ツバキ「どうも、ツバキです。まあ、それについては同感かな。ラプラスが楽しそうに歌う様子を見ながらの旅は絶対に楽しいと思うから」
政実「だね。後は……ラプラスと一緒に泳ぐとかも楽しそうだよね」
ツバキ「たしかにね。さてと、それじゃあそろそろ始めていきましょうか」
政実「うん」
政実・ツバキ「それでは、第2話をどうぞ」
翌日、私達は朝食を食べた後、お手伝いさん達に見送られながら『トキワシティ』を出発した。『ワカバタウン』に行くために、まず私達は車で『クチバシティ』へと向かい、『クチバシティ』の港で乗り合いの船に乗った。船に揺られながら景色や海に生息しているポケモン達を見て過ごす時間はとても心地良く、心が穏やかになっていくのを感じた。
「ん……船に乗るのってこんなにも心地良いんだね」
「たしかに……結構心地良いかも……」
「はは、どうやらツバキ達は、船に乗るのが気に入ったみたいだな」
「まあね。でも、いつかはポケモンに乗って海を渡ってみたいかな」
「ラプラスとか?」
「そうだね。ドククラゲとかも面白そうだけど、一緒に海を渡るならラプラスの方が良いのかも」
「それなら、ツバキ達もいつかは旅に出たらどうだ? 旅に出れば色々な発見があるし、色々なポケモンとも出会えるぞ?」
「……それもありかな」
「……うん、俺も考えておこうかな」
シルバーと一緒に頷き合った後、私はまた海に目を向けた。すると、遠くの方に何かが浮いているのが見えた。
ん? 何だろう?
そう思いながら目を凝らすと、見えてきたのはちょっと小柄のラプラスだった。
「あれって……ラプラス?」
「え? あ、本当だ……」
「ふむ……どうやら子供のようだが、もしや群れからはぐれたのか……?」
「だとしたら大変ね……」
「うん……」
母さんの言う通り、このまま一匹でいるのは、大変だし危険だ。となると、やる事は一つしか無い。
私はディーネのモンスターボールを取り出すと、スイッチを軽く押してディーネを外に出した。
「シャワ?」
「ディーネ、ちょっとあそこにいるラプラスをこっちに誘導してきてもらっても良い?」
「シャワ!」
ディーネが大きく頷きながら答え、勢い良く海へと飛び込んで、そのままラプラスへ向かって泳いでいくと、父さんは感心したような声を上げた。
「なるほど。同じ水タイプならラプラスの元へと泳いでいける上に同じポケモンという事であまり警戒もされずに済むという事か」
「そう。後はラプラスが大人しく来てくれるかだけど……」
そんな心配をしながらディーネ達の様子を見守っていたその時、ラプラスは「キュー♪」と嬉しそうに鳴き声を上げると、ディーネを背中に乗せて静かに船の後をついてきた。
ほっ……とりあえず、警戒はされてないみたいだね。
ラプラスがついてきてくれている事に安心していると、ラプラスの姿を見ながら父さんが話し掛けてきた。
「しかし、あのラプラスをどうするつもりなんだ?」
「とりあえず保護するよ。このままだと他のポケモンから攻撃されかねないからね」
「でも、保護ってどうするつもりなんだよ、姉さん?」
「出来るならゲットするつもりだよ。まあ、それが正しい選択かはわからないけどね」
「そうか……なら、まずはそうしてみると良い。『ロケット・コンツェルン』のネットワークを使えば、ラプラスの群れくらい見つけるのは訳ないからな」
「父さん……ありがとう」
「どういたしまして」
私の言葉に父さんはニコリと笑った。そして、船が『ジョウト地方』の『アサギシティ』に着いた後、私は急いで船を降り、ラプラスのところへと向かった。すると、ラプラスは
「ラプラス! ディーネ!」
「キュ?」
「シャワ!」
ディーネがラプラスの背中から私に向かって飛び降り、それを私がしっかりと受け止めた後、私はラプラスに向かってゆっくりと近付いた。
「ラプラス、ついてきてくれてありがとうね」
「キュー♪」
「ねえ、ラプラス。あなたは群れの仲間に会いたい?」
「キュー……キュ、キュー!」
「……やっぱり、会いたいよね。それなら、しばらくの間、私達と一緒にいてくれないかな?」
「キュー?」
「私ね、あなたの事を群れの仲間のところへ帰してあげたいの。でも、それにはまず父さんの力を借りる必要がある。そして、捜すのにもかなりの時間がかかる」
「…………」
「その間、あなたが野生のポケモンから傷つけられないとも限らない。だから、私は群れの仲間を見つけるまでの間だけでもあなたの事をゲットという形で保護したい」
「キュー……」
「ラプラス、あなたの事をゲットしても──」
その時、「ちょっと待ったー!」という声が辺りに響き渡り、私達の視線はそちらに注がれた。すると、そこには隣にボディーガードらしい人を連れた金色の趣味悪い服を着てキラキラとしたアクセサリーを幾つも付けたいやらしい笑みを浮かべながらラプラスを見ている年下くらいの男の子の姿があった。
……なんだろう、この感じ。ルカリオになっていないのにこの子から嫌な波導を感じる気がする。
「……あなたは?」
「ふっ……僕様の名前を知らないなんて可哀想な人だ。僕様はレクト、将来は世界一のポケモンコレクターになる予定さ」
「……で、私達に何の用?」
「君なんかに用は無い。用があるのはそこのラプラスさ」
「ラプラスに……?」
「ああ。ついさっき、ラプラスの子供が一隻の船を追うように『アサギシティ』に向かって泳いでるという話を聞いてね。まだラプラスは持っていなかったから、ちょうど良いと思ってゲットをしに来てやったんだ」
「……そう。私達はこの子の群れの仲間を捜すので忙しいから、さっさと帰ってくれないかな?」
「それは出来ない相談だ。僕様はそのラプラスをゲットするためにこんな所まで来てやったんだからね。君達こそさっさとそこを
「退くと思う?」
軽く殺気を出しながら問い掛けると、レクトは恐怖を感じた様子でビクリと体を震わせた。そして、恐怖の色を浮かべながら震える手で私を指差した。
「き、君は一体何者なんだ……!?」
「……私は『カントー地方』にある『トキワシティ』出身のツバキ。ただのポケモントレーナーだよ」
「ふ、ふん……それなら、その実力を見せてもらおうじゃないか……! ま、まあ!? 僕様達の方が強いのは明らかだけどね?!」
「……良いよ。ただし、私達が勝ったらさっさと消えて。実力もないのにさも自分が強いみたいに見せる奴は嫌いだから」
「い、良いだろう……! だけど、僕様達が勝ったら、君達に消えてもらうからな!」
「わかった。それじゃあ……」
そう言いながら私が審判をやってくれそうな人を探していると、「そ、それなら私が審判をやりますね」という声が上がり、その人が人混みの中から姿を現した。その人は白のワンピース姿のロングのオールバックの両側から房が二つ飛び出した独特な髪型をした幼い顔立ちの女の子だった。
「あなたは……」
「私はミカン、ポケモントレーナーです」
「ミカンさん……審判をやって頂けるとの事でしたが、本当に良いんですか?」
「は、はい。私もポケモントレーナーですから、審判くらいは出来ますし、この状況を黙って見てられませんでしたから」
「……わかりました。それでは、お願いします」
「はい、任せて下さい」
ミカンさんが力強く頷いた後、この状況を見ていた人達とボディーガードの人達は私達がバトルを出来るように空間を空けてくれた。そして、それぞれ適当な距離を取った後、私は少し怯えた様子でレクトを見るラプラスに声を掛けた。
「ラプラス、少し離れててもらっても良いかな? これからちょっとだけ危険な事になるから」
「キュ、キュー……」
ラプラスは頷きながら答えると、港から少し離れたところまで泳いでいった。そして、それをしっかりと確認した後、私は腕の中にいるディーネに声を掛けた。
「ディーネ、任せても良い?」
「シャワ! シャワ、シャワー!」
「……うん、そうだよね。あんな薄汚い奴にラプラスを渡せないよね。だから、全力でやるよ」
「シャワ!」
大きく頷いて答えた後、ディーネは私の腕の中から飛びだし、怒り顔でレクトの事を見始めた。それに対してレクトは、また恐怖を感じた様子でビクリと体を震わせたけれど、すぐに気持ちを落ちつけたらしく、落ち着き払った様子で腰のベルトからモンスターボールを一つ取り出した。
「さて、謝るなら今の内だよ? 謝ればそのシャワーズが傷つかずに済むわけだからね」
「謝る?
「馬鹿!? お前、僕様の事を馬鹿と言ったか!?」
「言ったよ。言って何が悪いの?」
「くぅー……! こうなったら徹底的に潰してやる! もうポケモンバトルが出来ないくらいにまで追い込んでやる!」
「それはこっちの台詞。貴方みたいな奴にポケモンを集めたり、戦わせる権利が無い事を証明してあげる」
こんな奴には絶対に負けない。『トキワシティ』のジムリーダー、『大地のサカキ』の娘として決して負けるわけにはいかない……!
そう思いながらバトルをするための心の準備をしていると、ミカンさんは私達をゆっくりと見回した。
「それでは、これよりポケモンバトルを始めます。ルールは1対1のシングルバトル。どちらかのポケモンが先に戦闘不能になった時点で試合終了とします。両者とも準備は良いですか?」
「……大丈夫です」
「いつでも大丈夫だよ」
その返答に頷くと、ミカンさんは両手を天に向かって高く挙げた。
「それでは、バトル……スタート!」
政実「第2話、いかがでしたでしょうか」
ツバキ「次回はバトル回だね。けど、レクトはなんだか本当に嫌な奴そうだし、正々堂々とバトルをするとは思えないかも……」
政実「まあ、それがどうかは次回のお楽しみという事で」
ツバキ「そうだね。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さて、それじゃあそろそろ締めていこうか」
ツバキ「ええ」
政実・ツバキ「それでは、また次回」