…俺は悩んでいる。
うーん、誰と組もう。一応俺も2位なので205ポイントを得た。出久の1千万ポイントに比べたらポイントはかけ離れてはいるがそれでも上位組なため、狙われることは確かだろう。
まあ無難に一番知ってる奴と組むか。
「出久」
俺の声を聞いた出久は怯える。
「な、なに牙那君。まさか飯田君みたいに挑戦とか言うんじゃ…」
「バカ、言わねえよ。…お前達と組む」
「「へ?」」
俺の発言に一緒にいた麗日も含め二人は素っ頓狂な声を上げる。
「だから!一緒に組んでやるって言ってんの!」
「ほ、本当に!?ありがとう、牙那君!」
泣いて感謝されてる。そこまでか、俺は。
…まあ可哀そうなくらいに他のクラスメイトから避けられていたからな。
「でも、いいの? 僕、間違いなく狙われるけど……」
「構わねえよ、次に行けるなら何でもいい。逃げっぱなしで突破できるしな」
麗日が胸を撫でおろしたような声で言う。
「あー、牙那君来てくれるんだったら安心できる!」
「過信はすんなよ麗日。麗日の個性も有効な手立てだし」
「私と組みましょう、1位と2位の人!」
話途中の俺たちに凄まじい勢いで割り込んで来たのは、知らない女子生徒。ゴーグルをかけ、各所にサポートアイテムを身に着けた少女だった。
「お前はサポート科かなんかか?そのカッコ見たところ」
「はい! 発目明、あなた方のことはよく知りませんしどうでもいいですが、その立場利用させてください!」
あけすけだな、オイ。
「あなた方と組めば必然注目度はナンバーワン! そうすると私のドッ可愛いベイビーたちが大企業に注目されるわけですよ!」
「ベ、べいびー? 大企業?」
麗日が困った顔をしたので俺が説明する。
「俺たちと組むことで、アイツが開発したサポートアイテムを、体育祭を見ているサポート会社の人にアピールしよう、ってことだろ」
「話が早い! どうでしょう、もちろんあなた方にもメリットはありますとも! サポート科はヒーローの個性をより扱いやすくする装備を開発します! 私、ベイビーが沢山居ますのできっとあなた方に見合うものがあると思うんですよ!」
そう言って発目が傍らのカバンを開くと、中には多種多様な機械類がミッチリと詰まっていた。
「これなんかお気に入りでして、とあるヒーローの装備に独自解釈を加えてまして!」
「わ、ひょっとしてバスターヒーロー・エアジェット!? 僕も好きだよ!」
「本当ですか!」
突然の盛り上がりを見せる2人と、置いてけぼりの2人。
「……めっちゃ気ぃ合っとる」
俺は麗日の発言に突っ込む。
「いや、あれは単に、自分に興味のあるものを好き放題喋ってるだけだ。オタク同士によくあるやつだな」
「そういうもんなん?」
「あいつら、相手の話を半分くらいしか聞いてねえぞ」
「ええー…」
置いてけぼりにされた俺たちに出久が気づき慌ててこっちを向く。
「えっと、作戦なんだけど、僕が騎手をしようと思うんだ。麗日さんには、できるだけ多く浮かせてほしいんだ。そして、牙那くんに移動を任せたいんだけど、いいかな?」
「デクくんと牙那くん、発目さんと装備一式浮かせるんやね。大丈夫!」
「大丈夫だ。この3人ぐらいならそもそもまず動くのは問題ねえよ、麗日に頼れるなら、なおさら俺も動きやすいしな」
「発目さんの"コレ"で中距離から他のハチマキを狙いつつ、基本は逃げる。接近されたら、できるだけ僕が時間を稼いで退避。方針はこうだけど、何か意見あるかな」
「でしたら、コチラのベイビーはいかがでしょう。機動力アップに、緊急回避にも使えますよ」
俺たちはテキパキと意見を交わし、全体的な方針を固めていく。まあ他チームの出方がわからない以上、作戦をあまり固めすぎてもよくないというのもあったと思う。
「行こう、皆!」
「デクくんなら大丈夫! ホンマは凄いの、知っとるから!」
「出久ならやれるさ、嵐を呼んでやろう」
「そういうのはよくわかりませんが、あなた方を利用しますので存分に私を利用していただきましょう!」
俺たち4人は気合を入れ、戦いの準備をした。
◇ ◇ ◇
『ヘイ起きろイレイザー! 時間だぜ! 15分のチーム決め兼作戦タイムを経て、今フィールドに12組の騎馬が出揃った!』
『なかなか面白ぇ組が揃ったな…』
『Yeah! ア・ゲ・テ・ケ鬨の声! 血で血を洗う残虐バトルロイヤル!カウントダウン行くぜぇ! 3! 2! 1! 』
『スタートォ!』
ついに騎馬戦が始まりを告げた。