関西地方、江洲羽市。
環先輩(名前の方で呼んでと言われた)に連れられて、俺と切島はインターン先であるファットガム事務所に到着した。
「なんか、いかにもファットガムって感じだな、コレ」
事務所はファットガムの顔を模した建物であり、周りとの剥離というか独特な存在感が凄い。
「そうだな、我羅琉」
切島も同感のようだ。そんな感じで二人で話していたが環先輩が俺たちに向けて言う。
「二人とも、入るから…」
「うっす!」
「お願いします」
そう言って、俺たちは環先輩に連れられて事務所に入る。
「失礼します、雄英高校の切島と」
「我羅琉です。今日からインターンお願いします」
「おー!来たな!雄英生徒!よう来た遠い所からなー!」
少し緊張しながら言う俺たちに笑みを浮かべながら労ってくる黄色いジャージを着た丸々としたマスコットのような物体…、ではなくここのトップであるファットガムさん。
「我羅琉君とは、一回nacitaであったんやったか?瑠莉奈は元気にしとる?」
「まあ詳しいことは知らないですけど、この前話したときは相変わらずでしたね」
俺は苦笑いしながら言う。
「それにしても、この環が人を連れて来るとはなぁ!体育祭見たで!元気がある子は歓迎やで!」
「あ、はいよろしくお願いします」
「恐縮っす!」
ファットさんが俺たち二人に向けて話し、俺たちが返す。まあ環先輩は仕方ない面もあるだろう。
「こいつなんぞアガってしもて毎年ドンケツやねん」
「俺のことはいいでしょう…」
環先輩を指さし笑いながら言うファットさん。
そして、先輩は事務所内に入っても俺たちの方に背を向けて壁の方を見つめたままである。
そんな中、切島が口を開く。
「職場体験の時にに指名してくれたフォースカインドさんもそう言ってくれました、威勢が良い奴がいると事務所の士気が上がるって…、でもそれだけッス」
切島は俯きながら話を続けていく。
「俺…、それだけじゃ嫌なんです紅頼雄斗みたいにちゃんと守れるヒーローに、変わりたくて‼︎だから無理言って環先パイにここ紹介してもらったんス、誰かのピンチを見過ごす情けない奴にはもうなりたくないっス!」
切島の目は真っすぐだった。…恐らくこいつは守れなかった経験をしている。じゃねえとこんな感じでは言えねえ。
その切島の言葉に俺も続ける。
「俺だって同じです。俺の目の前で絶望なんてさせやしない。絶望するのはもう俺だけで十分っすから。そのためにここで学んで成長していきたいです。ファットさん、これから頼みます!」
俺はその流れのまま頭を下げ、切島も続くように頭を下げる。
「…2人とも、顔上げぇ」
ファットさんは椅子から立ち上がりポンポンと俺たちの肩を叩く。
「2人の気持ちはよーわかった!
ヒーローに必要なのはそんな感じの強い意志や!さぁ、二人ともヒーロースーツに着替えてパトロールや!」
…やっぱここに来てよかった。ここなら俺はまだ成長できそうである。
その他用語解説
「俺の目の前で絶望なんてさせやしない」…再び元ネタは操真晴人(仮面ライダーウィザード)。