47話
A組の生徒らが行った買い物は、事件によって中断されたようだ。
ヴィラン連合の死柄木弔。
追われる立場であるはずの男が、人でごった返すショッピングモール内で出久に接触したらしい。
周囲の一般人を守るべく冷静に対処した出久と、通報した麗日のおかげで被害らしいものは無く、警官の出動によって多少の混乱が起きた程度で済んでいた。
だが、それは世間的な話である。
当事者となってしまった出久は聴取に多くの時間を取られてしまったし、他の生徒たちにとっても他人事ではないのだ。
「…ってワケで、ヴィランの動きを警戒して例年使わせていただいている合宿先を急遽キャンセル。行き先は当日まで明かさない運びとなった」
…そー来ますか。
そんなことがあったが夏休みが始まった。
◇ ◇ ◇
とある日、いつも通りの特訓をしていた俺のスマホに通知が来ていた。
「学校のプールで特訓?」
見れば上鳴と峰田が言いだしたらしい。
…絶対女子の水着目当てだなコレ。
それで二人だけじゃ消太さんに疑われるから出久っていう真面目組も誘ったか。
瑠莉姉にどうしたらいいか聞くと「今日ぐらいは行ってきていいよ」との言葉をもらったので学校に向かうことにした。
「競争すんの?」
プールで体を動かし、影で一休みしているときに飯田が言い始めた。
周りも乗り気のようなので俺もやることにした。
一組目は勝己が個性で空中を飛んでいき勝己がそのまま一位でフィニッシュ。
続いて二組目、俺、瀬呂、轟、切島、砂藤。
合図は八百万がやってくれている。女子メンバーは日光浴でプールの使用許可を取っていたようだ。
まあ、素早い水ポケモンにするか。
「Transform,フローゼル」
今回変身したのはうみイタチポケモンのフローゼル。みずタイプのスピードアタッカーだ。
「よーい、スタート!」
合図と同時に俺は勢いよく水に飛び込む。
そのまま俺は尻尾を高速回転させてスピードをグングン上げていく。
「アクアジェット!」
俺は水流の勢いのようにゴールに突っ込んでいく。
水面を凍らせて進んで行く轟との勝負になり、結果はギリギリ俺の勝利だった。…勝己の時にも思ったのだが泳がないってのはありなのか。
次の組は出久と飯田の一騎打ちとなったが出久が個性を発動して一位。
そして決勝。相手は勝己と出久になった。
スタートの合図が聞こえ、さっきと同じようにやろうと思ったのだがそれは出来なかった。
「17時。プールの使用時間は今終わった。全員とっとと家に帰れ」
消太さんが個性で俺たちの個性を消したのだった。
周りのクラスメイトは文句をいったが消太さんの「何かいったか?」ですぐに従った。
「後、牙那、お前着替えたら職員室に来い」
「えー、なんすか」
「いいから、とっとと着替えろ」
「はーい」
…何だろうか、まったく身に覚えがない。
◇ ◇ ◇
「で、話ってなんですか?」
職員室に行くと消太さんのほかにB組の担任のブラドキング先生もいた。
「単刀直入に言う、林間合宿、先にここに行っておいてくれ」
「え、ここって…」
記された場所はワイプシのヒーロー事務所だった。というか合宿先ここかよ!?
「ってかなんで俺だけなんですか!?」
「向こうからのご希望だ。本当だったらお前も他の奴らと一緒に連れていきたかったんだがな」
ブラド先生が俺に向かって言う。
「お前、あっちで何してきやがった…」
そして消太さんが言う。今回は何も心当たりがないんですが!?
「まあ、そういうことだ。後絶対に他の奴にバラすなよ」
「分かってますよ」