【試走】がっこうぐらし! RTA 学園ヒーロールート【完結】   作:haku sen

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感想、評価並びに誤字脱字報告ありがとうございます。

今回、短い上に色々とゴリ押しなところと、変なところがあります。実況風というか、醍醐味でもある前半のパートがすっからかん過ぎてヤバイ。


Part8 回顧の日常

 

 

 大いにガバっていく実況プレイはーじーまるーよー。

 

 あー、腹が減ったメシだ、メシ。といった具合に生徒会室に戻ってきたところからスタートです。

 まあ、言っても惣菜パンとか何ですけどねー。因みに夕飯はカップラーメンになります。

 

「皆、昼から気張らしに勉強でもしませんか?」

 

 おっ、前々回言っていた授業イベントですか。うーん、グッドタイミングです。流石めぐねえ、分かってるー。

 

 さて、授業イベントですが提示された問題は出来る限り答えていきましょう。衒学(げんがく)的な人間は嫌われますが、今回の場合に限り好感度が上がります。簡単な問題であってもドヤ顔してやりましょう。

 

 学力に関しては完全にランダムですが、幼馴染みシステムを採用していると、キャラによって加算されたりします。

 今回、めぐねえということもあって学力に関しては問題なさそうですね。でも、りーさんとみーくんには負ける模様。教師が従姉だというのに、この体たらく。

 

「──この語句の読み方が分かる人?」

 

「はい! ときどきあめ!」

 

「ある意味、正解……か?」

 

「えっ、違うの!?」

 

 うん、可愛い。それ以外の言葉はフヨウ! 終わり! 

 因みに答えはしぐれ、ですね。止まない雨はないよ……by 時雨。

 

 そんなこんなでイベントを消化しつつ、好感度を上げてきましたが、果たして……。

 

 

 ちょっと照れ顔のりーさんは『友人』。

 

 キリッとした笑顔をしているくるみちゃんは『親友』。

 

 にぱーっとしているゆきちゃんは『友人』。

 

 純真な乙女の笑顔を浮かべているチョーカー姉貴は『親友』。

 

 相も変わらず満面の笑みを浮かべているめぐねぇは『従姉』

 

 

 ウゾダドンドゴドーン!! 

 

 りーさんが照れただけじゃねぇか!?

 

 はぁ......(クソデカため息)うせやろ? あほくさ。辞めたらこの── 

 

「ねっ! キャンプしよ! キャンプ!」

 

 ──オッケー、準備は任せろ。(手のひらくるー)

 

 と、勢いで言いましたがキャンプするフラグいつ立った? 別に雨とか降っているわけじゃないし……まあ、いいか。

 これは、神様がくれた救済処置に違いありません。ありがたく使わせていただきましょう。

 

 キャンプは、本来ならば二回目以降の雨の日に起きるイベントです。

 これは、授業イベント同様に全員の好感度を上げてくれる上に、睡眠時の回復量も跳ね上がります。理由は分かりません。

 

 後は、積極的にゆきちゃんに話しかけて好感度を稼ぎましょう。

 

 えーっと、確かここら辺にテントが……小さい、小さくない?

 

 ホモくん、めぐねぇ、ゆきちゃん、くるみちゃん、りーさん、チョーカー姉貴、太郎丸……五人の定員にして六人プラス一匹ですか。

 まあ、太郎丸は数に含めないにしても、誰かは仲間外れになりますね。

 

 うーん、ここまで来てイベント自体を無くすわけにも行きませんし、ホモくんを抜かせば本末転倒……。

 よし、ここはめぐねえ一択ですね。好感度が一番高いですし。

 

「──じゃあ、よろしく本城。 まあ、後で差し入れするからさ」

 

 んなことだと思ったよ、コンチクショー!

 次はもう助けてやんねーからなっ! 覚えてろよ! 

 

 しかし、この好感度で除け者とは……ホモくんだから? ホモがくんだからいけないのか? ホモをちゃんにすれば──

 

「──わんっ!」

 

 おお、太郎丸……お前だけが唯一の──イタッ!? 甘噛みじゃない!? あっ、ちょ、そのリュックサックを漁らないでぇー!?

 

 畜生ォ!! 持って行かれた……!!(お菓子)

 

 はぁ……仕方ありません。食料庫(大型冷蔵庫)がすっからかんなことを祈りましょう。

 はい、じゃあ、もう寝ます。やることないし。

 

 ほら、太郎丸。お菓子上げるからこっちにおいでー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あーたらしいあさがきたー。きぼーうのあーさーがー。

 

 希望とはほど遠い現実ですが、おはようございます。むっ、なんかまーた回復している量が……って、太郎丸を抱いていました。

 

 太郎丸を抱いて寝るとこのように、平均以上に睡眠時の回復効果を得られます。

 

 べ、別に昨晩のことは忘れたわけじゃないんだからね!

 

 

 っと、言ったところで今回はここまでです。

 ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 

 

 

 

「いただきます」

 

 朝食時のように全員が席について、両手を合わせた。

 目の前に置かれる包装されたパンの袋を開け、スポンジのように柔らかい生地の感触を感じながら、その表皮に歯を立てる。

 

「ん~、美味しい!」

 

 甘く、柔らかいこの感触が懐かしい。これも、ほんの数日前まで普通に食べていたというのに。

 

 それぞれ、各々が手にする菓子パン、惣菜パンの味を楽しみながら(めぐみ)の報告を聞いていた。

 

「じゃあ、特にそれらしきものは無かったってこと?」

 

「全部ひっくり返したし、なんなら校長室も漁ったけどね」

 

 悠里(ゆうり)の言葉を菓子パンにかぶりつきながら答えた貴依(たかえ)は、少しだけ疲れたように咀嚼する。

 結局、それらしき物は全くなく、あると言ったら今は何の役にも立たない紙切ればかりだった。

 

 そのまま、微妙な雰囲気を占めつつあるなかで、貴依はふと思い出すように言った。

 

「ゆき、アンタの小テスト結果、散々だったよ」

 

「……えっ」

 

 何の脈絡も無く言われた言葉に由紀は呆けたように貴依を見る。

 

「因みに何点なんだ?」

 

「んー、確か十点中二点?」

 

「えぇっ!?」

 

 胡桃(くるみ)の問いかけに答えた貴依の言葉は、由紀に衝撃を与えるには十分だった。

 

「そ、そういう貴依ちゃんは何点だったのさ!?」

 

「……どうだったかな。忘れた」

 

「怪しい! めぐねぇ、教えて!」

 

 さっ、と目を反らした貴依を見て瞬時に察した由紀は、めぐねぇに詰めかけるように問う。

 

「え、えっと……」

 

 鬼気迫る勢いで見つめる由紀と、無言の圧をかけてくる貴依。

 二人の視線に困った風な表情を浮かべながら周囲を見渡すが、部外者を決め込む三人は耳しか傾けてない。

 どうしようか悩んでいる慈の脳裏に、ふとあることが降りてきた。

 

「皆、昼から気晴らしに勉強でもしませんか?」

 

「勉、強……?」

 

 期待していた返答とは大きく違う言葉に由紀の思考は止まる。

 正確に言うなら嫌いな言葉が出てきて、本能的に思考を止めたと言ったところだろうか。

 

「いいんじゃない?」

 

「はい、私もいいと思います」

 

 こんな状況で、とは思いつつも肯定を示した幹久(もとひさ)と悠里の二人。

 

「え、いやいや、二人とも。ちょっと待ってよ」

 

 由紀は立ち上がり、それりゃあねぇぜ、と額に汗を浮かばせながら口元を歪ませる。

 

「勉強だよ? あの、勉強をしようって言ってるんだよ?」

 

「別に昼からすることもないし」

 

「ゆきちゃん、たまにはね?」

 

「いやいや、二人とも……そもそも勉強は────」

 

 由紀の熱弁? も空しく、簡単な昼食を済ませた全員は教室へと移動するのだった。

 

 がらん、とした教室に人数分の机が準備され、そこへ生徒である彼女たちが座り、こちらを見ている。

 懐かしい。本当に懐かしく感じる視線と教卓からの景色。前とは雰囲気も風景も随分と違うが、それでもこうしてまたここに立つことが出来たことが慈は嬉しく感じた。

 

「それじゃあ、号令を……そうね、本城くん。お願いできる?」

 

「ん、起立」

 

 椅子を引く音、生徒が立つ光景。そんな当たり前の光景が目の前に広がっている。

 

「礼──」

 

「「──お願いします」」

 

 ああ、本当に……。

 

「着席」

 

 全員が席に着いた後、少しだけ慈は呆けるように余韻を噛み締めた。

 そして、慈も切り替える。ここからは何時もと変わらない授業なのだから。

 

「──この語句の読み方が分かる人?」

 

 最初のウォーミングアップも終わり、授業も中盤へと差し掛かった辺りで、慈は問題を出した。

 黒板に書いた『時雨』という二文字。その漢字の読み方を全員に投げかける。

 

 その中で、由紀は大きな声で手を上げて答えた。

 

「はい! ときどきあめ!」

 

「ある意味、正解……か?」

 

「えっ、違うの!?」

 

 胡桃の言葉に由紀は驚いたように反応する。

 

「いや、それを言うならときあめ、じゃないか?」

 

「ああ、そっか。『(アレ)』がないもんな」

 

 幹久の言葉に納得するような声を上げる胡桃。

 その横で答えに自信があった由紀は、ただただ困惑しか無い。

 

「じゃあ、恵比須沢さん。答えられる?」

 

「しぐれ」

 

「なんで、お前が答え──何だその顔っ!?」

 

 胡桃が答えようとした瞬間に横合いから答えが飛び出してきた。

 そして、それを答えた幹久はこちらを見下すような表情を……言うなれば、ドヤ顔を浮かべていた。

 

「うざっ……めぐねぇ! 次の問題だ!」

 

「え、ええ?」

 

「現国なら負けないぜ?」

 

 置いてぼりを食らい、落ち込んだ様子を見せる由紀を余所に始まった二人のバトル。

 

 しかし、そんな二人のバトルに意外な人物が一石を投じた。

 

「──さみだれ、ですね?」

 

「えっ、よ、よく分かったわね。若狭さん」

 

「なっ!?」

 

 黒板に書かれた『五』という一文字だけ。それだけで問題を予測し答えて見せた悠里に、肝心の二人は衝撃を受けたように固まる。

 

「っ、次の問題だ、めぐねえ」

 

「ああ、望むところだ」

 

「ふふっ……」

 

 三人は椅子に座り直し、今まで以上に黒板へと集中する。その様子はまるで期末試験の真っ只中を彷彿とさせた。

 

 気が張り詰め、最小限の音しか鳴らず、何処か息苦しさすらも感じるほど、あの特有の空気が三人を中心にして渦巻いている。

 

 その様子を見て力が入るのは、やはり教員だからか。

 真剣に授業を臨もうとしている生徒たちの熱に当てられた慈も、同じように真剣な表情を浮かべる。

 

 そして、ついて行けてない二人はお互いに顔を見合わせて、肩を竦めた。

 

「まっ、私たちじゃあ理解できないことだな」

 

「だね、貴依ちゃん」

 

 ただ、その授業は今までにないほど楽しいものだった。

 

 

 

 

 

 

「──ねっ! キャンプしよ! キャンプ!」

 

「キャンプ?」

 

 夕食後、唐突に由紀がそんなことを言い出した。

 その発言に、全員は何事かとその視線を向ける。

 

 由紀の勝ち気な笑顔から手元の方へと視線を移せば、つい最近見たことがある本の表紙が目に入った。

 同年代と思われる少女たちがテントとランプを背景にして映っているアウトドア関連の本。

 

 それだけ、全員が勘づく。

 

「ゆき、流石にキャンプは無理でしょ」

 

 由紀の思うキャンプがその本に載っていることならば、間違いなく無理だ。

 

「違う違う、貴依ちゃん。室内でキャンプするの!」

 

「……はあ?」

 

 イマイチ分からない、といった風に首を傾げる貴依。それは、他の胡桃や悠里も同じだった。

 ただ、一人を除いて。

 

「ああ、室内(ここ)にテント張って、雰囲気だけでも楽しむってことか」

 

「そう! 流石はもとくん!」

 

「なんで分かるんだよ、お前……」

 

 イエーイ、とハイタッチする二人に全員は苦笑いを浮かべる。

 

「確かテントってあったよな?」

 

「ええ、あるにはあるけど……」

 

 善は急げと言わんばかりに、幹久はテントを引っ張り出して広げてみた。

 しかし、それは全員が入るには小さく、悠里が心の中で懸念していた通りの事実が目の前に広がっている。

 

「これは……」

 

「どうする?」

 

 テントを折角広げたというのに、直ぐに畳んでしまうのは少し勿体ない。ここにいる全員が、その由紀が持っていたアウトドア本を読んでいるため、やってみたいとは思っているのだ。

 

 あの雰囲気を味わうためにも、出来ればテント内で寝たい。

 しかし、全員は入ることは出来ず、誰か一人は外で寝ることになる。

 ならば、その一人はどうやって選ぶか。

 

「ここは先生が──」

 

「──じゃあ、よろしく本城。まあ、後で差し入れするからさ」

 

 大人であり、先生という立場があるため慈は自分から遠慮しようとしたが、それを断ち切るように貴依が幹久を決定事項のように決めつけた。

 

「おう……え?」

 

 反射的に返事をして、二秒ほど経ってから惚けたような声が幹久から発せられる。

 

「まあ、それが妥当か」

 

「そうね」

 

 胡桃、悠里は何故か貴依の決定について特に意を唱えることなく、加えて何処か楽しげに賛成の意を示した。

 

「いや、でも、みん──むぐっ」

 

 由紀は自身が言い出した手前、やはり仲間外れがあるのは見過ごせない。

 故に、そのことを伝えようとしたのだが、その口を貴依によって塞がれてしまう。

 

 そして、貴依は由紀の口を押さえたまま言った。

 

「少しの間だよ。寝る前になったら呼ぶって」

 

「……あっ、なるほど。分かった」

 

 その言葉の意図を読み取った幹久は納得がいったような表情を見せる。

 そして、今度は由紀に貴依は耳打ちした。

 

「むう~……ぷはっ、もう貴依ちゃん! そうならそうって言ってよ」

 

 女子会、という単語を貴依から聞かされた由紀は幹久と同じく納得いく様子を見せるが、やはり罪悪感があったのだろう。

 申し訳なさそうに由紀は幹久へ謝罪の言葉を口にした。

 

「ごめん、もとくん」

 

「別にいいって。キャンプに見張りは付き物だろ?」

 

 トントン、と由紀が持っていた本を指で叩かれる。確かに、この本にもそう言ったことが書かれていた。

 

「じゃあ、そろそろ始めようぜ」

 

「りょーかい」

 

 胡桃の言葉を皮切りに幹久は部屋から出て行き、彼女たちもテント内へと入っていく。

 

「えっ、あの、皆さん?」

 

 約一名、ついて行けてない慈はテントから自分を呼ぶ声があるまで、混乱していた。

 

 

 

 テント内の中央に置かれたランプを囲うようにして、全員は座る。

 

「おー、雰囲気あるね」

 

「そうね。こういう時は怪談とかいいわよね」

 

「「えっ」」

 

 悠里の言葉にほぼ全員が拒絶的な反応見せた。

 

「ふ、雰囲気はあるけど……」

 

「私はパス!」

 

「いいんじゃない?」

 

「せ、先生もちょっと苦手かな?」

 

 貴依を除く全員が不安げに顔を顰めた。

 しかし、その反応を見て悠里の顔に影が差し、雰囲気もまたちょっと違うものへと変わる。

 

「……知ってる? 今日みたいに明かりが少ない日は──」

 

「ちょ、ダメだって言ってるじゃん!?」

 

「もうっ、楽しいのに」

 

 胡桃が慌てて悠里の怪談話を止める。どうやら、悠里はちょっとサディスト傾向にあるらしい。

 

「じゃ、じゃあ、貴依ちゃんは何かある? 怖い話じゃなくて」

 

「私? うーん、そうだな……」

 

 由紀に話題を振られた貴依は少し悩む素振りを見せる。

 そして、ふと貴依は前から気になっていたことを口にした。

 

「先生さ。本城と結構仲良いよね」

 

 ちょっとニヤついた笑みを浮かべて、何かを探るように聞いてくる貴依に全員は「ああ、そっか」と妙に納得したような表情を浮かべる。

 

「貴依ちゃん。それ、もうやった」

 

「……はぁ!?」

 

 それから事の顛末を聞かされた貴依は少しガッカリした様子を見せつつも、何処か安心したような雰囲気を見せた。

 

「従姉弟だったんだ……」

 

「あ、あはは……」

 

 恐らく貴依は何か禁断の恋的なものでも期待していたのだろう。

 だが、蓋を開けてみればただの半分血の繋がった親戚同士。それも、言うなれば姉と弟のような関係ときた。

 

「なあ、柚村」

 

「はぁ……なに?」

 

 何とも言えない雰囲気を醸し出していた貴依に胡桃は率直に聞く。

 

「もしかして、幹久のこと憎からず思ってる?」

 

「ぶっ!? な、な、なっ!?」

 

 好きなの? とは言わなかったものの、それはもうそう聞いていると言っても過言では無いだろう。

 故に、そう捉えた貴依は顔を真っ赤にして否定しようとするが、その肝心の言葉が出てこない。

 

「あ、いや、そ、そう、いうんじゃな、くて……」

 

 焦っているためか呂律が回らない。

 その上、気恥ずかしさが頭の中を真っ白にする。

 

 遂には、俯きながら羞恥に震え始めた。全員は、そのショートした頭から白い湯気のようなものを幻視する。

 

 そのまま少しした後ぽてっ、と身体を布団の上へと倒して、貴依はうめき声を上げた。

 

「あぁ~、もう、何で私がぁ……」

 

「自分から墓穴を掘ったな」

 

 自分がこうなるとは思っていなかった。ちょっとした打算があって幹久をわざわざ追い出したというのに。

 

「そ、そうだったんだ……め、めぐねえ! どう思う!?」

 

「え、ええっ!? 私に聞くの!?」

 

 両手と首を横に振って、辞めてほしいと悲願するが、由紀からの熱い視線は変わらない。

 それに、気がつけばその視線は悠里や胡桃からも来ていた。

 

「……はぁ、私からは何とも言えないのが正直なところ、かな」

 

「と、言うと?」

 

「私がもとくんのあれこれを言うつもりはないし、そんな資格も無い。ただ、やっぱり今の状況を考えると……」

 

 これが前と同じ環境だったら、また違ったかもしれない。

 素直に喜んでいたかもしれないし、何か複雑な気持ちを抱いていたかもしれない。

 

 だが、どっちにしろ、今のことを思えば素直に分からないとしか言えないのだ。

 

「あっ、ご、ごめんね? 暗い方向に持っていちゃって!」

 

「……いや、別に私もあれこれ言うつもりはないし」

 

 慈の言葉に貴依は身体を起こしながらそう言った。

 

「気持ちは伝えないの?」

 

 悠里の言葉に貴依は少しだけ悩んで、そして笑顔を浮かべて言った。

 

「いつかは言うよ。少なくとも今じゃない」

 

 バレてしまった、ということもあるだろうが、それを除いたとしても貴依は随分と吹っ切れた様子を見せた。

 

「じゃあ、そろそろ寝ましょうか」

 

「あっ、私もとくん呼んでくるー!」

 

 由紀の言葉に貴依はビクリと肩を跳ね上げた。心なしか顔が赤くなった気がする。

 

「っ、何だよ」

 

「いや、別に? なあ、りーさん」

 

「ええ、青春だなって」

 

 二人の言葉とニヤついた顔に怒りと羞恥が混じり合う。

 吹っ切れたと言っても、今さっきともなれば嫌でも意識してしまうのだ。

 

「……にしても遅いな、ゆき」

 

「そうね。少し様子を見に行きましょうか」

 

 呼びに行ったにしては余りにも時間が掛かりすぎている。

 少しの不安を持って、残った全員で外へと出てみればオロオロしている由紀が目に入った。

 

「おい、ゆき──」

 

「しー、静かにっ」

 

 声を潜めながらそういう由紀に全員は首を捻る。

 そして、由紀が見る方向に顔を向ければ、そこには太郎丸を膝に乗せたまま、一緒に眠る幹久の姿があった。

 

 背を壁に預け、丸まった子犬を膝に乗せている姿は妙に絵になっている。

 

「どう……する?」

 

「……そのままにしときましょうか」

 

 慈の言葉に全員は頷いて、部屋へ戻っていく。

 

 その最後、貴依は全員にバレないようにそっと幹久に向かって口を動かした。

 

 

 

 




本当は匂わせる程度だったんです。今回もそこまでで留めておくつもりが……割とスランプ気味です。

後、ホモくん廊下で寝てます。ええ、はい、廊下で寝てます。何か問題でも?

と、まあ、色々とおかしいのと、言いたいことも一杯あるんですが、それはこれを終わらせた後の感想時に謝罪するので大目に見てください。

次は早めに投稿しますし、番外編的なものも書くので許して。
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