強き絆の心とありふれない魔界の王候補の異世界道中記   作:カオスサイン

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EPⅥ「決闘と語りPARTⅠ」

Side晶

大迷宮から緊急帰還してから二日後の事であった。

「おい欠道!俺と勝負しろ!」

「あン?」

「無論1VS1の正々堂々だ!だからあの妙な本は使えないぞ!」

突然あの空っぽ野郎が俺にそんな事を持ち掛けてきたのだ。

成程、流石は秀才ではある。

リースがいないと魔本の効力は使えない事に気が付いたようだな。

「なんで俺がテメエと勝負なんかしないといけない?」

「君が力を隠していたせいであんな事態になったんだ!俺が勝ったらあの妙な力の事について教えてもらうぞ!」

「はあ?」

あんな事態って…あれは完全に檜山グループの馬鹿な行動によって引き起こされた事だ。

その事は明らかであるのに何故コイツは俺に責任転嫁しようとしているんだ?

「何をしている光輝?」

「メルドさん!アイツとの勝負を許可して下さい!」

「うーん…」

呆れている所に通りがけたメルドさんに空っぽ野郎がそう嘆願していた。

当のメルドさんは俺と空っぽ野郎の圧倒的過ぎるステータス差を知っている為か苦い顔をしている。

「そうだな…今日はヘルシャー帝国からの使者との会談があるが…まあ帝国への見世物ともなるから決闘を許可しよう」

苦い顔を崩さず渋々メルドさんがそれを許可した。

メルドさんの心境が察せるな。

 

しばらくした頃、Side?

「ほう?王国が召喚した勇者と神の使いの一人が決闘だと?面白い!是非共拝見するとしよう!」

俺の名はガハルド・D・ヘルシャー、ヘルシャー帝国の現皇帝だ。

帝国の使者と偽ってハイリヒ王国が召喚したという神の使いらに探りを入れようとしていたが王国騎士団団長には偽りがバレた。

その後騎士団長から面白い催しがあると聞き心を躍らせその場所へと向かった。

その戦いが俺の予想を遥かに超えるものであるとこの時は思いもよらなかった。

 

~王城内部の闘技場~ Side晶

「さあ、かかってこい!

約束はちゃんと守ってもらうからな!」

「本当に良いんだな?

俺はアンタの考えている以上に強いぜ?」

「その言葉そのままそっくり返す!」

空っぽ野郎と急遽決闘する事になり俺は奴に心底失望していた。

こんな下らない事は早く終わらせるに限る。

「来い、現実というものを教えてやるよ!」

俺は王国の武器屋で購入しておいた三切棍を構える。

「そんな棒きれなどでこの聖剣に敵うものか!」

「そいつはどうだろうな!(【エルド】)」

聖剣を構えて突撃してくる空っぽ野郎に対し俺は三節棍をラーニング魔法術で強化し打ち合う。

「そんな!?こんな馬鹿な!?…」

「ほらほらどうしたどうしたあー?」

聖剣と互角に打ち合えている事に驚愕する空っぽ野郎。

「糞っ!?…」

打ち合うのを不利だと悟ったのか空っぽ野郎は急後退する。

大技を決めてくるつもりだろうがそうはいかない。

「天翔…」

「(【ゴウ・エルド】)」

それは俺から見たら只の隙だらけである。

「なっ!?急に伸び…うわああー!?」

「はいよォー!」

俺はラーニング術で三節棍のリーチを伸ばして空っぽ野郎をド突いて大きくふっ飛ばした。

その間に伸ばした三節棍を垂直に置いて次のラーニング術を使用する。

「(【ボルク】)」

「なっ!?一体何処に行った!?」

空っぽ野郎が後退させられて再び聖剣を構え直した時には俺は姿を透明にする術を用いて垂直置きした三節棍に横向きに大回転しながら掴まっていた。

そして勢い良く空っぽ野郎の頭上まで跳んだ。

完全に俺の姿を見失っていた空っぽ野郎だったが

「!?其処か!」

漸く<気配察知>スキルで俺の居場所に気が付くがもう遅い!

「てりゃあー!〇キィーック!」

「ガッ!?…」

一度やってみたかった某改造人間の技を繰り出して空っぽ野郎をまたふっ飛ばした。

「く、糞ッ!?天翔閃!」

なんとか耐えたのか空っぽ野郎は凝りもせずに技を撃ち込もうとしてくる。

「遅い!(【ガンズ・エルド】)」

「なっ!?…俺のスキルがそんな棒きれに!?うわあああー!?」

「ヒョオォー!」

三節棍を回収し俺はラーニング術で攻撃の速度を上昇させ空っぽ野郎に連撃を加えた。

とうとうそのダメージに耐えきれなくなり地に伏せた空っぽ野郎は気絶した。

「ああそういやこっちが勝った時の事言っていなかったな。

金輪際下らない事で絡んできたら次はこの程度じゃ済まなくなるぞ」

俺は気絶した空っぽ野郎にそう言い放ち闘技場を後にした。

 

Sideガハルド

「コイツは…!」

王国が召喚した勇者と神の使いの決闘を観戦していた俺や他の観客達は予想外の結果に唖然としていた。

確かに俺から見た勇者はまだ所々甘さがある事は分かっていた。

だが仮にも一番恩恵を受けている筈であるそんな勇者をああも一方的に沈ませたあの男は一体?…

その男に俄然興味が出てきた俺は戦いを終えた男に話かけてみる事にした。

「ガハハ…よもや勇者に神の使いの一人が完封するとは流石に予想出来なかったぞ」

「おっさん誰だ?」

「俺はガハルド・D・ヘルシャー、ヘルシャー帝国の現皇帝だ」

「ああ、メルドさんが言っていた奴か。何か御用で?」

「お前さん帝国に着く気はないか?」

俺は男に単刀直入に言った。

「興味無いな。俺はどこかの陣営に着く気など微塵も無い」

「つれないな…」

「話はそれだけですか?なら失礼させてもらいます」

男は即答で此方の勧誘を蹴った。

だがアイツの目…一体どれだけの修羅場を潜ったというのだ?

疑問を感じながらも俺は帝国に帰ってありのままを家臣共に話した。

 

Side晶

帝国の皇帝を名乗るおっさんから謎に勧誘をされたがすぐに蹴って俺はこれからの事について思案した。

「まずは早い所ハジメの救援に出向かなければな…それには」

俺とリースだけではとてもじゃないが人手が足りない。

それならばと試したい事もあり俺は園部さん、菅原さん、白崎さんの三人を呼んだ。

出来れば八重樫さんも呼びたかったが都合がつかなかったらしくこれ以上日を伸ばせばハジメの命が更に危うくなってしまう危険性もあった為彼女については諦めた。

「欠道君話って何?」

「ああ、俺は明朝にハジメの救出に出ようと思っているんだ」

「え!?」

俺が白崎さん達にそう話を切り出すと彼女達は驚いた顔をする。

「考えてもみろ。あの時ハジメの近くにはベヒモスの死骸があった。

少なくともあの巨体がクッションの役割になってハジメは助かっているかもしれない。

例えそうでなくてもあの迷宮の解明されていない何らかの要因が重なって生き延びられているかもしれない。例えば偶然万能の回復アイテムが近くにあったりしてな」

「ええ!?」

「ハジメと王立図書館で目にした事があるんだ。

神水という万能回復アイテムの存在があるって。

それに俺が言わなくても白崎さんはハジメの生存を信じているんだろ?」

「う、うん…それはそうだけど…でも…」

白崎さんはそう答えるが何処か迷いがあるようだ。

「ハジメの救出に足手纏いかもしれないと考えているんだろ。

それだったら良い方法が有るんだよ」

俺は預かったままであった彼等の魔本を取り出し白崎さん達の前に並べた。

「コレって確か欠道君が持っている本の色違いだよね?一体この本は何なの?」

「ああ、そこで一つ試したい事があってな。

白崎さん達に折り入ってお願いがあるんだ。

此処に並べた本を見て見て一行でも読める部分があったら教えてくれ。

それからその本の事や俺やリース達の事について話す。

ああ、くれぐれも発音するのは今はNGだ」

「分かったわ」

もし読まれて呪文が発動したら元の世界の俺の家が大惨事になりかねないので俺は一言忠告を入れながら白崎さん達に頼んだ。

白崎さん達はそれぞれ俺が並べていた魔本を手に取って黙々と閲覧し始めていく。

「…ナニコレ意味不明な文字ばっかりで全っ然読めないんだけど…」

菅原さんは青色の本、ゲリュの魔本だな。

それを見て全く読めていない様子だった。

「だったらコイツはどうだ?」

俺は薄紫の魔本を薦める。

「…読める、読めたわ!この部分だけだけど…」

「私も読める部分があったわ!」

「わ、私も!」

菅原さんは読めた部分を指差してきた。

そして園部さんが黄緑色の魔本、白崎さんが水色の魔本を読む事が出来た事が判明した。

「そうか!それだったらちょっとその本を掲げながら魔力を少し込めて念じてみてくれ!」

「こ、こうかしら?」

「魔本のパートナーと魔物は惹かれ合う」その特性と白崎さん達の魔力を利用すれば元の世界に保護している彼等をこの世界に呼び出す事が出来るかもしれない。

そう思った俺は白崎さん達にそう言った。

そして白崎さん達が本を掲げた瞬間、彼女達の魔本が激しい輝きを放った。

「「!?」」

思わずその光に目を閉じそうになった白崎さん達の前に現れたのは…

「「ショウ!?それにリースも!?」」

「キュー!?」

俺が保護した千年前の魔物達の内の二人と一匹だった。

 

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