環先輩と別れた後、俺たちは地下を進んでいたが、さっきとは打って変わった状況を疑問に思っていた。
さっきまでは暇もなく俺たちに向けて壁が襲い掛かってきていたのだが、今はさっぱりだ。全くと言っていいほど迫ってこない。
「妙だな。地下を動かす奴が何もしてこない」
「そうっすね…、っ消太さん、来ます!」
「くっ!?」
…こういうことか!
消太さんの横の壁から急にせり出し、消太さんを別の空間へと押し出そうとした。
俺の声は間に合わず、消太さんは触れてしまい、どこかに飛ばされると思ったが、近くにいたファットと切島が消太さんを弾き出し、代わりに二人が飛ばされた。
…この判断は正しいものだろう、消太さんの個性はこの壁を攻略する上で最も重要なものだ。失うわけにはいかない。
間違いなくこの壁を操ってる奴は消太さんから見られることを嫌がってる。ならまずはその厄介な奴を消しておきたいところだろう。
「…って、マジかよ!」
そんな考えをしていると狙いを変えたのか俺の方にに壁がせり出してきた。
「牙那君!」
出久が俺に向けて叫ぶが、間に合わない。
俺は反応できずに違う空間へと飛ばされてしまった。
「ちっ、どこだよここ…?」
一応言っておくが、俺は対象までのルートは確かに頭に入れていた。だが、これは想定外の状況である。
ルートを外れ、周りの景色がずっと変わらないこのような場所だとさすがに位置感覚はつかめない。
「Retranceform,ルカリオ」
俺はルカリオに変身して周りにいる人たちの波導を探す。
探してみると、消太さん達の波導は壁の向こうにあるみたいだが波導が薄くなっていた。
これから考えると。俺が飛ばされてきた方向は大分分厚い壁になっているみたいだ。
これを突破して再合流するためには多くの力を必要とする、まだ対象を確保することができていない現状、力を使いまくって追われるときにそれは避けたい。
それ以外には一人がなんてことなく進んで行くという波導と二人が戦おうとしている波導。
恐らく前者の波導は通形先輩だ。個性をフル活用して真っすぐ進んで行っているのだろう。
後者の波導はさっき飛ばされたファットと切島の波導だろうか。相手の波導も戦う気で溢れているといったものだ。
だが通形先輩の波導は消太さん達が放つ波導よりも薄い。
恐らくは消太さん達の位置よりも遠いところにいるのだろう。さっきの理由からそこに合流するのは除外せざるを得ない。
…なら、ファットと切島の所か。ファットがいるから大丈夫だとは思うが…。
俺はファットさん達が戦っている方へと足を進めることにした。