個性「tfポケモン」   作:W297

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41話

 そこからはあっという間だった。というかあの後のメディア対応が面倒臭かった。

 

 基本的には俺のことはオフレコでって言っといたはずなのだがそれでも「褐色肌でオレンジ色のバンダナのヒーロー候補生」に助けてもらったという声が大分取り上げられていた。

 

 俺が手当てした被災者の皆さんも無事治ってきているみたいなのでよかった。これで失敗したら俺だけじゃなくワイプシの皆さんの責任問題も問われるからホントに成功してよかった。

 

 なお、一部のヒーロー評論家って言う馬鹿どもは批判していたがそれ以外の人たちからは高評価だった。

 

 そして、終わりは訪れた。

 

「今まで、ありがとうございました!」

 

 見送ってくれたのはマンダレイだ。それ以外のメンバーはメディア対応やら遠征などでいない。

 

「こちらこそありがとう、また仮免取ったらインターンにおいでよ」

 

「分かりました、優先させてもらいますよ、1週間お世話になりました」

 

 笑顔で挨拶を交わし、俺はワイプシ事務所から離れた。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 職場体験を終えた雄英高校1年A組の教室は、喧騒に包まれていた。

 

「牙那、ニュース見たぞ!」

 

 上鳴から声をかけられた。

 

「まあな、余り有名にはなりたくないんだけど」

 

「なんでだよ、有名になったら一般人の評価も上がるしいいじゃねえか?」

 

 切島が言ってくるが俺は気にせずに返す。

 

「今の俺ならな。色々周りから言われるのが嫌なんだよ。メディアが色々言ってただろ」

 

「あー、牙那そういうの嫌いだもんねー」

 

 響香が言う。今回は俺しか回復・治癒系の個性がいなかったから俺が相談して許可をもらって使わせてもらった形だ。多くのメディアは俺が勝手に個性を使ったって勘違いしてるからな。ワイプシの皆さんが否定してたけど。俺は別にどっちでもいいんだけど。

 

 そんな感じで和やかに話は弾んでいったが、教室の大きな扉が開かれる。

 

「あ、おはよ勝己ィ!?」

 

 俺が勝己の姿を見てみると髪型が8対2に分けられたヘアスタイルになっていたのだ。

 

「アッハハハハハハハ! マジか! マジか爆豪!」

 

「…笑うな。クセついちまって洗っても直んねえんだ。オイ笑うなァ!」

 

「ブハハハハハハハハハハ! やってみろよ8:2坊や!」

 

 瀬呂と切島は涙を浮かべるほどに笑い転げていた。

 

「ぶっ殺ォす!」

 

 それと同時に勝己の髪がいつもの爆発ヘアーに戻った。

 

「どーいう仕組みだ! アハハハハハハハハ!」

 

「笑うなっつってんだろうがクソ髪コラァッ!」

 

 笑いすぎてまともに動けない切島と瀬呂の2人が捕らえられている間にも、続々と生徒は教室へとやって来る。

 

 それをほっといて俺が声をかけたのは出久と飯田と轟の3人だ。

 

「おはよ、大分大変だったみたいだな」

 

 こいつらはステインと交戦したらしい。最終的にはエンデヴァーが解決したらしいが。…多分裏に何かあるんだろうが、それは置いておこう。

 

「ああ、…で麗日はなにがあった?」

 

 麗日は何やらシャドーボクシング的な、といっても凶悪な回転が加わった一撃を中空に放っていた。

 

 周りは誰とはなしに、そっと視界から外す。

 

「確か、麗日くんはバトルヒーロー・ガンヘッドの所に行っていたのだったか」

 

「1週間で感化されすぎじゃないか?」

 

「せ、成長だよ。…多分。うん」

 

 揃って詳しい言及を避けたのはご愛嬌だ。

 

「変化っつーか、大変だったのはそっちの3人だろ!」

 

「いやー、ヒーロー殺しとかヤベーの相手にしてたしな」

 

「マジ命あってなによりだぜ」

 

「…心配しましたわ」

 

 上鳴の言葉に、皆の話題が移る。

 

 何せ、被害にあった中には命を奪われたヒーローも居たのだ。そんな凶悪ヴィランと関わった、それも出久からの不穏な位置情報のみというメッセージがあったことも加われば、心配するなと言う方が無茶だろう。

 

「でもよ、あの動画見たらさ。一本気っつーか、執念っつーか、カッコよくね? とか思っちゃわねえ?」

 

 上鳴の言葉に、慌てた様子の緑谷が声をあげるが、少しばかり遅く。

 

「いや、いいさ。確かに信念の男ではあった。クールだと感じる人が居るのも、わかる。…しかし、ヤツは信念の果てに"粛清"という手段を選んだ。どんな考えを持とうとも、それだけは間違いなんだ」

 

「そうだな、自分が規範となれば良いのに、とは思うな。悲しむ人を生み出した時点で、反発する者が出ると思うし。…それを考えたらステインと真逆の考え方だけどドラゴストームもそうだな」

 

 切島の言葉に少しドキッとしたが俺はそれに続ける。

 

「切島、ドラゴストームとステインの考えの基礎はほとんどおなじだぞ」

 

「え、そーなの」

 

「ああ、ドラゴストームの攻撃の矛先はヴィラン、ステインの攻撃の矛先はヒーローっていう違いだけだ」

 

「ドラゴストームやばかったな…」

 

 そう言ったのはUSJで遭遇した上鳴だ。その後飯田が立ち上がって言う。

 

「うむ。ステインやドラゴストームに限らず、ヴィランによって傷付く人も居れば、その方々には家族や友人が居る。ならば俺のような者をこれ以上出さぬ為にも改めてヒーローの道を俺は歩む!」

 

 そう語る飯田の目は決意に満ちて、心なしか背筋もいつも以上に伸びているように見えた。

 

「さあ! そろそろ始業だ! 席につきたまえ!」

 

「……五月蝿い」

 

「なんか、すいませんでした……」

 

 飯田がいつものように飯田し始めた。飯田はやっぱこうでないと。

 

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