俺が言うとそこには緊張感が走った。
「罪?国家公認の暴力、オールマイトを殺すことは罪なのか?」
馬鹿げたことを手男は言う。
「まあいい、実力を見せてやれ、脳無」
脳無と呼ばれた黒い大男が動き出す。やっぱお前は動かないんだな。
脳無は俺を吹き飛ばそうと大きく殴りかかるが、俺は素早く躱し、拳は空を切る。
圧倒的な力と言っていたが、どうやら圧倒的なのはパワーだけなようだ。
「アイアンヘッド!」
俺は硬い頭で頭突きをかまして攻撃する「アイアンヘッド」を放つ。だがあまり応えていないようだ。
「無駄無駄。こいつにはショック吸収がある。殴ったところで意味ないよ」
ショック吸収。と言うことはいくら殴ったとしても効果は認められないだろう。
「なら、こんなのはどうだ?」
俺は攻撃方法を変更する。
「つじぎり!」
脳無の両腕を切り落とす。
しかしものの数秒で腕が生えてきた。再生力もとんでもないようだ。
「切ってもだめだめ!こいつはいわば高性能なサンドバッグだ。いくら攻撃しても無意味なんだよ!」
へえ、なるほどな。
「良いことを聞かせてもらったぜ」
「何?」
と思っていたら攻撃が入ってきた。
「ざまあねえな、通りすがりのヴィジランテさんよ。そいつの攻撃はオールマイトに匹敵…ってなんで効いてないんだよ!」
俺は種を明かす。
「キングシールド。お前らの攻撃は一切通用しないぜ」
手男は驚きながら次の指示を出す。
「そんなのこけおどしだ!フルパワーで吹っ飛ばせ、脳無!」
再び脳無は俺をめがけ、大きく拳を振りかぶる。
「キングシールド」
俺は攻撃を防ぐ。なんだこんなものか。
「攻撃は終わりか?次は俺から行くぜ」
俺はシールドフォルムからブレードフォルムに姿を再び変える。
「れんぞくぎり!」
俺は脳無の体を切り刻んでいく。
「む、無駄だ!攻撃は意味ないって言っただろ!」
意味ない…か。だが俺は気にせずに切り刻む。すると段々再生のスピードが間に合わなくなってきたようだ。
「な、なんで!攻撃が通るんだよ!?
慌てふためく手男に対して俺は言う。
「ヴィラン連合ォ!なぜ俺の攻撃がコイツに通用するのか。なぜコイツの再生が間に合っていないのか」
「その答えはただ一つ」
「ヴィラン連合ォ!この俺が、こいつに再生が追い付かないほど高速で切り刻んでいるからだァ!」
それを聞いた手男は呆然とする。
「うそだろ…、対オールマイト用の奴を持ってきたってのに…」
俺は言う。
「さあ、これでとどめだ」
俺は脳無の体を思いきり2つに切り裂く。
ついに脳無の体の再生は止まったままとなった。
「…絶望がお前のゴールだ」
俺は呟く。案外あっけなかった。
「なんで…、…黒霧!何してるさっさと来い!くそっ!どいつもこいつも…!」
いつでもうまくいくなんて保証はどこにもありはしない。むしろ世の中はうまくいかないことばかりだ。第一の刃だけでなく、第二の刃がなければ意味はない。この手男も世界は甘くないと思い知っただろう。
「クソッ!お前もオールマイトも殺してやる!」
そう言って敵連合は帰って行った。
◇ ◇ ◇
「変身解除っと。ホントに大丈夫なんすか、消太さん?」
変身を解除し素早く「我羅琉牙那」の状態に戻った俺は消太さんに尋ねる。
「大丈夫だと言っている。目はやられなかったからな。精々骨折ぐらいだろ」
「それで大丈夫なんですかね…」
「あ、相澤先生!牙那君!」
出久たちの声が聞こえてきた。
「とりあえず、お前はほとんど俺と行動してたって言っておけ、お前が「ドラゴストーム」って伏せておく」
「助かります」
すると門の方から大きな音が聞こえた。
「もう大丈夫だ!私が来た!」
やっとオールマイトが到着した。
「もう、終わりましたよ。オールマイト」
「…あれ?もしかして私、いらない子?」
「「ですね」」
俺と消太さんが同時に答える。
「…って相澤君凄い怪我じゃないか!早く手当を!」
「大丈夫ですって」
「大丈夫そうに見えないから言ってるんだけどね!?」
こうしてヴィランによるUSJ襲撃事件は幕を閉じた。
「ヴィラン連合ォ!…」…元ネタはもちろん檀黎斗(仮面ライダーゲンム)の檀黎斗構文と呼ばれるアレ。一回入れてみたかった。ちなみに牙那はあそこまでエキセントリックには言ってない。
「…絶望がお前のゴールだ」…元ネタは照井竜(仮面ライダーアクセル)の決め台詞。いろいろ悩んだ末、これに落ち着いた。