今回いつもの2倍くらい量があります…。申し訳ないですね。これからはもう少しまとめることができるように頑張って参ります。
勝己VS麗日&出久VS轟の対決は長くするしかありませんでした。原作でも重要なとこで、この2勝負は私の大好きなシーンなので書きたかったってのもあります。
そしてUA40000越えを達成しました。こんな、どこにでもあるような駄作小説ですが頑張って参りますのでこれからも応援お願いします。
その後もトーナメントは続いていく。
芦戸はB組の青山を難なく下し、切島と鉄哲の勝負は男どうしの真っ向勝負が行われたが引き分けに終わり腕相撲による再試合、八百万と常闇の勝負は八百万の防御を突破した常闇が勝利した。
そして一回戦最終試合の麗日と勝己の対決。だがそれは一方的なものにも見える試合だった。
触れることで発動する個性の使用を狙い、接近しようと試みる麗日。それに対して、警戒し、それはさせじと爆撃する勝己。何もできずに封じられる麗日が、甚振られているようにも見えなくはない。
それを見た周りの観客やヒーローの紛い物と思われる奴らからは勝己にブーイングが飛び始める。馬鹿かこいつらは。
だが、それを遮ったのは実況席に座っていた消太さんだった。珍しいな。
『今 遊んでるつつったのプロか?何年目だ?』
『シラフで言ってんならもう見る意味ねえから帰れ!帰って転職サイトでも見てろ』
『爆豪はここまで上がってきた相手の力を認めているから警戒してんだろう』
『本気で勝とうとしているからこそ手加減も油断もできないんだろうが』
…うん、そうです、さすがっす消太さん。
そしてフィールドでは麗日が言う。
「ありがとう、爆豪くん。油断"しない"でくれて」
麗日が両手指を合わせることで、個性が"解除"される。
麗日の個性は、無重力。解除することで、これまで解き放たれていた重力の鎖に囚われることになる。
爆豪の頭上高くに浮かぶ、瓦礫群が。
『流星群ー!』
『気づけよ』
マイク先生の言葉通り、正に流星群。あるいは豪雨か。空高くに浮かんだ瓦礫が、重力を武器に爆豪へと襲いかかる。
数は多く、勢いもある。そんな麗日の秘策を──
『うおおおっ! 会心の爆撃! 爆豪、瓦礫の流星群を堂々、正面突破ぁ!』
空へ向けて放たれる爆撃は、無数のセメントブロックを全て、ひとつ残らず粉微塵にしてしまった。
許容重量をとうに超えていた麗日は、更に1歩踏み出したところで力をなくし、倒れる。
『麗日さん行動不能! 爆豪勝己くん、二回戦進出!』
…なかなかにいい勝負だったぜ、二人とも。
◇ ◇ ◇
その後切島と鉄哲による再戦が行われ、切島が勝利。その流れのまま二回戦に進む。
『さあ行くぜ二回戦! まずはコイツら、共に今回の体育祭で上位を争ってきた2人! 今まさに両雄並び立ち!』
まずは出久と轟の対決だ。
開始の合図と同時に、轟の左足を起点に発生した氷が、出久に向かっていく。
『さあ開幕直後に轟の氷結が炸裂! しねぇー!? 緑谷これを連続攻撃でぶっ壊す!』
『制御できるまでに弱めた分を数でカバーしてるのか』
『普通は避けるだろ! クレイジー!』
…へえ、特訓の成果出てんじゃん。
出久の周りには、不安定ながらも特訓のときに片鱗を見せた緑色のオーラが漂っている。
とりま使えるようにはなったってとこか。
轟と出久の対決はその後、接近しては離れられる、と繰り返していく。
だがそれも続かない。轟が動く。氷の発生に合わせた轟が、その上から飛び込み接近する。
着地と同時に生み出した氷が、出久の足にかかろうかという瞬間、暴風がリングに吹き荒れる。
「腕、やりやがったか」
「だな、アレは仕方ないとは思うけど」
勝己と俺は呟く。俺たちの視線の先の出久の左腕は強大な攻撃の代償に耐えきれず折れたようで、だらりと力なく垂れ下がっていた。
轟も、接近を嫌がっていることに気付いたのだろう。氷を目くらましに、再度前へと進む。
「う、ああああっ!」
スタジアムに出久の叫びが響く。一応という体で設置された集音マイクが拾った声。その理由は、右手の指を弾いた結果だ。
100%の強化による攻撃。必然、放った指も左腕同様に壊れる。
「見てるこっちまで痛い……」
A組の誰かが言う。でもそれは意味があるものだった。
「……皆、本気でやってるんだ! 勝って目標に近付くために! 一番になるために! "半分"の力で勝つ? まだ僕は、君に傷ひとつつけられちゃいない! "全力"で、かかってこい!」
出久の挑発じみた言葉に苛立ったのか、轟がこれまでのような氷を伴わずに駆け出す。
それに合わせ、緑谷も走り出していく、折れた指を無理矢理握った拳で、轟の腹部へと振りかぶった一撃を叩き込んだ。
『モロに生々しいのが入ったぁっ!』
マイク先生が叫ぶ。その後も足を強化しての飛び込み、そのまま頭突きを叩き込む。
「期待に、応えたいんだ! 笑って応えられるような、カッコいいヒーローに! なりたいんだ!だから、全力で! 皆やってんだ!君の境遇も、決心も! 僕なんかに計り知れない! でも、全力も出さずに一番になって"完全否定"なんて、フザケるなって、今は思ってる!」
「…うるせえ!」
「だから! 僕が勝つ! 君を超えて!」
「俺は、親父をっ!」
「"君の"! 力じゃないかっ!」
出久と轟の言い合いの後、一瞬の間を置いて。
轟に火が灯る。
「使った……!」
「轟さんの父親というと、エンデヴァー?」
「何かあるんだろうな。ヒーローとして優秀だからといって、親としても素晴らしいとは限らねえ」
「……いいじゃねーか、細かいことはよ。轟のヤツ、笑ってるトコ初めて見たぜ、俺。緑谷、このために頑張ったんじゃねーかな」
リングの上に立つ轟は、今にも泣きそうな、それでも笑顔で。何かが吹っ切れたような表情になっていた。
「いよっし。デクくん! やったれー!」
「轟ぃ! 負けんじゃねーぞ!」
「ええい、もう2人とも気張れー!」
A組から両者に声援が飛び交う。それが届いたのかどうか。それは本人たちしか知らないだろう。
そして二人は同時に個性を発動させる。お互い自分が発揮できる最大火力だろう。
そしてそれがぶつかったとき大きな爆発が起こる。
観客席まで届く暴風は、小柄な峰田を吹き飛ばすほど。閃光と風が治まっても、煙でリングが見えないほどだった。
『何今の……。お前のクラスどうなってんの……』
『さんざん冷やされた空気が、急激に熱されて膨張したんだ』
『それでこの爆風って、どんだけ高温だよ! 煙で何も見えねー!』
少しずつ煙が晴れ、先にその姿が見えたのは、緑谷だった。
『緑谷くん、場外! 轟くん、準決勝進出!』
リングの外で倒れる出久と、リング内に立つ轟。勝敗は決した。
この次は俺と飯田の対決。この名勝負に劣らないぐらいの試合をしないと。
俺は決意を胸に抱き、リングへと向かった