強き絆の心とありふれない魔界の王候補の異世界道中記   作:カオスサイン

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EPⅤ「鬼の尋問と奈落の底で」

Side晶

「嫌あああああー!?ハジメくーん!…」

「香織、駄目だ南雲はもう!…」

「嫌!行かせて!ハジメ君を助けに行かせてー!」

「香織!」

ハジメが放たれた魔法の余波によって引き起こされた崩落によって奈落の底へ落下してしまった。

尋常じゃない物音で入口側に居た者達が奴等以外を除いて此方へ駆けつけて来て状況を把握する。

ハジメが崩落に巻き込まれた事を知った白崎さんが彼が落ちていってしまった崖を覗き込みながら叫び今にも飛び込みそうになるのを空っぽ野郎と八重樫さんがなんとか羽交い締めにして必死に止めていた。

「(【フリズド】)…オイ、何テメエ等は何食わぬ顔で帰ろうとしているんだあ?」

「「んなっ!?…」」

俺は何事も無かったかのような顔をして此処から出ようとしていた檜山一味に対しラーニング魔法術で足場を凍らせて身動きを封じさせた。

「な、何をしているんだ欠道!?」

案の定という所か空っぽ野郎が抗議してくる。

「何をって見て分からないのか?あんな事があったというのに真っ先に此処から出ようとする…怪しさ以外のなにものもないだろう」

「それは…」

「彼等が疲労していて他人の心配をしている余裕が無かったから…とかでも言いたいのだろう…だがアイツ等はあの余計な一撃以外には碌な援護すらもしていねえ、只逃げ回ってただけだ。

そんな奴等が真面に魔物と交戦していた俺達よりも疲弊しているなんて事はまずあり得ないんだよ!」

「そうだよ!アイツ等が碌に援護もしてくれなかったから優花や他の皆が危険な目に遭ったんじゃん!

大体ベヒモスなんかと遭遇しないといけない羽目になった原因も団長さんの警告を無視して勝手な事をやったアイツ等のせいじゃん!」

「うっ!?…」

俺の言葉と菅原さんの援護攻撃で空っぽ野郎は押し黙った。

空っぽ野郎を黙らせて俺は檜山達に問いかける。

「さて、最初は漁夫の利でも狙おうとしたのかと思ったが真逆、俺を騙し討ちに使ってハジメを狙うとはな…一体どういう了見だあ!?」

「あ、あれは只の事故で…あ!?…」

「自白したな。だが今更そんな言い訳が通じるとでも思っているのか!(【ガロン】)」

「ぐふっ!?…」

みっともなく言い訳に走った檜山に俺はラーニング魔法術で彼を岩壁に叩き付けてやる。

「やり過ぎだ!」

「不自由が無い程度に加減はしてやった。

これよりももっとハジメは痛みを感じている筈だ」

案の定また空っぽ野郎が抗議してきたので俺はそう言葉を返す。

「それはそうかもしれないが…何も仲間にそこまでやる必要性は…」

は?コイツは何を言っているんだ?

「クワル…」

「なっ!?…」

気が付くと俺は魔本を開いて空っぽ野郎に向けて呪文を唱えていた。

「ガッ!?…な、何をするんだ!?」

リースの放った呪文は空っぽ野郎に当たるが流石は腐っても勇者(笑)無駄にタフだな。

初級呪文では碌にダメージにはならんか。

「仲間ねえ…あのさあお前の言う仲間ってのは身勝手な理由で平気で罪も無い者を傷付けるような奴の事も指しているのか?

だとしたら滑稽だとしか言いようがないな!

俺はあんな屑共を仲間だなんて一ミリも思っちゃいねえ。

お前も含めてな!天之河」

「なっ!?それはどういう事だ!?」

「自分で考えてみろよ!まあ一生かかってもテメエのそのお花畑な頭じゃ分からないだろうがな!」

「ま、待て欠道!お前が持っているその本は一体何だ!?それにそこの女の子といいお前達は何者なんだ!?」

「なんで仲間じゃねえ只の一クラスメイトでしかないテメエの言う事なんぞ聞かにゃならん?

メルドさん、奴等の治療を済ませてとっとと此処から早く出ましょうか」

「あ、ああ…お前達早く此処から出るぞ」

俺の圧倒的なステータスを唯一知っているメルドさんはこれ以上は不毛であると判断し撤退指示を出した。

「おい!欠道聞いているのか!」

撤退しながらもしつこく絡んでこようとする空っぽ野郎を無視し俺はこれからの事を思案するのだった。

 

その頃、奈落の底で Sideハジメ

「う…此処は?…」

僕は痛みに目を覚ました。

そうだ…確か崩落に巻き込まれてベヒモスと一緒に真っ逆さまに…ベヒモスの巨体がクッションになったおかげで奇跡的に命が助かったのか…。

「ぐっ!?…」

だが重傷である事には違いない…このままではどの道死んでしまう。

でも一体どうすれば?…

そう思った時だった。

「え?…」

ふと急に頭の中にこの窮地を脱する為の方法が浮かんできたのだ。

僕は半信半疑に思いながらも藁にも縋る思いでその浮かんだ方法を試してみる事にした。

「本当にあった!…これなら本当に!」

浮かんできた方法の一つが示した少し先の場所まで体を引きずりながら行ってみるとその地点には城の書庫で見たとても貴重な万能回復アイテムである神水が湧き出ている源泉が確かに存在したのだ。

「後は…」

ベヒモスの死骸から剥ぎ取ってきておいた肉を僕は口にした。

「げえっ!?…」

本来なら人が口にしてはならない毒性を持った魔物の肉、だがそれは先程見つけた神水が浄化してくれる。

激しい嘔吐感と激痛に襲われるが僕は生きる為に必死にそれに耐えた。

そして…

『南雲 ハジメ 17歳 男 天職:錬成士 LV9

・筋力 300

・体力 700

・耐性 500

・俊敏 400

・魔力 600

・魔耐 777

技能 ・錬成 ・魔力操作 ・胃酸強化 ・纏雷 ・大耐性 ・言語理解(『答えを□す〇<アンサー◆ー■ー>』)』

数日後、俺のステータスはとんでもない事になっていた。

己の容姿もすっかり白髪になっている。

ベヒモスの他にも遭遇した魔物を狩って食らっていたからだろう。

だが言語理解の後ろに追加されて文字化けしているこれは一体何だ?…

答え…真逆!?

そのスキルの正体に行き着いた俺は早速試してみる事にした。

この奈落から脱出する為の答えを…出た!

この妙な追加スキルは感じた疑問の答えを導く為のスキルなんだ!これは使えるぞ!

俺は遂に此処から脱出する事を決意し歩みを進めた。

 

 

 

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