8話
「…ついに来たか」
雄英高校学校初日である。
「まあ、なんていうか…」
ちなみに響香も一緒に来ている。クラスも同じA組だ。
一応、どんな個性でも大丈夫って感じのバリアフリーなんだろうけど、それにしてもでかい。
俺たち二人は座席表に決められた座席に座り、周りの奴と話そうとしたときだった。
「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け。ここは、ヒーロー科だぞ」
消太さんがやってきた。
寝袋に包まってゼリー飲料を口にしているなんとも奇妙な存在に、教室にいた俺以外の全員が言葉を失う。
「はい、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね」
「あ、消太さんおはようございます」
「ここでは相澤先生と呼べ…、担任の相澤消太だ。よろしくね」
ってか担任!?
「牙那、知り合いか?」
後ろの席の切島が声をかけてくる。
「俺の師匠的な人かな、わかりやすく言うと」
「牙那、無駄口を叩くな」
「はいはい」
「…ったく、早速だが、これ着てグラウンドに集合だ」
消太さんが示したのは雄英の体操服。
さて、何を仕掛けてくるかな。
◇ ◇ ◇
「個性把握テストォ!?」
「入学式は!? ガイダンスは!?」
「ヒーローになるなら、そんな悠長な時間などない」
グラウンドに集まった生徒たちからあがる声に、消太さんが返す。
まー、そうだけど急すぎじゃないっすか!?
「デモンストレーションだ。牙那これ投げろ。中学校の時何メートルだ?」
「大体50メートル届くか届かないぐらいっすね」
「個性使って思いっきり、コレ投げてみ。円から出なきゃいい」
「了解っす」
じゃ、スタンダードな奴で行きますか。
おおっと周囲から声が上がる。反応してないのは俺の個性を知っている勝己と響香だけだ。…出久はメモ取る気満々かよ。
「…消太さんちょっと時間貰います」
「できる限り早くな」
…ヨガのポーズっと。
数十秒後…
「じゃ、行っきまーす!」
「早くしろ…」
他のクラスメイト達も待ちくたびれてきている。 さっさとするか。
「はあああっ、
」
ギュオっと大きな唸り声を上げながらボールは彼方へと消えていく。
消太さんの手元にある計測する機械には10620メートルが表示されている。
10000超えたか。
「10000m越えってマジかよ!?」
「さすがヒーロー科、"個性"思いっきり使えるんだ!」
「何これスゲー面白そう!」
口々に声をあげるクラスメイト達。
この言葉の後、消太さんが出す空気が変わった。
気づいてるのは俺と感づきのいい勝己。
「"面白そう"か。ヒーローになるための3年間、そんな腹積もりでいるのかい? …よし、トータル成績の最下位の者は"見込み無し"と判断し、除籍処分としよう」
消太さんの言葉に周りから驚きの声があがる。
「え、えええええええええっ!?」
「そんな、入学初日ですよ!? いや初日じゃなくても、理不尽すぎる!」
「理不尽、ねえ。……自然災害、大事故、身勝手なヴィランども。世の中ってのは理不尽に満ちてる。 そんな理不尽を覆すのがヒーローだ。 これから3年間、雄英は君たちに苦難を与え続ける。"Plus Ultra"さ。全力で乗り越えてこい」
消太さんの言葉に皆の目の色が一気に変わった。
さて、消太さんの求める実力に達してるのはどれくらいいるのかな?