R団ボスの娘   作:九戸政景

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政実「どうも、初めましての方は初めまして、他作品を読んで頂いている方はいつもありがとうございます。作者の片倉政実です。今回からこちらの作品を投稿させて頂きます。未熟な点などもあるかと思いますが、温かい目で見て頂けるとありがたいです。よろしくお願いします」
ツバキ「今作品の主人公のツバキです。作者と一緒にこれから頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いします」
政実「ツバキは作者の別作品である『ポケットモンスター~頂点を目指す転生者達~』にも登場していますので、よければそちらも読んで頂けるとありがたいです」
ツバキ「さて……それじゃあそろそろ始めていきましょうか」
政実「うん」
政実・ツバキ「それでは、プロローグをどうぞ」


第一章 過去編
プロローグ 転生者としての新たな旅立ち


「またダメだったのか!」

 ある日の夕方、リビングに西日が射し込む中、目の前にいる父親から投げかけられた言葉が、ナイフのように私の心を切りつける。

 ……もう、やめてよ。私が何をしたっていうの?

 そんな言葉が頭に浮かんだが、私は口を(つぐ)んだ。どんな言葉を言ったところで、両親の心には届かない。私は昔からその事を知っていたから。

 ……でも、もう限界。どうして私がこんな目に遭わないといけないの?

「アンタって本当に出来損ないね。こんな点数しか取れないなんて……はあ、本当に恥ずかしい!」

 今日返ってきたばかりのテストの用紙が母親によって乱暴に投げ捨てられる。今回はちょっとしたケアレスミスで99点になったのだが、どうやら両親からすれば100点以外は出来損ないらしい。

 そんなに100点ばかり取れる人なんているわけないじゃん。もっと冷静に現実を見てよ……。

 非難の言葉が口をついて出そうになったが、私はまたも口を噤んだ。言ってもしょうがない事は、言わないのが一番だから。

 ……早く部屋に帰りたい。部屋に戻れば、私にとって大切な物達が私の事を慰めてくれるだろうから。

 そう思い、どうにか我慢をしようとしたが、両親の口から出てきた『ある言葉』で私は遂に我慢の限界を迎えた。

「お前みたいな子供はもういらない」

「出来損ないなんていたってしょうがないもの」

「お前なんて」

「アンタなんて」

「「──もう子供じゃない」」

 それを聞いた瞬間、私はすぐにキッチンへと向かい、調理器具が入っている引き出しに手を入れた。器具達が立てるガチャガチャという音と両親の困惑と怒りの声が聞こえてきたが、私にはもうどうでも良かった。そんな物に耳を貸すくらいなら、さっさと目的を達成してしまいたい。そう思っていたから。

 ……あった。

 私は目的の物を見つけると、すぐにそれを逆手に持ちながら刃を横にし、心臓目がけて勢い良く突き刺した。その瞬間、私の体はグラリと揺れ、そのまま床に倒れ込んだ。

 あはは……これで良い。これで私はもう自由だ。

 薄れ行く意識の中で自由になれた事への嬉しさを感じながら私はゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 

「……あ、れ……?」

 体に何やらふわふわとした物が触れているのを感じ、私はその事に疑問を覚えながらゆっくりと目を開けた。するとそこは、薄くて白い霧に包まれた真っ白な広い空間だった。

「……え? こ、ここは……? 私、自分で心臓を包丁で刺して──」

「……その後は失血死、ですね」

「え?」

 その声に疑問の声を上げながら声がした方を向くと、そこには古代ギリシアの女神像みたいな姿をした一人の女の人がいた。

「……貴女は?」

「私は……そうですね、貴女方人間の皆さんが『女神』と呼ぶ者です」

「女神様……」

 それじゃあ、私の考えは強ち間違ってはいなかったわけか。

「そういう事です」

 私の考えを読んだかのように女神様が頷きながら言ったのに対して私が驚いていると、女神様はそんな私の姿を見てクスリと笑った。

「実際、貴女の考えを読んだんですよ。私にはそういった力があるので」

「そうなんですね……ところで、私が死んだ後はどうなりました?」

「……聞きたいですか?」

「はい、参考までに」

 私が淡々と答えると、女神様は少し答えづらそうにしながらも少し哀しそうな顔をしながら答えてくれた。

「貴女が亡くなった後、形式的にお葬式は行われました。しかし……貴女のご両親は貴女の死を哀しむ事は一切無く、それどころか喜んでいるようでした。私……これまで色々な人々を見てきましたが、あんなに人の死を悼めない人を見たのは久しぶりです」

「……まあ、昔からあんなですから。小さい頃はまだマシでしたけど、あの人達は自分の子供をまるで自分達の好きに出来る人形のようにしか思っていませんよ」

「…………」

「正直、私も清々していますよ。あんなのを家族として認めたくはなかったので、これで正式に縁が切れたようなものですから」

「……貴女が良いのでしたら、私もこれ以上は何も言いません。私が貴女の立場でしたら、同じ事を思ったと思いますから」

「そうですか。それで……ここはどこですか?」

「ここは天上のとある場所。転生者となる人々はまずはここに来て、何故転生をするのかを聞いたり、転生先を告げられたりするのです」

「なるほど……つまり、私も転生者になるわけですね。でも、何故ですか?」

 その問い掛けに女神様は優しい笑みを浮かべながら答えた。

「貴女が現世でとても頑張っていたからです」

「頑張っていたから、って……怒られるのが嫌だから常に100点を取れるように勉強をしたり、困っている人を見過ごせない質だから困っている人がいたら仕方なく助けたりしていただけですよ?」

「それは現世での善行に値します。よって、貴女は転生者となる権利を得たのです。それに、あんなに報われない亡くなり方をした貴女を放っておくわけにはいきませんでしたから」

「女神様……ありがとうございます」

「どういたしまして。それでは、早速転生先についてですが……何か希望はありますか?」

「え、希望を出しても良いんですか?」

「はい。本来ならば、我々のミスなどで亡くなった方のみ希望を聞いているのですが、今回は特別です」

「そうなんですね……」

「それで、貴女はどのような世界への転生を望みますか?」

「私は……」

 どのような世界への転生をって言われても……私にとって理想の世界なんてそうそうあるわけが──。

 その時、私はあるモノ達がいる世界を思い出した。

「……ポケモン」

「はい?」

「あの……『ポケットモンスター』の世界って大丈夫ですか?」

「『ポケットモンスター』……貴女がいた世界に存在する作品ですね。はい、もちろん大丈夫ですよ」

「あ、本当に良いんですね」

「はい。世界とは数限りなく存在しますから、貴女が創作の世界だと思っている世界もどこかには実在しているのです」

「なるほど……」

「因みに、『ポケットモンスター』の世界に転生をしたい理由を訊いても良いですか?」

「……私、生きていた時に好きな物ってあまり無かったんですけど、唯一大好きだと言えたのがポケモンだったんです。偶然点いていたテレビでやっていたアニメを初めて観た時、私もこんな風に旅がしたい、ポケモン達と一緒に生活をしたい、なんて子供心に思ったりもしたんです。まあ、現実なんてやっぱりそんなに甘くなくて、いつしかそんな事が出来るわけ無いと思うようになったんですけどね」

「…………」

「でも、ポケモンに対しての熱だけはいつまでも冷めなくて、こっそりお気に入りのポケモンのぬいぐるみを買っては部屋に飾ったり、私がポケモンと一緒に遊んだりしている様子を想像して描いたりするくらい好きだったんです。だから、あの日もあんな言葉を言われなければ、部屋に置いてるぬいぐるみをもふもふしながら気持ちを落ちつけるところだったんですが、あんな事になっちゃって……」

「そうだったのですね……」

「だから、転生したい世界を訊かれた時、一番最初に浮かんだのがポケモンだったんだと思います。ポケモンは私にとって一番好きなものであり、心の支えでもありますから」

「わかりました。それでは、『ポケットモンスター』の世界に転生をできるように取り計らっておきます。他に何か希望はありますか?」

「他……それなら、ちゃんとした家族が欲しいです」

「ちゃんとした家族……わかりました、それも取り計らっておきます。後は……転生特典ですが、一定の範囲までで三つまでなら叶えてさし上げられますよ」

「一定の範囲……いわゆる常識的な範囲まででって事ですよね?」

「そう考えて頂いて大丈夫です」

「……わかりました」

 欲しい転生特典、か……本当の事を言うなら三つよりも多いんだけど、そんな事は言ってられないし、さっさと決めてしまおう。

 そしてしばらく考えた後、私は考え抜いた結果を女神様に話した。

「それじゃあ……『ポケモンを癒やせる能力』と『ポケモンに姿を変えられる能力』と『ポケモンの能力値を可視化できる能力』をお願いします」

「わかりました。それでは、それが使えるようにしておきますね」

「ありがとうございます」

 女神様にお礼を言った後、私は自分が願った転生特典の詳細を頭の中で思い返した。『ポケモンを癒やせる能力』は、言葉通りの能力でポケモンの体に触れたり、手を翳したりするだけでポケモンの身体的な傷や精神的な傷、ストレスなどを癒やせる力で、『ポケモンに姿を変えられる能力』も言葉通りの能力で制限無しでどんなポケモンにも姿を変えられる能力。そして、『ポケモンの能力値を可視化できる能力』は、簡単に言えばゲームのステータス画面で見られるステータスと基礎ポイントを数値化して見られる能力だ。本当ならBWに出てくるNのような『ポケモンの言葉を理解できる能力』や映画に出てきたアーロンやポケモンのルカリオのような『波導を使える能力』も欲しかったけど、これはさっき願った転生特典の内の二つで解決出来るから問題ないと感じ、願わなかった。

 これだけでも充分贅沢を言ってる気がするし、これ以上は流石にお願いなんてできないよね。

 そんな事を思った後、私は頭に浮かんだある疑問を口にした。

「ところで女神様、私はいつ転生するんですか?」

「今からですよ。今、扉を出すので少々お待ち下さいね」

 そう言うと、女神様はゆっくりと横を向き、静かに右手を翳した。すると、目の前に急に白い扉が現れ、それに私が驚いていると、女神様はニコリと笑いながら話し掛けてきた。

「あの扉を潜った先に貴女が転生する世界があります。転生特典は転生したと同時に使えるようにしておきますので、その点については心配はいりませんよ」

「わかりました。女神様、本当にありがとうございました」

「ふふ、いえいえ。それでは、早速……」

「はい」

 女神様と別れるのは少し名残惜しかったが、このままずっといるわけにはいかなかったので、私はゆっくりと扉に向かって歩き始めた。そして、扉に手を掛けた後、私は女神様の方へ顔を向けた。

「……行ってきます、女神様」

「……はい、行ってらっしゃい」

 私の言葉に笑みを浮かべながら女神様が答えてくれた後、私は扉を押し開けながらゆっくりと進み、そのまま溢れる光の中へと飲み込まれていった。

 

 

 

 

「……行ってしまいましたね」

 彼女が扉の向こうへ消えた後、私は先程彼女から願われた転生特典を形にした三つの紅い珠ともう一つ青い珠を持ちながらゆっくりと扉に近付いた。

「それにしても……ふふ、『行ってきます』なんて言われたのは、()()()()()以来ですね。そんな礼儀正しい彼女には私からのおまけを差し上げましょうか。まあ、そう言われなくとも彼女からはあのお二方と同じ何かを感じましたから差し上げる予定でしたけどね」

 そして、私は開きっぱなしになった扉に手を入れ、四つの珠が扉の向こうに消えていくのをジッと見つめた。

「出来るなら、あのお二方と彼女が出会って欲しいところですが、こればかりは私でもどうにもなりませんし、ただただ願うしかありませんね。けれど、もし出会えたならあのお二方が彼女の心の傷を癒やしてくれると思いますし、是非ともそうなってほしいですね」

 あのお二方と彼女が仲良く話す様子を想像してクスリと笑った後、私は自分の仕事をするべく、その場を後にした。




政実「プロローグ、いかがでしたでしょうか」
ツバキ「女神様が言っていたあのお二方っていうのは、『ポケットモンスター~頂点を目指す転生者達~』に登場する人達の事なのかしら?」
政実「そうだね。まあ、それが誰なのかは後々明らかにしていくつもりだよ」
ツバキ「わかったわ。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
ツバキ「ええ」
政実・ツバキ「それでは、また次回」
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