強き絆の心とありふれない魔界の王候補の異世界道中記   作:カオスサイン

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EPⅣ「大迷宮の激闘と悲劇 後編」

光輝がベヒモスに立ち向かおうとするまで少し時間を戻して、Side晶

推奨戦闘BGM「カサブタ」(InstVer)♪

「そろそろ不味いか…いくぞリース!」

「御準備はいつでもよろしいです」

白崎さん、谷口さん、王宮魔法師の数人がかりが結界を張るがベヒモスの圧倒的なパワーの前ではあまり長持ち続きしないだろう。

そう判断した俺はリースに声をかけて迎撃準備に入る為共に駆け出した。

「うおおおー!」

「チッ!あの空っぽ正義馬鹿が!…とう!」

「!はっ!」

その途中で空っぽ勇者が無策でベヒモスに立ち向かっていって案の定返り討ちに遭っていたのを目にして思いっ切り跳躍する。

それに合わせてリースも跳ぶ。

「!お急ぎ下さい!白崎様達が!」

その間に白崎さん達が張っていた結界を完全に破壊しその牙を彼女達へと振り下ろそうとするベヒモスの姿が見える。

「間に合ええー!【クワル】!」

急いで魔本を取り出して開き呪文を唱える。

リースが片手を突き出して手の平から水晶の弾丸を五連弾程降らせる。

これがリースが持つ初級呪文の力だ。

「グギャアー!?」

「よっし!」

ベヒモスは牙を白崎さん達に当てようとした直前に見事にリースの放った術の直撃を受けて苦痛の声を上げて仰け反りそうになった。

「よっとお!」

「!?」

苦痛の声を上げているベヒモスと白崎さん達の間に俺達は着地した。

「あ、ありがとう…」

「か、欠道君だよね?…」

「そうだが」

「ど、どうやって此処まで来たの?確か結構後方に居た筈だよね…もしかして跳躍魔法?」

白崎さんに感謝された後、ハジメと谷口さんが俺に話しかけてくる。

「んにゃ、素の運動能力だけど?勿論リースもだ」

「正式メイドとなる為には当然の技量です」

「「ええええー!?」」

俺がそう言うと皆驚いていた。

そしてリースも少しドヤ顔していた。

 

Sideハジメ

「ハジメも援護しようとしたけど体が動かなかったって所か?」

「ご、ゴメン…」

「別にお前が謝る事じゃないさ。

寧ろほとんど当然の事だろ。

あの空っぽ野郎の様に無策で突っ込まれた方が余計な被害が出かねないんだよ」

僕達はベヒモスの猛攻を一時的にだけでも止めた人物達の姿にとても驚いた。

それもその筈だ、先程迄かなり後方に下がって戦っていた筈の欠道君が前線に居た僕達とベヒモスの間にまで飛んで来て割り込んできたのだから。

それも素の身体能力でだって!?

一緒に来たえっと…ベヒモスに片手を向け続けているリースさんもそうらしいが…

あの輝きを放っていた本といい一体彼等は何者なんだ?

「っともう一発コイツにブチ込んでおくか…リース!」

「御意!」

欠道君は先程の不可思議な本を再び開きリースさんに指示を飛ばす。

「【クワルガ】!」

「「!?」」

まるであの本に記述されているであろう呪文を詠唱するかのような叫びを欠道君が上げると本が又眩い輝きを放ったかと思うとリースさんがベヒモスに向けていた片手から先程よりも巨大な水晶の弾丸が出てきて発射されその弾丸の直撃を受けたベヒモスとついでに取り巻きの魔物を吊橋の向こう側にまで吹き飛ばしたのをみて僕達は声にならない驚愕を感じた。

「…奴さん、以外にタフな奴だな。

さっきと今の一撃を受けた身でまだ息がありやがるとは…」

「ええ!?」

欠道君の言葉に俺達はまた身構えようとしたその時だった。

「うわああー!?」

「「!?」」

「!入口側にもモンスターか!…」

後方で脱出しようとしていた人達が沸き出していたトラウムソルジャーと呼ばれる骸骨戦士に阻まれて苦戦を強いられていた。

天之河君もまだ目を覚まさないしあのままでは皆が危ない!

「仕方無いな!…俺が白崎さん達を下がらせるついでに援護に行ってくる!

ハジメは俺が戻る迄の間にベヒモスを抑えてくれ!」

「ええ!?」

「大丈夫、俺達の攻撃で奴さんはもう瀕死状態だ。

それに誰よりも必死に得たこの世界の知識と今のお前の力量なら錬成で閉じ込めて動きを封じるなりが出来る筈だ!」

「欠道君…」

欠道君の提案に俺は渋りそうになったが彼の言葉に勇気付けられた事で決意する。

「任せて!」

「ハジメ君!?」

僕がそう言った事で白崎さんが心配そうな声を上げる。

「大丈夫だ白崎さん。

ハジメの力を信じてやれ。

もしもという時はリースを先に向かわせる」

「…死なないでねハジメ君!」

「うん…」

欠道君の対応策を聞いて一応納得してくれたのか白崎さん達は未だ気絶している天之河君を抱えた彼等と共に入口側の援護にへと向かって行った。

「グウウ!…」

「さて任されたからには全力でやってやる!【錬成】!奴の周囲に岩壁を生成!」

気絶から目覚めて憎しみを既に場を離れた欠道君に対して放っているであろうベヒモスは最早俺など眼中にしていないようだ。

そのおかげで見事に動きを封じ込める事に成功する。

「後は…コレでまた夢の中にでも行ってくれ!」

動きを封じ込めたベヒモスが居る地点に今度は土杭を生成してその勢いを利用して奴を空高くふっ飛ばしてやった。

「グウゥ!?…」

「いよっしゃあー!」

今迄受けていたダメージが祟りまともに受け身も取る事さえ出来なかったベヒモスの巨体は空中に打ち上げられた事によって思いっ切りバランスを崩し頭部を地面に激突させた事で再び気絶へと追い込めたのを確認し俺は冷や汗を流しながらも自身の攻撃が通じた事に喜んだ。

そのしばらく後に自身に訪れようとする悲劇を知る事も無く…。

 

ハジメがベヒモスを気絶に追い込む少し前、Side優花

「入口前にも魔物だと!?…」

「なんでこんな!?…」

檜山達の軽率で馬鹿な行動のせいで六十五階層などという明らかに今の私達では太刀打ち出来ないレベルの巨大な魔物と取り巻きの軍勢が居る場所に飛ばされた。

すぐにメルド団長さんが撤退指示を出して入口前まで退けたのは良いが其処でもベヒモスの周囲に居た取り巻きの魔物の軍勢が出現してきて私達は再び追い詰められてしまった。

大元の原因を作った檜山達は援護する所か逃げ回っているばかりで、今回同行している王宮の騎士団の人達も団長さん以外はこの階層ではあまり充てには出来ない。

兎に角せめて負傷者を先に階層の出口まで逃がさないと…そう思いなんとか対応していた私達だったが…

「カラカラ…」

「はっ!?優花後ろよ!」

「え!?…」

友人の妙子の声で私ははっとなる。

先程まで足手纏いの近藤を追いかけていた筈のトラウムソルジャーが急に私へと狙いを変えて背後にまで迫って来ていたのだ。

不味い!…さっき前方に投擲したナイフをまだ手元に回収出来ていない…それよりも早くトラウムソルジャーの剣が私に振り下ろされようとしていた。

「優花!?」

殺られる!?…嫌!誰か…助けて…!

私は最悪の瞬間が訪れる事を感じながら目を閉じて祈る事しか出来なかった。

ガキン!

「え!?…」

鈍い音がしたにも関わらず痛みが一向に襲って来ない事を不思議に思い目を開けた私が見たものは…うちの学校に転校生として入って来て仲良くなった欠道 晶君が不思議な輝きを放つ本を持ちながら魔法の呪文の様な言葉を叫ぶとメイドさんの様な恰好をした女の子が水晶が散りばめられた凄く神秘的な盾を出してトラウムソルジャーの攻撃を防いでくれていた光景だった。

 

少し時を戻して、Side晶

白崎さん達を連れて入口前まで急いで救援に駆け付けた。

「白崎さんと谷口さんは結界を張りながら早くソイツを叩き起こして周囲の魔物達の掃討に充たるんだ!

俺達は追い詰められそうな他の者達の救援に入る!」

「わ、分かったわ!香織ちゃん!」

「は、はい!聖絶!」

白崎さん達に空っぽ野郎の事を任せて他の者達の所へと行こうと駆け出そうとしていた時だった。

「御主人、あそこに居る魔物の動きが何か可笑しい」

「何?…」

リースの指摘を受けて俺がその地点に居た魔物を見ると逃げ回っていた檜山グループの一味である近藤(本当に足手纏いだな)を追い回していた骸骨騎士が何かを見つけたかのように急に動きを変えた。

奴が向かっていこうとする先には目の前の敵に対応していて背後から迫ろうとする奴に気が付いていない園部さんの姿だった。

「不味い!」

奴を急いで追っている途中で偶然付近で戦っていたクラスメイトの菅原さんが気が付いて園部さんに警告を発したが彼女は得物の回収をし終えておらず対応したくても出来ない状況に追い込まれてしまっていた。

やらせるもんか!

そう思った俺はスピードを上げリースと共に骸骨騎士と園部さんの間に割り込んだ。

そして魔本を開き呪文を叫ぶ。

「【クワルド】!」

「!?」

「え!?…」

初級の防御呪文をリースは展開し園部さんに襲いかかろうとしていた骸骨騎士の剣を防いだ。

そしてクワルドが生み出したその硬さには流石に奴の剣は耐え切れず遂には根本から盛大に折れた。

「今だ!クワル!」

続けざまに隙有りと見てクワルを発動させて骸骨騎士を跡形も無く粉々に砕いてやった。

「大丈夫か?」

「え、ええ…なんとかおかげ様で…わっとと!?」

「おっと!」

骸骨騎士を片付けた俺は園部さんに無事を確認しながら歩み寄る。

彼女はそう答えながら立とうとしたがバランスを崩し転びそうになった為に俺は彼女を支えようとした。

ってあれ?…これって…や・ら・か・し・た(;^ω^)

 

Side優花

「おっと!」

「!?///~」

「わっ!優花ってば意外と大胆じゃん!」

欠道君に窮地を助けられた私は彼にお礼を言いながら立とうとしたが先程迄感じさせられていた死の恐怖から解放された事で思わず気が抜けてしまいバランスを崩して転びそうになった。

欠道君がすぐに私を支えてくれた…のはいいのだけれど…これって私抱き締められてない!?

何処からどう見てもそうとしか見えない私達の光景を唯一目撃していた妙子がからかってくる。

「はっ!?ごめん園部さん!そんなつもりはなくてだな…」

彼も漸くその事に気が付いて慌てて離れた。

「その割にはなんだか手つきがいやらしかった様な…」

「ほんとごめん!」

つい悪戯心が出て私がからかうと欠道君は勢い良く土下座しながら謝罪してきた。

彼に謝られて今度は逆に私が恥ずかしくなってきた…。

「ま、まあいいけど///~…そ、それよりベヒモスはどうなったの?」

「あ!?…今はハジメが奴を抑えているんだ!

あの空っぽ野郎も目が覚めたようだしお前達は早いとこ脱出するんだ!」

「か、欠道君はどうするの?」

「俺はリースと一緒にまた奴の所に戻ってハジメを下がらせてからトドメを刺したら脱出するさ!」

「そ、そう…くれぐれも死んだりしたら承知しないわよ!」

「ああ!」

なんとあの南雲が上級クラスの魔物を抑えていた事に驚いた私達。

色々と聞きたい事はあるが今はまだそれ所ではなさそうだ。

欠道君はリースちゃんと一緒にベヒモスと南雲が居る地点まで戻っていった。

彼等の背を見送った私は祈りながら妙子と一緒に階層の入口前まで下がった…のだがこの直後にある悲劇が起こるとは思いもよらなかった。

 

Side晶

ああもう!完っ全にやらかしたよ!

園部さんを思わず抱き締めるような態勢とっちゃうなんてよお!

彼女の体凄く柔らかくて…って何考えてんだよ俺!?

これもどこぞのイタリアの俳優のせいだー!

「御主人、お気をお取り直し下さいませ。

間も無くあの大型魔物の付近です」

「ああ!」

リースに軽く注意され俺は気を取り直しハジメに声をかける。

「状況は?」

「僕の錬成でなんとか奴を閉じ込める事に成功したけどそろそろ持たない!」

見るとハジメの言葉通りベヒモスは彼が生成した岩壁の間に挟まれ身動きを封じられていた。

だがそれも限界の時が近付いているようだ。

「再び動かれる前に叩く!クワル!」

「やった!」

俺は呪文を発動させリースが瀕死のベヒモスにトドメの一撃を撃ち込んだ事でベヒモスはその牙を折られ完全に沈黙した。

その直後の事であった。

「!?」

魔法で生み出されたであろう火球弾が俺達の居る地点に降ってきていた。

今更援護が?嫌、こいつは違う!

「クワ…」

そう確信した俺は防御呪文を発動させようとしたのだが…

「な、何!?」

火球が急に軌道を変えたのだ…真逆これは!?不味い!

「ハジメ!今すぐその場から離れろ!」

「え?…うわあ!?」

俺がハジメにそう警告を発するも時既に遅く軌道を急変更した火球はハジメのすぐ足元に着弾した。

その火球の着弾にベヒモスの質量が加わった事、それとハジメの錬成で抉られていた地面へのダメージが限界を迎えてしまったようで崩落を起こし始めたのだ。

「御主人!」

「くっ!?…ハジメー!」

「駄目です!もう間に合いません…!」

俺はすぐにリースに抱えられてなんとか崩落から逃れる事が出来た。

だがハジメは逃げ切れずにベヒモスと共に崩落に巻き込まれてしまい彼は迷宮の奈落の底にまで真っ逆さまに落下していってしまった。

 

 

 




その頃、地球 どこぞのイタリアの俳優
「へっくち!」
「おや?風邪でもひいたのかい?」
「いやいや、誰かがこの僕の噂でもしてるのかも!ハハハ!」
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