地球に来てから数日、様々な業務について教えてもらっていたとき。ラッドたちから三位一体のマイクロンの存在を教えられた。そんな存在がいるのかと感心した。
それからラッドは少し考えて、コンボイ司令官に「戦争は止められないのか」と突然質問した。
「サイバトロンもデストロンも、同じトランスフォーマーじゃないか」
なんて無垢な叫びだろう。戦いに浸りすぎたこの身には眩しすぎる。
コンボイ司令官は「デストロンはまるで考え方が違う」と説明した。
デストロンは宇宙征服を目論んでいる。
サイバトロンはそれを止めようとしている。
そしてマイクロンの登場の話。
私がはじめて聞く話もあって、興味深い内容だ。
セイバートロン星を二分する戦いの頃、マイクロンが現れた。デストロンに対抗するため、マイクロンたちの力を借りたこと。
やがて、サイバトロンがマイクロンたちの脱出計画に力を貸した。
何度もワープを繰り返して、四百万年前の地球来たこと。
マイクロンたちが、平和をもたらす秘められた力を持つという噂。
彼らに、あんな小さい体に、本当にそんな力があるのだろうか。
ーある。
またぼんやりとしたイメージが頭に浮かぶ。だが今回は、あまりにもノイズが多すぎてはっきりとした何かを掴めない。
ウー!ウー!
基地内にサイレンが響き渡った。マイクロン反応だ!私はノイズを振り払い、新しい仲間と共にワープ室へ急行する。
ーーーーーーーーーーー
今回もラッドたちの活躍があって、すぐにマイクロンパネルを見つける事ができた。そのパネルもまた目覚めなかった。おそらく三位一体の内の一枚だ、ということで目覚めを待つことになった。
ラッドたちは帰宅し、私たちは基地内の作業を少し進めてから、就寝となった。その日の夜番はグラップらしく。
「マイクロン反応があったら、皆叩き起こしてやるからな!」
なんとも頼もしい。
その夜。
急遽作っていただいた自室で眠っていると、変な夢を見た。
デストロンがこの基地内に攻めてくる夢だ!
なんてリアルなんだろう。
ギャラクシースターは不快な気持ちで目が覚めてしまった。
「どうか夢でありますように」
そう願うが、この夢は未来を見てきたかのように、鮮明な映像だった。
襲撃があるかもしれない。なんて言えるはずもないので、ラチェットにそれとなく、迎撃システムがどうなっているのか聞いてみた。準備は万全のようだ。さすがラチェットさん。
私ができることはないのかな?考え込んでいるとコンボイ司令官から提案された。
「ホットロッドと訓練をしてはどうかな?お互いにいい刺激になるだろう」
なるほど。たしかに自分はまだまだ甘いところがある。
「わかりました!ホットロッドを探してきます!」
程なくして、黄色の彼は見つかった。一緒に訓練をしようと誘うと、すぐに色好い返事をくれる。
「で、何するんだ?銃なら教えてやれるぜ?」
「それもいいけれど、組手がやりたいです。私は格闘戦に弱いし。自分よりも強い相手に対しての対策を練っておきたくて」
「いいぜ。いっちょやるか!」
それからラッドたちがやってくる数時間の間、私たちは組み合った!
結果は、私の負けっぱなしだ。
「さすがホットロッドさん、強い」
「おー、まあ、な」
互いに息が上がっている。でも、ホットロッドさんは私ほどじゃない。凄いなあ。
「じゃあ、そろそろアイツらも来る頃だし、やめるか」
「うーん。一本も取れなかったのは悔しいです」
あと一本やりたい!そんな気持ちを込めて彼を見つめるが「そんなに見つめてもやらねーぞ」と断られてしまった。残念。
それからはラチェットさんに雑用をもらって、基地の一部を直していた。子どもたちと戯れたいところだが、人が少ない前線ではやる事はいっぱいある。この雑用もそうだ。相手してあげられないのは仕方がない、
ウー。ウー。
ざわりとスパークが波立った。
基地のサイレン。
始まった。基地内でワープ空間が発生したんだ。
ギャラクシースターは急いでコントロールルームに向かった。
一方、コントロールルームでは。
突然、基地内に侵入してきたデストロンに対応していた。
「ラチェット、迎撃システム作動」
「イエッサー!」
ラチェットがボタンを押すと、天井近くから小さな銃口が出てきた!
その仕掛けに子どもたちが驚く。
「いつの間にこんな仕掛けを?」
ラッドの質問にホットロッドが得意げに答えた。
「こういう時の為にラチェットとっつあんやグラップがセットしといたのさ」
カルロスも得意げだ。
「備えあれば憂いなしってやつ!な?スゲーだろ?ジム、ビリー!あれ?ジム、ビリー?」
カルロスは辺りを見渡したが、そこに二人はいなかった。
そういえば、最近来たギャラクシースターもいない。
「ねえ、ギャラクシースターは?」
ラチェットが答える。
「雑用中だ。サイレンが鳴ったんだ。こちらに向かっているだろう」
その時通信が入る。ギャラクシースターからだ。
『こちらギャラクシースター!コントロールルームに向かっています!』
アレクサが危険を知らせる。
「気をつけて!デストロンが基地内にワープしたの!」
『なんですって!皆、コンボイ司令官たちと一緒にいる?そっちは大丈夫?』
「私たちなら平気よ!全員一緒にいるわ。それより、ギャラクシースター。デストロンに見つからないルートをこっちで検索するから、それに従って来て!」
『助かるわ。アレクサ、ぜひお願い』
ギャラクシースターは子供たちが無事な事に安堵した。すぐに送られてきたルートに従い、コントロールルームに戻る。
その途中、司令官から連絡が入り、ジムとビリーを助け出すことを命じられる。
「かしこまりました。では、コントロールルームにいるアレクサたちと連携して任務にあたります!」
『うむ。子供たちを頼んだぞ』
「はっ!」
それからアレクサたちと連絡を取って二人の居場所を聞き出す。
ラッドが手伝いを申し出るが、それを断った。
「ぼくたちも手伝うよ!」
「コントロールルームから出ちゃダメよ!私が必ず二人を助けに行くからね」
聞いてくれるだろうか。
ー持ち前の正義感から、友だちを放ったりしないよ。
頭の中で誰かが喋る。
あの子に恐怖ってものはないの?!
ラッドたちが動き出す前に、なんとしてもジムとビリーを探し出さなければならない。ギャラクシースターは急いだ。
ジムとビリーは通路を行ったり来たりしている。二人はちゃんと進んでいるつもりなのだろうが、ここら辺は入り組んでいるので、ちゃんと進めていないのだ。
ジムは不安げにビリーの後をついていく。
「あいつら、もう戻ってこないよね?」
「多分……」
その時、がしゃんがしゃんと機械の音がした。大きな影が、そこの角すぐに迫っている!
「うわあああああ!!出た!ごめんなさいもうしません!」
「ごめんなさいもうしません!」
「二人とも大丈夫?」
「ギャラクシースター!来てくれたんだ!」
ジムとビリーは飛び上がって喜んでくれた。未熟な身だが、頼りにされて嬉しくない筈がない。ギャラクシースターは照れ臭そうに笑って、二人を通気口に誘導する。それを不思議に思う二人だが、ギャラクシースターの勘が告げていた。もうすぐ来るぞ、と。
そいつはやってきた。
「ラーリホーー」
「てええい!!」
「ふぎゃ!」
先手必勝!油断は大敵!ギャラクシースターはサンドストームの顔をぶん殴ってやった!
「はやく行きなさい!」
「は、はいい!!」
二人は通気口の中へ逃げていく。これで二人は戦いに巻き込まれない。
ギャラクシースターには考えがあった。その為にもサンドストームを巧く誘導しなければならない!撃っては逃げて、相手の加虐心を刺激する。サンドストームは下卑た笑いを響かせて追ってきた。食いついた!あとはやられないように連れて行くだけだ。
「ラッド、カルロス、アレクサ、聞こえる?このままサンドストームをワープ室へ連れていくわ。三人はジムとビリーを助けてあげて!」
『わかった!こっちは任せて!』
これで五人は一緒にコントロールルームに向かう。さあ、正念場だ。
コントロールルーム。
「僕はギャラクシースターを助けに行くよ」
「何言ってんだよ、ラッド!危ないよ!」
「大丈夫、無茶はしない。考えがあるんだ。カルロスはジムとビリーを迎えに行って。アレクサはここでオペレーションをしてほしい」
「わかったわ。気をつけてね、ラッド」
「うん。行こう、カルロス!」
「う、うん」
二人はそれぞれ走り出した。
ラッドは近道(トランスフォーマーじゃ通れない道)を通って、いち早くワープ室にたどり着いた。パネルを操作し、素早く座標を定める。そこにギャラクシースターがワープ室へ到着した。すでにラッドがおり、ひどく驚いた。
「なんでここにいるの!?すぐに隠れなさい!あいつが来るわよ!」
「これを設定したら、すぐに隠れるから!」
言い合いはすぐに収まった。敵が来たのだ。
ギギギギギ……!
サンドストームが扉をこじ開ける。
ギャラクシースターは奥へ逃げるフリをしてラッドからサンドストームの視線を外した。
「ヒヒ!もう逃げられないぜ〜」
「うるさい!アンタなんか、怖くないんだから!」
「キッヒヒヒ!そう虚勢を張るヤツは嫌いじゃないぜ。ぶっ飛ばし甲斐があるからなあ!」
ギャラクシースターとサンドストームの距離が近く。
するとワープ装置が作動し始めた。
「なんだ!?」
隙が生まれた!今だ!
「でやあああ!」
ホットロッドに教えてもらった、相手の腕を両手で掴み背負って投げる!サンドストームはさらに奥へ飛んでいった。
「ぎゃああ!いっでええ!」
痛がっているうちにワープし、敵はどこかへと飛ばされてしまった。
私はギリギリ範囲外にいたので、飛ばされていない。
「ふう」
「やったね、ギャラクシースター!」
足元にやってきたラッドの視線に合わせる。
「ありがとう。ラッドがいてくれたから、あいつをやっつけられたわ」
「えへへ、どういたしまして」
「ところで、どこにワープさせたの?」
「さあ……夢中だったからわからないや」
「そう。まあ、いいか!さあ、コントロールルーム目指しましょう!」
途中。カルロス、ジム、ビリーと、迎えに来たアレクサとも合流して、計一機と五人は道を進んでいく。その半ばで、大きな銃撃音が聞こえてきた!
「あれは、ホットロッドと司令官!」
「コンボイ!ホットロッド!!」
「ダメよ!行っちゃいけないわ!」
ギャラクシースターの制止は聞き届けられず、子どもたちは走り出した。
そこでは、メガトロンが立っており、コンボイとホットロッドが壁に背を預けていた。
子どもたちが応援する。
「ホットロッド!」
「頑張ってー!」
「負けないでー!」
「みんな……」
ホットロッドが僅かに顔を上げる。ラッドが叫ぶ。
「剣に精神を集中して!マイクロンたちと心を通わせるんだ!!」
「(心を通わせる……)」
メガトロンが吠える。
「無駄骨、無駄骨。フハハハハ」
ホットロッドは剣を、スターセイバーを構えた!
「茶番は終わりだ!チリになれえい!!」
再びフルバーストが撃たれる!
「ホットロッド!!」
やられる!そう思ったが、剣が全てを受け止めた。ホットロッドも驚いていた。
「これが剣の力か……」
「ますます手に入れたくなったわ。ヌワー!!!」
メガトロンの攻撃!ホトロがカウンターを決める!!
「でりゃああ!!」
「ワシの角が……」
メガトロンの角部分が半分切られた。
「くっ、覚えておれ!引けー!!!」
メガトロンがワープして去った……。
しばしの静寂が辺りを包み、若き戦士はようやく力を抜いた。ほっと息を吐く。
そこにグラップとラチェットが合流した。
「ギャラクシースター、ホットロッド」
「コンボイ司令官無事ですか」
「ああ大したことはない」
よかった。メガトロンのフルバーストを受けたのだから、酷い怪我をなのだと思っていた。ご無事でよかった。
子どもたちはメガトロンの角を囲んではしゃいでいる。
「それにしても凄い威力だったね」
「ほんとほんと!クワガタ頭がこれだもんな〜」
「メガトロが悔しがっている姿が目に見えるよ」
「それを言うならメガトロン」
「え?そうなの?」
あはははははは!
この光景を守れてよかった。そう思っていると、ホットロッドも笑っていた。同じ気持ちなのかな?
「ホットロッド」
コンボイ司令官が立ち上がる。
「その剣、スターセイバーは君に預ける」
「俺に?」
司令官は頷いた。ホットロッドはすぐに返事する。
「はい!」
ホットロッドは剣を掲げた。
「スターセイバーに誓う!俺はこの宇宙の正義と平和を守り続けると!」
〈つづく〉