作戦が決行された。
「いいですか?発信機の示した座標は神奈川県横浜市神野区」
「詳しいところは分かるのか?さすがに神野区っていうだけじゃ探せねえぞ」
「ええ、発信機は神野区のこの地点の建物の中にあるということまで示しておりますので」
さすがだな、オイ。
「ここからだと2時間くらいか」
「大体午後10時頃の到着ですね」
◇ ◇ ◇
…そして電車に揺られながら2時間。俺たちは神野に到着した。
それにしても人が多い。
「あの、皆さん。私たちは周りに顔を知られています。見つかって騒ぎになってはいけません。そこで分からないように変装をしていきませんか?」
「そうだな。俺たちの顔は体育祭やらいろいろなところでで知られてる。俺もできる限り隠れて周りにもヴィランにもバレないようにしていくのが得策だと思う」
八百万と俺の発言に対し切島が言う。
「でもよ、変装なんてどうするんだ?俺たちそんな服もってねえぞ?」
「八百万が服を作るのか?」
轟もそれに続く。
「いえ、それについては私行ってみたいところが…」
八百万は俺たちとは違う方法を考えているようだった。
「で、なんだこの格好は?」
俺は安物のスーツと眼鏡を組み合わせたサラリーマンスタイルに身を包んでいる。
そのほかの面々は出久がヤンキー風、轟はホスト風、といったようなところだ。
これは某激安店でかき集めたものである。
…八百万が作ればよかったのかもしれないが八百万が「何このピュアセレブ」状態になっていた。お嬢様の八百万にとっては一度行ってみたかったのだろう。
この統一感もないバラバラな集団を傍から見ればなんの集まりかわからないだろう。
…まあ、それで話しかけられないことを思えばいいのだが
「お?雄英じゃん」
そんな中、どこかから声が聞こえてきた。
「あ、コラァ!」
ヤンキー風に言った出久をはじめ、全員がその声に反応する。
だがその人物が言ったのは街頭テレビについてであった。
『では先程行われた雄英高校謝罪会見の一部をご覧下さい』
そこには消太さんとブラド先生、それに根津校長が会見を開いている姿であった。
ビルについている大きなモニターに会見の様子が映し出された。
進んでいくに連れてモニターを見上げている人たちから野次が飛ぶ。
だが仕方がないことではあるがプロヒーローとしては結果が全て。
じゃあ逆にお前らが守れるのかと思い、腹が立ってしまうが、守れなかったのは事実だ。
今の空気はこの今の個性社会、特にヒーローに対する猜疑心で包まれている状態だ。
このままだとヴィラン連合の思いのままになる可能性が高い。
恐らくアイツらが望んでいるのは今のこの社会の崩壊だ。
今ここに流れているその空気はそれに繋がっていくものだろう。
俺たちヒーロー側としてはそれを再びヒーローが必要とされる社会が求められる空気に変えなければならない。
俺たちは誰も何も発さないまま非難の声が響くその場所を後にしていった。