個性「tfポケモン」   作:W297

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54話

 星明かりの下、俺と八百万は森の中を歩く。

 

「次は何が来るんでしょうか…」

 

 八百万が俺の右腕を掴みながら言ってくる。八百万も肝試しみたいなことはやったことがないらしく、始まる前は凄いわくわくしていた素振りをしていたが、驚かされ続けて折り返し地点では既にこの状態になっていた。

 

「まあ、そこまで怖いのは来ねえだろ。小大と鉄哲のやつには驚いたがな]

 

「あれでも十分怖かったのでしたが…」

 

 今回のは心霊現象ってよりいかに相手を驚かせるかだからな。俺的にはそこまでだ。

 

「我羅琉さんってこういうものの経験ってあるのでしょうか?」

 

「ないな」

 

「にしてはやけに落ち着いているように見えるのですが…」

 

「まあ、経験だよ」

 

 俺の言葉に八百万が返す。

 

「え、さっきないって…」

 

 まあそうだろう。経験がないって言ってたやつがすぐに経験だと言ったのだから。

 

 八百万の言葉に続けて俺は言う。

 

「確かに肝試しの経験はねえよ、でも俺、それ以上の経験してるからよ。多少のことじゃ怖いと思えなくってさ」

 

「…昔、何かあったのですか?」

 

 その答えとして、俺は八百万に対してこう言う。

 

「…聞きたいのか?」

 

 俺は八百万を真剣な面持ちで見つめる。

 

「…いえ、失礼しましたわ」

 

「…そうしてくれた方が俺としても助かるよ、余り話したくはない」

 

 俺はその話からしばらく経った後、森の中のある異変に気付く。匂いが妙な感じがするのだ。こんな感じの匂いはこの辺りでは嗅いだことがない。

 

 …やべえかもな。ちょっとぴり付く感じだ。

 

「…八百万、今すぐガスマスクって作れるか?」

 

 俺は八百万に伝える。

 

「え、急にどうしたのですか?作れないことはありませんが…」

 

「作れんだな?」

 

 俺は再び真剣な顔を八百万に向ける。

 

「は、はい!」

 

 俺は八百万に向けてこう告げる。

 

「八百万、緊急事態だ。急いでガスマスクを作ってくれ。命にかかわってくるかもしれねえ」

 

「わ、わかりました。何が…」

 

「ヴィランが来た。これで分かってくれ」

 

 俺は最低限の言葉で八百万に伝える。

 

 その言葉に八百万が反応する。

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「ああ。しかも結構ヤバめのやつっぽいな、毒使いかよ…」

 

 俺はさっきのことを思い出す。確かさっきいたのは…

 

「泡瀬!出てきてくれ!緊急事態だ!」

 

 俺の声に泡瀬が出てきてくれる。まずはよかった。さっき俺は泡瀬達に驚かされた。そこまで怖くはなかったが。

 

「が、我羅琉!どうしたんだよ!」

 

「説明は後だ、今はコレ付けろ!」

 

 俺は泡瀬に八百万が作ったガスマスクを付けながら、泡瀬にも渡す。

 

「泡瀬、お前って大体B組が隠れてる所ってわかるか?」

 

「あ、ああ」

 

 俺は泡瀬の返答に続ける。

 

「八百万、お前は泡瀬と一緒にB組の連中にガスマスクを渡してきてくれ」

 

「わ、分かりました。我羅琉さんは…」

 

「俺は葉隠と響香に渡してくるよ、まだそこまで俺たちと離れていないはずだ」

 

 このガスが漂ってきているのが、俺たちが通ってきた方向だ。状況は俺たちより悪いかおしれない。

 

「八百万、泡瀬、そっちは頼んだ!」

 

「任された!」

 

「そちらもお願いしますわ、我羅琉さん!」

 

 俺は二人の声を聴きながら今来た道を一気に駆け戻っていく。頼むから無事でいてくれよ…!

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