無事全部の競技が終わり、表彰式が始まるとあって集まった生徒たちであるが、彼らの間には動揺が広がっていた。その原因はある一人である。
「うわあ。何あれ」
「ずっと暴れてんだと。まあ爆豪だし、"1位以外意味ねえ"とか言ってんだろ」
「いや目つきヤベェって」
セメントス謹製の表彰台に生やされた柱に、口枷手枷を着けられた上で縛り付けられ、ついでに鎖も使って固定された勝己である。
それでもミッドナイトは意に介さず進めていくようだ。
『それではこれより、表彰式に移ります!』
誰かが「いいのかコレ」とツッコミを入れた。まあ勝己はセメントスと13号、スナイプが出張るほどの大捕物であったのもあるが。
『さあ、それじゃあメダル授与! 今年のプレゼンターはもちろんこの人!』
ミッドナイトが指し示す先、スタジアムの上に注目が集まる。
『私が! メダルを持って『我らがヒーロー! オールマイト!』来、た……んだけどなぁ』
…締まんねえ登場だな、オイ。
まあ、ところどころ抜けてるのもあるからヒーローとして愛されるのかも知れないが。
「んんっ。まずは常闇少年、おめでとう」
まずは3位の常闇から。
「ちょっと個性の
「…御意」
常闇にしっかり声をかけ次に進む。
「…続いて轟少年、おめでとう。準決勝で途中まで左側を収めていたのは、何かワケがあるのかな」
「緑谷にキッカケをもらって、皆が背中を押してくれて、準決勝も我羅琉の奴に言われて。…わからなくなってしまいました。あなたが緑谷を気にかけるのも、少しわかる気がします。俺も、あなたみたいなヒーローになりたかった。ただ、俺だけが吹っ切れただけじゃ、ダメだと思った。清算しなきゃいけないモノが、まだ残ってる」
「…顔つきが以前と全然違うね。今の君ならきっと大丈夫。清算できるさ。それでも困った時は周りを頼るといい。声援をくれた彼らならきっと力になってくれる」
オールマイトに優しく肩を叩かれ、轟は小さく頷く。
続いて問題の…である。
「さて爆豪少年……。さすがにこりゃあんまりだ」
2位の台に"繋がれた"勝己の口枷を外し、メダルを持ったオールマイトが側に立つ。
「意味ねえんだよ、オールマイトォ…! トップじゃなきゃ、何の価値もねえんだ…!」
「まったく、君ってやつは! 1番たらんとするその心意気は素晴らしいね。なら、なおさら受け取っておけよ、傷として!」
「いらねえっつって、オイコラやめろぉ! いら、あぐ!」
メダルをかけられまいと抵抗する勝己だったが、拘束されて可動域が限られていては容易くはいかない。最終的に口にかけられてしまった。
「では我羅琉少年、有言実行の1位、おめでとう!」
オールマイトが俺に対して言う。
「どもっす。でもまだまだっすよ」
「向上心の塊だね君は。だからこそ、この結果なんだろう。多彩な技術を持ち、努力を怠らない君ならば、きっと素晴らしいヒーローになれるさ」
「うれしいっすね。アンタを超えるヒーローになって見せますよ?」
「言うねえ、君がデビューするまで僕も頑張るさ、…改めて、優勝おめでとう」
「ありがとうございます」
頭を下げた俺を見てオールマイトはカメラに向き直る。
「さぁ! 今回は彼らだった! しかし皆さん! この場の誰にも、"ここ"に立つ可能性はあった! ご覧いただいた通りだ! 競い! 高め合い! 更に先へと昇っていくその姿! 次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている! ……ってな感じで最後に一言! 皆さんご唱和ください! せーの……」
「プル「お疲れ様でした!」スウ……えっ?」
「「「そこはプルスウルトラでしょ、オールマイト!!」」」
締りは悪かったが、それでも笑顔に満ちていた。
そんなこんなで体育祭は終わりを告げた。