艦これ! 妖提督と艦娘の日々   作:d.c.2隊長

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大鳳(タイトル詐欺)とルビを振っても(ry


大鳳 6ー3

 「あーもう! イライラする~!」

 

 「気持ちは分かるケド落ち着きなよ暁」

 

 私の前にいる暁ちゃんがイライラを表すように頭をガリガリとかきむしり、響ちゃんがまぁまぁと宥める。なぜ暁ちゃんがイライラしているのかと言えば……救出対象であるキス島守備隊の中に、ちょっと心無い人がいたんだ。

 

 突入した時からしばらく経って日も沈み始めた頃、私達はキス島に到着して救出活動を始めた。途中で戦艦級に重巡級の深海棲艦に会ったりしたケド、掠り傷こそあれど誰も小破もない。時雨さんに至っては無傷で、戦艦も重巡も1人で沈めてた……この人本当に駆逐艦なのかな。

 

 そんなこんなで守備隊の人達全員が収容艦に入る頃、最後の人がボソッと……ううん、私達にハッキリと聞こえるように言ったんだ。

 

 『チッ……やっと救助かよ。どんだけ時間かかってんだよノロマ共が……』

 

 確かにこの島が襲撃を受けてから……ううん、この人達が島に取り残されてから大分時間が経っているし、その間にどれだけ怖かったことか。救助は来ないし周りは敵だらけ……きっとすごく、すっごく怖かったんだと思う。だからきっと、つい口から出ちゃったんだよ。皆それが分かってるから何も言い返さなかったんだけど……やっぱり、せっかく助けに来たのに……そう思わなくはないし、あんな言い方をされるのは……悲しい。

 

 そんな風に少し気分が沈んで、収容艦が障壁のある場所を通り過ぎた頃、鋭い声が響いた。

 

 『皆、警戒して!』

 

 ハッとして幽霊みたいに時雨さんの近くに浮いている司令官の声に従い、各武装をすぐに撃てるようにしながら周囲を警戒する……あれが、出撃前に電ちゃんから教えてもらった意識体って奴なのかな? って今はそんなことを考えてる場合じゃないってば。

 

 「は……はわわ……」

 

 「冗談でしょ……」

 

 「ちょっとマズいかな……」

 

 「なんでこんな時に……!」

 

 「重巡に戦艦に空母ヲ級まで……」

 

 私を含めた時雨さんと司令官以外が震える声を漏らす。収容艦を守るように複縦陣を敷いていた私達の前に現れたのは……重巡リ級6、戦艦ル級5、空母ヲ級1の艦隊2つ分の深海棲艦部隊。しかも全てフラグシップ級。ハッキリ言って、勝てる要素がほぼ見当たらない。

 

 「時雨さん、あのヲ級……」

 

 「うん、前に逃したヲ級だ。どうやら今回のキス島襲撃……僕達をおびき寄せる為の罠だったみたいだね。どうやって切り抜けようか、氷……提督」

 

 『そうだね……』

 

 雷ちゃんと時雨さんが何かを悟ったように呟くけれど、私には何のことか分からない。でも、今の呟きと深海棲艦の戦力から見て、相手側の目的が時雨さんかもしれないということは分かった。時雨さんに聞かれて司令官が考え込むように俯くけれど、状況はかなり厳しい。

 

 戦力差、火力差は言わずもがなで後ろには防衛対象の収容艦。だから、目的は収容艦を守りながら戦線から離脱することなんだけれど……下がればキス島に逆戻りだし、突破するのは厳しい。遠回りしようとしても、収容艦が方向を変える内に砲撃されたらそれで終わっちゃう。日が落ちきって夜戦に入るまでもう少しかかるし……。

 

 『……時雨。君には少し無理してもらうよ』

 

 「任せてよ」

 

 『全艦魚雷装填。5秒数えて一斉射……用意。発射後はその場から動かず主砲で砲撃』

 

 司令官に言われてすぐさま私を含めた全員が61cm4連装酸素魚雷を装填する。同時斉射だから、合計24射線……敵の倍の数だけど……。

 

 『目標、敵艦隊。3……2……1……撃(て)ぇ!!』

 

 「行くよ!!」

 

 司令官の声と同時に魚雷を発射。そしてすぐに時雨さんが走り出し、私達は主砲を撃つ。そこまでしたところで、今まで沈黙していた敵艦隊も動き始めた。その矛先は……やっぱり時雨さん。重巡リ級とヲ級は魚雷の対処をしてるケド、戦艦ル級は執拗に時雨さんに向かって砲撃している。けれど、その砲撃は1つとして時雨さんを捉えることはなく、時雨さんは突っ込みながらリ級に主砲を撃っていた。

 

 「それだけ撃ちながら僕に当てられないのかい? 君達には失望したよ!」

 

 魚雷を迎撃していたリ級の1隻が何度目かの砲撃を受け、沈んでいく。その姿を見て少しだけ悲しくなるケド……今は気にしちゃダメ。1隻減ったことで迎撃の勢いが少しなくなり、ついに魚雷が敵艦隊に辿り着いた。

 

 「魚雷着弾! 数4なのです!」

 

 「当たっただけマシね。敵の被害は!?」

 

 「今の着弾でリ級撃沈1、大破1、ル級中破2!」

 

 これで2隻沈んだケド、まだ10隻残ってる。しかも戦艦と空母は減ってないし……魚雷も尽きた今、私達に出来るのは主砲で撃つことだけだけど……リ級ならともかく、ル級とヲ級は私達じゃかなり厳しいね……。

 

 「ほらほら! そんなんじゃ戦艦の名が泣くよ!」

 

 と考えながら主砲を撃つ私を余所に、敵艦隊に突っ込んで行っていた時雨さんは敵の真っ只中でヲ級の艦載機を撃ち落としながらリ級とル級の砲撃を避け、1隻のル級に主砲を当てて見事に沈めた……って。

 

 

 

 時雨さんがル級を沈めたー!?

 

 

 

 ガビーンという効果音が聞こえたような気がするケド気にしない。というか、駆逐艦が夜戦でもないのに戦艦を撃沈させるなんて……艦娘として生まれてから初めて見た。5人の最初の艦娘の名は伊達じゃないってことなのかな?

 

 「やっぱり時雨さんは強いわね……私だってもう少し大きければ……」

 

 「無駄口叩かないで暁姉!! 暁姉が1番命中率低いんだから黙って狙って!!」

 

 「酷くない!?」

 

 「昼間の射撃場の得点を思い出すんだ姉さん……リ級撃破確認」

 

 響ちゃんも強かった……ところで雷ちゃんは分かっているかな……こうやって立ち止まって狙って撃てる方がおかしいんだって。なんでかは分からないケド、深海棲艦達はしつこく時雨さんを狙っていて、私達の方には1発も飛んで来てない……本気で時雨さんを倒しにかかってる。

 

 『思ったより攻撃が集中してるし、足ばかり狙ってくる……同士討ちを狙うつもりだったんだケド……』

 

 「幸いにも僕が狙われてるだけだ。足下と直撃しか狙わないから避けるのは簡単だよ……流石に砲口を狙える余裕はないケドねっ!」

 

 会話をしながら深海棲艦達の攻撃を避けつつ、更に攻撃を当てる時雨さんが凄すぎるよ……私だったら多分とっくに沈んでるかも。因みに、今も私達は砲撃をしてるケド……当たってもあんまり有効打にはならない。

 

 「……ヲッ」

 

 『っ! そっち行ったよ!』

 

 司令官の声が聞こえると同時に、ヲ級の艦載機がこちらに向かって飛んできた。種類は……分からない。ケド!

 

 「絶対に落として!!」

 

 「「了解!!」」

 

 「なのです!」

 

 「Ураааа!!」

 

 まるで打ち上げ花火のように空に放たれる私達の対空放火は、確かにヲ級から飛んできた艦載機を撃ち落としていく。だけど、相手はフラグシップ級……艦載機そのものの能力も強化されていて動きが普通のヲ級とは段違いに良い。そして遂に1機だけ……たった1機だけ、私達の弾幕を潜り抜けた。

 

 (まずい! 目標は……収容艦!?)

 

 私が敵艦載機の攻撃目標が私達艦娘ではなく収容艦だと気付いた時には、艦載機が小さな何かを収容艦の直上から落としていた。

 

 (爆弾!? ダメ! 収容艦にはせっかく助けられた人達が!)

 

 小さくても爆弾、その威力は直撃すれば艦娘じゃない普通の収容艦なんて一撃で大破轟沈してしまう。そうなれば、乗組員の人達と守備隊の人達が……爆弾が落ちる僅かな時間が永遠のように感じる。だけど……終わりは近付いてくる。私達が狙いを定めて撃つよりも早くアレは落ちる。

 

 そして遂に、爆弾が……。

 

 

 

 飛んできた何かによって撃ち抜かれ、艦載機の間近で……艦載機を巻き込んで爆散した。

 

 

 

 【えっ……?】

 

 爆風に煽られながら、私達は同時に疑問の声を漏らした。今の一撃は誰が撃ったのか。私達じゃないし、時雨さんでもない。深海棲艦が撃つハズもないし……まさか、と私はある考えが浮かび、時雨さんの……“私達が進んでいた方角”を見て、その考えが正しいことを悟った。

 

 

 

 「戦闘機を狙ったのに別のモノに当たるなんて……不幸だわ」

 

 

 

 「山城さん!!」

 

 そこにあったのは、こっちに向かって来る山城さん達第二艦隊と、霧雨少将の第一艦隊の連合艦隊。元々今回の作戦はキス島周辺に張られた障壁を潜り抜けられる私達駆逐艦が突入して救助し、帰りは万全を期す為に連合艦隊が護衛に加わるというものだった。

 

 つまり、私達の倍の数いた敵艦隊とほぼ同数の援軍が今来てくれたんだ。しかもその半分以上が戦艦で、霧雨少将の艦隊にはビッグ7で有名な長門さんもいる。戦力も火力も、私達が完全に上回った。

 

 「皆サーン! ついて来て下サイネー! ファイヤー!!」

 

 「大鳳“改”、行きます! 全機発艦!!」

 

 「行くわよ! 全機、突撃!!」

 

 「敵艦がよく見えますねぇ。という訳で、砲撃は青葉にお任せです!!」

 

 「山城“改二”……行きます! 妖精さん? よく狙って……てぇーっ!!」

 

 山城さん達と霧雨大将の艦隊の皆から、時雨さんと撃ち合っている敵艦隊に向かって艦載機の攻撃と砲撃が向かっていく……ってそこには時雨さんがいるよ!? なんで一切の躊躇いなく攻撃したの!? 時雨さん巻き込まれちゃうよ!?

 

 そんな私の心配は杞憂に終わった。だって、時雨さんがこっちに移動してきてるんだもん。しかもリ級もル級も小破ないし中破に追い込んでるし……もう時雨さんだけでいい気がしてきたよ私。

 

 「文月と空母2人以外で模擬戦した時、傷1つ付けられなかったしね。別格という言葉すら生ぬるいよ」

 

 「響ちゃん、何でもないように心読まないで……」

 

 この後、敵艦隊は戦艦の砲撃の雨と艦載機の攻撃に晒されて壊滅した。それはもう深海棲艦側が可哀相になるくらい……暁ちゃん達も皆悲しそうにしてる。特に電ちゃん……ではなく響ちゃんが1番悲しそうに顔を歪めて、それを隠すように帽子を深く被った。何か思うことでもあったのかな?

 

 

 

 

 

 

 あの後、私達は連合艦隊を加えて収容艦を私達の鎮守府よりも近い霧雨大将の鎮守府へと護衛した。道中で深海棲艦に出会ったりもしたケド、戦艦8隻と空母2隻がいる護衛艦隊は索敵も火力も負けることはなく、結果、収容艦を傷1つ付けさせず守りきった……私達駆逐艦の出番はなかったケド、何はともあれ任務完了。後は霧雨大将の鎮守府に任せて、私達は自分達の鎮守府に帰るだけ……だったら良かったんだケド……ね。

 

 「やっと助かった……ったく、救助は遅いし船は揺れるし……ガキにやらせるとか雑な護衛してんじゃねぇよ……」

 

 明らかに私達に……今回任務に参加した全員に聞こえるように悪態を付いたのは、島で収容艦に入る時にも言っていたあの人だった。周りにいる同僚らしい男の人が窘めているケド……1度口に出してしまったことを撤回することはしない。確かに怖かったんだと思うし、艦載機を通してしまった私達に責任はある。山城さんがいなかったらと思うと今でもゾッとする。

 

 だけど、悪口ばっかり言うのは違うと思う。私達は命懸けで任務を頑張ったし、雑になんかやってない。それだけは認めて欲しい。でも、私が言っても聞いてくれないかもしれないし……そうやって私が悩んでいると、霧雨大将のところの長門さんが、悪口を言っていた男の人の前に立った。

 

 「すまないが、これ以上の暴言は許さん」

 

 「あん……? ってうぉっ」

 

 「……救助が遅くなったのは詫びよう。だが、彼女達は貴様達を救助する為に命懸けで守り、戦ったのだ。礼を言うならまだしも、暴言を吐くなど……恥を知れ!!」

 

 「ひっ! ひぃぃっ!!」

 

 男の人よりも大きな長門さんが、腕を組みながらそう声に出すと、男の人は尻餅をついた後に慌てて逃げ出した。普通なら情けない人、だなんて感想も出るんだろうケド……やっぱり、怖がらせてごめんなさいって思う。

 

 そんなことがあった後、私達は海から鎮守府に帰っていた。霧雨大将は車を出してくれるって言ってたらしいんだケド、艤装の大きい山城さんと金剛さんが入りづらそうだったので司令官が皆で海から帰ろうと言い、皆賛成した。

 

 「山城さん、さっきはありがとう!」

 

 「本当に助かったよ山城さん。響達じゃ、あの爆弾はどうしようもなかったからね」

 

 「流石に偶然よ。実はアレ、本当は艦載機じゃなくてヲ級を狙って外した大暴投だったのよ」

 

 【ええっ!?】

 

 『じゃあ、艦載機を狙ったとか言ってたのは?』

 

 「見栄」

 

 驚いている私達駆逐艦娘と苦笑いの司令官に羨ましいくらい大きい胸を張って見栄と言い切った山城さん。白夢大将の鎮守府に居た時には考えられないくらい明るい山城さんは、すっごく魅力的に思えた。

 

 「そういえば司令官。さっき山城さんも金剛さんも“改二”って言ってなかった?」

 

 「大鳳さんも“改”になってるのです」

 

 『出撃前に妖精さんにお願いしたんだ。練度は充分だったし……川内も改二になってるよ』

 

 「ずるーい! 暁も改二になりたい!」

 

 「司令官、響はいつでも名を変える準備は出来ているよ」

 

 「無茶言わないの」

 

 改二かぁ……私も憧れちゃうなぁ。だって、改二になるとみんな強くなるし、綺麗になるし、カッコ良くなるんだもん。白夢大将のところだと、霧島さんとか北上さんとか大井さんとかが改二になってたっけ……でも艦娘の改二ってそんなに多くないんじゃなかったっけ? そもそも改二になるにしても少なくない資材と練度が必要だし、一部は改修許可を得る為に勲章が必要だって聞いたような……まぁ私には関係ないかぁ……。

 

 それよりも気になるのは……。

 

 「時雨さん時雨さん」

 

 「なんだい? 文月」

 

 「何をずっと考えてるんですか? 戦いが終わってからずーっと考えてたみたいですケド」

 

 「ああ……いや、またヲ級に逃げられたなって思って」

 

 「また?」

 

 詳しく聞いてみると、前にもヲ級を含めた艦隊と交戦した際にヲ級を逃したことがあるらしい。もしかしたら、その時のヲ級と同じ個体かもしれないんだとか。出なければ私達を……時雨さんを罠に嵌めて集中攻撃するという行動の説明がつかない。更に、この行動以外にも不審な点があるんだとか。

 

 「不審な点って?」

 

 「鬼や姫がいなかったことさ」

 

 「……?」

 

 「あーっと……そうだね……一部の深海棲艦が障壁を張ると言ったのは覚えてる? 今回キス島を囲っていた結界もそれと同じようなモノだって話も」

 

 「うん」

 

 「じゃあ、その結界は誰が張ったんだと思う?」

 

 そこまで聞かれたことで、時雨さんの言いたいことがようやく分かった。今回の結界の大本が深海棲艦の使う障壁なら、それを張った鬼、もしくは姫があのキス島か近くの海上や海中にいると考えた方が自然。なら、なぜ交戦する時にその姿を現さなかったのか。

 

 時雨さんの考えでは、あの結界を張ると行動出来なくなるデメリットがある。または張るだけ張ってどこかへ行った。または……敢えて動かずに姿を現さなかった。

 

 「今考えつくのはこれくらいかな……まぁ僕達は深海棲艦の全てを知ってる訳じゃないから何とも言えないんだケドさ……この話はもう止めようか。もうすぐ鎮守府に着くしね」

 

 時雨さんに言われて、もう鎮守府が見えるところまで戻ってきていることに気付いた。同時に、時雨さんの後ろに司令官がいないことにも。どこに言っちゃったのかな? という疑問は、軍港に辿り着いた時に解消された。

 

 「みんなお帰り。それから……ご苦労様。文月も初任務お疲れ様。よく頑張ったね」

 

 海から上がった私達を出迎えてくれたのは、司令官と……なぜか艶々とした川内さん。どこか忍者を思わせる服装と首に巻いたマフラーが格好いい……川内さんも改二になって格好良くて綺麗になってる……いいなぁ。

 

 そんな風に思っていると、司令官が時雨さんの前まで歩いてきて……その頭を撫でた。あ、時雨さんが気持ちよさそうに顔を緩ませてる……うん? 今、わんこの耳みたいな髪がぴくんってしたような……気のせいか。

 

 次に暁ちゃんが撫でられてふにゃふにゃと幸せそうな顔をしてへたり込み、響ちゃんは撫でられて恥ずかしそうに帽子を深く被って俯き、雷ちゃんは無邪気に喜んで満足げに笑い、電ちゃんはまるでお風呂に入って疲れを取るように安心しきった顔ではふぅ……と息を付いた。そしていざ、私の番。

 

 「よく頑張りました」

 

 「ふにゃ~♪」

 

 あ……これダメになるぅ……♪ 一撫でする度に司令官の労いや感謝と愛情が私の頭からつま先まで満たしていく……いいなぁ、皆出撃から帰ってくる度にこうやってもらってたのかなぁ……でも、これからは私もこうしてもらえるんだよね? そう思いながら、私は司令官の手を両手で押さえつけながら、その手のひらに私の頭を擦り付ける。やっと触れ合えた。ずっとこうして欲しかった。

 

 実は、私はこの鎮守府の山城さんが白夢大将の鎮守府で司令官によって建造されたところをこっそりと見ていた。山城さんも司令官も知らないだろうし、その時にいた時雨さんも川内さんも金剛さんも気にしてなかったから覚えていないだろうケド。でも私は覚えてる。山城さんを建造した時の司令官の嬉しそうな顔。初めて司令官を見た時に感じた懐かしさと、言葉に出来ない胸の内を満たす暖かさ。この時から私の意識は、鎮守府の提督である白夢大将ではなく司令官に向いていた。

 

 異動を願ったのは、山城さんが異動した次の日。でも練度が足りないこととこの鎮守府……司令官という存在の事情から今日になるまで受理されなかった。だから……今こうして司令官に頭を撫でられるなんて夢みたいで。

 

 「ふっ……くぅ……」

 

 「文月? どうしたの?」

 

 「なん、でも……ないから……ふぇ……」

 

 嬉しくて、涙が出るくらいに嬉しくて。ずっとずっと撫でていて欲しくて。私はしばらくの間、慌てる皆に慰められながら、撫で続ける司令官の手と、優しく抱き締めてくれる山城さんの暖かさを感じながら泣き続けた。




 ~艦隊旗艦直前の川内~

氷狐「ん……」パチッ

川内「お、起きたね。ってことはもうすぐ帰って来るかな」ツヤツヤ

氷狐「うん……ねぇ川内。なんか艶々してない? それに、何だか体がちょっとダルいような……」クビカシゲ

川内「椅子に座りながら寝るからじゃない? 私は氷狐の寝顔見たからかもね」

氷狐「そうかも……あれ、川内。ミントのガムか何か噛んでた?」

川内「うん。ちょーっと……必要になってね」ペロリ

川内(ご馳走様、氷狐♪)






はい、ほぼふみぃどころか全部ふみぃ視点でした。戦闘やら作戦やらは“こまけぇこたぁいいんだよ”精神でお願いします(土下座

それでは、あなたからの感想、評価、批評、ptをお待ちしておりますv(*^^*)/

もう一つの艦これ作品も始めました。まだ2話しかありませんが、気が向いたら見て下さると嬉しいです。
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