個性「tfポケモン」   作:W297

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67話

 

 

 

 

 

 訓練の日々は流れ、遂に仮免試験当日。俺たちを乗せたバスは、試験会場となる国立競技場へと到着した。

 

 広大な面積を持ち、様々なイベントに使われるとあって報道などでその知名度は抜群である。…やっぱでけーな。

 

 全員が降りたところで、消太さんの声が聞こえたので、俺たちは全員が背筋を正して口を噤む。

 

「この試験に合格し仮免許を取得できれば、お前ら志望者は晴れてヒヨッ子、セミプロへと孵化できる。……頑張ってこい」

 

「「はいっ!」」

 

 消太さんの激励。それは俺たちが気合を入れるには十分すぎた。

 

「っしゃあ! なってやろうぜヒヨッ子によぉ!」

 

「いつもの一発決めて行こーぜ! せーのっ、Plus──」

 

「Ultra!!」

 

 切島の背後から、突如響く大声が聞こえた。そこへ視線を向ければ、帽子をかぶった大柄な男子学生の姿があった。

 

「誰?」

 

「さあ?」

 

 俺たちが見覚えのない姿に疑念を感じている間にも、どうやら同校の生徒に注意されたらしい件の学生がガツン、と音を立てて、謝罪と共に頭を地面にぶつける。

 

「どうも大変!! 失礼!! っ致しましたぁっ!!」

 

「なんだこの、テンションだけで乗り切る感じの人は!?」

 

「飯田と切島を足して二乗したような……!」

 

 この状況に全員がドン引きしていた。

 

「あの制服、士傑か」

 

「…東の雄英、西の士傑」

 

「雄英に匹敵する難関校の、士傑高校か…!」

 

 騒々しさに他校も足を止めて注目する中には、その威風堂々とした佇まいに気圧される者も見られる。それほどまでに、厳しいカリキュラムに裏付けされた高い実力は有名だ。

 

「一度言ってみたかったッス!! プルスウルトラ!! 自分、雄英高校大好きッス!! 雄英の皆さんと競えるなんて、光栄の極みッス!! よろしくお願いします!!」

 

「うるさっ」

 

 その騒々しさに響香が耳を塞ぐ。

 

「夜嵐イナサ。…イヤなのと当たったな、ありゃあ、強いぞ」

 

「先生の知ってる人、ですか?」

 

「昨年度の推薦入試、つまりお前たちの年に、実技トップの成績で合格したにも関わらず、なぜか入学を辞退した男だ」

 

 …変だな。なんで入学しなかったんだ?好きなのに入学しなかったってことはなんか裏がある筈だ。

 

 周りも変だという声が聞こえるが、「変だが実力は本物だ」という消太さんの声で気を引き締める。だがそんな消太さんを呼ぶ人が一人。

 

「イレイザー? イレイザーじゃないか!それに牙那も! テレビや体育祭で姿は見てたけど、直で会うのは久しぶりだな!」

 

 消太さんは嫌そうな面倒臭いといった顔を向けながらその知った顔の方へ顔を向ける。

 

「結婚しようぜ!」

 

「しない」

 

「しないのかよウケる!」

 

 流れるようなやり取りに生徒たちは置いてけぼり、になっていない者が僅かに居た。"結婚"に耳聡く食いついた芦戸。後はの出久である。

 

「スマイルヒーロー"Ms.ジョーク"! 個性は"爆笑"! 近くの人を強制的に笑わせて思考、行動共に鈍らせるんだ! 彼女のヴィラン退治は狂気に満ちているよ!」

 

「狂気て…、まあそうだが」

 

 瞬時に情報を引き出す辺り、彼も十分に変わった存在だ。

 

「相変わらずっすね、ジョークさん」

 

「おうよ、牙那!なあイレイザー、私と結婚したら、笑いの絶えない幸せな家庭が築けるんだぜ!」

 

「その家庭、幸せじゃないだろ」

 

 相変わらずのジョークさんと同じく相変わらずの消太さん。

 

「…仲が良いんですね?」

 

「昔、事務所が近くでさ。助け助けられをくりかえすうちに相思相愛へ「なってない」─ツッコミ早いな!」

 

「俺は昔消太さんに特訓してもらってたからな、その頃に面識あるんだ」

 

 俺が関係性を説明すると、ジョークさんが再び口を開く。

 

「いやあ、弄り甲斐があるんだよな、イレイザーは」

 

「鬱陶しいからやめろ。…お前のトコも受験か」

 

「ああ、そうそう。おいで皆! 雄英だよ!」

 

 ジョークさんは消太さん弄りに満足したのか、振り返って離れたところにいる生徒たちを呼びよせる。

 

「傑物学園2年2組、私の受け持ちさ。よろしくな」

 

 紹介する言葉に続いて、俺に好青年が笑顔で近づいてくる。

 

「君が我羅琉君だね。俺は真堂揺。今日はよろしくね」

 

 …作り笑顔。悪意はないみたいだけど、情報が欲しいのかな。適度に揺さぶって出方を見るってとこか。

 

 俺はそれに対し、同じように作り笑顔で話す。

 

「ええ、こちらこそ。折角の機会ですし、あなたの顔を歪ませてやるとしますよ」

 

 笑いながらも、好戦的な目を見せた俺に対し相手も分かったようだ。

 

 そして、真堂さんは次から次へと握手していく。まあいいか。

 

 俺たちと傑物学園の生徒たちの間では、賑やかな時間が彼らの担任が声をかけるまでではあるが続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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