個性「tfポケモン」   作:W297

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80話

 通形先輩と俺との一騎打ち。

 

 俺は姿を消そうとするが、それを止めようと先輩が近づいてくる。

 

 だが、そんな攻撃は今の俺には通用しない。

 

 先輩が振りかぶって放ってきた右腕は霊体になった俺の体をすり抜けてしまう。

 

「マジか!」

 

「まじですよ。…先輩の弱点も見つけさせてもらいましたよ」

 

 俺はそのまま先輩に突っ込む。

 

「無駄だね!」

 

 先輩がガードの体制に入るが俺は攻撃態勢を変えない。

 

 

 

「冷凍パンチ!」

 

 

 

 俺は冷気を纏ったパンチを放つがその攻撃は先輩の個性によってすり抜けてしまう。

 

「ここだよね!」

 

 先輩は俺にカウンターパンチを仕掛けてくる。

 

 …それを待っていた!

 

 

 

「ほのおのパンチ!」

 

 

 

 俺は先輩のパンチをしてくる手を炎を纏うパンチでぶつける。

 

 先輩の個性が自分の体を透過させるという個性なら、いくら俺に殴ってこようと個性を発動しているとその攻撃も透過して、ダメージは与えられない。

 

 つまり、先輩は攻撃する際には個性を発動してはいけないのだ。

 

 なら、攻撃してくる手は個性は発動していない。攻撃は当たる!

 

 俺の攻撃は見事に当たって、通形先輩にダメージを与える。

 

「へえ。なかなかやるじゃん!」

 

「ありがとうございます」

 

 続けようとしたがそれは消太さんの声によって止められる。

 

「そこまでにしとけ、二人とも」

 

「あ、もう終わりですか?」

 

「これ以上は時間の無駄だ」

 

 その言葉で俺は変身を解いた。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

「ギリギリちんちん見えないように努めたけど、すみませんね女性陣! とまぁ、こんな感じなんだよね!」

 

「「「…我羅琉以外、全員わけもわからず腹パンされただけなんですが…?」」」

 

 俺と通形先輩の戦いが終わり、そこにはタイマンしていた俺と参加していなかった轟を除く全員が殴打された鳩尾を押さえるという傍から見れば異様な光景が広がっていた。

 

 その後、通形先輩が自身の個性について説明する。

 

 "2つの物質が重なることはない"、という世界の法則を活用し、地面に沈んだ状態で解除すれば"重なり合った状態"が作れる。

 

 そして世界というのは"正常な状態を保とうとする"性質があるので、重なっていない状態に戻ろうとして、それぞれが弾き飛ばされる。

 

 その相手が地面の場合は質量差が大きいために、通形先輩が地上へ瞬時に放り出されるというもの。これにポーズや体の向きを加えて瞬間移動をしているらしい。

 

 通形先輩は続ける。

 

「光も透過するから見えないし、音も聞こえない。それはただ、何も感じることなくただ落下の感覚があるだけなんだよね。そんなだから、壁一枚すり抜けるにも"片足以外発動"、"通過してもう片足を解除して接地"、"残る足を透過させて通過"と、いくつもの工程が必要なんだよね」

 

「急いでる時ほどミスるな、俺だったら……」

 

「おまけに何も感じなくなってるんじゃ動けねえ」

 

 と瀬呂、轟が言っていく。確かに俺もテンパるときがないわけではない。そういう時に逆に相性最悪のポケモンに変身するということも昔何回かしたことがある。

 

「そう、案の定俺はビリッけつまで落っこちた。ついでに服も落ちた。この個性で上に行くためには、遅れだけはとっちゃダメだった。─予測! 周囲よりも早く、時に欺く! 何より"予測"が必要だった!」

 

 通形先輩は自分のこめかみをトントンと叩く。そのまま通形先輩は言う。

 

「その予測を可能とするのが"経験"! 経験則から予測を立てる! 長くなったけど、これが手合わせの理由! 言葉よりも"経験"で伝えたかった!」

 

 …確かに学校で学べることには限界がある。俺がヴィジランテ活動を今やっていなかったら恐らく今こんな風にはなってはいないだろう。

 

「インターンにおいて、我々は"お客"ではなく1人のサイドキック、プロとして扱われるんだよね。…それはとても恐ろしいよ。時には人の死にも立ち会う。けれど、恐い思いも辛い思いも、すべてが学校じゃ手に入らない一線級の"経験"だ。

 

 俺はインターンで得た経験でトップを掴んだ! ─ので! 恐くてもやるべきだと思うよ、1年生!」

 

 そう力説する通形先輩の言葉には確かな芯というものがあった。

 

「「「ありがとうございました!」」」

 

 皆の感謝の言葉と拍手によって、ヒーローインターンの説明は無事に終わりを告げた。

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