個性「tfポケモン」   作:W297

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38話

 職場体験初日。

 

 俺たちA組の面々はヒーローコスチュームの入ったケースをそれぞれ手にして駅に集合していた。

 

 消太さんの注意点を聞いた俺たちはそれぞれの場所へ散っていく。

 

「…さてと、俺も向かいますか」

 

 俺が今回希望したヒーローの事務所は山奥にある。多分一個乗り遅れたら大分ヤバいことになるだろう。

 

 電車に乗り込み、俺が体験するであろう経験に対する希望をもって俺は向かった。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 俺は電車やバスを乗り継ぎ、緑豊かな山岳地帯にやってきた。

 

 ここまで来れば分かるだろう。

 

 俺が希望したのは『ワイルドワイルドプッシーキャッツヒーロー事務所』である。

 

 理由としては救助系のヒーローのやり方を知りたいから、これだけである。

 

 ヴィランとのバトルは今まで経験してきた。だが災害救助などは経験しないとわからない。ヴィジランテの俺は余り表立って救助活動をすることはできない。今の俺に必要なものはそれである。

 

 事務所に着いた俺は軽く背伸びをし、凝り固まった肩や背筋をほぐしたあと、チャイムに手を伸ばす。

 

 キンコーン、と、音が鳴り、インターホンから応答がする。

 

『はい。ワイルドワイルドプッシーキャッツ事務所です』

 

「雄英1年A組から来た我羅琉牙那です。職場体験に来ました」

 

『あ、いらっしゃい。待ってたわ。今行くから少し待っててちょうだい』

 

 声が途切れた後、パタパタと人の移動する気配がする。

 

 言ってる間にドアノブを回す音が聞こえ、挨拶しようと思ったのだが、それは杞憂に終わった。

 

 なぜって?

 

「煌めく眼でロックオン!!」

 

「猫の手、手助けやって来る!!」

 

「どこからともなくやって来る……」

 

「キュートにキャットにスティンガー!!」

 

「「「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!!」」」」

 

 扉を開けたらワイプシフルメンバーによる決めポーズがあったからである。

 

「あ、皆さん久ぶりです。お元気そうでなにより」

 

 俺はそれに素っ気なく返す。

 

「むー、そこは『おおー!』とかいってよー?」

 

 ラグドールが言ってくるが俺はそれを流す。

 

「オフの時何回も会ってるんすから…、信乃さんコレ、ウチの姉からっす」

 

「あ、ありがと」

 

 なんでこんな感じになってるかというと瑠莉姉経由で知り合ったからである。

 

 ワイプシのメンバーは瑠莉姉とほば同年代。そのため結構交流があったそうだ。今も近くに来た時はよくカフェに来てくれている。そこからのつながりだ。

 

 だがこの人達を見るのは主にオフの姿。活動中の姿は余り見たことがない。

 

 その後、改めて俺はヒーローの卵としての自己紹介をした後、マンダレイがもう一人の人物を紹介してくれた。

 

「あと、事務所のメンバーではないんだけど、何回か言ってた私が預かっている従甥を紹介するわね。ここにいる間は顔を合わせることも多いでしょうから」

 

 玄関から建物の中へ呼びかけるマンダレイの声に答えて出てきたのは5歳くらいの目つきの鋭い男の子だった。

 

「出水洸汰っていうの。ほら、挨拶しなさい。洸汰」

 

「初めまして、俺は我羅琉牙那。しばらくの間よろしくな」

 

「…フンッ」

 

 俺が差し出した右手は無視され、俺の顔に水がかかる。…こういうのか。

 

「洸汰!」

 

「ヒーローになんてなりたいなんて言うヤツなんかとつるむ気はねえよ」

 

 マンダレイがすぐに叱るが、洸汰は悪びれた様子もなく一言言い放って去って行った。

 

「大丈夫、牙那?ごめんね洸汰が」

 

「へーきっすよ、これ位。いつもの瑠莉姉の攻撃に比べれば」

 

 ちなみに最近では、この前の体育祭の直後に地下室に入れられ、フルボッコにされたりしている。

 

「じゃ、牙那。瑠莉奈の奴からも手加減はいらないって聞いてるからビシバシやってくよ!」

 

 ピクシーボブが言う。

 

「もちろんです。俺はそれ目当てでここに来たんですから」

 

 俺の職場体験がついに始まった。ここでの知識を応用できるようにしていかねーと。

 

 

 

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