艦これ! 妖提督と艦娘の日々   作:d.c.2隊長

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今回はいつもよりもかなり短いです。

息抜き作品の方が文字数多い……なぜに。


木曾 7ー1

 【木曾(きそ)】

 

 木曾は旧日本海軍の球磨軽巡洋艦の5番艦の末っ子であり、その名は東海地方を流れる“木曽川”から命名されたモノ。

 

 1919年6月10日にて起工。翌年の1920年12月14日に進水。1921年5月4日、三菱造船長崎造船所(現在は三菱重工長崎造船所)にて竣工され、以後22年の時を戦い抜き、1943年の11月13日、マニラ湾に停泊中に米空母機動部隊艦載機の攻撃を受けて大破着底。2年後の1945年3月20日に軍艦籍から除かれ、1955~1956年にかけて現地にて浮揚解体された。

 

 艦娘としての彼女は、水兵服に水兵帽、スカートを履き、右目に眼帯を付けた中高生程の容姿をしている。一人称が俺、口調が男勝りなこともあってか性格は勇猛果敢。胸のあるイケメンと呼ばれることも。改二となることで更に勇ましさが増す。

 

 

 今回のお話は、彼女が宿毛湾泊地鎮守府にて建造されることから始まるほのぼのと、他の艦娘達に追い付くべく頑張る……そんなお話。

 

 

 

 

 

 

 ぼんやりとした意識の中で、あるか分からない手を伸ばした気がする。自ら求めたのか、誰かに求められたのかは分からない。だが、どちらだとしても……それは良いことなんだろう。求めるモノがソコにあったのだ。誰かに自分を欲されたのだ。どちらにしても、嬉しいことだろう。

 

 ゴウン……そんな重い音が響く。それと同時に、ぼんやりとしていた自分という存在がハッキリとしていく。記憶が浮かび、身体が作られ、意識がハッキリし、“俺”という存在が生み出されていく。目を開けて、状況を確認する。なんというか……言葉にするのが難しい空間だが……記憶によれば、ここは建造機の中だ。重力を感じない、夕焼けの海にいるようなオレンジの世界。その中にポツンと存在する大きな扉。俺はその扉に吸い込まれるように近づいた。

 

 嗚呼、早く会いたい……なぜかそんなことを思った。どうやら求めていたのは俺の方だったらしい……新たに艦娘として、たった今生まれたばかりの俺が何を求めるというのか……戦果か、無能ではない提督は欲しいが。そんなことを思いながら、俺は扉を開き……新たな世界に1歩踏み出した。

 

 

 

 「……っ」

 

 

 

 眩しい。建造機があるからここは工廠だと思うが……窓から入る日の光は、あのオレンジ色の世界から出てきたばかりの俺の目には少しキツい。が、それもすぐに慣れて周りを把握出来るようになる。すると、すぐ近くに俺と同じ艦娘らしき存在が1……2……16人。そいつらの前に立つ青い髪の男は、新しい俺の提督だろうか? と考えていると、並んでいた艦娘の1人……水着の上にセーラー服の上だけ着てる……が俺の横に立ち、提督らしき男が1歩前に出る。その男に対し、俺は……妙な懐かしさと胸に温かさを感じた。

 

 「さて……ようこそ、宿毛湾泊地鎮守府へ。僕は八意 氷狐。後ろにいる彼女達と……今日からは君達の提督だよ。君達の名前を教えて欲しいな」

 

 「それじゃあ改めまして! 海軍本部から異動でやってきました、伊168です! イムヤでいいわよ?」

 

 「……俺は球磨型軽巡洋艦、木曾だ。提督、お前に最高の勝利を与えてやる」

 

 「うん、2人とも宜しく。早速だけど、食堂に行こうか。歓迎会と、皆と交流を深める為にね」

 

 「わぉ! それは楽しみね」

 

 提督が言ったことを切欠に、ぞろぞろと仲間となる艦娘達が工廠から出て行く。そんな中で、俺はその場から動かずに提督を見つめていた。提督の姿から目を離せない。懐かしさ、愛しさ、そういった感情が俺の心を震わせる。軍艦の時の記憶にある、いつの間にかいて、いつの間にかいなかった“蒼”とその姿が重なる。

 

 「……なぁ提督」

 

 「ん? なんだい? 木曾」

 

 「俺とお前は昔……いや、何でもない。食堂だったか? 案内してくれよ」

 

 「あーうー……構わないよ。行こっか」

 

 目の前の提督が、あの“蒼”が同じハズがない。そう俺は考えを改めて提督が伸ばした手を無意識に握り返し……手を繋いだと意識した瞬間に急に恥ずかしくなって我ながら乱暴に手を振り払った。

 

 「わ、悪い! 別に提督と手を繋ぐのが嫌な訳じゃないんだ! ただ、その、だな……」

 

 「あはは、いきなり過ぎたかな? ごめんね木曾。じゃあそろそろ行こうか」

 

 「あ……ああ……」

 

 提督は気にした様子もなく、笑って俺にそう促して工廠から出るべく歩き出し、俺も遅れないように提督の後ろを歩く……いや、本当に嫌な訳じゃないんだ。ただ、柄にもなく恥ずかしくなってしまっただけで思わず……って俺は誰に言い訳をしているんだ。

 

 その後、顔が赤いまま食堂に着いてしまった俺は青葉を筆頭にからかわれ、歓迎会の最中に提督が永い時間を生きた妖怪だと教えられてイムヤと一緒に驚愕し、意識体だなんだと説明を受け、特に出撃も遠征もないらしいのでこの鎮守府最強だという時雨に力試しがてら挑んで返り討ちにあい、射撃場での訓練で現状の練度の差を見せ付けられ、その日は終わった。因みに、新参者である俺とイムヤが加わったことで提督と一緒に寝る艦娘……最初に聞いた時は何考えてんだコイツ等と思った……が1人から2人に変わり、俺は山城、文月、青葉と相部屋に、イムヤは時雨、川内、金剛達と相部屋となった。

 

 

 

 

 

 

 「今日は木曾に秘書艦になってもらおうかな。電、君は木曾の補佐についてあげてね」

 

 「はいなのです!」

 

 翌日、朝飯の時に提督に秘書艦に任命された。着任2日目の俺に秘書艦なんてやらせていいのかと聞いたが、基本的に秘書艦は誰にでも経験させるらしく問題はないらしい。そもそも経験させるだけで、主な秘書艦は電のみなんだってな……という話を執務室に着いた時に話された。

 

 「最近になってようやく川内さん達から太鼓判をもらったのです!」

 

 「いっぱい頑張ってきたもんね、電」

 

 「はにゅう……♪」

 

 “伝皆許免”と達筆で書かれた賞状を誇らしげに抱く電、その頭をよしよしと撫でる提督、そして幸せそうな電……電が初期艦だったらしいし、2人の絆とやらの深さを感じさせる……なぜか、ちぃとばかしイライラとする。これが嫉妬って奴かね。提督とこの姿で出逢ってまだ2日目なのにな。

 

 「いつまでもイチャついてないで、秘書艦の仕事とやらを教えてくれないか? “電センパイ”」

 

 「はわわ! は、はいなのです!」

 

 ニヤニヤとしながらセンパイを強調してみると、電は真っ赤になりながら提督から慌てて離れた。因みに、俺は秘書艦というネームプレートの置かれた机の前に座っている。電は賞状を棚の上に飾り、俺の隣に立って書類の書き方や分け方、茶の入れ方や確認事項などを丁寧に教えてくれた。やることは割と多いが、電の補佐があれば今日1日くらいは出来る自信がある……1週間は秘書艦らしいから、失敗しないようにしないとな。

 

 「……ところで、あの賞状はわざわざ川内が本部に要求したのか?」

 

 「うー? あれは川内が手書きで用意したんだよ?」

 

 「マジで!?」

 

 

 

 

 

 

 さて、昼飯の後は秘書艦の仕事……ではなく、駆逐艦娘達と共に遠征に出るように言われ、こうして海の上を進んでいるんだが……。

 

 「秘書艦だし、出撃かと思ったんだがな」

 

 フッ……と少し残念に思いながら空を見上げる。基本的に、秘書艦は第一艦隊の旗艦となることが多い。第一艦隊と言えば、その鎮守府の主力艦隊だ。その旗艦なんて艦娘として心踊るじゃないか……一部では新参者に経験を積ませる為に旗艦にする提督もいるそうだが……まぁそれは今の俺には程遠い道のりだが。そんなことを思いながら、空に向けていた視線を前に向ける。

 

 「み~んな殺っちゃうよ~!」

 

 「遅いよ」

 

 「司令官の為に、いっきますよー!」

 

 (……やることないな……)

 

 文月が物騒なことを言いながら軽巡深海棲艦を沈め、響が淡々と言いながら重巡深海棲艦を海の藻屑に変え、雷が元気よく言いながら最後の駆逐深海棲艦を撃沈させる。無駄弾は一切無く、全て主砲による砲撃を1度だけ……軽巡はまだ分からないでもないが、重巡を一撃ってどういうことだ……。

 

 「時雨さんは昼間に戦艦相手に魚雷も使わずに無双するよ」

 

 「心を読むな……ってマジで!?」

 

 「“最初の5人の艦娘”は伊達じゃないさ」

 

 「あ? 最初の5人の艦娘……?」

 

 で、響から“最初の5人の艦娘”とやらの説明を受けた訳だが……要するに、艦娘としての大先輩で全ての艦娘の中でも文字通り最強クラスの実力者だってことは分かった。通りで前にやりあった時に手も足も出なかった訳だ……練度も経験も何もかもが違いすぎたんだからな。

 

 しかし、響は無口な奴だと思ってたんだが……目をキラキラと輝かせながら話す姿は見た目相応で微笑ましいものがある。こんなナリで俺より遥かに強いってのは……仕方ないと分かっていても納得出来ねえ。というか、同期のイムヤが異動で来たということは俺よりも練度が高い可能性がある。そうだとすれば、鎮守府で俺が1番弱いことになる……認められないね、そんなの。榛名は配属されてから俺とそう変わらない時間しか経ってないらしいが……あいつも何故かやたら強かった。数日の差は激しいってことだ。

 

 「響、帰ったら俺と演習してくれ」

 

 「構わないケド……急にどうしたんだい?」

 

 「なに、早くお前たちを超えたいだけさ。その為には、強い奴と戦うのが1番ってな」

 

 「慌てちゃダメよ? でも私も手伝ってあげるわ!」

 

 「演習なら、私も頑張るよ~♪」

 

 「ああ、是非とも頼む」

 

 こうして俺は3人と演習をしてもらうことになり、なぜかそれが広まって他の奴らとも演習をすることになり、実力差を改めて身体に刻み込まれることになるんだが……まぁ、この時の俺は知る由もなく、(俺が戦う前に終わるから)戦わない平穏な遠征を過ごすのだった。

 

 

 

 

 

 

 「ところで木曾さん。なんで眼帯をしているの?」

 

 「私もそれ気になったー。なんでなんで~?」

 

 「んあ? いや、俺に聞かれてもな……」

 

 「雷、文月、その眼帯に触れたらいけないよ。それはちゅーに病という病気に掛かってしまった人がつけているモノで……その奥の目には死が線として見えたり、目を合わせた相手を思うままに操れたり、最強の眼だとか見たモノを石に変えるだとか人知を超えた眼があったりするんだ。触れたら最期……響達も……」

 

 「「ひぃっ!」」

 

 「ねーよ!! 最初からこういう見た目なんだよ!!」




 ~その頃の青葉さん~

青葉「暁さん、いいですよー。大人の色気が出てますよー。これなら司令官を骨抜きに出来ますよー」パシャパシャ

暁「と、当然よ! ……司令官を骨抜き……えへへ♪」テレテレ

電「遠征中に何してるんですか? 2人共」ゴゴゴゴ

青葉&暁「そりゃあ司令官を落とす為の(微エロな/せくしーな)撮影会を……あっ」ダラダラ

電「電と川内さんが頑張ってるのに……サボっちゃダメなのです!」シュホウギョライイッセイシャ!

青葉&暁「わああああっ!!」タイハッ!

川内「……これじゃギリ赤字、だね」アキレ






()内は心の声なので悪しからず。

榛名かイムヤだと思った? 残念、木曾でした!

どうにも○ー1は話が膨らまない……なので今回は4000文字をギリギリ越えたくらいです。息抜き作品の方は1万を越えるというのに……。

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