「さて、芦戸。俺たちはヴィラン側になったわけだが、お前はどうしたい?」
訓練が始まる数分前、俺は芦戸に尋ねる。
「うーん、個性把握テストのやつみてたら、なんか我羅琉って一人で何でもできるじゃん?」
「…否定はしないが?」
「うっわ、さすが我羅琉。でさー、アタシの個性って人に向かって使うと危ないし、もう我羅琉に接近戦は任せようかなーって」
「いいのか、お前はそれで。お前は目立ちたがり屋だと思ってるけど」
「まあね、あんな実力差見せつけられたら、アタシもまだまだだなって思ったし」
それを聞いて俺は考えをめぐらす。確かに俺一人で戦ってもいいが、それでは、芦戸は何もしていないってことになってしまう。しかし芦戸の酸は人にとっては脅威だ。創造の八百万や氷の轟みたいにガードできるならいいんだが、相手は電気を纏う上鳴と音で攻撃する響香。直接当たればひとたまりもない。
「…芦戸、お前の出す酸って調整できるんだよな」
「できるけど?」
「なら…、ちょっと手伝ってもらえるか?」
俺は“わるだくみ"の笑みを浮かべた。
◇ ◇ ◇
???サイド
「あーもう!なんで牙那と試合なんだよ…」
耳郎がぼやく。
「えー、でもさ、俺が電撃飛ばしまくってたら何とか行けるだろ!」
上鳴は気楽そうに返す。
「その、何とか行けないのが牙那なんだけど…」
「まー、楽しくやってこうぜ!」
『それでは、レディ……ゴー!』
オールマイトによって戦いの火蓋が切って落とされる。
「よっしゃ、それじゃさっそく…」
「待って、上鳴!」
耳郎は急いで上鳴の襟元をつかむ。
「グエッ、何すんだよ!」
「床見てみて」
二人が入ろうかとした床は芦戸の酸によって埋め尽くされていた。
「なんだ、コレ!?」
「芦戸の酸。気付けないと滑って転ぶよ?」
「早速いやらしいことしてくんな…」
二人は転ばないように慎重に進む。
そこらかしこには牙那が開けたと思われる穴も多数あり、落ちれば時間のロスだ。
そうしてる間、耳郎に何かが当たった。
「うん?」
耳郎が確認してみても周りには上鳴以外誰もいない。
「どうかしたかー?」
「いや、何でもない」
耳郎は気のせいだと思ってそのまま進んだ。
だが、隙間から笑みを浮かべる存在は悪い笑顔を見せていた…。
◇ ◇ ◇
「階段もコレ(酸)かよぉ…」
「もういや…」
耳郎と上鳴が進んだ先には、再び芦戸の酸によって浸された階段が待っていた。
「確か、階段ってここだけだよな」
「うん、登るしかないよね…」
ここまでですでに神経をすり減らしてきた二人は階段を登り始めた。
階段を登り終えようとしたとき二人の肩に手が叩かれた。
「「へ?」」
その彼らに大きな黒い球がぶつけられた。
「シャドーボールッ!」
牙那の攻撃だ。
二人は吹っ飛び、階下に落とされる。
「いってー…」
「油断した…」
牙那は変身を解除し、二人が軽く愚痴をこぼした後、こう告げる。
「よく、ここまで登り着いた。落とさせてもらったがお前たちはなかなかやるようだ」
「ちっ、褒めてもなんも出ねーっての、っておい耳郎!顔真っ青だぞ!」
耳郎は何かの病気にかかったようなそんな表情をしている。
「ま、まさかあの時…」
「気が付いたようだな。そう俺はゲンガーに変身してあの時お前に毒をプレゼントしてやったのさ。どうだ、体が動かなくなってきただろう」
牙那は無慈悲に呟く。
「ちなみにだが、その毒はお前の体力だけを削り取る、精々気絶だな。ちゃんと命の保証はしてやるよ」
「んなもんお前の個性だろ!お前を倒せばなくなるはずだ!」
上鳴は言い返す。だが牙那は飄々とする。
「俺を倒せるのなら倒してみろよ、倒したところで上にはもう一人控えているがな」
牙那は上鳴を挑発しながらこう告げる。
牙那は変身する。それは巨大なサソリの化け物だった。
「さあ、地獄を楽しみな」…大道克己(仮面ライダーエターナル)の決め台詞。個人的にはWが一番好きなので思い入れが深い。多分これからも出てくる…はず。