ツバキ「どうも、ツバキです。ポッポね……初代や第二世代ではそらをとぶ要員としてお世話になった人が多そうではあるわね」
政実「まあね。因みに、自分的には最終進化のピジョットには対戦なんかでかなりお世話になったかな」
ツバキ「そう。さて……それでは、そろそろ始めていきましょうか」
政実「うん」
政実・ツバキ「それでは、第10話をどうぞ」
ヘラクロスのビートとエイパムのゴクウとのバトルから数日後、いつものように朝食を食べていた時、「ツバキ……」と父さんが少し申し訳なさそうに話し掛けてきた。
「どうしたの、父さん?」
「いや、ちょっとレインの件でな」
「レインの……そういえば、まだレインがいた群れって見つかってないんだっけ……」
「ああ。『ロケット・コンツェルン』のネットワークを利用して探してはいるんだが、未だ見つからない。本当ならもっと早く見つけてやりたいところではあるんだが……」
「そればかりは仕方ないよ。ラプラスってとても頭の良いポケモンだし、ポケモンハンター達から身を隠すために色々動き回っていそうだからね」
「そうだな……」
私の言葉に父さんは顎に手を当てながら答えた後、何かを思いついた様子で静かに頷いた。
「よし……捜索範囲を『カントー地方』だけではなく、『ジョウト地方』にまで広げてみるか。そうすれば、見つかる可能性も高まるからな」
「そうだね。もしかしたら、その方が良いかも」
そう言いながらリビングの隅で他のポケモン達と一緒に美味しそうにポケモンフーズを食べるレインに視線を向けた。
そういえば、まだレインと一緒にバトルをした事が無いけど、レインはバトルに興味ってあるのかな? レインにとって初のバトル観戦があんな事になっちゃったから、もしかしたらバトルに少しだけ恐怖を感じてたりしないよね……?
「……試しに訊いてみようかな」
ツバをゴクリと飲み込んだ後、私はレインに声を掛けた。
「ね、ねえ……レイン?」
「キュー?」
「あなたってポケモンバトルに興味ってある……?」
「キュー……」
私からの問い掛けにレインは少し考え込んだ後、私の目を真っ直ぐに見ながらニコリと笑った。
「キュー♪」
「えっと……その反応は、バトルに興味があるという反応で良いのかな?」
「キュー」
「……そっか。それじゃあ、近い内にエレン達を相手にしてバトルの特訓でもしようか。群れに戻った後、バトルが強くないと他のポケモンやポケモンハンター達に襲われた時に大変だからね」
「キュー!」
レインが大きく頷きながら答えるのに対してニコリと笑った後、私が再び朝食を食べ始めようとしたその時、父さんが突然クスリと笑った。
「父さん、どうかした?」
「なに、お前もずいぶんトレーナーらしくなってきたと思ってな」
「そうかな?」
「ああ。だが、お前やシルバーがポケモントレーナーとしていられるのは、あくまでもポケモン達がお前達を信じてついてきてくれているからだ。その事を忘れず、毎日精進を続けるんだぞ?」
「うん」
「……わかった」
私とシルバーが揃って頷きながら答えていると、それを聞いていた母さんが「そういえば……」と何かを思い出した様子でポンと手を叩いた。
「『キキョウシティ』に『トレーナーズスクール』があるって、この前ヒビキ君のお母さん達から聞いた気がするわ」
「『トレーナーズスクール』か……うむ、これも良い機会かもしれないな。ツバキ、シルバーを連れて『キキョウシティ』まで行ってみたらどうだ?」
「え、良いの?」
「ああ。だが、『キキョウシティ』までは少し遠いから、もし行くなら気をつけて行ってこい。ツバキの腕はたしかだが、途中で何があるかはわからないからな」
「うん、わかった」
『トレーナーズスクール』……そういえば、前にその話をヒビキ君とした時にヒビキ君達も誘うって話をしたし、今日予定が合うようなら誘ってみようかな。
ヒビキ君達の顔を思い浮かべながらコクリと頷いた後、私は再び朝食を食べ始めた。
「それじゃあ、行ってきます」
「……行ってきます」
朝食を食べ、出かける準備をし終えた後、私達は母さんに声を掛けてから家を出た。そして、『キキョウシティ』への行き方を訊くためにまずはウツギ博士の研究所に向けて歩いていると、「なあ、姉さん」と隣を歩いているシルバーが話し掛けてきた。
「どうしたの、シルバー?」
「本当に行くのか? その『トレーナーズスクール』に」
「うん。私だってトレーナーとしてはまだまだだし、何か新しい発見だってあるかもしれないでしょ?」
「それは……まあ」
「それに、シルバーだってルークやビートのために最近よく読書をして知識を深めてるわけでしょ? だったら、シルバーにとっても得だと思うよ」
「……そうかもな」
「ふふ、そう思ってもらえて嬉しいよ」
そんな会話を交わしている内にウツギ博士の研究所に着くと、私達は自動ドアを通って中へと入った。そして、ウツギ博士の研究室に入ると、そこには孵化器に入れられて机の上に置かれた
え……あれって、ポケモンのタマゴだよね? ゲームだと金銀になって初めてポケモンのタマゴの存在が明らかになったけど、もしかして本当はそれより前からタマゴの研究ってされていたのかな……?
そんな事を思いながら私達が近付いていくと、ウツギ博士は「ん?」と言いながら振り返り、私達がいる事に気付くと、ニコリと笑いながら話し掛けてきた。
「やあ、二人とも。今日もレインを湖で泳がせに来たのかな?」
「あ、いえ。今日は『キキョウシティ』へ行く方法を教えてもらいに来たんです」
「『キキョウシティ』……ああ、もしかして『トレーナーズスクール』に行くつもりかな?」
「はい、そうです」
「なるほど……それなら、ウチの車に乗っていくかい?」
「え、良いんですか?」
「ああ。ちょうどこのタマゴの事で『キキョウシティ』まで行く用事があったから、そのついでで良ければ」
「もちろん、大丈夫です」
「……俺も大丈夫です」
「よし、わかった。それじゃあ早速しゅっぱ──」
その時、研究室のドアが開く音が聞こえ、私達がそちらに視線を向けると、そこにはヒビキ君達四人の姿があった。
「あ、おはよう、みんな」
「……おはよう」
「へへ、おはようございます!」
「おはようございまーす!」
「おはようございます」
「……おはようございます」
「おはよう、みんな。そうだ……みんな、これから私達は『キキョウシティ』に行くところだったんだけど、みんなもついてくるかい?」
「『キキョウシティ』っすか?」
「ああ。僕はこのタマゴをある人に見せるため、ツバキさん達は『トレーナーズスクール』に行くためなんだけど、どうかな?」
「『トレーナーズスクール』……ああ、そういや前にツバキさんとその話をしましたよね」
「うん。だから、ヒビキ君達も一緒に来てくれると、嬉しいんだけど……どうかな?」
その問い掛けにヒビキ君達は嬉しそうに頷いた。
「もっちろん、お供しますよ!」
「私もそろそろバジルのために何かしてあげたいと思ってたし、これも良い機会かも!」
「ポケモントレーナーの端くれとして何か学びたいと思っていたので、私もお供いたします」
「負けっぱなしなのは悔しいし、俺も行きます」
「うん、わかった。それじゃあ早速行こうか」
そのウツギ博士の言葉に頷いた後、私達は研究所の裏手に回り、研究所の車に乗った。そして、研究所を出発した後、車に揺られながら『キキョウシティ』を目指していた時、ふとヒビキ君がポケモンのタマゴが入った孵化器を指差しながらウツギ博士に話し掛けた。
「ウツギ博士、これって何のタマゴなんすか?」
「これはね……ポケモンのタマゴなんだ」
「ポ、ポケモンのタマゴ……!?」
「え、それじゃあこの中からポケモンが産まれるんですか!?」
「ははっ、そういう事だね」
「す、すげぇ……! それで、博士。このタマゴからは何のポケモンが産まれるんすか……!」
「それが……ちょっとわからないんだ。このタマゴは、『ジョウト地方』のとある育て屋さんで見つかったタマゴでね。そこではトレーナーから預けられたポケモンの他にも色々なポケモンが育てられているから、どのポケモンのタマゴなのかはまったくわからないんだ」
「そうなんですね……」
「まあ、今回このタマゴをある人に見せた後は、君達の内の誰かに預けようかとも思っているけどね」
「え?」
「お、俺達の内の誰かって……」
「そんな貴重な物を……良いんですか?」
「ああ。現時点で、ポケモンのタマゴは同じ生息域や似た系統のポケモンのグループ──これを私達は『タマゴグループ』と呼んでいるんだけどね──のポケモンの♂と♀が一緒にいる時に見つかるという研究結果が出ているからね。また見つかる可能性はあるから、そこは問題ないし、ポケモンのタマゴは連れ歩く事で孵化すると私は考えているから、こうやって孵化器の中に置いておくよりも誰かに連れ歩いてもらった方が良いんだよ」
「なるほど……」
「まあ、『ほのおのからだ』や『マグマのよろい』という特性を持つポケモンが手持ちにいた時に普通よりも早く孵化したという研究結果もあるけど、連れ歩く際は特にその辺は考えなくても良いよ」
「あ、わかりました」
ポケモンのタマゴ、かぁ……私がタマゴのお世話係になりたいところだけど、みんなもなりたいだろうし、ここはみんなと相談して決めないといけないよね。
タマゴをみながらうんうんと頷いた後、私はタマゴについてみんなが話し始めるのに混ざっていった。
『ワカバタウン』を出発してから数時間後、紫色の屋根の建物が次々と見えてくると、ウツギ博士は運転をしながら私達に話し掛けてきた。
「みんな、そろそろ『キキョウシティ』に着くよ」
「ここが『キキョウシティ』……なんだか落ち着きのある街並みだね」
「ここには『トレーナーズスクール』の他にも飛行タイプを専門にしている『キキョウジム』や『マダツボミのとう』があるっす」
「『マダツボミのとう』……? なんだ、それは?」
「おっ、兄弟。気になるのか?」
「何度も言うが、兄弟って言うな。まあ、気になる事は気になるけど……」
「よーし、それなら説明してやろう。『マダツボミのとう』っていうのは──」
「ポケモン修行のために作られたと言われている塔で、中央に揺れている柱があるんだけど、それは巨大マダツボミの体って言われてるんだ」
「修行の場って言われてるだけあって──」
「多くの修行僧の方が修行をされているそうで、『マダツボミのとう』を訪れたトレーナーともバトルをなさるそうです」
「更に──」
「『マダツボミのとう』には、野生のポケモンが出てきて、朝や昼ならコラッタだけらしいんだが、どうにも夜になったらゴースが出現すると聞く。だから、その辺も注意が必要な場所だな」
「……って! お前達で全部説明するなよ!」
「いや、ヒビキが説明するよりもわかりやすかったと思うが?」
「兄弟までつれない事を言うなよー……」
「だから、俺はお前の兄弟じゃない。まあ、兄弟になる方法なら一つだけあるが?」
シルバーがニヤッと笑いながら私の事を見て、ヒビキ君がそれに続いて私に視線を向けると、ヒビキ君は次第に顔を赤らめていき、それを見たコトネちゃんが肘でヒビキ君の事を突き始めた。
「あっれ~? ヒビキ、いきなり顔を赤くしてどうしたの~?」
「う、うっさいな! 何でも無いって!」
「ふふ、青春ですね」
「そうだな」
「スズカもウズヒコも変な事言い始めるなよー!」
顔を赤くしながら大きな声を上げるヒビキ君を見てクスリと笑った後、私は満足げに笑うシルバーにこそっと話し掛けた。
「シルバーにしては珍しいね。あんな事を言うなんて」
「たまには良いだろ。というか、姉さんはあそこまでヒビキから好かれてる事に対して何も感じてないのか?」
「うーん……それはもちろん嬉しいけど、私にとってヒビキ君はまだ友達止まりだからね」
「まだって事は、アイツに可能性はあるのか……」
「ふふ、まあね。それより……シルバーこそどうなの? 例えば、コトネちゃん……とか」
「……なんでコトネなんだよ?」
「うーん……なんとなく? それに、スズカちゃんはどちらかと言うならウズヒコ君とお似合いそうだし」
「……そうか。でも、残念だったな。俺はコトネに対してそういう感情は抱いてないよ」
「そう、それは残念」
まあ、今はそうでもいつかは可能性があるかもね。これは自分にも返ってくる言葉だけど、友情から発展する恋愛だってあるわけだし。
そんな事を思っていたその時、車は一軒の建物の前で停まり、ウツギ博士はニコリと笑いながら話し掛けてきた。
「みんな、『トレーナーズスクール』に着いたよ」
「わかりました。ウツギ博士、ありがとうございます」
『ありがとうございます』
「どういたしまして。とりあえず、私は用事が済んだらポケモンセンターに行っているから、みんなも帰る時になったらポケモンセンターに寄ってくれ」
『わかりました』
返事をしてから私達が車を降りると、ウツギ博士は自分の用事のために再び車を走らせて去っていった。そして、私達はそれを見送った後、『トレーナーズスクール』の建物に視線を向けた。すると、入り口の辺りに何かが貼られているのに気付き、私はそれを見るために静かに近付いた。
「えーと……本日、本校ではポケモンバトル大会を行います。ルールはダブルバトルでポケモンを持っていればどなたでも参加OKですので、興味のある方は是非ともご参加下さい……だって」
「ポケモンバトル大会……! 俺、絶対参加する!」
「それじゃあ、私も参加しようかな?」
「ふふ、それなら私も参加してみます」
「もちろん、俺も参加する」
「……参加しない理由は無いな」
「そうだね。えーと……この参加要項によると、参加者は手持ちポケモンの強さによってクラス分けされて、組む相手はそのクラス内の抽選で決まるみたいだね」
「って事は……俺達は揃って同じランクになりそうっすね」
「まあ、もしかしたらツバキさんだけはワンランク上のクラスに入れられるかもしれないけど、みんな一緒だったら良いね」
「そうだな。さて……それじゃあそろそろ参加受付をしに行くか」
そのウズヒコ君の言葉に頷いた後、私達は『トレーナーズスクール』の中に入り、バトル大会の参加受付をした。すると、コトネちゃんの予想とは違い、私はみんなと同じクラスに入れられ、参加受付を終えた後、私達参加者は『トレーナーズスクール』のバトルフィールドに集められた。
ふう……どうにかみんなと同じクラスになれたね。まあ、これでみんなと当たる可能性も出てきちゃったけど、その時はその時って考えて全力で当たるしかないかな。
そう思いながらエレン達のモンスターボールが入ったポーチに触れていたその時、「げっ!」という声が聞こえ、私はそちらに視線を向けた。すると、そこにはレインを巡ってバトルをしたレクトの姿があり、その横には片目を緑色の前髪で隠した見知らぬ男の子が立っていた。
「……あ、あの時の成金コレクター」
「誰が成金コレクターだ!」
「そうだぞ! レクトさんは成金なんかじゃないぞ!」
「まったく……これだから礼儀のなってない庶民は……」
「はいはい……それで、あなたも参加してたんだね。てっきり、バトル自体には興味が無いと思ってたんだけど」
「ふん、元々はそうだったけど、あのバトルに負けて以降、僕様はポケモンバトルに目覚めたんだ。そう、全ては君に勝つために!」
「私に勝つために、ね……まあ、そういう事なら私もあなたと当たった時は全力で行くよ。私だって弟や友達の前で恥ずかしいところは見せられないし」
「そうかい。まあ、精々頑張るんだね! 行くぞ、マキリ」
そんな事を言った後、レクトは偉そうな態度を崩さずに去っていき、その姿を見ながら私は小さく溜息をついた。
まさかレクトまで参加してるとはね。まあ、さっきも言ったように当たった時は全力でやるし、負けるつもりはないけどね。
そんな事を考えていると、ヒビキ君は私と同じ方を見ながら少し嫌そうな顔をした。
「ツバキさん、もしかしてアイツが話に出てきたコレクターっすか?」
「そうだよ。でも、まさかこんなところで再会するとは思ってなかったよ」
「そうですか……それにしても、あのレクトって奴、本当に嫌な感じの奴ですね」
「まあ、そうだね。でも、だからこそレクトにだけは負けるつもりは無いかな」
「そうっすね。あんなのに負けたら、末代までの恥っすから!」
強く拳を握りながら言うヒビキ君を見ながら私は苦笑いを浮かべた。
末代までの恥って、そこまででは無いと思うけど……まあ、やる気があるのは良い事だよね。
そんな事を考えていたその時、一人の男性がマイクを持ちながら私達の前に現れた。
「皆さん、本日はポケモンダブルバトル大会に参加して頂き本当にありがとうございます。私は当校の教師をしているジョバンニと申します。本日のバトル大会をこうして開催出来たのは、私達『トレーナーズスクール』のスタッフ全員にとって、喜ばしい事です。将来、ポケモントレーナーを目指している皆さんや現在ポケモントレーナーとして頑張っている皆さん全員に楽しんで頂けるように頑張って進行して参りますので、どうぞよろしくお願いします」
そう言葉を締めくくり、ジョバンニさんが一礼をすると、私達参加者全員から拍手が上がった。その後、タッグ相手の抽選が行われると、私のタッグ相手はヒビキ君に決まった。
ヒビキ君がタッグ相手か……うん、なんだか優勝出来そうな気がする。
「よろしくね、ヒビキ君」
「うす! 俺達の力で絶対に優勝しましょう!」
「うん」
ニコリと笑いながら言うヒビキ君の言葉に頷きながら答えていると、「それはどうかな」とシルバーがニヤリと笑いながら言ってきた。
「シルバー」
「やるからには俺達だって優勝したいからな。そうだよな、コトネ?」
「うん。目指すは優勝!」
「ふふ、優勝を目指すのは私達も同じですよ」
「そうだな」
「スズカちゃん達も……まあ、そうだよね。でも、一番大切なのはこのバトル大会を楽しむ事。それだけは忘れないようにね」
「うす!」
「はい!」
「わかりました」
「はい」
「ああ」
みんなが頷きながら返事をした後、私はエレン達のモンスターボールが入ったポーチを軽く撫でた。
こう言ったからには、私も全力で楽しまないとね。まあ、目指すは優勝っていうのは変わらないけど。
そう思いながらクスリと笑った後、私はバトル大会へ向けてのやる気を高めていると、進行役のジョバンニさんの声が聞こえてきた。
「それでは、ジュニアクラスの一回戦第一試合と第二試合を開始します。参加者の皆さんはそれぞれ位置について下さい」
「第一試合……あ、私達だ」
「ですね。ツバキさん、頑張りましょう!」
「うん」
ヒビキ君の言葉に答えた後、私達と対戦相手のペアは中央に集まり、それぞれモンスターボールを手にした。
さあ、行こうか。みんな。
心の中でエレン達に声を掛けた後、私はモンスターボールのスイッチを軽く押し、モンスターボールを上へと投げ上げた。
「ホーホー、ウパー、共に戦闘不能。チコリータ、ヒノアラシの勝ち。よって勝者、ツバキ&ヒビキペア」
審判のその声がバトルフィールド中に響いた後、私とヒビキ君は相手のペアと握手を交わし、端っこの方に向かって歩いていった。第一試合に無事に勝利した後、私達は順調に第二試合、この準々決勝に勝利し、準決勝へと勝ち進んだ。
ちょっと危ない時もあったけど、なんとか勝てて良かった。後は準決勝戦と決勝戦だけど、みんなとヒビキ君がいれば絶対に大丈夫。
そう思いながら私が小さく息をついていると、「どうやら、君達も勝ち残ったようだね」とレクトが話し掛けてきた。
「も、って事はあなた達も勝ち残ったんだね」
「もちろんさ。そして、次の相手は君達というわけだ」
「そう。まあ、あなた達に負けるつもりはないから」
「何を生意気な──」
「まあ、良いじゃないか。どうせ勝つのは僕様達なんだからさ」
「へっ、それはどうかな。俺達だって優勝を目指してるんだ。お前達なんかに負けるわけがないだろ!」
「ふん、そうかい。まあ、精々頑張って僕様達の引き立て役となる事だね」
そう言うと、レクトはもう一人の子を連れて去っていき、ヒビキ君はそれを見ながら私に話し掛けてきた。
「……ツバキさん、絶対にアイツらに勝ちましょう」
「ヒビキ君……うん、そうだね。私達の全力、見せつけてあげよう」
「……うっす!」
ヒビキ君がニッと笑いながら答えていると、「姉さん」と話し掛けてくる声が聞こえ、私達はそちらに視線を向けた。すると、そこにはシルバー達とスズカちゃん達の姿があり、その様子からシルバー達も無事に勝てた事が見て取れた。
「どうやら、シルバー達も勝ったみたいだね」
「当然だ」
「私達だって優勝を目指してますから」
「ですが、次の相手は……」
「シルバーとコトネ、だな」
「ああ。だが、俺達は一切手を抜かないぞ」
「うん。ここまで来たからには優勝あるのみだからね」
「ふふ、それは私達も同じです」
「正々堂々戦い、良いバトルになるようにしよう」
「ああ」
「うん!」
そして、シルバー達とスズカちゃん達が握手を交わしていると、ジョバンニさんの声がバトルフィールド中に響き渡った。
「それでは、これよりジュニアクラス準決勝第一試合と第二試合を開始します。参加者の皆さんは位置について下さい」
その放送に従って、私達が位置につくと、向かい側に立っているレクトが自信満々な様子で私達に話し掛けてきた。
「逃げなかった事だけは褒めてあげるよ、君達」
「あなた達程度の相手を前にして逃げるわけが無いよ」
「そうだ! むしろ、お前達が逃げ帰る準備をした方が良いんじゃないのか?」
「その強気な態度、いつまで続くかな?」
「見せてあげるよ、あの時の敗北を糧に得た僕様の新たな力を!」
「それじゃあ、見せてもらおうかな。もっとも、それでも勝つのは私達だけど」
そして、審判は位置につくと、私達を見回しながら静かに口を開いた。
「それではこれより、準決勝第一試合を開始します。使用ポケモンは一体ずつ、どちらかのポケモンが先に全て戦闘不能になった時点で試合終了とします。両者とも準備はよろしいですか?」
「はい」
「大丈夫っす!」
「問題ないよ」
「同じく」
それを聞くと、審判は静かに頷き、両手に持った旗を上に向かって大きく上げた。
「それでは……バトル、スタート!」
政実「第10話、いかがでしたでしょうか」
ツバキ「次回はレクト&マキリ戦だけど、その次もバトル大会回になりそうね」
政実「まあ、そうだね。どんなバトル内容にするかは決まってないけど、読者の皆さんが楽しめるような内容にしていくつもりだよ」
ツバキ「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
ツバキ「ええ」
政実・ツバキ「それでは、また次回」