R団ボスの娘   作:九戸政景

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政実「どうも、バクフーンの型は物理型が好きな片倉政実です」
ツバキ「どうも、ツバキです。種族値を考えたら、特殊型や両刀型の方が良いけれど、そこは好き好きだからね」
政実「まあ、そうだね。因みに、メガニウムは両壁採用の耐久型、オーダイルは物理型が好きかな」
ツバキ「そう。さて……それじゃあそろそろ始めていきましょうか」
政実「うん」
政実・ツバキ「それでは、第8話をどうぞ」


第8話 VSヒビキ 炎のように熱いバトル

「……行くよ、エレン」

「ブイ!」

「やるぞ、ホムラ!」

「ヒノ!」

 両者のポケモンがモンスターボールから出てくると、ヒビキ君は少し緊張した面持ちでエレンを見始めた。

「エレン……! たしかツバキさんのポケモンの中のリーダーっすよね……!」

「そう。この子はディーネやヴォルトと違って進化こそしてないけど、それでも充分な強さを持ってる。油断しているとすぐに負けるよ?」

「……へへ、油断なんてしないっすよ。油断なんてしてたら、バトルを受けてくれたツバキさんにも失礼っすからね!」

「……そう」

 なら、私もそんなヒビキ君の思いに応えるためにも全力を出さないといけないかな。

 そう思いながらヒノアラシを見ながら()()()()()()()()エレンに視線を移した後、私はエレンに指示を出した。

「エレン、『シャドーボール』」

「ブイ」

 エレンが落ち着いた様子で『シャドーボール』をホムラに放つと、ヒビキ君はそれに対して少し焦りを見せた。

「いきなり遠距離攻撃か……! えーと、それなら……ホムラ、躱して『ニトロチャージ』!」

「ヒノ!」

 ホムラはどうにか『シャドーボール』を横っ跳びで躱すと、炎を(まと)いながらエレンに向かって突進してきた。

『ニトロチャージ』か……何回も使われると厄介だし、ここはあの技に頼ろうかな。

「エレン、『メロメロ』」

「ブイ!」

 エレンは指示に対して大きく頷くと、自分へと向かってくるホムラを真っ直ぐに見ながらパチンとウインクをした。すると、無数の小さなハートがホムラへ向かって飛び、ホムラの周りをクルクルと回ると、ホムラはその場に静かに立ち止まった。

「ホ、ホムラ……?」

 その様子にヒビキ君が恐る恐る声を掛けると、ホムラは目をハートにしながらフラフラと動き始めた。

「ヒノ~、ヒノ~」

「おい、ホムラ! お前、どうしちまったんだよ!?」

 ホムラの様子にヒビキ君が焦りと心配が入り混じったような声を上げる中、私はクスッと笑ってからヒビキ君に話し掛けた。

「どうやらヒビキ君は『メロメロ』にかかったポケモンを見るのは初めてのようだね」

「『メロメロ』……?」

「『メロメロ』は『どんかん』や『アロマベール』の特性を持たない性別の違うポケモンに対してのみ効果を発揮する技で、当たったポケモンはメロメロ状態を解除するまで相手のポケモンの(とりこ)になり、技を出さない事があるの」

「技を出さない……!? それじゃあ、メロメロ状態の間はほとんど何も出来ないって事じゃ……!」

「まあね。時には技を出す事もあるけど、躱されたりしたら目も当てられないかな。因みに、接触技を使ってきた性別の違う相手をメロメロ状態にする『メロメロボディ』っていう特性もあるから、合わせて覚えておくと良いかもね」

「なるほど……って、今はそれどころじゃない! ホムラ! 目を覚ましてくれ!」

「ヒノ~、ヒノノ~」

 ヒビキ君の声も虚しくホムラが目をハートにしながら再びフラフラとしていたその時、エレンは私にウインクで合図を送ってきた。

 合図って事は、あの技を使うつもりだね。だったら、早速使っていこうか。

 エレンからの合図に頷いて応えた後、私はエレンに指示を出した。

「エレン、『ブイブイブレイク』」

「ブイ!」

 エレンは大きく頷くと、体に力をこめだした。そして、金色の光を纏いだした瞬間、エレンはホムラに向かって走り出し、その様子にヒビキ君はとても焦ったような表情を浮かべた。

「なんだかわからないけど、アレをもろに受けたら絶対にヤバい……! ホムラ、『こらえる』!」

「ヒノ~」

 ヒビキ君の指示にホムラはメロメロ状態のままで応えると、足を地面にしっかりとつけ、赤いオーラを纏い始めた。そして、『ブイブイブレイク』を受けると、ホムラは後ろに吹き飛ばされそうになったけれど、どうにかそれを耐えきると、それを見たヒビキ君は安心した顔で額の汗を静かに拭った。

「ふぅ……どうにか『こらえる』が出てくれて助かったぜ。というか、今のは何なんすか、ツバキさん?」

「今のは相棒技の『ブイブイブレイク』、イーブイだけが使える技で、イーブイのトレーナーが大好きという気持ちが強ければ強い程、威力が上がるノーマルタイプの技。もっとも、そのイーブイの全力を出し切る技だから、使えるのは一バトルにつき一回までだけどね」

「そんな技まで……! やっぱり、ツバキさん達はスゴいっすね!」

「お褒めに与り光栄だよ。さあ、『こらえる』で耐えきったとはいえ、メロメロ状態は解けてないまま。この状況で君はどう出るのかな?」

「……たしかに、状況は不利なままっす。けど、俺達だってやられっぱなしじゃないっすよ!」

「……なら、見せてもらうよ。君達がどこまでやれるのか。エレン、『めざめるパワー』」

「イッブイ!」

 エレンが体に力をこめて『めざめるパワー』をホムラに向かって放つと、ヒビキ君はニッと笑いながらホムラに指示を出した。

「俺はお前を信じてるぜ、ホムラ! 躱してから『きしかいせい』!」

「ヒノ~」

 ホムラはメロメロ状態のままで『めざめるパワー』を躱すと、エレンに向かって全力で走り出し、そのままの勢いでエレンにぶつかった。

「ブイ……!!」

「エレン!」

 エレンは『きしかいせい』を受けた衝撃で後ろに大きく吹き飛ばされたけれど、傷だらけの体ですぐに立ち上がった。

 ……よかった、なんとか耐えきったみたい。でも、このままじゃヒビキ君達に負けてしまう。さて……ここからどうしたものかな。

 エレンの体力が残り少ないのを感じながらここからの事について考え始めたその時、ヒビキ君はとても嬉しそうな笑みを浮かべながら私に話し掛けてきた。

「ツバキさん」

「……何?」

「ポケモンバトルって、やっぱりワクワクしますね! 昨日は観てるだけでしたけど、実際にやるとそのワクワクや興奮が更に強くなるっていうか……こう、心の奥底から熱くなる感じがするっす!」

「……そう。だったら、もっと熱くしてあげるよ。エレン、『びりびりエレキ』」

「ブイ!」

 エレンは指示に対して頷くと、ホムラに向かって体から電気を放った。すると、ヒビキ君にさっきまでの焦った様子は無く、余裕綽々といった様子でホムラに指示を出した。

「ホムラ、『こらえる』!」

「ヒノ~」

 そして、ホムラは返事をすると、再び地面にしっかりと足をつけて向かってきた『びりびりエレキ』を受け止めたけれど、受け止め終えた後、その場にガクッと膝をついた。

「ほ、ホムラ!?」

「『びりびりエレキ』は電気タイプの相棒技で、ダメージを受けた相手を確実に麻痺状態にする。『こらえる』を選択したまでは良かったけど、迂闊(うかつ)に受けてはいけない技もあるって事だよ」

「な、なるほど……」

「そして、これであの技もようやく使えるようになるよ。エレン、『とっておき』!」

「ブッブイ!」

 エレンは元気よく返事をすると、エレンの体は金色に光り出し、目の前に大きな星形の光を作り出した。そして、「……ブイ!」と気合のこもった鳴き声を発して、星形の光が光線となってホムラに向けて撃ち出されたその時、ヒビキ君は帽子を被り直しながらニッと笑った。

「今更避けられそうもない……だったら、ぶち抜いて攻撃を当てるまでだ! ホムラ、全力で行くぞ! 『フレアドライブ』!」

「ヒノ~」

 ホムラはメロメロ状態のままで応えると、大きな炎を纏いながら『とっておき』へ向かって趨りだした。そして、『とっておき』に真っ正面からぶつかり、しばらく押し合いを続けた後、ホムラは『とっておき』を押し退けながらゆっくりとエレンに向かって進み始めた。

「なっ……!?」

「ブイ……!?」

「よし、そのまま……いっけー!」

「ヒノ~」

 ヒビキ君の声がバトルフィールドに響き渡り、ホムラがあと少しのところまで迫ったその時、「ヒノォ……!」と鳴き声を上げながらホムラは麻痺状態によってその場に膝をつき、それと同時にその体は光に包まれた。

「ホムラー!!」

 再びヒビキ君の声がバトルフィールドに響き渡る中、『とっておき』の光線が静かに消えると、その場には目を回しながら地面に倒れ込んだホムラの姿があった。そして、ウツギ博士はそれを見ると、ホムラへと近づき、ホムラが瀕死状態になっているのを確認してから、私達の方へ手を挙げた。

「ホムラ、戦闘不能。よって、勝者はツバキさん達だ」

 その声を聞くと同時に、ヒビキ君がホムラの元へ駆け寄り、心配そうな顔をしながらホムラを静かに抱き上げるのを見ながら、私は『ポケモンを癒やせる能力』でエレンの傷を癒やした。そして、傷を癒やし終えた後、私はエレンを肩に乗せながらヒビキ君達のところへ向かい、ヒビキ君の腕の中にいるホムラに手を伸ばした。

「ツバキさん、一体何を……?」

「……ヒビキ君、ウツギ博士、今から起きる事に驚かないで下さいね」

 そう言いながら私はホムラに『ポケモンを癒やせる能力』を使った。そして、ホムラの傷が徐々に癒えていくと、その光景にヒビキ君達はとても驚いたような表情を浮かべた。

「すげぇ……ホムラの傷がどんどん無くなっていく……!」

「これは『いやしのはどう』……? いや、でも……人間であるツバキさんがポケモンの技を使えるなんて……」

 ヒビキ君が驚きながらも目を輝かせ、ウツギ博士が興味深そうに私の行動を見守る中、私はホムラの傷を癒やしていった。そして、傷が完全に癒えた後、私が手を下ろすと、ホムラは少し不思議そうにしながらもヒビキ君の顔を見ながら嬉しそうな笑みを浮かべた。

「ヒノ!」

「ホムラ……お前、元気になったんだな……!」

「ヒノ、ヒノヒノ!」

「ははっ、良かったな! ホムラ!」

 ヒビキ君とホムラが嬉しそうに笑い合う中、ウツギ博士は不思議そうな表情を浮かべながら私に話し掛けてきた。

「ツバキさん、今のは一体……?」

「……今のは私が生まれつき持ってる能力で、『ポケモンを癒やせる能力』と私は呼んでいます」

「『ポケモンを癒やせる能力』……」

「それって、名前の通り、ポケモン限定なんすか?」

「うん。でも、どんな身体的な傷や精神的な傷、ストレスだって癒やせるし、手を翳すだけで使えるからバトル中でも状態異常やダメージを癒やす事も出来るよ。まあ、それは流石に卑怯だからやらないけどね」

「たしかにそんな事したら、相手は絶対に勝てないっすからね」

「うん。だから、エレン達の特訓の時や『トキワのもり』で怪我をしてたり人間に心を傷つけられたりしたポケモンを見つけた時くらいしか使わないかな。家族や家のお手伝いさん達にも内緒にしてるし」

「え、そうなんすか?」

「うん、あんまり話す事でも無いからね」

「それなら、どうして私達に話してくれたんですか?」

「ホムラの事を早く治してあげたかったというのもあるんですけど、ウツギ博士とヒビキ君なら内緒にしてくれそうだなと思ったので」

「……たしかにそんな能力を持っているとなれば、それを悪用しようとする奴が出てもおかしくは無いっすね」

「ああ、そうだね……」

「なので、お二人にもこの事は内緒にしていてほしいんです」

「わかったっす! こうしてホムラの事を治してもらいましたし、ツバキさんには特訓バトルにも付き合ってもらいましたから。それに、ツバキさんが悪人に利用されるところなんて見たくないっすからね。絶対に内緒にします!」

「ふふ、そうだね。未来ある子供を悪事に利用するなんてあってはならない事だからね」

「ヒビキ君、ウツギ博士……本当にありがとうございます」

「どういたしましてっす。ところで、さっきのバトルの事で質問があるんすけど……」

「うん、何かな?」

「俺の気のせいかもしれないんすけど、エレンがホムラを見て少し身震いをしていた気が……」

「ああ、よく気付いたね。あれは、エレンの特性である『きけんよち』が発動していたんだよ」

「『きけんよち』……? あれ、イーブイの特性って『てきおうりょく』と『にげあし』なんじゃ……?」

「ふふ……ヒビキ君、バトルの前のウツギ博士の話に何か出てこなかった?」

 その私の問い掛けを聞き、ヒビキ君は難しい顔をしながら考え始めた。そしてそれから程なくして、「……あ、もしかして……!」とヒビキ君が何かに気付いたような顔をした後、私はクスリと笑ってから頷いた。

「そう、『きけんよち』はイーブイの夢特性なの。因みに、ディーネとヴォルト、リートは通常の特性だけど、エレンとイルとシドは夢特性持ちの個体なんだ」

「そうなんすね……」

「それで、他に質問はある?」

「そうっすね……あ、そういえばバトルの時に相棒技っていうのを使ってましたけど、アレは一体何なんすか?」

「それは私も気になっていたよ。ツバキさん、差し支えなければ教えてもらっても良いかな?」

「はい、もちろんです。相棒技はピカチュウとイーブイしか使えない物らしくて、ピカチュウは4種類の相棒技が、イーブイは9種類の相棒技が使えると相棒技の事を教えてくれた人は言っていました。それで私が今回使ったのが、電気タイプの相棒技の『びりびりエレキ』、ノーマルタイプの相棒技でバトル中に一度しか使えない『ブイブイブレイク』なんですが、『ブイブイブレイク』以外の相棒技は一度習得すれば、他の技と同じようにいつでも使えるようになるみたいです。因みに、私はその人から相棒技の教え方を教えてもらったので、いつでもエレンに教える事が出来ます」

「エレンにって……イルとシドには教えられないんすか?」

「なんでも、相棒技を教えるにはその個体に素質がないといけないみたいで、ウチの子達の中ではエレンだけ素質があったみたいなんだ」

「なるほど……」

「まあ、なんでエレンだけだったのかはわからないけどね。でも、だからといってエレンだけを贔屓(ひいき)する気は無いよ。ウチの子達は全員が私にとって愛しい存在で、大切な家族だから」

「ツバキさん……」

「なんて、ちょっと恥ずかしい事言っちゃったかな?」

「いえ、とっても良いと思いますよ、その考え。俺もホムラの事は大切な相棒で家族だと思ってますから!」

「……そっか」

「だから、俺……もっと強くなりたいです。ホムラやこの先出会う仲間達と一緒にもっともっと強くなりたい。ポケモンリーグに挑戦するからには、ツバキさんよりも強くならないといけないっすから……!」

「ふふ、そうだね。今回は勝つ事が出来たけど、私なんてトレーナー的にはまだまだだからね。私だってエレン達と一緒にこれからもっと強くなっていくつもりだよ」

「……へへ、そうっすよね。ツバキさん、改めてこれからよろしくお願いします!」

「うん、こちらこそよろしくね」

 笑い合いながらヒビキ君と握手を交わしていたその時、ヒビキ君とホムラのお腹から突然グーッという音が鳴り出し、ヒビキ君達は顔を見合わせた。

「あはは……さっきのバトルでだいぶエネルギーを使ったからか腹が空いちまったな」

「ヒノノ……」

「ふふっ……まあ、仕方ないよ。それだけ全力でやってたって事だから。それじゃあ、せっかくだしどこかで美味しい物でも食べようか。もちろん、まだお昼前だから少し軽めにね」

「あ、良いっすね! 俺、良いところを知ってるんで案内しますよ!」

「うん、ありがとう」

「へへ、どういたしまして。それじゃあ、ウツギ博士。俺達、ちょっと出てきますね」

「ウツギ博士やレインの分も買ってきますね」

「え、レインはまだしも私も良いのかい?」

「はい。レインを湖で泳がせてもらっていますし、さっきのバトルで審判もしてもらいましたから」

「……そうか。それなら、お願いするよ」

「はい、任せて下さい」

「ウツギ博士、俺のオススメを食っても美味すぎて腰抜かさないで下さいよ?」

「はは、そうならないように気をつけるよ。それじゃあ皆、行ってらっしゃい」

「「行ってきます」」

「ブッブイ!」

「ヒノ!」

 そして、私はヒビキ君の案内に従って、晴れ渡る青空の下を話をしながらゆっくり歩き始めた。




政実「第8話、いかがでしたでしょうか」
ツバキ「今回は相棒技を使わせていたけれど、たしかピカブイは諸事情で未プレイなんだったわよね?」
政実「あはは……実はそうなんだよね。なので、もしもここは違うといったところがあれば、感想などで教えて頂けるとありがたいです。よろしくお願いします」
ツバキ「そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「それじゃあ、そろそろ締めていこうか」
ツバキ「ええ」
政実・ツバキ「それでは、また次回」
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