ホワイトルームの刺客に綾小路の妹もいたら━━━   作:KEI (~ ̄³ ̄)~

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第3話 交渉

      

 

 クソ兄貴と対面した日の放課後、私はケヤキモールのあるカフェに向かっていた。

  

 2年の男子生徒に放課後行くようと言われた店に到着する。ドアを開け店内に入ると、黒髪ロングの女性に「いらっしゃいませ」と言われる。

 

 店内では長くここにいたくなるような心地よい音楽が流れていた。

 初めての味わう雰囲気に私はキョロキョロと店内を見渡してしまう。

 

 いつまで経っても席に向かわない私に黒髪ロングの店員に「待ち合わせですか?」と聞かれ、私は「は、はい。そうです」と少し慌てた感じで答えた。続いて「失礼ですが相手の方のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」と聞かれたので、私はここに招待した人物の名前を答える。

 

 

 

 

 

「─────坂柳有栖です」

 

 

 

 

 

 

 黒髪ロングの店員に案内されるとそこには、銀髪の女性が座っていた。

 

「遅くなってすいませーん。坂柳先輩」

 

 私は先輩を待たせてしまったことに対し頭を下げる。

 

「いえ、大して待っておりませんよ、綾小路優華さん。

 それに、こうやって(・・・・・)会うのは初めてですね。なので最初は自己紹介を。

 私は2年Aクラスの坂柳有栖です。あなたとはこれから友好な関係を結びたいと思っています」

 

「1年Aクラス、綾小路優華、綾小路清隆の妹です」

 

 私は『綾小路清隆』と発言した自分に苛立ちながらもそれを隠し、だらけた挨拶もやめ、目の前の女性に最大限の警戒をする。

 

「あなたが警戒するのもわかります。ですが、いつまでもそのような態度をとってもらうわけには行きませんので────

 

 

 

 

友好な関係を結ぶ第一歩として

 

 

 

 

────チェスで遊びませんか?」

 

 

 

 そう言うと、坂柳有栖先輩はチェス盤を出す。

 

 

 

 

 

 

 

「────ただチェスをするだけじゃないですよね?何を求めるんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が勝ったら2年Aクラスと対等な関係を結んでもらいます」

 

 

 

 

 

 

「そーですか。でも残念なことに私はAクラスのリーダーじゃないんですよ」

 

「なるほど、綾小路くんを退学にさせる(連れ帰る)ことに集中したいのですね」

 

「────っ、そうだけど!」

 

 

「つまり、あなたがホワイトルームからの刺客ということですね」

 

 

「分かっていたんですよね?あなたが私に接触するのが遅かった理由もホワイトルーム出身者だから警戒して………

 あなたなら昨日から、いや、入学した日から声を変えて有望な1年を引き込むはずです!それをしなかった、ということは………見たんですよね?綾小路清隆を見たという日に私も…………ちっ、話がそれてますね!賭けるものはなんですか?」

 

 

 刺客であることがバレることは問題ないと考えてたがこうも簡単に暴かれると流石に気分は悪くなる。

 そのせいか口調が強くなる。

 

 

「では、私が勝ったら1年Aクラスのリーダーとの対話する席の準備をお願いします」

 

 

「(うちのリーダーは面倒なことは嫌いなタイプぽいんだけど…、仕方ないか)───いいよ、要件はそれで。でも私が勝ったら私の邪魔はしないで。アイツは私が倒すんだから!」

 

「できるのですか?欠陥品(・・・)と評されたあなたに?」

 

 薄い笑みを浮かべた坂柳有栖は下から顔を覗き込んでくる。 

 この女がそこまで知ってることに腹がたちつつも───

 

 思わず乾いた笑みが浮かぶ。

 

 

 

 私が、できないと?

 

 私に不可能があると?

 

 満足に身体を動かすこともできないあなたに、私が劣ると?

 

 憤怒が混じった傲慢な感情が湧き上がる。

 

 

 

 

「できるかできないかじゃない!やるんだ!

たとえ死んでも(・・・・・・・)

 それに.........」

 

 私は、机に置かれたチェス盤を指さして言った。

 

 

「あなただって、『コレ』で負けたんですよね?月城の介入がなかったら」

 

 

 その言葉を聞くと坂柳有栖は怒りを含んだ笑顔を浮かべる。

 怒りの向ける対象の半分以上が月城であることを私は願う。

 

 

「……挑発がお上手ですね、理事長代行を思い出します」

 

 

 そう告げると坂柳有栖は並べられたチェス盤の白の方を私に向ける。

 

 

 チェスにおいて先手()が有利である。

 

 それを無条件で相手にはあげる。立派な挑発行為だ。

 

 私も薄い笑みを浮かべる。

 

 

「────ふっ、あなただって!」

 

 

 早速、私はキングの前のポーンを掴み、2マス進める。

 

 

 

 

 

(一方的にボコボコにしてやる。)

 

 

 

 

 

 私は先手()の有利性を活かし、序盤から攻撃的に駒を配置する。それに対し、坂柳有栖は後手()であることを踏まえ一般的に守る────ということは行わず、後手()であるのに攻撃的に駒を動かしてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 中盤、お互いに駒を消耗していく。

 その中で私は坂柳有栖について月城に教えられた情報も加味し分析する。

(なるほど、身体が不自由であっても性格は、好戦的でそれはチェスにおいてもそれは同じ。おそらく、自分の障害になる可能性がわずかでもあれば、攻撃、殲滅することも厭わない人間。それなら………出し抜くことはそれほど難しいことでない、か?)

 そのように結論づけ、クイーンを動かす。

 

 

 

 

 

 

 

 終盤、駒は早いペースを減っていき、残り少ない駒で私はチェックメイトへの道筋を模索する。

 

 お互いに思考時間が長くなっていく。

 

 究極の読み合い。

 

 

 

 

 

 

 その結果は────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ステイルメイトですか───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

坂柳有栖がぽつりと、口を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

私と坂柳有栖の勝負は引き分けに終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「引き分けの際は何も決めてませんでしたよね?」

 

「ええ、ですから今回の件はお互いに水に流すとしましょう」

 

 

「────わかった。でもこれだけは言っておく!

 

最高傑作(綾小路清隆)』を倒すのは私だ!

 

これだけは誰にも譲らない」

 

 

「そうですか。では今回は、これでお開きにしましょうか」

 

「────それでは、先に失礼します。坂柳先輩」

 

「先輩と嫌嫌つけていただかなくて結構です。同い年ではありませんか」

 

一体どこまで把握してるのか?と底知れない怖さを感じながらもカフェを出て坂柳有栖と別れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カフェを出ても、辺りは未だ日の光があたっており、太陽の位置もまだ高い。日が暮れるのにまだまだ時間があるようだった。 

(夕焼け────日没の頃、地平線に近い西の空が赤く染まって見える現象のこと。ホワイトルームにいるときには見れなかったこの現象を見たときは心躍った。世界には、なんて綺麗なものがあるのだろうか、と。最近は美しい夕焼けを眺めれるスポットを探すことが一つのマイブームとなっていた。スポットを探しているときはホワイトルームの役目を忘れることができ心落ち着く……………んだけど、今の状況だと流石に落ち着くことはできない)

 

 

 

 私はため息をつき、だるそうな声を発した。

 

「なんですかー。龍園先輩?」

 

「クク、先輩への口の聞き方がなってねえなぁ。綾小路妹」

 

 

 私の進路を2年Cクラスの龍園一派が遮っていた。

 

 

「ちょっとツラ貸せえ」

 

 

(これがあれなのかなー?学生間で発生するカツアゲというものなのか!)と未知の場面の遭遇だなあと思いにひたる。

 

 

 

 その後、龍園一派に校舎裏───ではなく喫茶店へ連れ込まれた。

 

 先程のカフェとはまた違った雰囲気の店だ。

 

 店員さんがお水を持ってきて「ごゆっくりどうぞ」と言い、厨房に戻っていく。

 私は、この場合どうしたら良いか、わからなかったのでとりあえず、深々と頭を下げることにした。

 

 

「それでー、一体何の用ですか?」

 私はギャルという要素を含んだ口調で話す。

 

「そう急かすなよ。せっかく洒落た店に連れて来てやったんだ。何か頼めよ。それくらい奢ってやるぜ?」

 

「じゃー、この店で一番高いデザートとコーヒーを!」

 

「クク、遠慮ねえヤツは嫌いじゃねえぜ」

 

 龍園先輩が店員を呼びつける。私は、期間限定のパンケーキとコーヒーを頼んだ。「コーヒーはいかがしますか?」と聞かれたのでとりあえず、「食前にお願いします」と頼んだ。

 

注文が完了すると、再度顔を合わせる。

 

「お前を見つけるのに苦労したぜ。なんせ放課後になるとすぐ教室からいなくなるらしいじゃねえか。」

 

「簡単に言うとー、教室いたくないからです」

 

「どういう意味だ?」

 

「優等生の集まりのAクラスにもいるんですよー、バカな奴らが。放課後になると、私にバカ丸出しで気持ち悪い声かけてくる無能が。あっ、目の前にもいました!連日私を探し回ったって言う人たちが!」

 

 私は目を細め言い放った。

 

「おまえ!龍園さんに何言ってるんだ!いくら綾小路の妹だからって…

 

「石崎!!」

 

 龍園先輩が隷属下にある石崎先輩にカツを入れる。

 

 その様子を見ていた私は一つの結論に結びつく。

 

「なるほどー、クソ兄貴(お兄ちゃん)の本当に力について知ってるんですね!」

 

 私は偽りの笑顔を作り、龍園一派の皆さんに話しかける。

 

 龍園一派の皆さんは口を閉じる。

 

 

 

 そして、ちょうど良いタイミングでコーヒーが届く。

 

「あっ、ありがとうございます」と私は言う。未だに店員さんへの対応が慣れない。

 

 

 

「そこまでの分かってるなら、早速質問だ。綾小路清隆、あいつは一体何者だ?」

 

「────うーん。コレでどうですか?」

 

 私は両手をパーにして言った。

 

「プライベートポイント10万ってところか?」

 

「じゅ、10万!」隣の石崎先輩が驚きの声をあげる。

 

 

 

 その反応に対し、

「違いますよ。100万です」

と私は平然と告げた。

 

 

「100万ってあんたふざけてるの?」今度は伊吹先輩が怒鳴る。

 

 

「ふざけてませんよー。実の兄の情報です。簡単に流すわけにはいきませんのでこのくらいが妥当と判断しただけです」

 

 

「クク、言うじゃねえか」

 

 

「それにもし今、ここで私に100万払うならCクラスに付きますよ」

 

 

「ほう」

 

 

「坂柳先輩率いるAクラスに勝てるかもしれませんし、一之瀬先輩率いるBクラスを抜くことも十二分に可能になりますよ。そして、1年生の最優秀生徒が2年Cクラスに付いたという宣伝。その対価にプライベートポイント100万、安い買い物だと思いますけど?」

 

 

「クク、言うな。───いいだろう。」

 

 

 石崎先輩が「そんな簡単に決めていいんすか?」と聞いてるが龍園先輩は考え直す気はないようだ。

(なんとか、うまく話がまとまりそうだ)

そう判断すると私はコーヒーに口をつける。 

 

「あっちぃ」

 

 反射的に口が開いた。

 

(コーヒーってこんなに熱いんだ)

 

 龍園一派の皆さんから呆れた眼差しを向けられる。私はそれを早く回避したかったので龍園先輩と連絡先を交換し「先にお支払いの方よろしくお願いしまーす」と告げる。

 

 

 ポイントが払われる間に私はふー、ふー、と冷めたことを確認しコーヒーを飲む。

 

 

「──ほらよ!払ったぜ。組む相手はこっちで決めさせてもらうぜ。学力A+だから構わねえよな?」

 

「大丈夫でーす」

 

 

「それじゃー、早速教えてもらうぜ。あいつが一体何者なのかをな」

 

 

「はぁー、本当はあまり言いたくないんですけどね」

 

 

「もったいぶるな、さっさと教えろ」

 

 

「───そうですねー。まず、綾小路清隆(お兄ちゃん)は只者じゃない。これは皆さん知ってるんですよね?」

 

 この問いかけに龍園先輩は「ああ」と答える。他の2名、石崎先輩は大きく、伊吹先輩は小さく頷く。アルベルト先輩は反応がなかったが知っていると仮定して話す。

 

「私はまだ、この学校の全ても把握しているわけじゃないですけど、この学校が個人の実力だけで生徒をはかるのであれば

 

───────間違いなくトップ3に入る

 

綾小路清隆(お兄ちゃん)に対抗できる人はいても綾小路清隆(お兄ちゃん)を超える生徒はいない、そう思ってます」

 

「ほーう、ちなみにトップ3に入るほか二人はどいつと考えてる?」

 

「まずは私ですねー、そして、もう一人は……………これについては言えませんね」

 

「あ?なんでだよ?」

 

「そう言う契約だからです」

 

「──ふん、ならいい。この学校でのお前の兄がどうかなんて聞きてえわけじゃねえ。アイツの正体だ!」

 

 

「それについては言えません!」

 

 

「あ?」

 

龍園先輩が明らかに不快は声をあげる。

 

 隣の石崎先輩も「どういうことだ!ポイント払ったじゃねぇか!」と怒鳴ってくる。

 

 

 

 

 それに臆せず私は話を続ける。

 

 

 

 

「綾小路清隆の正体については言えません!

 

 

 が、

 

 

 このことだけは言えます」

 

 

 

 

 

 

 

私はこれまでの表情とは180度変えて言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「綾小路清隆はいや、クソ兄貴は───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『最高傑作』 そう呼ばれていました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最高傑作?何よそれ」

 

「龍園さん、つまり綾小路は超すげぇーやつってことですよね?Cクラスに迎え入れましょう!」

 

「……石崎、お前は黙っとけ」

 

(『最高傑作』すげぇのは分かる。

だが、その言い方だとまるで───────

 それに、兄への嫌悪感、そして、契約者の話。───2、3年の実力者を今更隠すわけがねえ。ということは、こいつと同じ1年の中に実力を隠しているやつがいるってことか。

 

 綾小路 X

 

 目前の綾小路妹(こいつ)

 

 そしてまだ見ぬ強敵 Z

 

 クク、これからも退屈しなさそうだな───)

 

 

 

「それでー、もう要件は以上ですか?」

 

 私は衝動的に現れた本性を隠し、演じる。

 

「───────ああ。時間とらせて悪かったな」

 

「え?龍園さん、それだけでいいんですか?せっかく100万なんて大金払ったのに」

 

「たった一言でもその価値はあった。それに一年の学力一位を引き抜けたんだ。十分だ。………ところで、綾小路妹、お前は何してんだ?」

 

「ふと、思ったんです。コーヒーを2、3倍に希釈してみたらどんな味になるのかと。熱さも解消できて疑問も解ける。一石二鳥です。」 

 

「あんた、変わってるよね」

 伊吹先輩からまたしても呆れた眼差しを向けられた。

 

 そして龍園一派は喫茶店から去っていく。

 

 このあとも有望な1年生に声をかけていくるだろうと推測できる。

 

 

 

「さーて、龍園先輩たちは私の手のひらの上で踊ってくれるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それにしても…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンケーキ来るの遅いー!!」

 

 

 

 パンケーキが注文してからできるまで時間がかかることを私は初めて知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日が傾き、あと一時間ほどすれば夕暮れ時になるといった時間帯に私は期間限定のパンケーキを食し、喫茶店を出た。

 

「龍園先輩奢ってやるっていたのに…」

 

 ケヤキモールの大通りをふらふら愚痴りながら歩く。あのあと龍園先輩一行はパンケーキ、コーヒー代を払わずに出ていったのだ。そのせいで会計の際は店員さんに呼び止められ慌てて3000ポイントの出費。

 龍園先輩の口から"奢ってやろうか?"と質問系で言われただけで"奢ってやる"とか言われてない。

 パンケーキ代は仕方ないと気持ちを切り替える。

 

「でも100万ポイント貰ったから懐が潤ったなー。さてと、これから夕暮れ時までどうしようかなー?」

 

 

「お?あれは?」

 

 

大通りの端、店外に出されている丸い机を囲んでる四人組をが目に入った。

 

 

「見ーつけた」

 

 

私は急に火がついたように笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちはー!クソ兄貴(お兄ちゃん)がお世話になってまーす」

 

 私は丸机に囲ってる幸村先輩、長谷部先輩、三宅先輩、佐倉先輩に明るい声で挨拶をする。

 みなさん突然の出来事にポカンとしてしまっている。

 

「きよぽんの妹さんだ!私は波瑠加、呼びたいように呼んでくれていいよ」

 

「三宅明人だ」

 

「…さ、佐倉愛里です」

 

「清隆の妹だったな。幸村啓誠だ。よろしく」

 

 とクソ兄貴とよく絡んでるいうグループの皆さんに自己紹介をくらう。(すでにあなた達のことは知ってるんだけど……)私は幸村先輩の挨拶に対して疑問を覚える。

 

「んー?啓誠ですか?確かOAAには輝彦とあったと記憶してますが……」

 

 私は疑問をそのまま声に出した。

 

「事情があってな。普段は啓誠と呼ばれている。できれば名字の方で読んでくると助かる」

 

「なるほどー。では幸村先輩とお呼びしますね」

 

「しかし、こうして話してみると清隆とは違ってるな」

 

「違ってる?それは嬉しい(・・・)ですね」

 

 私はその言葉に思わず顔が歪み、氷のような嘲笑を浮かべる。

 その笑みに四人の先輩方は口を閉ざす。

 

「ところで兄は私についてどのように説明を?」

 

負のオーラを消し去り、やや明るい感じで尋ねる?

 

「確か、清隆は大喧嘩中と言ってたな」

 

「きよぽん、武術もやってるって言ってたよね」

 

と、幸村先輩と長谷部先輩が教えてくれる。

 

「なるほどー。そういう感じなんですね!教えて下さりありがとうございます、幸村先輩、長谷部先輩」

 

「あれ?私名字言ったっけ?」

 

「言ってませんよ。ただ私が全校生徒の顔と名前を(・・・・・・・・・・・・・)すべて覚えているだけですよ(・・・・・・・・・・・)

 

「え?それマジかよ?」

 

「マジですよー」

 

三宅先輩の驚きの反応に私は肯定の意を示す。

 

「・・・本当に清隆の妹なのか疑問だな」

 

クソ兄貴(お兄ちゃん)と私は血のつながった兄妹ですよ。でもー、疑問はこっちにもあるんですよねー。」

 

「疑問?きよぽんに何かおかしいことがあるってこと?」

 

 

「えー。OAA見たとき衝撃でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あまりにも─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あまりにも低すぎると(・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

「低すぎるって?」

 

「はい、そうです」

 

「───どういうことだ?清隆は手を抜いてるということか!」

 

 想定通り幸村先輩に少しばかり怒気が感じられる。

 

「ゆきむー、落ち着いてよ。それで、きよぽんの妹のえー、と」

 

「優華です」

 

「それじゃ!ゆうかりんと呼ぶね」

 

「ゆうかりん?ですね…………ゆうかりん、…………ゆうかりん、…………はい、気に入りました!それで聞きたいことありますか?」

 

「もちろんだ。清隆は手を抜いてるのか?」

 

 幸村先輩は不満げな様子で質問してくる。

 

「私は、そう思ってます。四年前と変わっていないのなら」

 

「確か教室でも四年ぶりとか言って綾小路に殴りかかってたよな?」

 

「そうですね。クソ兄貴(お兄ちゃん)とは大喧嘩中ですから───。話を戻します。私が知ってる兄なら、そうですね……学力、身体能力、少なく見積もっても A はあるべきと考えてます」

 

「え、A!」

 

「そうか、清隆は手を抜いてるんだな!」

 

 幸村先輩の怒気がより強くなる。握りこぶしを作り、机がミシッという音を立てる。

長谷部先輩が「ちょっと、落ち着いてよ。ゆきむー」と声をかける。三宅先輩も不穏な表情をする。

 

(これはちょっとな〜、自滅じゃつまらないんだど……)

 私はそこで話の流れを変える。

 

「まぁー、腑抜けてなければ───ですが」

 

「どういうことだ?」

 

「今日、クソ兄貴(お兄ちゃん)とじゃれ合って思ったんです。───衰えたな、と」

 

「お、衰えたって?」

 

 そこで、佐倉先輩がようやく会話に参加する。

 

「四年前の兄の実力なら、私が初撃を放つとすぐに対応され、投げ飛ばされていたはずです」

 

「そ、そんなにか。でもあの宝泉との喧嘩を止めれるって言ってたな」

 

「はい。事なかれ主義と言ってましたが本当は衰えただけと今は思ってます。学力についても同じだと思ってます」

 

「清隆の学力は本当ならもっと高いが衰えたってことか?」

 

 

「はい。ですから、私は、武術と同じで、私と別れての四年、もしくはこの高校に入ってたからの一年のうちに堕落した生活を覚えた。そう思ってます。ここは娯楽施設も多いみたいですから。

『十で神童、十五で才子、二十歳過ぎれば只の人』いやこの場合は、『五、十、で神童、十五歳過ぎれば只の人』

まさに今のクソ兄貴を表してますね───」

 

 

 実際は衰えてないが自分に勝利のイメージを持たせるため、幸村先輩たちをひとまず落ち着かせるため、あえてクソ兄貴に低い評価を言い放つ。

 

 

「・・・清隆が実力を取り戻すにはどうしたらいい?」

 

 怒気が若干和らいだ幸村先輩が聞いてくる。

 

「そうですねー。武術に関していうなら、私や宝泉くんみたいなタイプの人を毎日相手にすればすぐに感覚を取り戻すと思いますよ」

 

 

「・・・なら学力はどうしたらいい?」

 

「単純に競い会うライバルがいれば良いと思います。坂柳先輩とかがいいんじゃないですか?」

 

「あの坂柳が清隆のライバルに?流石にハードルが高いと思うが」

 

「あれー?知らないんですか?クソ兄貴(お兄ちゃん)と坂柳先輩はこの学校に入る前からの知り合いですよ?」

 

「え?」

 

「は?」

 

「マジ?」

 

「ほ、本当に?」

 

 

「本当ですよ!英才教育を受けさせられていたときに面識があるんですよ。あと、これは推測ですが、昨年度の理不尽なクラス内投票の試験、兄がクラス一位になったのは坂柳が綾小路を退学にさせないために支配下にあるクラスメイトたちに"綾小路清隆に賛成票を投票してください"と命じたと考えてます」

 

「え、えーと、つまり、どういう?」

 

「清隆と坂柳が実は裏で繋がっているということだ」

 

「一年の最後の特別試験は綾小路がわざと負けたってことか?」

 

 幸村先輩と三宅先輩が私の話を聞き、そう分析する。

 

(なんでこの人たちは悪い方に話を持って行きたがるのだろうか?まさか、このグループの結束がこんなに脆いとは……

こんなん揺さぶり程度でグループ崩壊とかさすがにつまらないんだけど)

 

「──それはないと思いますよ」

 

「なぜそう言い切れる?」

 

「坂柳先輩の性格が好戦的だからですよ。八百長といった不正には絶対に手を出しません。そういったものを持ち出した者は''せっかくの勝負を邪魔した"としてターゲットにされると思います。坂柳先輩の性格は1年間競い合った皆さんも知っているんじゃないですか?それに兄も坂柳先輩の勝負なら真正面から受けるとそう思ってます」

 

 

「そうか」

 

 幸村先輩が少し安心したところで話を戻す。

 

「話を戻しますね。クソ兄貴の学力を元に戻したいならそういった強敵と競わせるのも一つの手かと思います。現に、先輩方の受けた去年の最後の特別試験、クラスマッチでは最高難度のフラッシュ暗算を的確に答えたと聞いてます。クソ兄貴(お兄ちゃん)もクラスのために今持てる力のすべてを出したんじゃないんですか?だから、坂柳先輩やそれに近い実力の人と競わせれば感覚は徐々に戻っていき、最終的には"すべての錆は落とせる"そう思います」

 

(まぁー、そこまで待つ気はないけどね)

と思いながら即興の作り話を話す。

 

「なるほどな」

 

 

 

「まぁー、これは私が勝手に考えた"推測"ですけどね。幸村先輩が言ったように実力を意図として隠してる可能性もあります。私としてはこっちの方の可能性が強いと思いますけどね」

 

 

「───そうか」

 

 今度の幸村先輩の「そうか」は数十秒前とは逆の感情が込められている。

 

 

「うーん、なんか辛気臭い話になっちゃいましたね。私はこのへんで失礼しまーす」

 

 

 

 そう告げ、私はこの表現し難い空間からの脱出を試みる。

すると幸村先輩に引き止められる。

 

「待ってくれ、清隆の妹!」

 

私は、笑顔を作り、振り返る。

「優華、呼び捨てでいいですよー、名字は嫌いなんで。幸村先輩」

 

「・・・そうか、優華。俺たちさっきまで特別試験のペアを探してたんだ。A+なら十分信頼できる。愛里、もしくは、明人、波瑠加とペアを組んでくれないか?」

 

 この一言から幸村先輩たちは放課後ペア探しをしていたがポイントを高額請求されたのだと予想できる。

 しかし、そのようなお願いをされても私はペアを組むことはできない。

 

「ごめんなさい、幸村先輩。ペアはまだ作れてないですけど、すでに龍園先輩と100万ポイントで契約しちゃってるんですよ!もしそれでも組みたいなら龍園先輩に払う慰謝料含め150万は必要ですよ!」

 

 私は現実を突きつける。

 

「龍園と100万!そ、そうか……なら、仕方ないな……」

 

 

「何かあったら力になりますよー。クソ兄貴(お兄ちゃん)がお世話になってるので。それでは失礼します」

 

 

それで今後こそ立ち去ろうとする。しかし、また───

 

「ねぇ、ゆうかりん!」

 

 今度は長谷部先輩に止められる。

 

「なんですかー?」

 

 私はまた偽りの笑顔をつくり長谷部先輩の顔を見る。

 

「ちょっと、聞きたいんだけど。ゆうかりん、なんできよぽんのことを"お兄ちゃん"って言ったり、"兄"って言ったり、"クソ兄貴"って言ったりバラバラなの?口調も不真面目な感じかなと思ったら、真面目そうに話すし、きよぽんも喧嘩中って言ってたし……二人の間に何があったの?」

 

 

 

 

 

 

「過去の詮索はやめてほしいですねー」

 

 演技が不十分な私の癖を見抜いたその質問に私はだらけた声で返答する。

 

そして、表情を180度変える。

 

 

「ただ、一つ言えることは───

 

 

 

昔の私は『お兄ちゃんが大好きだった(・・・)

 

そして、

 

今は『クソ兄貴を殺したいほど憎んでいる』

 

 

ただそれだけですよ」

 

 

 

 そう告げると私は踵をかえし、去っていく。

 

 

 

 綾小路グループのみんなは衝撃的な発言を受けて固まっていた。

 

 そのせいか「なぜ1年生の綾小路優華が昨年度の特別試験の詳細な内容と結果を知っているのか?」その疑問にたどり着かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ兄貴とあの人たちの人間関係脆すぎない?揺さぶりだけで崩壊しそうになるとか、あまりにもひどすぎて思わずフォローしちゃったし…。まぁ!私が倒すからいいんだけどね!」

 

 

「それにしても、自分でも穴だらけってわかるぐらいの演技だったけど、まさか、長谷部先輩なんかに気づかれるとはね…どうも、クソ兄貴関係になると歯止めが効かないなー」

 

 

「まあーでも、クソ兄貴グループの人間関係不仲工作、こんな感じでいいよね?」

 

 

「だって、このまま実力を隠せるとかないからね」

 

 

「綾小路清隆は意図的に実力を隠している、そう確定したとき幸村先輩は、あのグループはどうなるんだろう?不和は生じるのかなー?」

 

 

「そう思うと、すっごくゾクゾクしてくる」

 

 

「あー、その時がとっても楽しみだなー。あのグループも2-Dも………

 

 

めちゃくちゃにならないかなー」

 

 

 

 相手に苦痛を与えて喜ぶサディズムの性向を持つ一人の女子生徒が悪魔のような笑みで呟いていた。

 

 




 一週間ほど前にだいたいできてたんですけど、あーでもないこーでもないと試行錯誤してるうちにこんなに日数が……


今回の話をまとめると、
・坂柳有栖との対談、チェスドロー
・龍園翔と100万ppで手を組む
・清隆抜きのグループのみんなとの会話
・幸村たちいろいろ知る
・優華、クソ兄貴関係になると歯止めが効かない
・優華、サディスト?




 たぶん、ホワイトルーム生って自然現象とか見たこともないんじゃないかなぁー?虹とか知ってても見たことなさそう









 初の1万字越え!ガンバッタ!
 それから、2話の時点で、7月18日に二次創作日間ランキング100位に載りました!
 (びっくりしすぎてスクショ2回も取りましたww)
 読んでくださり本当にありがとうございます!





 今後の展開ですが、自分の独自考察なども踏まえ書こうと思います。
(天沢ちゃんとか同じAクラスなのに接点なくね?って思った方もいると思います。


 だって!先が全く読めないんだもん!でも続き書きたいから!!!!)
そのため、数ヶ月後に「原作と全く違う展開にー!」ってなるかもですが……自分!どうしても!書きたいので!捏造設定で書きます!理由は書きたいから!

 ですのでここからは自分が考えたIFで書きます!

(日本語めちゃくちゃになってるw)

 ですのでそれでもよいというからこれからもよろしくお願いします。






 次回は2年生編1巻のあのシーンを!
 『アイツ』がもう一人の刺客として書きます!(たぶん)
 




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