R団ボスの娘   作:九戸政景

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政実「どうも、ジョウト地方で一番住みたい町はワカバタウンの片倉政実です」
ツバキ「どうも、ツバキです。まあ、それには同感かな。とても長閑で住みやすそうな町だからね」
政実「うん。いつかはそんな長閑で住みやすそうな町に永住したいなぁ……」
ツバキ「それも良さそうだね。さてと、それじゃあそろそろ始めていきましょうか」
政実「うん」
政実・ツバキ「それでは、第4話をどうぞ」


第4話 到着、ワカバタウン! 団欒と静かな夜

 昼食後、私達は『ワカバタウン』からわざわざ運転してきてもらっていた車に乗って、『アサギシティ』を出発した。そして、走り始める事数時間後の夕方、私達は遂に『ワカバタウン』に到着した。

 ここが『ワカバタウン』……うん、スゴく長閑(のどか)な感じで住みやすそうなところだなぁ……。

 そんな事を思いながら『ワカバタウン』の町並みを眺めている内に、車は一軒の家の前で停まった。そして、荷物を持ちながら車を降りた後、私はこれから住む家の外観に目を向けた。家は『トキワシティ』のお屋敷のような家とは違い、どこにでもあるような庭付きの黒い屋根の一軒家だったけれど、そのこじんまりとした感じがどこか落ち着く感じがし、私は一瞬でその家の事を気に入っていた。

「……ここで私達はしばらく過ごすんだよね」

「そうだ。『トキワシティ』の家とは違ってメイド達はいないが……大丈夫か?」

「うん、大丈夫」

「それくらいはへっちゃら」

「そうか、それならばいい。さて……」

 父さんはここまで運転してきてくれた執事さんの方へ視線を向けると、丁寧に一礼をした。

「ここまですまなかったな。後は私達だけでどうにかするから、次は私が何か連絡をした時に来てくれ」

「畏まりました、サカキ様。では、私はこれで失礼致します」

 執事さんは恭しく一礼をすると、腰のベルトからモンスターボールを一つ取り出し、それのスイッチを軽く押すと、中から出てきたケーシィに指示を出した。

「ケーシィ、『トキワシティ』まで『テレポート』をお願いします」

「ケー」

 ケーシィが頷きながら答え、執事さんを連れて『テレポート』で姿を消した後、父さんは私達を見回しながら静かに口を開いた。

「さて、まずは荷物の整理と部屋の掃除だ。朝からここまで長かったから皆疲れているかもしれないが、もう少し頑張れば夕食に出来る」

「そうね。後もう一頑張りしましょうか」

「うん。シルバー、疲れたからといって立ったまま眠ったりしないでよ?」

「しないって! たしかに疲れてはいるけど、それくらいは出来るから!」

「ふふ……なら、よし」

「まったく……」

 そんな私とシルバーの姿に父さんはクスリと笑った後、手をパンパンと打ち鳴らした。

「さあ、早速始めよう。早くしないと夜になってしまうからな」

「ええ」

「うん」

「……ああ」

 父さんの言葉にそれぞれ返事をした後、私達は家に入り、父さんの説明を聞いてからそれぞれの部屋に向かった。私とシルバーの部屋は二階にあり、それぞれの部屋のドアには私達の名前が書かれたプレートが掛けられていた。

「これはわかりやすくて良いね」

「たしかにな。それじゃあ、また後で」

「うん」

 シルバーが自分の部屋に入って行ったのを確認した後、私も自分の部屋に入り、レイン以外のみんなのモンスターボールのスイッチを押した。そして、全員が出てきた後、私は『ポケモンに姿を変える能力』を使って、『かいりきポケモン』のカイリキーに姿を変えた。

「うん、これでよし」

「でも、カイリキーにならないといけない程、力が必要な荷物なんてあったっけ?」

「無いけど、腕が四本もある分、早く作業を終えられるでしょ?」

「ああ、なるほどね」

「そういう事ならさっさと終わらせちまおうぜ。俺達もそうだが、ツバキだって腹減ってるだろ?」

「ふふ、まあね。後は……」

 そう言いながら私は荷物の中からレインが入ったモンスターボールを取り出した。

「この子、レインも早く出してあげたいしね」

「……そうか。それなら、早く荷物の整理を終わらせるか」

「そうね。そのモンスターボールに入った新しい仲間に早く会いたいもの」

「……同感」

「うん、私も早くレインをみんなに会わせてあげたい」

「そうね。レインはとても良い子だし、みんなもきっとすぐに仲良くなれるわ」

「ふふ、だね。さあて……それじゃあ早速始めようかな。みんな、もしも父さん達の誰かが来るようだったら教えてね」

 その言葉にエレン達が頷いた後、私はカイリキーの四本の腕を利用しながら荷物の整理を始めた。

 

 

 

 

「よし、終わり」

 荷物の整理や部屋の掃除を始めてから数十分後、私は人間の姿に戻りながら額に浮かんだ汗を拭った。私の考え通り、カイリキーの四本の腕はとても活躍し、当初の計算よりも早く作業が完了した。

 それにしても、やってる間に誰かが来そうだったら教えてくれるようにエレン達に頼んでおいたのは正解だったなぁ。何回か進捗を確認しに父さん達が訪ねてきたし、そうしてなかったら私の『ポケモンに姿を変えられる能力』がバレちゃうところだったよ。

 そんな事を思いながら部屋の内装を見回していると、ドアをトントントンとノックする音が聞こえ、私はドアにゆっくりと近付いた。そして、ドアを静かに開けると、そこには母さんの姿があった。

「母さん。そっちは終わったの?」

「ええ。その様子だと……ツバキも終わったみたいね」

「うん、バッチリ」

「そう。それなら、夕食の準備の手伝いをお願いしても良い?」

「うん、もちろん」

「ありがとう。それじゃあ先にキッチンに行ってるわね」

「うん」

 そして、母さんが私の部屋を後にした後、私は部屋の中にいるエレン達の方を振り返った。

「それじゃあ、私は母さんの手伝いをしてくるから、みんなは少しだけ待っててね」

「イッブイ!」

「シャワ」

「ダース」

「ブースター」

「ブイ」

「……ブイ」

「ふふ、それじゃあ行ってきます」

 そう言いながらエレン達に手を振った後、私は部屋を出て、そのまま階段をゆっくりと降りた。そして、一階に着いた後、リビングから音が聞こえたため、リビングを覗いてみると、そこにはエプロン姿でテーブルの上を拭く父さんの姿があった。

「父さん」

「ん? おお、ツバキか」

「父さんも母さんの手伝い?」

「そうだ。シルバーは……まだのようだな」

「そうみたいだね。でも、すぐに来るんじゃないかな?」

「そうか。ところで、この家はどうだ? 気に入ってくれたか?」

「うん、もちろん。でも、どうして『ジョウト地方』に来たの? やっぱり、『ロケット・コンツェルン』の支社か何かを建てるため?」

「あー……まあ、そんなところだ」

「そっか。それにしても……いつからこの家を用意していたの?」

「半年ほど前からだ。だから、その頃から情報収集も兼ねてこの『ワカバタウン』にはちょくちょく来ているんだが、その間にこの『ワカバタウン』にいるポケモン博士のウツギ博士とも顔馴染みになったよ」

「へえ、そうなんだ」

「ああ。だから、明日にでも挨拶に行ってみるといい。それと……ウツギ博士の話によると、この近所にはシルバーと同じ年齢の子も住んでいるというから、もしかしたら明日にでも会うかもしれないな。そうなると、人付き合いが苦手なシルバーが少し心配だが、その時はツバキが間に入ってやってくれ」

「元からそのつもりだから大丈夫だよ、父さん」

「……そうか」

「それじゃあ、私も母さんの手伝いをしてくるね」

「ああ」

 返事をしてからまた机の上を拭き始めた父さんと別れた後、私は母さんがいるキッチンへ向かって歩いていった。

 

 

 

 

 

「ふう……今日も色々あった日だったなぁ」

 その日の就寝前、私は転生してからの日課となった日記をつけながらそんな事を独り言ちた。そして、それぞれの寝床で既に眠っているエレン達の可愛らしい寝顔を見てクスリと笑った後、私は日記帳をパタンと閉じた。

 それにしても……シルバーと同じ年齢の子、か……。たぶん、『ポケットモンスター』シリーズの金銀の主人公達の事だと思うけど、もしかしたら私みたいな転生者もいるかもしれないなぁ……。

「まあ、転生者がいたとしても敵対するつもりは無いし、普通に仲良くすれば良いよね。もっとも、相手方に仲良くする気があればだけど」

 いるかもわからない転生者の事を考えながら独り言ちていた時、口から小さな欠伸が漏れた。

「ふあ……それじゃあ私もそろそろ寝ようかな」

 そして、私は椅子から立ち上がり、ベッドへ向かうと、スヤスヤと寝息を立てるエレンの横に入ってから静かに目を閉じた。

 明日はどんな日になるかわからないけど、きっと明日も良い日になるよね。

 そんな事を思いながら私は静かに眠りについた。




政実「第4話、いかがでしたでしょうか」
ツバキ「この流れだと次回はウツギ博士と金銀の主人公達との出会い回かな?」
政実「そうだね」
ツバキ「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さて……それじゃあそろそろ締めていこうか」
ツバキ「ええ」
政実・ツバキ「それでは、また次回」
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