八百万が作ったのはでかい音響装置のようなもの。それと俺たち5人分のヘッドホンである。
「なあ八百万、これって…」
俺の言葉は八百万の言葉によって遮られる。
「皆さん付けてください。後、耳郎さんはここへイヤホンジャックを」
俺たちは言われた通りにヘッドホンを装着する。
そして響香が音響装置に挿すと…、
「…なん、だ、コレ…!?」
ヘッドホンをしていても聞こえてくる…、というか頭にガンガンとする衝撃が走った。
コレ、ヘッドホンありでこの状態だからなしだったら相当やべえぞ!?
数十秒後、音が止まり、八百万からヘッドホンを取れという指示が入り、さらに八百万から指示が出る。
「牙那さん、お願いします!」
「任せろ!」
俺は答え、鎧を纏うように炎を体に纏っていく。
そして、俺はそのまま扉に勢いよく突っ込む!
「フレア、ドライブッ!!」
頑丈に封じられた扉は軽く吹っ飛び、俺たちは久しぶりに部屋の外に出ることができた。
「やった、大成功!」
響香が言うように部屋の外には多くの人が倒れていた。
終わった後、八百万に聞けば高周波音撃装置というものだったそうで、頭に強い衝撃を与え気絶させるというものだったそうで、それを使うために響香のイヤホンジャックを使ったらしい。
…だが倒れていたのは全員ではなかったみたいだ。俺たちの不意を突いて八百万が部屋へと連れ戻される。
まだ、倒れ切ってなかったか!
だが、相手の攻撃は未遂に終わる。八百万が手錠を作って相手を逃げられなくし、ボールが握られた手は復活した蛙水の舌でしっかりと巻かれる。…あっぶねー。
相手もそれを受けて観念し負けを認めた。
その後、俺たちは倒れていた人たちにボールをぶつけて一次試験を突破した。
◇ ◇ ◇
俺たちが控室に戻ると轟が先に来ていた。
初めから俺たちとは別行動で、一人で巻き込まれたらしいが何とか突破したらしい。
そんなことを話しながら俺は治療に入る。
俺以外のメンバーは大きく体力をそがれている。このまま二次試験に突入させるのは厳しいだろう。
「Transform,タブンネ」
俺は慣れた手つきでヒヤリングポケモンのタブンネに変身する。
「いやしのはどう」
俺は手をかざし癒しのはどうを送っていく。これは使う対象の最大体力の半分を回復させるという技だ。
回復をひとしきり終えた俺に轟から質問が来る。
「お前らは5人で行動していた経緯ってなにかあるのか?」
俺は変身を解除して、その質問に答える。
「会場に入る前に会った傑物学園の真堂ってやつ、アイツにやられた」
それに響香や蛙水も続けていく。
「地面ごとブチ割られて、分断されちゃってさ」
「響香ちゃんも割ったから、お互い様かもしれないわ」
それを聞いて轟が言う。
「真堂って、あの笑顔で俺たちと話に来たやつか?」
「そう、あの作り笑顔のね」
俺の言葉は「え?」という4人の声で途切れさせられる。蛙吹と障子、響香、轟だ。
「八百万はやっぱ分かってたか」
俺は唯一驚かなかった八百万に対して言う。
「ええ。パーティーなどで見かける、こちらを探ろうとする目つきに似ていましたので」
「ブルジョワジー……!」
そんな感じで、俺たちは話を続けていく。それは一次試験が終わって、1年A組の面々が全員合格したことを知るまで続いた。
…たまにはこういうのもいいだろう。