強き絆の心とありふれない魔界の王候補の異世界道中記 作:カオスサイン
Side晶
「ショウ!今迄何処に行ってたのよ!?急にいなくなったから皆心配してたのよ」
「キュキュー!」
「全部話すから一旦落ち着いてくれお前等」
俺の推測は見事に当たりこの世界に呼び出された千年前の魔物の子達が詰め寄ってきたので落ち着かせる。
「実はだな…」
「何?…」
俺は彼等に今迄の出来事を話した。
彼等は此処が地球上でも魔界でもない異世界である事を知るととても驚いていた。
「欠道君、その子達は一体?」
彼等の事を知らない白崎さん達が聞いてくる。
「ああ、この子達はだなリースと同じ魔物の子達だよ」
「リースちゃんとこの子達が魔物の子?…」
その言葉を聞いて白崎さんが一歩後ずさる。
「ああ、でも勘違いしないでくれないか。
この世界でいわれている魔族とは違う。
元の世界でとある戦いをする為に人間界に送り込まれてやって来たんだ」
「ある戦い?」
「ああ、それは百人の魔物の子供達が魔界の王を決める為にする戦い…」
俺はリースや出会った戦友達と共に此れ迄に行ってきた戦いの軌跡を可能な限り白崎さん達に話した。
「「…」」
白崎さん達は黙ったまま俺の話に驚いていた。
「辛くはなかったの?」
「確かに最初は混乱はしたさ。
でもリースや他の戦友達の理想を聞いて共に戦おうという決意は出来たんだ」
確かに白崎さんの疑問通り選定の戦いの最中で豹変してしまい友情や絆を踏みにじった屑もいた。
そういう者は魔界の王になど相応しくないとリース達との結束で戦い打ち勝った。
「リースちゃんはどんな王様を目指して戦ってるの?」
「私自身は元々王になる気はないのです」
「え?だったらどうして戦ってきたの?」
白崎さんがリースに質問するとそう答えが返ってくる。
白崎さんは案の定頭に?を浮かべる。
「私は私自身の目で見極めた王に仕え寄り添う者になりたいと…そう思いこの戦いへの参加を決意したのです」
リースはそう続けて答えた。
まあ彼女にはもう一つ別の思いが芽生えているのだがそれは又別の話だ。
お次はこの世界に呼び出す事が出来た千年前の魔物達について話す。
「そう…長い間石板にされて苦しい思いを…」
「でもそれももう大丈夫…」
園部さんが話を聞いて思う所があったみたいで泣きそうになっていた。
彼女のパートナー予定であるカルーラを保護する前は本当に危なかった。
あろう事かカルーラを含む千年前の魔物達はあのブラゴに千年間の激しい憎しみをぶつけようとして戦いを仕掛け逆にボコボコにされたのだ。
彼女だけはブラゴとの実力差を思い知ってなんとか隙を突いてゾフィスに操られていた元パートナーと共に逃げ出す事に成功したが彼の強力無比な術を受けていた事でボロボロの状態で俺に発見された事で保護された。
保護した当初はほんとに石板の事も含めカルーラが抱え込んでいたトラウマを解くのには神経をすり減らす思いだったな。
「天使さんも最初は人が憎かったんだよね…」
「今では気にしてなどいないがな」
天使の様な風貌の金髪のショタ魔物であるエルジョは白崎さんとパートナーとなった。
エルジョに関しては石板状態の時、まだゾフィスの手へと渡る前の保存状態が劣悪で扱いが酷かったそうで人間に必要以上に憎しみを抱くようになっていた。
まあコイツに関しては実力差を思い知らせた上で強引に説得したまでだが。
「この子可愛い~!」
「キュー」
菅原さんはパートナーとなる灰色の子鼠の様な魔物パヨムにベタ惚れしていた。
彼に関しては割と臆病な性格の為か元のパートナーがそもそも戦いたがらなかった事もあって友情が芽生えゾフィスに操られる前にこっそりと脱出してきたらしい。
元のパートナーは偶然出会った俺にパヨムと本を託して日常に戻っていった。
話を終えた俺は早速白崎さん達に魔本の扱い方を教え今度こそハジメを救出する為の準備に入った。
~それから翌日の事~
「え?」
「だから南雲の死をいつまでも引き摺っていては駄目だ。
彼に報いる為にも俺達の手であの迷宮を攻略するんだ!」
「…」
この国から出る準備が整った為に白崎さん達を呼びにいくと空っぽ野郎が白崎さんに対してしつこく共に迷宮攻略に出向くように迫っていた。
当の白崎さんはというと「何を言っているんだコイツは?」と言いたげな顔で空っぽ野郎から少しずつ目を逸らしていた。