるぞ!」
「きたー!」
AM 10:00
ブーという機械音と共に垂れ幕が開かれ、俺たちにスポットライトが当てられる。
横を見ると響香は深呼吸をしており、八百万や常闇も同じであった。
そしてドラムの勝己の声が体育館中に響き渡る。
「行くぞコラァァァ!」
「雄英全員!音で殺るぞ!」
勝己がドラムをたたくと同時に爆炎を上げる。
それが俺たちの演奏開始の合図だ。
俺と常闇のギター、八百万のキーボード、響香のベースが大きな音を立てて鳴り響く。
そして響香は観客に向けて叫ぶ。
「よろしくお願いしまぁぁぁす!」
その声と共にダンス隊も前に出る。
…やっぱ、本番って何かあるんだよな。
周りを見ていても、演奏、ダンス、演出とそれぞれの練習で培われた、それ以上のものが見せれていると感じた。
俺もそれにつられていくように自然と指が動いていた。なんとも言い表すことができないものだった。自然と笑みもこぼれていた。
まるで怒号のような、歓声を受けながら続け、その中で俺たち1-Aの発表は終わりを迎えることができた。