俺は波導を探りながらファットと切島が戦っている現場へと向かっていった。
「えーと…、こっちか」
そうやって探しているうちに波導が大きくなってきた。
…恐らくこのあたりか。
俺は壁の向こうから波導が出ていることを感じ取る。これ位だったら壊せるか。
再変身はしなくていいか。ルカリオのスペックはなかなかなものだし。
俺は前にある壁に対して大きく深呼吸をする。
「…剣の舞、悪巧み」
念のためまずは攻撃と特攻の数値を上げておこう。
あっちに行って準備できてないだったら間違いなく迷惑が掛かってしまう。
…こんなもんだろう。
再び深呼吸をして俺は壁に向かって技を放つ。
「グロウパンチ!」
俺の強烈なパンチが放たれた壁は大きな音と共に崩れ落ちる。
そこにいたのは戦っていたファット、恐らく攻撃を受けてリタイア寸前の切島。相手側には筋肉質な大男と和服で糸目な男の二人。この二人もさっき戦った3人同様にペストマスクを着けている。
「誰だ!」
「通りすがりのヒーロー候補生ですよ、…切島、大丈夫か?」
「ああ、ただアイツの攻撃、安無嶺過武瑠が簡単に割れちまった、くそ、俺ってやっぱり…」
切島はその言葉の通りいつもの状態ではなく、時折見せるネガティブな方の切島だった。
やっとここまで来たのに簡単に攻略されては自身も喪失するだろう。
…だが、そんな切島に叫んだのはプロヒーローであるファットだった。
「その状態解くな!心まで折れたらホンマに負けや!」
その言葉に俺は続ける。
「切島、この前ファットが言ってただろ。「敵退治は『いかに早く戦意喪失させるか』」だって。こっちが先に喪失してどうすんだよ」
俺はファットの傍に進み話す。
「ファット、まだやれますよね?」
「もちろんや、牙那君もそういうからにはやれるんやろな?」
「ええ、…ヴィランさんよ、殴り合いがご所望なら、相手してやるぜ!」
俺はそのまま攻撃態勢をとる。
「コメットパンチ!」
勢いよく放った俺の拳はバリアによって防がれてしまう。
「おい、天蓋。これどけろ、俺はこいつと殴り合いがしたい」
天蓋と呼ばれた男性は落ち着いた口調で話す。
「待て乱破よ、こいつの相手は我がしよう、お前にはアイツがいるだろう」
天蓋が示したのはファットだった。乱破と呼ばれた男はマスクの中でニヤリと笑う。
それに気づいたファットは口を開く。
「乱破くんいうたな、打撃が効いたんは久方ぶりや、俺も昔はゴリゴリの武闘派やってん、おまえの腕が上がらんくなるのと俺が耐えきれんくなるのどっちが先か、矛と盾どっちが強いか、勝負してみようや!乱破くん!」
「やっぱりお前は良いデブだ!」
ここで天蓋がバリアを解き、乱破を解放させる。
「天蓋!バリアは!!」
「出さない」
「そう!良い人ばっかりじゃねぇか!」
乱破はファットの方に駆けだしていく。
俺はそれと同時に攻撃する。
「グロウパンチ!」
だがまたしても俺の拳はバリアによって止められてしまう。
「へえ、出さないとか言っといて俺には出すんだ」
「当然だ、お前には言ってない。こっちも勝負するか?」
「ああ、だが…、アンタにはこっちの方が効きそうだ」
「何?」
俺はそう言って変身の体制に入る。
「Retranceform,ギルガルド!」
俺はギルガルドに再変身する。こっちの方が後につながる。
「ほう、剣と盾か」
「アンタが盾なら、こっちはこれで行かせてもらう」
糸目だが天蓋は笑うような素振りを見せる。
「フッ、面白い奴だ」
「褒めていただき光栄だ、…さあ、クライマックスを楽しめ!」
その他用語解説
さあ、クライマックスを楽しめ!…元ネタはガラル地方チャンピオンダンデ。アニポケの方の名台詞を貸してもらいました。