艦これ! 妖提督と艦娘の日々   作:d.c.2隊長

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相変わらずの亀更新、申し訳ないです。今回はあとがきにてアンケートがあります。沢山の方に参加して頂きたいので、是非とも最後まで目を通して頂きたいと思います。

それとは関係ないですが、提督……つまり氷狐な訳ですが、容姿の説明の段階で読む気が失せたとの一言を頂きました。自分のキャラクターの容姿を受け入れて頂くことができなかったのは辛いですが、やはりそういう方もいるのでしょう。お名前は出せませんが、評価を書いて頂き、誠にありがとうございました。


時雨 5ー4

 執務室から出た僕は、閉めた扉にもたれ掛かりながらその場に座り込んだ。僕の顔は今、リンゴを超える程に真っ赤になっているに違いない。誰にも見えないように膝を抱え、そこに顔を押し付ける。頭に浮かぶのは、さっきまでの出来事。氷狐に告げた僕の想いと、いっぱい、いっぱいして、してくれたキス。好きな人とのキスがあんなにも気持ち良くて、心地いいものだとは思わなかった。もしも氷狐がその気だったら……その……最後までシちゃってたかもしれない。そこまで行かなかったことは、シチュエーション的に安心するべきか、氷狐がその気じゃないことを嘆くべきか悩むところではあるケド。

 

 とりあえず、僕がこの鎮守府ですることは決まった。氷狐が意識体として取り憑いた艦娘に、絶対に傷を付けさせないこと。とは言っても、僕の装甲では壁になってもたかがしれてる……僕に取り憑いてくれるなら、回避に専念すればほとんど当たらない自信がある……まぁそこは氷狐の意志次第だけどさ。後は、この鎮守府にいる艦娘の能力……性能じゃなく、経験による直感や技術の向上かな。訓練なら金剛がいるから、内容は一緒に考えて煮詰めていけばいいと思うし。

 

 「……まぁ、それは夕食の後……かな」

 

 くぅ、とお腹が鳴った。時間を確認してみれば、もうすぐヒトキュウマルマル……午後7時になるところだった。お腹が鳴るのが執務室から出た後で良かった。もし氷狐に聞かれたら恥ずかしすぎて悶絶するところだよ。そんなことを考えながら、僕は氷狐が執務室から出るまで待って、氷狐と一緒に食堂に向かった。

 

 

 

 

 

 

 食堂にて、僕はなぜか窮地に立たされていた。理由は、川内、山城、翔鶴、青葉以外のみんなの視線が僕に注がれているから。その視線の内容は……嫉妬と羨望……だと思う。なんでそんな視線が僕に注がれているのかは分からないケド……いや、1つだけ理由っぽいのがあった。でも、その時はみんな入渠だったり遠征だったりでいなかったハズ……それに誰も執務室には入って来なかったし……と考えていた僕は何気なく……本当に何気なく青葉を見た。すると青葉は僕の視線に気付いたようでこちらを向き……ニヤリと笑って小さなカメラを取り出し、軽く振った。

 

 「……まさか……あ、青葉~!」

 

 「~♪」

 

 見られてた!? というか、知らんぷりして口笛を吹くなんてまた古いことを……じゃなくて! まさか見られてただけじゃなくて写真まで撮られた!? 一体どこから……というかいつから? 僕の独白というか告白というか、それは聞かれてないよね……?

 

 「時雨、青葉がどうかした?」

 

 「いや氷狐、なんでそんな冷静なの!? 青葉のあの態度と周りを見て!?」

 

 「……うん、見たよ。それで?」

 

 「青葉は僕達がキスしたところを見てた上にみんなに知らせたんだよって自白しちゃったよ!!」

 

 「うん、僕達はちゅうしたね。でも、それはみんなに知られて困るのかな?」

 

 「それは……」

 

 氷狐にそう言われ、よく考えてみる。青葉に僕と氷狐のキスした場面を見られ、撮られた。それをみんなに知らされ、駆逐艦のみんなと金剛から嫉妬の視線に晒されている……こういう現状が出来上がっているワケだけど、僕の精神的負担がかかっているだけで、それ以外には特に問題ない。知られて困ることでもないし……そもそも、ここにいる殆どの艦娘は氷狐とのキスは経験済み……しかもほぼ全員が氷狐を想ってることは明白。

 

 「僕は別に、隠すことでもないと思うよ? ちょっと恥ずかしいケド、ちゅう自体は嫌いじゃないし……時雨のこと、大好きだしね」

 

 「……~っ」

 

 ドォンッ!! という主砲の発射音がしたような気がして、その砲撃に撃ち抜かれた気がした。ニッコリと僕を包み込んでくれるような笑顔と一緒に出た、僕を骨抜きにして脳を溶かすようなセリフ……ちょっと頬が赤いのもポイント高い……周りのみんなが絶句したのが分かる。空気が死んでるし。そんな中で、僕はあうあうと声にならない声を出しながら、氷狐のセリフを頭の中で何度もリピートしていた。

 

 時雨のこと、大好きだしって。僕のこと、大好きって。氷狐に大好きって言って貰えた。どうしよう、顔絶対真っ赤だよ。嬉しすぎて泣きそうだ。冷静な部分が僕1人だけが好きなワケじゃないって言ってるし、理解してるケド……嬉しくないハズがない。好きな相手に面と向かって大好きと言われたら、もう……もう。

 

 「――っ!」

 

 僕の頭の中は、完全にショートした。

 

 

 

 

 

 

 何だか面白くありません。せっかく提督と時雨さんのキスシーンを皆さんに見せて、嫉妬の嵐であわあわするお2人が見られると思いましたのに……提督はちょっとしか恥ずかしくないみたいですし、時雨さんは時雨さんで、提督の言葉で頭から煙を出しながら顔を真っ赤にして気絶しちゃいましたし……立ちながら気絶って器用ですね……これでは青葉が時雨さんにお膳立てしたみたいじゃないですか。

 

 「時雨? 時雨ー? ……ダメだね、完全に気絶してるや。僕は時雨を部屋に寝かせてくるから、みんなは先に食べてていいよ?」

 

 「あ、電は待ってるのです」

 

 「暁だって待ってるわよ!」

 

 「そんな風に自己主張しなくても、提督が戻ってくるまでご飯は出さないから」

 

 「あはは……あ、青葉は着いてきてくれる? その手にあるカメラのことで、ちょっとお話があります」

 

 「げ……」

 

 気絶した時雨さんを背負った提督が青葉の方を見ながらニッコリと笑みを浮かべます。ちょっと怖いと思ったのは仕方ないでしょう。ああっ、皆さんそんな憐れみを帯びた目で青葉を見ないで下さい。誰か助け……ダメです、青葉の救援要請は意図的に無視されています……目を逸らすという形で。

 

 結局、青葉は提督の部屋まで来てしまいました……何気に提督の部屋に入るのはこれが初めてだったりします。廊下から部屋の中を見たことはありますがね。提督は今、まだ気絶している時雨さんの為に布団を敷いて、その上に彼女を寝かせたところです。さて、このまま食堂に戻ればいいんですが……残念ながら、まだ青葉に対する“お話”とやらが残っているんですよねぇ……と考えた丁度その時、提督が立ち上がって青葉の方を向きました。どうやらお話が始まるようですね。

 

 「さて、青葉」

 

 「何ですか? 提督。お話とはこのカメラに取ったことですかね」

 

 「それは別にいいよ。青葉の私物だし、よほどのことがない限りは取り上げたりしないよ。僕が言いたい……というか聞きたいのはね」

 

 

 

 「聞いてたよね? さっき執務室で僕と時雨がした話」

 

 

 

 「……はい」

 

 まあ、聞かれることは分かってました。こうしてキスシーンを撮ったと言っているのですから、必然的に話を聞かれたと思うのは自然なことですし……時雨さんから追求されなかったのは意外ですが……ってそんな余裕なかったですね。

 

 「誰かに話した?」

 

 「いいえ。青葉は別に口が軽いワケではないですよ?」

 

 青葉は空気は読めますし、言ってはいけないことの判断も出来ます。提督の意識体の効果、それによって提督がどうなるか……皆さんが知れば、提督が意識体となることを止めるでしょう。勿論、提督はそれを拒否するでしょうし、最悪生身で艦隊と一緒に出撃しかねません。それだけでなく、艦娘と提督が衝突し、この鎮守府の空気や雰囲気を悪くすることになるでしょう……それは最悪の場合、鎮守府そのものが機能しなくなるかもしれませんし、提督か艦娘のどちらかが異動、或いは解雇となるかもしれません。青葉は今の鎮守府が好きなので、そうなる可能性がある以上無闇に誰かに話すことはしたくないです。提督も知られたくないみたいですし、青葉が優先するのは提督のご意志……知らせるワケにはいきません。ですが……。

 

 「2つほど、条件があります」

 

 「……何かな?」

 

 「なぜ提督は、そこまで意識体を憑かせることにこだわるんですか? ……いえ、違いますね。なぜ青葉達を守ることにこだわるんです?」

 

 青葉がそう問い掛けると、提督は何かを思い出すかのように目を閉じました。その脳裏に何が蘇っているのか、どのような想いがあるのか、青葉は知りません……いえ、よくよく考えてみれば、青葉は提督のことを何も知らないのです。艦船時代、気がつけばいて、気がつけばいなかった“蒼”……それが提督だということは分かっていますが、話しをしたワケでもなく、意志をもって接触したワケでもない。意志疎通なんか出来るワケないですしね。分かっていることと言えば、妖怪だとか、意識体となって青葉達を守ってくれているとか、家事全般が得意だとか、書類処理が異様に速いとか、甘いものが好きだとかそれくらいで……おや、意外と知ってることは多いですね。

 

 そんなことを考えていたら、言うことが決まったのか提督が目を開きました。一体どんな理由を話してくれるんでしょうかね。

 

 「昔……君達がまだ艦船だった頃……1隻だけ、僕が最期まで乗っていた艦があるんだ。乗っていたと言っても偶然だけどね。僕はその艦が酷い目に遭うことを知って、その艦を守ってあげたくて……守ってあげられなかった」

 

 (守ってあげられなかった……? つまり、その艦は酷い目に遭って沈没、もしくは解体されたということでしょうか……)

 

 「僕の力じゃ、たった1隻の艦すら守ってあげられないケド……次こそはたった1隻でもって思うんだ。意識体を思い付いたのはそんな時。僕を助けてくれた“彼女”を見て、僕にも出来るかなって思ってね」

 

 そこまで聞いて、青葉は疑問に思いました。戦時、或いは戦後に提督が1隻の艦に乗船し、その艦が雷撃処分、もしくは解体されることになったことを知った提督はその艦を守ろうとするも失敗。恐らくはこういうことだと推測します。提督は助けてくれたと言いましたから、恐らくは雷撃処分。ここで分からないのは、助けてくれた“彼女”という存在。そして、彼女を見たことが意識体になる切欠となったということ。

 

 女性将校という可能性はほぼ100%ないですし、生身の人間を見たことで意識体という答えを得るとは考え難いです。ここで思い出すのは、青葉達艦娘は九十九神……物が人の形をとった存在であるということ。彼女というのは恐らく、艦娘に近い存在……その艦の意志のようなモノだったのではないでしょうか。

 「沈む時、彼女は最後の力を振り絞って僕を助けてくれた。だから今度は僕が守るんだ……これが僕の理由だよ。」

 

 「……よく分かりました。では、口止めのもう1つの条件です」

 

 「なにかなんむっ?」

 

 提督の首の後ろに手を回し、抱き付くように体を密着させて目を閉じながら口付けを1つ……おや、青葉が提督の口止めをしてしまいました。薄目を開けてみると、提督がびっくりしているのが分かります。まぁいきなりキス……というか恋愛云々は今までの青葉のキャラじゃなかったですし。そもそも、青葉の提督に対する感情はライクだったワケですし……だから秘書艦にはなっても旗艦は辞退してたワケですしね。配属されてから日が浅い大鳳さん同様、数少ない提督ノンラブ勢でしたしね。そんな青葉がいきなりこんなことをすれば、まあ驚くでしょう。

 

 「青葉……?」

 

 「今度からは、青葉も旗艦候補に入れて下さいね。そして旗艦にする回数も多めで。そうしてくれれば、さっきの話は誰にもしませんから」

 

 「……今のキスが条件じゃないんだ?」

 

 「意思表示ですよ。ちゃんと守って下さいね?」

 

 意識体にこだわる理由と守る理由は分かりました。その意志の強さも、よく分かりました。これは止めるように言っても聞かないでしょうし……それだけ青葉達のことも大切にしてくれていることも伝わりました。ならば、青葉から言えることは何もありません。だけど、出来ることはあります。

 

 青葉が旗艦になり、極力受けるダメージを減らすこと。戦艦である金剛さんには負けますが、時雨さんや川内さんよりも厚い装甲を持つ青葉なら、ダメージを受けても早々は沈みませんし、速度もそれなりにあります。中々良い考えだと自画自賛します……という考えは建て前。本音は……今まで旗艦にならなかった青葉が旗艦なる回数が増えると疑問に思います。旗艦は提督自身が指名するワケですから、周りには急に提督が青葉を選ぶようになったように見えます。そうなれば、周りは提督が青葉に対して何らかの感情を抱いたのでは……と考えるでしょう。

 

 

 

 つまり、外堀から埋めていくのです!!

 

 

 

 「それでは、青葉はこれでお暇します。旗艦の件、お願いしますよ?」

 

 「……分かったよ、青葉」

 

 提督はそう言って苦笑しますが、青葉は悪くありませんよ? ……青葉を色々な意味で本気にさせた……提督が悪いんですから。

 

 

 

 

 

 

 と、それで終われば青葉的には良かったんですが……今の青葉の状況を説明しましょう。

 

 目の前には艤装を付けた時雨さん。額に浮かぶシャープが時雨さんの浮かべている笑顔を何倍も怖くしています。そして青葉はよくある的に縛り付けられています……敢えて言いましょう。大ピンチであると!!

 

 「青葉……何か遺す言葉はあるかい?」

 

 「いきなり遺言!? というか青葉はなぜこのような状況に陥っているのかの説明を求めます!!」

 

 「青葉が氷狐に条件付けてた時、僕起きてたんだよねぇ……それで分からない?」

 

 「起きてたんですか!? あ、あはは……」

 

 青葉が提督に条件を突き付けた時には時雨さんは起きていた。もしかしたら、青葉の思惑も気付かれているかもしれません……なんて考えている青葉の目の前で、時雨さんがなぜか大量にある12.7cm連装砲に次々とペイント弾を装填していっています。いやぁ手慣れてますねぇ。そのペイント弾が装填された大量の連装砲をどうするのか教えて欲しいです。もちろん、この的から解放された上で。

 

 「あ、そうそう。青葉」

 

 「なんでしょう?」

 

 「青葉が言った旗艦の回数を増やすっていう条件……僕もそうしてもらうことにしたから」

 

 「はい!? な、なんでですか!?」

 

 「僕も話聞いちゃったからね。青葉と僕で交互に旗艦をすることを条件とした口止めだよ……独り占めはズルいよ? 青葉」

 

 な、何も言い返せません。というか既に時雨さんの両手に持ってる連装砲の砲口が青葉の方を向いているので怖くて何も言えません。

 

 「さて、そろそろ始めようか。大丈夫……ペイント弾は沢山装填したから、しばらくは……」

 

 

 

 ― 弾切れを気にする必要はない……よ ―

 

 

 

 どこかで聞いたようなセリフと共に、青葉はペイント弾の嵐を喰らうハメになるのでした。その後しばらくペイント弾の臭いが取れず、鼻がいい提督から避けられることになることは、今の青葉は知りません。

 

 

 

 

 

 

 どことも知れぬ深海深くにある洞窟。その奥深くで、2隻の深海凄艦が話していた。その内の1隻は、宿毛湾泊地鎮守府の艦隊との戦闘の際に逃げた空母ヲ級。そして、もう1隻は……。

 

 「ヲ、ヲヲヲ」

 

 「……分カッタ。ダガ、マダ確定シタワケジャナイ。引キ続キ、ソノ艦隊ト交戦シ、情報ヲ確タルモノニシロ」

 

 「ヲッ!」

 

 「フフフ……手掛カリハ得タ……モウスグ……モウスグ再会(ア)エルゾ……」

 

 愛シキ“蒼”……そう呟いた深海凄艦は……海軍から“戦姫”と呼ばれていた。

 

 

 

 

 

 

 『時雨』

 

 「あれ、山田総司令? どうしたんですか?」

 

 『発砲の音が聞こえるのが気になりますが、まあいいでしょう。下手人、紫大将の罰を一緒に考えようと思いましてね』

 

 「紫大将への罰? そんなもの決まってるじゃないですか」

 

 『そうですね。では罰の内容は……』

 

 『「限界まで不眠不休で仕事をさせ、尚且つ甘味の摂取禁止。そして宿毛湾泊地鎮守府の情報の一切を規制ですね」』




雷とのケッコンカッコカリ、ビスマルク配属、5ー3クリアとウハウハの作者です。次は夜戦忍者までのレベルアップが目標です。

さて、ここまで目を通して頂き、誠にありがとうございます。それではアンケートに移りたいと思います。

アンケートは、“次回から書く予定の番外編でどのような話を書いて欲しいか”というものです。感想にて幾つか案を頂いていますが、番外編は1話完結を4つ続けて書く予定ですので、読者の皆様の希望をお聞きしたいのです。

この艦娘をメインにこんな話を書いて! というものでも構いません。希望に添うことが出来るかは確約出来ませんが、なるべく希望通りにはしたいと思います。悲しくもアンケートに対する答えが少ない場合は、番外編自体書かないかもしれませんが……。

注意事項としまして、アンケートの答えは御手数ですがメッセージでお願いします。活動報告、及び感想に書かれた場合、失礼ながら無効とさせて頂きます。なぜなら、皆様に答えが見えない方が、想像が膨らむと思うからですw

それでは、あなたからの感想、評価、批評、pt、アンケートの答えをお待ちしております(*゜∇゜)ノ
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