【試走】がっこうぐらし! RTA 学園ヒーロールート【完結】   作:haku sen

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感想、評価並びに誤字脱字報告ありがとうございます。
宣言通り早めに出せたけど、過去一番短い上に低クオリティ……終わったら再走もするし、番外編的なもの出すから許して。





Part9 愍然たる思い出

 

 

 当初とは全然予定が違う実況プレイはーじーまるーよー。

 

 さて、簡単に朝食を済ませたら、食料庫の襲撃に直ぐさま行きましょう。昼時を狙うなど言語道断です。(3敗)

 

 今回の食料庫襲撃メンバーはホモくん、熟練のエンピ使いとなったくるみちゃん、隠し病みキャラのりーさんの三名で行きます。

 ホモくんとくるみちゃんはお察しの通り戦闘要員です。そこに何故、りーさんが加わったかと言うと、彼女は『目利き』という技能(スキル)を持っているからなんですよ。

 

 食材の状態は勿論のことですが、他にも各種アイテムの劣化具合も分かりますし、レベルを上げれば各キャラの体調すらも『目利き』できます。

 

 今のところ、まだ電気等はちゃんと機能しているので問題はありませんが、今から手に入れる食料はやはり生鮮食品。

 何かに当たって動けなくなったりしても困りますし、病気にでもなったらソレこそ終わりです。

 

 なので、最初の雨の日を乗り切った辺りから絶対に『目利き』を持つキャラを連れて行きましょう。

 

 今回、道中の戦闘は避けます。じゃないと昼時に間に合いませんし、間に合っても帰る時に囲まれてしまいます。

 ですので、伝説の傭兵ばりのステルスで行きましょう。技能を上げるなんて無かったんや。

 

 ササッ……コソコソ……チラッ、ズリ、ズリ……チラッ。こちらホモ。コレよりミッションを開始す──

 

「……何やってんだ、お前?」

 

 んもー、くるみちゃん! 君は本当に邪魔ばかりして! こちとらホモよ!?(謎)

 

 いや、しかし随分と多くなってきていますね。ぼちぼち遠征や遠足をしていた学生が戻ってきているようです。早急に食料を奪取して戻りましょう。

 

 ちーっす、三河屋でーす。誰か居ませんかー?

 

「よし、大丈夫そうだな」

 

 幸い、厨房のおばちゃんは居なかったみたいです。居たらいたで、ちょっとだけ経験値になったんですが……残念です。(外道)

 

 さあ、食料を漁りましょう。ホモくんのリュックサックにはもうお菓子が一杯ですので、入らないですが、くるみちゃんとりーさんのバックに詰めれば数日はご馳走にありつけるはずです。

 

 ですが、今回はそれが狙いではありません。寧ろ、ご馳走などいらぬ。

 

 さあ、頼む! すっからかんであってくれ! 無理なら中途半端でもいい!

 

「これなら、しばらく食料に困りそうにないわね」

 

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛も゛う゛や゛だ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!

 

 だが、私は諦めん! まだだ! まだ、終わらんよ!

 

 俺たちの戦いは、これから────

 

 

 

 

 

 

 

 

「──カレーだっ!!」

 

 ダメだったよ……。

 予見していた通り『説得』という選択肢がそもそも出ませんでした。誠に遺憾です。これまでの時間そのものが無駄になりました。

 

 まあ、コレばっかりはもう仕方ありません。こういう制約は通常プレイならば付き物です。

 だからこそ、『学園ヒーロー』の好タイムを目指すなら適応者ルートが前提となるんですよ。こういったもの軒並み回避出来ますし。

 

「ふふっ、どうやら美味しくできたみたい」

 

 ぺっ! ああ、美味しいぜ。この敗北の味はよぉ~?

 

「……口に合わなかった?」

 

 いや、凄く美味しいです。マジで、美味しいです。ええ、はい。

 

 りーさんに対してメンタルダウンするような言葉や行動は控えましょう。こちらがメンタルブレイクするはめになります。

 

 ここが怖い! 隠し病み属性の若狭悠里! っていう題名で攻略チャートがあるぐらいですから。おお、こわいこわい。

 

「あ、そうそう。みんな見て欲しいものがあるんだけど」

 

 あらま、それはまたレア物を拾ってきましたねー。

 

「ポラロイド、カメラ?」

 

 んー、まあ別に必須というわけではないアイテムの一つですね。

 写真を持っていると、多少なりともSAN値を回復しますが、それならば、お菓子等の趣向品で十分です。

 

 利点としてはキャラ目線の一人称でギャラリーを埋められるぐらいですかね。正直、現状としては無用の長物と言っても過言では無いでしょう。

 

「ほら、もとくんも入って入って!」

 

 いや、だから無用の長物……ええい、貸せ! 私が撮る!

 

 ほら、笑って笑って……ああ、いいね! そうそう、いいよぉ!

 じゃあ、次は少し脱いで──え? そういうのじゃない? そっかー。

 

 残念ながらそういった機能はありません。期待していたノンケの兄貴たちはすまん。多分、他の誰かやってくれると思うから。(他力本願)

 

 はーい、じゃあもうイベントも終わったので寝ます。私に残された手段は少しでも多く、ホモくんを回復させることです。

 だから、太郎丸。お前が必要なんだよ!(迫真)

 

「わんっ!」

 

「わっ、ぷ! あははっ、くすぐったいよ~」

 

 なんでや。今日の朝まで一緒に寝たやろ。

 

 そうやって、私のことを捨てるのねっ!? 

 

 ……むぅ、ホモだから行けないんでしょうか? となると、ホモちゃんになることも視野に入れておかねば……。

 

 じゃあ、おやすみなさーい。

 

 

 

 

 

 ──寝ると思っていたのか?

 

 はい、残念ながらホモくんには寝ている暇はありません。ショッピングモールに行けない以上、無理矢理にでも上げるしか無いでしょう。

 

 ちょうど、日数が経っていますからね。食料庫強奪時にも増えていることを確認済みですので、これによって真夜中のお仕事へ向かうフラグが立っております。

 

 幸い、今までの行動で結構回復出来ていますので、多くて二回は正面切って戦えると思います。ただ、それ以上はガブっといかれると思うので注意しましょう。

 

 では、いざ参る!

 

 おおっ、バリケードを越えて辺りに既にもう居ます。一体だけですので、原作でもくるみちゃんがやっていたように、陽動からの足払い、そしてトドメの一撃を食らわせてやりましょう。

 

 ただ、まだここは三階ですので余り音を立てないように。普通に誰かしら起きてしまいますからね。

 陽動は……勿体ないですが、お菓子で良いでしょう。

 

 ほーら、お菓子よー。

 

 ……よし! 一発で釣れましたね。では、がら空きとなっている足下を払ってやりましょう。せいっ!

 そして、尽かさずていっ! 念には念を入れて、ていっ!

 

 ふぅ、久しぶりの戦闘ですが問題無かったですね。ただ、ホモくんのSAN値が通常より多めに減ってしまいました。

 

 これは、一日の間に日常が挟まれると起こる乖離現象です。

 ちょっとだけ麻痺していた感覚が、こういった行為によって無理矢理現実に戻されるようなものですかね。

 

 ただ、次からは通常通り戻りますので大丈夫ですし、これを繰り返すうちにその乖離現象自体無くなります。

 

 ああ、それと死体はちゃんと片付けて起きましょう。でなければ、朝の見回りの時にバレてしまいますからね。

 

 はい、まず周りを確認して……よし、ではそれを見えない位置に持って行きましょう。絶対に階段の方に流してはいけません。

 場合によってはその死体がスロープとなって、自分の首を絞めるはめになりますからね。(3敗)

 

 まあ、見えなければ大丈夫ですので物陰に隠しておけば大丈夫でしょう。何か違うゲームになってる気がしますが、気にしてはいけません。

 さあ、こんな感じでじゃんじゃん狩っていきましょうか。まあ、無理は出来ませんし、時間もそんなにありませんので、じゃんじゃんは狩れませんが。

 

 

 おっ、あんなところに黄昏れているじゃあ、あーりまーせんか。ちょっと背後失礼。

 

 あっ、ちょ、団体様は対応出来ないので、二度と来ないで下さい。お願いします、何でもしますから。

 

 ……ケッ、大勢で来ればいいってもんじゃねぇってのによ。ふざけやがって。(震え声)

 

 おほっ、あんなところにまた一人だけのヤツが……むっ! この気配は! やはり、物陰に一人隠れていましたね。割と角待ちしているヤツは多いんですよね。

 だが、分かってしまえば造作もありません。かかったなアホが!

 

 

 ──ふぅ、こんなものですかね。何とかスキルポイントは獲得出来ました。速攻で『剣術』に振っておきましょう。

 これで、この弱体化したホモくんでも最初の時みたいに戦えるはずです。最初の鬼門でもある雨の日も問題無いでしょう。

 

 さあ、パパッと証拠隠滅して戻ります。撤収、撤収せよー。

 

 後は、シャワー等浴びたらまた寝ます。少し寝不足になりますが、元々弱体化していますので、回復量的にちょうどいいはず。

 

 ……よし、誰も起きていないようですね。それじゃあ、おやすみなさーい。

 

 

 っと、言ったところで今回はここまでです。

 ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 § § §

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日の朝。

 

 全員が思っていたことを幹久が口にしたことが始まりだった。

 

「──食堂、か……確かにあるだろうけど」

 

「長くは持たないだろし、早いほうがいいと思う」

 

 ただ、一言だけ幹久が「味気ない」といったのを皮切りに、淡々と進んで行った今回の行動。

 

 それは、学生食堂内にある厨房から食料を手に入れることだった。

 

 

「人数はどうする?」

 

「少ない方がいいと思う……三人ぐらいか?」

 

「なら、私と幹久、後一人誰か……か?」

 

 もはやルーティンのように胡桃はシャベルを肩に掲げて、勝ち気な笑顔を見せる。

 

「俺は勿論だけど、恵比須沢は無理しなくても……」

 

「別に今更だろ? 確実を得るなら私と幹久がいないと」

 

 そう言われてしまえば、無理に否定することも出来ない。現状、それが問題なく安全に事を運べるだろうからだ。

 

「なら、私が行くわ。二人みたいには動けないだろうけど……」

 

「ん、決まりだな。それでいい、めぐねえ?」

 

 是非とは言えない。それに対して、どう転んでも自分の立場を考えれば首を縦に振れないだろう。

 何故なら、自分は大人であり、教師であり、彼らを守る立場にあるのだから。

 

 ただ、そう考えてもやはり彼のいうことは正しく、それが最善だろうと思わせる何かがあった。

 

 思うところは多々ある。だが、これだけは言っておかなければならない。

 

「三人とも、無茶だけはしないでね」

 

「気をつけてね」

 

「本当に気をつけなよ」

 

 三人からの声を背に受けて、幹久たちは準備を整えた後にバリケードを越えた。

 

 ゴクリ、と生唾を飲み込む音が悠里から発せられる。

 やはり、どうも慣れそうにない。この感覚は。

 

 一新される恐怖という感覚。いや、蘇る恐怖といった風が正しいか。

 バリケードという存在がこれほど、気持ち的にも大きいものなんだと、改めて感じた。

 

 三人は特に声を出さず、下の階へと降りる。幸いにも『かれら』の存在は二階に降りるまで無かった。

 

 しかし、二階からその存在を明確に確認出来る。

 

「廊下に二体……いや、三体、か?」

 

 ぱっと見ただけでも明らかに数日前より増えているのが分かる。流石に、相手とるのは得策ではないだろう。

 

 どうする、と胡桃が幹久に意見を聞こうと横を横に視線を向けるが、視界に入るのは目線を下に下げている悠里の姿だけ。

 

 あれ、と思いつつ悠里の視線の先を辿れば、膝を着いて廊下の床を触っている幹久の姿があった。

 

「……何やってんだ、お前?」

 

「ん、いや……何でもない」

 

 何事も無かったように立ち上がり、幹久は廊下の状況を胡桃から聞いた後に避けて通ろうと進言した。

 それに、二人は首を縦に振る。リスクを冒さないなら、それに越したことはないだろう。

 

 それから一階へ降りていき、危ない場面もありつつも、三人は何とか学生食堂内にある厨房まで来られた。

 

「よし、大丈夫そうだな」

 

 どうやら、ここまでは『かれら』も入ってきてはいないらしい。

 

 いや、痕跡はあるが、他ほど漁られた後や暴れた後も無かった。

 

「調理器具も持って帰るか?」

 

「そうね、あった方が良いと思う」

 

 悠里の返答に胡桃は手に持っていたフライパンを四苦八苦しつつも、バックの中に入れた。

 ただ、そういった物を漁るのもほどほどに三人は、まるで開かず金庫を初めて開くように冷蔵庫の取っ手に手を掛ける。

 

 そして──互いに顔を見合わせ、笑顔を見せた。

 

「これなら、しばらく食料に困りそうにないわね」

 

 目の前に広がるのは所狭しと敷き詰められた数多くの冷凍された食材たち。

 中にはちゃんと調味料も確保されており、料理としてのレパートリーも十分期待できるだろう。

 

 危険を冒した価値はあったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぐつぐつと鍋から煮る音が周囲に響く。それに次いで食欲をそそる匂いも充満していた。

 

「まさか、柚村さんがそんなに料理上手だとは思わなかったわ」

 

「貴依でいいよ……そんなに意外?」

 

 肩を揃えて洗い物に従事する悠里に、貴依は思わず半目になりながらそう言っ

た。

 

 それに、悠里は笑みを浮かべながら頷く。

 

「だって、その見た目からじゃあ想像付かなくって……気に障った?」

 

「いや、別に良いけどさ」

 

 割とよく言われることだ。最初ならいざ知らず、今はもう慣れた言葉だ。

 

 ただ、やはりそう言われると思うところもある。自分からすればこんな格好普通だと言うのに……。

 

「彼もきっと気に入ってくれるんじゃない?」

 

「っ! ……私、若狭のそういうところ好きじゃない」

 

「ふふっ、ごめんなさい。貴依が何だか可愛くって」

 

「かわっ!? いいって何だよっ」

 

 頬を若干赤らめ、そっぽを向く貴依にクスクスと笑う悠里。

 その二人を見ながら鍋の中身をかき混ぜていた慈は、二人に釣られて自身も笑みを浮かべる。

 そして、心の中で「若いって、いいなぁ」としみじみ思うのだった。

 

 慈は視線を鍋へと向ける。お玉を回していた手を一旦止めて、そのまま持ち上げ小皿に少量移した。

 

 ふー、っと息を吐きかけながらその小皿を傾け、口の中に含む。

 ジュワっと溢れる唾液。口に広がるスパイス。

 

「──うん、良い感じかな。二人ともどう思う?」

 

 悠里と貴依も言われるがまま慈と同じように味見して、同じような意見を零し

た。

 

「じゃあ、呼ぶ? それとも先に盛り付ける?」

 

「んー、先に盛り付けちゃおうか」

 

 三人は手慣れた手つきで皿に出来上がった料理を盛り付けていく。

 見た目も良く、味も申し分ない。今までにおいて一番美味しい食事となるだろう。

 

「よし、じゃあ、ゆきちゃんたちを──」

 

 準備も全て整え、後は全員が揃うだけという所まで持ってきた。

 後は、その最後のピースを揃えるために呼んできて貰おうとした瞬間。

 

 忙しないドタバタ音と共に勢いよく開かれる扉。

 

「──カレーだっ!!」

 

 その言葉を伴って現れた由紀の瞳はこれまで以上に輝いていた。

 

「ゆ、ゆき……お前なぁ……」

 

「……っ」

 

 だが、それと対比して。

 恐らく無理矢理連れてこられたのか、それとも引っ張られたのか……もしくは両方を由紀に強いられ、既にグロッキーな状態の胡桃と幹久が横にいた。

 

「ほらほら、二人とも早く!」

 

「ちょ、まっ」

 

「……っ!」

 

「だ、大丈夫?」

 

 由紀に引っ張られ、椅子へと無理矢理座らせられた胡桃と幹久。その状態に見かねて慈は声をかける。

 

「太郎丸、ほら餌だぞー」

 

「あらあら、まあ」

 

 しかし、その横で悠里と貴依は平時とさほど変わった様子も見せず、貴依に至っては見向きもしないで太郎丸に餌を与えていた。

 

「──じゃあ、揃ったところでいただきましょうか」

 

「「「いただきます」」」

 

「わんっ!」

 

 慈の言葉を皮切りに、全員は声を合わせて手を合わせる。

 

「うーん! 美味しい!!」

 

「うまっ!」

 

「ふふっ、どうやら美味しくできたみたい」

 

 かき込むようにスプーンを動かす胡桃と由紀の様子を見て、安堵するように悠里

は微笑んだ。

 

 だが、しかし。二人とは違って余り手が動いていない幹久が気がかりだった。

 横を見れば不安そうにしている貴依の表情が瞳に映る。

 

「……口に合わなかった?」

 

「あ、ああ、いや、美味しいよ……ちょっと感動してただけ」

 

「分かる! 分かるよ、もとくん!」

 

 幹久の何処か曖昧な言葉に由紀は大袈裟な反応を見せる。それに、幹久も笑顔を浮かべた。

 

「……彼、感動していたらしいわよ?」

 

「なんで、それを言いながら私を見る?」

 

 口外に聞かれたらどうするんだ、と言う視線と焦りを交えた言葉を、横で揶揄ってくる悠里に向けた。

 

「おいしかったー、おかわりない?」

 

「早っ! くるみちゃん、太るよー」

 

「い、いいんだよ! ちゃんと身体は動かしてるから!」

 

 由紀の指摘に恥ずかしくなりながらも言い返す胡桃。それに、全員は笑顔を浮かべる。

 

 今日のこの夕食で、全員がやっと心の底から笑えた気がした。

 

 

 

 

「──あ、そうそう。みんな見て欲しいものがあるんだけど」

 

 最高の夕食も終わり、和気藹々とした雰囲気が残っているなかで、慈はある物を取り出した。

 

「何、それ?」

 

「カメラ?」

 

 慈が取り出した物に全員が眉を顰めて首を横に曲げる。それに、慈はジェネレーションギャップを感じ、衝撃を受けた。

 

「えっ、知らない? ポラロイドカメラ?」

 

「ポラロイド、カメラ?」

 

「知らないよ、そんなカメラ」

 

 無慈悲な従弟の言葉が心を抉る。

 そんな、ありえない。コレは何かの間違いだ、と自分に言い聞かせながら、慈は必死になりながらポラロイドを説明した。

 

「へぇ、じゃあそれで記念写真でも撮るの?」

 

「そう! ほら、もとくんも入って入って!」

 

 何故か異様にテンションが高い慈に言われるがまま、幹久も由紀を中心としたグループに入り、ポーズを決めたところでシャッターを切られる。

 

「どう? どんな感じ?」

 

「あっ、ちょっと待って……ほら」

 

「おおー!!」

 

 すぅ、と白紙に浮かび上がる自分たちの姿。

 見たことの無い現象に由紀たちは、驚きながら笑みを浮かべた。

 

 出来上がった写真には、その笑顔と全く同じのものが映っている。この写真から誰も今のような状況を想像できはしないだろう。

 

 それほど、全員が楽しそうに笑っていた。

 

 思わず目元が潤む。少し前まで普通のことであったはずなのに、今はこれがどうしようもなく、掛け替えのないものに思えた。

 

「──ほら、めぐねえ」

 

「めぐねえ、早く!」

 

 言われるがまま手を引かれ、彼女たちの和に入る。

 そして、ポラロイドカメラを構える従弟に向かって顔を向けた。

 

「じゃあ、撮るよ──ハイ、チーズ」

 

 きっと、これは何年経っても色褪せない大切な思い出だ。

 

 

 

 




ジェネレーションギャップのくだりをやりたいがために、ゆきちゃん以外も知らない設定にしております。それと、申し訳ないですが、番外編的なものはこれが完結してから出します。

後、ちょっとだけ投稿ペースが落ちるんじゃあ~。色々と立て込んできましてね。
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