「実技試験何するんだろ?」
昼食をとりながら出久が話しかけてくる。
消太さんに聞いても「一学期でやったことの総合的内容」とだけしか教えてくれず、不安が募っていたようだ。
「さあな、普段やってることをちゃんとやってればなんとかなると思うけど」
「じゃあ牙那的にはどんなのがくるって思ってんの?」
そう聞いてきたのは響香だ。
「少なくとも「ヒーローとして行動すべきこと」を実現できるかどうかを問うってことだと思うから…、なんかとバトルかな?」
「バトルって…何と?」
俺が言った後、麗日が聞いてくる。
「そこまではわかんねえな、とりあえず体調とか万全にして最高の状態で戦えるようにしないと受からないだろうし」
そんな中、出久の後頭部に折り曲げられた左ひじが当たる。
「おっと、失礼。頭が大きいから当ててしまいそうになったよ」
いじわる気なちょっとヤバい顔で笑っていた…、
「…誰だお前?」
誰だコイツ?
「な、知らないのかい?体育祭で…」
「俺たちずっと空飛んでたから知らない」
「そ、そうかい…僕は物間寧人、B組さ」
ああ、こいつが拳藤が言ってたやつか。
「あっそ、じゃどっか行ってくれ。俺たち忙しいから」
「全然忙しそうに見えないんだが!?」
それもそのはず俺たちはのんびりとダベりながら昼食をとっているだけだ。
「うるさい! 食堂で騒ぐな!」
「グフッ!?」
そんな中、物間に巨大な手刀が下ろされた。拳藤だ。
物間はそこに崩れ落ちる。踏んだり蹴ったりであるが自業自得だろう。
「ごめんな、A組。こいつ、ちょっと心がアレなんだよ」
拳藤が謝罪の言葉を口にする。
「あー別にいいぜ、拳藤」
「あ、後知り合いの先輩から実技試験のこと聞いたんだけど入試の時のような対ロボットとの演習訓練らしいよ」
「あ、そうなの?」
響香が言う。ロボットの演習試験…か。
「全く拳藤は…、せっかくの情報アドバンテージを言っちゃって、A組を出し抜いてやるチャンスだったのに」
「うるさい!」
物間は再び撃沈した。
◇ ◇ ◇
「んだよ、ロボならラクチンだぜ!!」
俺が拳藤から聞いた情報、期末試験が対ロボット演習であると聞いて上鳴が喜びの声を上げる。芦戸も同じようだ。
二人とも個性が強力なだけに対人では加減が難しいため、ロボット相手ならば小難しいことを考えなくて済むと楽観視していた。
彼ら二人だけではない、A組全体にどことなく安心感が漂っている。
「一応言っとくが、あくまで例年だぞ」
そんな中俺はそう言った。
「やけに例年を強調するな」
そう聞いたのは障子だった。
「気付いてくれたか障子、確かに拳藤の言葉に嘘はないと思う。けど俺たちはUSJの襲撃や職場体験でヴィランの襲撃に巻き込まれた、まあ職場体験は飯田の暴走が原因だが」
「うぐッ!しかし何も言い返せない…」
飯田にグサッと刺さる言ったが、気にしないように俺は続ける。
「こんな年は今までなかった、それでウチの先生たちが何もしないと思うか?」
ピタと、上鳴芦戸の動きが止まる。両腕は喜びを表して高々と上がっているのに、表情だけが絶望に染まっている。セリフを入れるなら、「マジで?」だろう。
「予想だったら、より実戦的な対ヴィランを想定した内容だろうか。それも、こちらのことをしっかり把握した相手だ。弱点を露骨に突いてくるんじゃないかな」
「考えすぎとは言えないよ。最近はヴィランが活性化している話もあるし、ここは雄英だし」
出久が俺の考えに同意する。
「やること多すぎね!?」
「普通に授業受けてりゃ、赤点は出ねえだろ」
轟が言うが上鳴は悲鳴を上げる。
「言葉には気をつけろ轟ぃ! チキショウ、演習試験もヤベーじゃねえか!」
「お前らは個性の制御、大変そうだしな」
障子の言葉通り、上鳴にせよ芦戸にせよ、出力に気を付けなければ相手に重症を負わせてしまいかねず、下手をすれば命にも関わる。
「最悪の場合だと…先生たちとの直接対決もあると思う」
「マジで!?」
「そうだ、上鳴。ある程度のハンデは付けてくれると思うけどな」
「そうなったら、めっちゃヤバいよね…」
「まあ、気を抜かないことだ。油断したらやられると思っておいたほうがいい」
そう言ってその場は終わった。