強き絆の心とありふれない魔界の王候補の異世界道中記 作:カオスサイン
Side光輝
「ええ!?」
「何だとお!?欠道達が王国を出て行ってしまっただと!?」
「はい…」
欠道達がハイリヒ王国を出ていった翌日、俺はメルドさんと愛子先生にこの事を報告した。
「ど、どうして止めなかったんですか?!」
「そ、それは…」
愛子先生に彼等が出て行くのを止められなかった事を責められる。
「仕方無いだろう。
欠道晶は光輝よりも遥かに上回った実力を持っていた。
止められないのも無理は無い…それに…」
メルドさんがそう言うと暗い表情をする。
違う!…間接的には欠道の影響だが俺は…
「先程王国の意向により南雲ハジメの捜索隊は編成されない事が決定された…」
「そんなどうして!?まだ南雲君が死んだとは決まっていないでしょう?!」
「力及ばずすまない愛子…俺では決定を覆す事は出来ないのだ…彼等が出て行ってしまったのは最初から我々に期待などしていなかったからこそか…」
「そんな!?…」
メルドさんの言葉に愛子先生は絶望する。
だが一方の俺は
「メルドさんさっさと大迷宮の攻略に戻りましょう。
南雲もきっと俺達が此処で立ち止まっている事は望んでいない筈でしょう…」
最も愛しい人が自分から離れていってしまったという事実を認める事が出来ずに気持ちを誤魔化し続ける事で平静を保つ事しか出来ないのだった。
同時刻、Side晶
「リース、ハジメの魔力反応はあったか?」
「いえ…反応皆無ですね」
「そうか…」
「南雲君…真逆…」
俺達はハジメを捜索する為にオルクス大迷宮へと再び潜っていた。
だが階層をいくら下っていっても一向に彼の行方、姿形すらをも掴む事が出来ずにいた。
「まだ諦めるには早計だと思う。
もしかしたらハジメは既にこの迷宮にはいないのかもしれない」
「それって!…」
「ああ、恐らくあの時落ちて行った先がこの迷宮の最深部に繋がっていたのかもしれない。
という事は今頃は迷宮の外に出る事が出来ている筈だ」
「という事は…」
「今すぐ此処をとっととおさらばして近くの町に出向いてみた方が良いかもな」
今後の方針が決まり俺達は迷宮を後にしたのだった。
~その頃、Sideハジメ~
「久し振りのまともな飯だあ!」
「ハジメ嬉しそう!…」
あの後、魔物肉と神水の相乗効果を得た事によって俺の体は急激な変化を遂げステータスも劇的な上昇をしていた。
そのおかげなのだろうか文字化けしていた部分が完全に解読出来るようになった。
<答えを出す者(アンサートーカー)>…様々な過程式の最適解を瞬時に導き出す特殊な能力のようだった。
それが難解なモノになる程膨大な魔力を消費するようだがステータス上昇のおかげで今の所はあまりリスクにはならず俺はこうして大迷宮から出る事に成功したのだ。
あの迷宮の最深部でどうしてか囚われの身となっていた所を出会い俺がユエと名付けた吸血鬼族の少女と共に進んで行くとこの大迷宮を創った反逆者と呼ばれていた内の一人であったオスカー・オルクスが残していた記録映像によりこの世界に隠されていた驚きの真実を知る事となった。
実はトータスの唯一創造神とされていたエヒトルジュエを含む神々は自分達のあまりに持て余し過ぎたその暇を埋めるが為だけに人々をゲームの駒だと称して煽り戦争に駆り立てていたのだという。
オスカーを含む七人の者達はエヒトの真意に気が付く事が出来たが自分達の楽しみを潰しにかかろうとしていた彼等を神に世界に対して反逆者に仕立て上げた事で彼等の目論見は無残に打ち砕かれ今現在も無法なエヒトによる世界統治が続いているみたいだ。
まるで邪神ではないか…。
アンサートーカーでオスカーが語った事が真実である事を知り又元の世界へ帰還する為の方法が全ての七大迷宮の試練をクリアし神代魔法を会得する事こそだった。
俺達をこの世界に召喚したのもエヒトにとって都合の良い駒にしたかったからだったからか…ふざけるなよ!…邪神らの顔に一撃くれてやらねえと気がすまねえな!
まずは兎に角残り六つの大迷宮をクリアしてやる必要があるか。
「ふー食った食ったー!ユエ、この町から一番近い大迷宮は何処なんだ?」
「此処からならライセン渓谷の大迷宮…」
「決まりだな!一泊したらライセン渓谷に向かうとしよう!」
今後の方針を決め俺達は宿で眠りについたのだった。
次回は皆大好きあの御方が出ます!