始業式から3日。謹慎期間を終え、鼻息を荒くした出久が復帰したことにより、ヒーロー仮免を取得したメンバーが全員教室に揃ったA組。
「それじゃあ、本格的にインターンの話をしていこうか。─入っておいで」
消太さんが外に向けて話しかけ、扉がすぐに開く。
教室に入ってきたのは3人。俺たちが疑問に思う中、消太さんが言う。
「職場体験とどういう違いがあるのか、直に経験している人間から話してもらう。多忙な中、都合を合わせてくれたんだ。心して聞くように。現雄英生の中でもトップに君臨する3年生、通称"ビッグスリー"の皆だ」
一見何の共通点があるのかとは思ったが、そういうことか。
「じゃあ手短に自己紹介、よろしいか? 天喰から」
そう消太さんが言い、俺たちはその先輩に注目する。黒髪の先輩は生来であろう三白眼が更に鋭くなって、初対面の俺たちはその迫力に気圧されてしまった。
…だが、本当に睨んだりしたくはないみたいだ。
「…ダメだ、ミリオ、波動さん…」
そう言って彼は小さい声で話し始める。
「ジャガイモだと思って臨んでみても、頭部以外は人間のままで、依然人間にしか見えない…。どうしたらいい…。言葉が、出てこない…。頭が真っ白だ…。辛い、帰りたい…!」
彼はそう言って俺たちに背を向け、壁を向いてしまう。…そういうタイプなのか。
「そういうの、"ノミの心臓"って言うんだって。人間なのにね。不思議だね。─彼はノミの天喰環、それで私が波動ねじれ。今日は皆にインターンについて、お話してほしいと頼まれて来ました、けどしかしところで、君はどうしてマスクを? 風邪? オシャレ?」
ふわふわな感じの女性、ねじれさんはそう話しながら正面の席にいる障子に話し始める。
「これは昔に──」
「あらあと貴方が轟くんだよね! ね! どうしてそんなところを火傷したの?」
「っ! それは──」
「ね! 芦戸さんはその角折れちゃったら新しいの生えてくる? 動く?」
「へ?」
ねじれさんは次々に興味が移って行くようで、俺たちは呆気に取られていた。
「蛙吹さんはアマガエル? ヒキガエルじゃないよね? 峰田くんのボールみたいなのは髪の毛? 散髪はどうやるの?」
「オイラのタマが気になるってちょっとセクハラですってセンパ「違うよ」──モガッ!」
瀬呂、ナイス。そんな話しているねじれさんはもう次に興味が移っていた。
それを見た消太さんは「…合理性に欠くね?」と呟く。
そんな中、消太さんの怒りを悟ったのか、金髪の先輩が話し始める。
「イレイザーヘッド安心してください! 大トリは俺なんだよね!」
その先輩は俺たちの方向に一歩進める。
「前途ー!?」
先輩は耳に手を当てて回答を待つかのような姿をするが、俺たちからは声が出ない。
前途…洋々、もしくは遼遠あたりか?
「多難ー! っつってね! よおし、ツカミは大失敗だ!」
そっちか。先輩は言葉とは真逆に大きな笑い声をあげるが、その姿に威厳みたいなものは感じられない。
俺たちのほとんどは困惑の表情だ。
「まぁ何が何やらって顔してるよね。必修ってワケでもないインターンの説明に、突如現れた3年生だ。無理もないよね。……1年からの仮免取得。今年の1年生って凄く、元気があるよね。何やらスベり倒してしまったようだし──君たちまとめて、俺と戦ってみようよ!」
え?
俺たちが驚いている間に、先輩が消太さんに直接訓練による合理性を言って許可を取っていた。
マジでやるんすか?