全員が通過することができたA組全員が通過者控え室に集まり、喜びあっている最中。
放送がつながるような気配で俺たちは話を止める。
『えー、一次試験通過者の皆さん。モニターをご覧ください』
スピーカーから聞こえた眠たげな声と共に、壁面に設置されていた大きなモニターに映像が映し出された。
「一次試験のフィールド…?」
「なんだろう─」
誰もが疑問に思う中、すぐに異変は訪れた。
地面を揺らす轟音と共に、リンクして爆炎が映るモニター。ビルが、工場が、山が、高速道路が、次々に爆発によって崩れていく。
((何故!?))
俺たち受験者が心を一つにした瞬間は、間違いなくこの時だっただろう。突然起きた爆破解体劇の意味がわからず、誰もが言葉を失っていた。
そして公安の人は話し始める。
『次の試験でラストになります。皆さんにはこの災害現場で、バイスタンダーとして救助演習に挑んでいただきます。ここでは、あなた方は一般市民としてではなく、仮免許を取得した者として、どれだけ適切な行動が取れるかを試させていただきます』
「「……パイスライダー……?」」
…ウチのスケベコンビがとんでもない聞き違いをしているようだ。
「バイスタンダー。現場に居合わせた人のこと、授業でやったでしょ」
「ったく、お前らの頭の中はかわらねえな」
葉隠がしっかりと説明し、俺もついでに言っておく。
その中でモニターを見ていた障子が呟く。
「…待て、人が居るぞ」
障子の声を聞いた俺を含む面々はすぐに映像を注視し、動く存在を見つける。
その多くは老人や子供といった非力な者たちのように見えた。その者たちはその後の放送で説明される。
『彼らはあらゆる訓練に今、引っ張りだこの要救助者のプロ! "HELP・US・COMPANY"──略して"HUC"の皆さんです。傷病者に扮した彼ら"HUC"が、フィールドのあらゆる場所にスタンバイします。皆さんには、これから彼らの救出を行っていただきます。それぞれの行動をポイントで採点し、演習終了時に基準値を上回っていれば合格となります。……今から10分後に開始となりますので、トイレなど済ませておいてくださいねー』
最後の最後で緩んだアナウンスに肩の力を抜かれた俺たちは、めいめいに先程の試験での疲れを癒やしていた。
その中で、言葉を失っている出久に飯田が話しかける。
「緑谷君…」
「うん…、神野区を模してるのかな…」
「あの時、俺たちは爆豪君をヴィラン連合から遠ざけ…、プロの邪魔をしないように徹した…。その中で死傷者も多くいた…」
「…頑張ろう」
出久は気合を入れなおしたようだ。
その後士傑の一人が勝己に対していざこざがあったそうで謝りに来ていた。まあ勝己達が倒したらしいが。
その中で轟が夜嵐を呼び止めようとした。
だが、夜嵐の目は遠目からでもわかるような試験前のような友好的な表情ではなく、それとは到底言い難いような様相だった。
…恐らく何かあるのだろう。轟とアイツが以前あったのは雄英の推薦入試なはず。そこで轟はアイツの気に障るようなことをしてしまったって言う可能性が高いか。
耳が良い障子や響香の反応を見るに相当ヤバいことを言ったのだろう。
そんな中けたたましい非常ベルが鳴り響く。
『─ヴィランによる大規模破壊が発生! 規模は○○市全域、建物倒壊により傷病者多数!』
「演習の想定内容ね。…始まるわ」
アナウンスと蛙吹の言葉に、俺たちは一斉に表情を引き締めた。