個性「tfポケモン」   作:W297

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65話

 

 みんなが部屋の片づけを終わり、広場でくつろいでいるころ。

 

「お部屋披露大会、しませんか!?」

 

 言い出したのは芦戸だった。

 

 葉隠も同様のようで明るい二人によって事態は進んで行く。

 

 出久はついて行けていない様子だったが、芦戸と葉隠に背中を押されてエレベーターへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 まず一人目、出久。

 

「わあああ! ダメダメちょっと待─」

 

 ようやく状況を把握し、静止させようとした出久であったがもう遅い。

 

 抵抗すらする暇もなく、扉が開かれる。

 

「オールマイトだらけだ! オタク部屋だ!」

 

「昔っから出久は変わらねえなー、ってか昔よりも量増えてやがる」

 

 楽しそうにする麗日と懐かし気に言う俺。

 

「い、今でも憧れなんで…恥ずかしい」

 

 出久は赤面するしかなかった。

 

 …こんな感じ"お部屋披露大会"が始まった。

 

 

 

 二人目、常闇。

 

「黒っ! 怖っ!」

 

「男子ってこういうの好きなんね」

 

 

 

 三人目、峰田をスルーして上の階の尾白。

 

「わぁ、普通だぁ!」

 

「普通だぁ! すごい!」

 

「これが普通ということなんだね……!」

 

 

 

 四人目、飯田。

 

「難しそうな本がズラッと!」

 

「さすが委員長!」

 

「メガネクソある!」

 

 

 

 五人目、上鳴。

 

「チャラい!」

 

「手当たり次第って感じだなー」

 

 

 

 ここまでは概ね酷評の嵐となった。

 

「…釈然としねえ」

 

「ああ、奇遇だね。俺もしないんだ、釈然」

 

「そうだな」

 

 そんな中、峰田が言う。

 

「男子だけが言われっ放しってのも変だよなぁ? "大会"っつったよなぁ? なら当然! 女子の部屋も見て決めるべきなんじゃねえのか? 誰がクラス最高のインテリアセンスか、全員で決めるべきなんじゃねえのか!?」

 

 それによって最終的に女子部屋も見て回ることになった。

 

 続いて四階。

 

 切島の部屋はは絵に描いたような暑苦しさで、"彼氏にやってほしくない部屋ランキング2位くらいにありそう"という、絶妙な女性受けの悪さを発揮。

 

 その隣、障子の部屋はインテリアセンスがどうこう以前の、ごく最小限にまで絞ったものしかないミニマリスト仕様だった。

 

 勝己は早々に引き上げていたため、俺の番となる。

 

「じゃー次、我羅琉!部屋みせてー!」

 

 芦戸が俺に言ってくる。

 

「別にいいけどなんてねーぞ?」

 

 俺がドアを開けると、興味津々なことを隠し切れないクラスメイトたちが先んじて入っていく。

 

「アレ?」

 

「なんか…、以外と普通…」

 

 周りが一気に冷めたような空気になる。まあ、そうだろうな。

 

「別に内装とか興味ねーからよ、家具のカタログ参考にしてそのまま置かせてもらった」

 

 俺の部屋は、この世代のやつなら「まあ、こんなかんじだろう」と誰もが答える普通の部屋だ。

 

「そこの本棚ってどんなの入ってるの?」

 

 聞いてきたのは葉隠だ。

 

「色々あるぜ、まずこれが実家周りでの有名なヴィラン達をまとめた奴、これは出久にも協力してもらったヒーローの特徴をまとめた奴、これはAとBの生徒をまとめた奴で、これは俺が変身できるポケモンたちを詳しく説明したやつだな」

 

「うわ、なんだコレ細かい数値がいっぱいだ…」

 

 ポケモンまとめファイルを見た芦戸は倒れそうになったとだけ言っておこう。

 

 

 

 続いて5階。

 

 まずは瀬呂から。

 

 扉を開けると周りから感嘆の声が漏れる。

 

 アジアンテイストのリゾートホテルを思わせる部屋。家具や小物の配置も煩くならない程度に配された、かなりクオリティの高い作りだった。

 

「ステキー!」

 

「瀬呂こういうのこだわるヤツだったんだ」

 

 ここに来て初となる高評価な声。これには本人も嬉しそうであった。

 

 その次は口田。

 

「ウサギいるー!可愛いー!」

 

「…」

 

 部屋の中には動物が一杯いた。口田らしいと言えるだろう。

 

 そして轟。

 

「さっさと済ませてくれ。ねみい」

 

「─完全和室!?」

 

「造りが違くね!?」

 

 気怠気な表情のままに部屋主が開いた扉の先に広がっていた光景は、全員の予想を軽く飛び越えるものだった。

 

 畳敷きの床や障子戸はまだしも、砂壁と言われる近代和風建築お馴染みの壁模様に、床の間まで存在するとあっては、皆驚かざるを得ない。

 

「当日即リフォームってどうやったんだ!?」

 

「…頑張った」

 

 最後には砂藤。

 

「俺だけどまー、つまんねー部屋だよ」

 

 溜め息と共に砂藤が扉を開いた先には、前3人と比べては確かにありきたりなシングルルームだった。

 

「轟インパクトの後じゃ、誰でも同じだぜ」

 

「てか良い香りするの、コレ何?」

 

「香ばしい、あるいは美味しそうな」

 

 しかし、俺たちは視覚よりも嗅覚に届く何かに意識が向いた。

 

「ああイケね、忘れてた! だいぶ早く片付いたんでよ、シフォンケーキ焼いてたんだ! ホイップがあるともっと美味いんだけど…。食う?」

 

「模範的"意外な一面"かよ!」

 

 手早く切り分けられたそれらに、真っ先に甘党な数名の女子が手を挙げ、最終的には全員に行き渡り、もれなく絶賛の声を零すことになる。

 

 最終的に結果は…、

 

「『ケーキ美味しかった』、だそうです!」

 

「部屋は!?」

 

 …砂糖が優勝した。なんか腑に落ちねえ。

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