唐突だがインターン…、どうしよう。
俺の職場体験先はワイプシ事務所だった。だがワイプシは現在活動休止中である。
一応信乃さんに連絡を取ってみたのだが、案の定で断られた。仕方ないだろう。
瑠莉姉も一応まだプロヒーロー免許は持っているので、消太さんに相談したところ、瑠莉姉は余りインターンの受け入れ実績がないためダメだとのこと。
瑠莉姉本人にも聞いてみたが軽く断られた。
…本当にどうしよう。
そんな中、教室にいた俺に声がかかる。
「が、我羅琉君…、ちょっと来て…」
「天喰先輩!?」
というか、なんで先輩が1年教室に来てんの、まず!?
「い、インターンのことで話があってね…。相澤先生にも話は伝えてるから…」
まあ、断る理由もないっすけど…。
◇ ◇ ◇
「で、どうかしたんですか?」
「実はね、ウチのファットが君をすごく気に入っちゃってね…、「これるんだったら是非ウチに誘っといてや!」って…。君が良ければなんだけど、どうかな…?」
ファットガム。関西の方で活躍するヒーローであり、士傑出身ではあるが瑠莉姉と同期だったはず。何年か前にウチに来たことがあったかな。
俺としては大助かりである。今俺はインターンとして行くところがない。まあ、俺がプロヒーロー達にインターンの受け入れをお願いすれば何個かあるかもしれないが、消太さん曰く、インターンは職場体験などで得たコネを活用しろ…とのこと。まあこれも職場体験ではないが先輩からの紹介なのでいいのだろう。
「こちらこそ、お願いします。ワイプシが活動休止になったので俺としてもありがたいです」
「ありがと…、ああ、これでファットにどやされないで済む…」
なんかあるのか…。
…で、だ。
俺は部屋の外にいる存在に目を向ける。
「…いつまでそこにいるんだ、お前らしく男らしく来いよ」
「え…?」
天喰先輩は驚いた表情をしているが、俺はそのまま扉を開ける。
…そこには切島がいた。
「いつから気付いてたんだよ?」
「俺が教室を出るときに後ろから変な波導を感じ取ってな。来るかなって思ってたよ」
「さすが、我羅琉だ。…悪ィ我羅琉、盗み聞きするつもりじゃなかったんだ」
「え、えと…」
俺と切島が話してる間、天喰先輩はオロオロと慌てている表情をしている。
そんな天喰先輩に切島が言う。
「天喰先輩!俺をファットの所で働かせてください!」
切島は天喰先輩に対して勢いよく土下座した。そこまでするか!?
「あ、あの…、理由を聞いてもいいかな…」
先輩は切島に対しそう話す。切島はそのまま続ける。
「俺はこのままじゃ俺の目標とするヒーローになれねぇっス!今の俺じゃ何も守れねえ、何でもちゃんと守れる紅頼雄斗にはなれねえ!…無理矢理ってことは分かってます!雑用でもなんでもいいッス!どうかこの俺を使ってもらえないっスか!」
そこには少しの沈黙の時が流れる。
その後、先輩は話す。
「か、顔上げて…、…分かった。俺もファットに聞いてみるよ…。君のやる気は本物みたいだし…」
「あ、ありがとうございます!」
切島は土下座の態勢のまま大きく何回も頭を下げる。
これは面白いインターンになってきそうだな。
俺はそう思い、にやりと笑みを浮かべた。