艦これ! 妖提督と艦娘の日々   作:d.c.2隊長

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宣言通りのペースダウン。ダウンし過ぎな気もしますが……申し訳ないです。

今回は地味に難産でした……では、どうぞ。


暁 2ー1

 【暁(あかつき)】

 

 暁は吹雪型(特型)の21番艦であり、特Ⅲ型(暁型)の1番艦、ネームシップ。同型艦として二番艦響、三番艦雷、四番艦電と3隻の姉妹艦が存在する。日本海軍で“暁”を名乗るのはこの暁が3隻目。

 

 1930年の2月で起工され、32年5月に浸水し、同年11月に竣工した。そこから12年の間動き続け、1942年の11月3日に米艦隊と交戦、戦没した。特Ⅲ型としても、第六駆逐隊としても最初の犠牲者となった。

 

 艦娘として生まれ変わった彼女は、駆逐艦の共通点というべきか幼い姿をしている。紫っぽく見えるセミロングほどの髪に電と同じセーラー服と帽子が特徴。このセーラー服は特Ⅲ型内で共通であり、帽子を被っているのは暁と響の2人である。

 

 本人は一人前のレディーであると主張。しかし、その動作と見た目から見ても完全に子供。頭を撫でられると口では嫌がるものの嬉しそうという器用なことをする。氷狐提督の獣耳の感触が忘れられないとかなんとか。

 

 今回のお話は、暁の視点から語る……時にほのぼのと、時に甘く、極普通に過ごす……そんなお話。

 

 

 

 

 

 

 「あーん……♪」

 

 姉妹が揃ってから3日が経った日のヒトゴーマルマル……午後3時。暁達4人はおやつを食べているのです。今日のおやつは司令官お手製のミルクプリン。ぷるんとした食感と牛乳の甘さが素晴らしい逸品なのです。その司令官は書類の処理と本部からのお客様の対応をしていて、暁達は一足早く食堂でおやつを食べているということです。

 

 「相変わらず司令官の作るおやつは美味しいね。Хорошо(素晴らしい)」

 

 「本当よね。全く、司令官が有能だから全然私に頼ってくれなくて困っちゃうわ」

 

 「美味しいのです~♪」

 

 妹達もこのミルクプリンの美味しさに満足げにしている。響は一口一口味わって、雷は少し愚痴をこぼしながら、電は幸せそうな顔でそれぞれ舌鼓を打っていた。思えば、雷が言うように司令官……八意 氷狐という人物? ……妖怪は有能だ。本当に何でも出来るんじゃないかって思えるくらい。

 

 「不満そうだね、雷」

 

 「別に不満って訳じゃないんだけどね? もっとこう……頼ってくれてもいいじゃない?」

 

 「例えば?」

 

 不満げに呟く雷に聞き返してみる。暁が司令官に会って今日で5日、雷は3日目。会って一週間も経っていないけど、その間で司令官の有能さはしっかりと見てきた。

 

 妖怪としての能力は意識を飛ばす? というのしか見たことないけど、書類処理の速さは暁達の数倍。暁達が慣れてないだけって司令官は言ってくれるけど、多少慣れてる響がポカンとするくらいだから説得力がないわね。お茶を淹れるのも上手い。なんで同じ茶葉を使ったのにああも差があるんだろう……秘書艦として出来ることがないって電が落ち込むのよね。炊事掃除洗濯も出来る。とは言っても掃除は暁達と妖精も一緒にするし、洗濯は司令官とは別々にやってる。艦娘だけどレディー、異性と一緒に洗濯するのはちょっと……最近は雷と電が洗濯を全てやってる。料理については目の前のミルクプリンが語っている。最近はなぜか最初から料理が出来た雷とロシアの料理を少し作れる響に暁と電が教わっているけど、それでも司令官と雷が普段作っているし。

 

 「ん~……そうね……遠征とか出撃の時とか……あっ、司令官に秘書艦にしてもらえるように頼みに」

 

 「だ、ダメなのです! 秘書艦は電がやるのです!」

 

 「だとさ。電がこれだけはっきり言うんだ、秘書艦は司令官から直接任命されるまで我慢だね」

 

 「私もはっきりイヤって言われたしね」

 

 「え~……1日だけでもダメ?」

 

 「ダメ! なのです」

 

 現在の司令官の秘書艦は電。電はダメって言ってるけど、実は全員が司令官に秘書艦にしてもらえないか頼みに言ってる。でも、今は電の強い希望と電に秘書艦に必要なことを覚えさせている段階だから秘書艦はしばらくは変えない、と司令官から言われて却下されてる。電はそのことは知らないみたいだケド。

 

 「むう……料理は私より上手いし、書類処理も私より速いし正確だし……もっと司令官に何かしてあげたいのにー」

 

 (((健気だ……)))

 

 雷は頼りにされたい、誰かに尽くしたいという思いが暁達の中でも強い。勿論、誰かは誰でも、ってことじゃない。雷は司令官に頼ってもらいたくて、司令官の為に何かをしてあげたい。会って3日の雷がこうまでなるんだから、司令官の魅力の高さが分かる。

 

 というか、暁達は皆司令官に対して好意的だと思う。まずは司令官の最初の艦娘にして秘書艦の電。秘書艦のお仕事にお料理のお手伝い、執務中の司令官へのお茶汲み、司令官から暁達への伝言まで頑張ってる電は、誰が見ても司令官のことが好きだと分かる。やっぱりあのちゅ……ちゅーが決め手かしら? う、羨ましくなんかないんだから!

 

 こほん。次は響。響は暁が出来た次の日に深海棲艦から艦娘に戻ってこの鎮守府に配属されたワケだけど……出会いが出会いだからか、電並みに司令官への好感度は高い。配属された日の夜は一緒に寝たみたいだし……因みに、次の日に電が一緒に寝てくれないかって司令官にこっそり強請ってたのは、同じ日に配属された雷を含めた姉妹皆が知ってること。ちゃんと受理されてたのも当然知ってる。

 

 雷は配属されてまだ3日だけど、それでも司令官に対しては好意的だというのはさっきのセリフからも分かる。ただ、あまり頼ってくれない司令官に対して不満があるのよね。とは言っても、秘書艦の仕事を除けば雷が1番頼られてる気がする。何しろ暁達姉妹の中で1番家事ができるんだし。艦娘としては響だけど。

 

 そして暁は……どうかしら。悪感情は、全くと言っていいほどにない。姉妹を揃えてくれたし、暁達を兵器として扱わずに個人を見てくれて、思ってくれてる。“愛の感情で存在する妖怪”である司令官は、無償の愛を向けてくれる。それが嬉しくないハズがない。それが恋愛感情じゃなくて家族に対するような、友達に対するようなものなのはちょっとフクザツだけど……。司令官のこと好きだけど、それが恋愛感情かどうかは分からないし……あ、でもでもお姫様抱っこされた時は凄く嬉しかった……なんて思う前に凄く恥ずかしかったっけ。電みたいなちゅーもいいけど、またお姫様抱っこされたい気も……。

 

 「あ、皆まだ食べてたんだね」

 

 「「「司令官(さん)!」」」

 

 「きゃひっ!?」

 

 「暁? どうしたの?」

 

 「にゃ、にゃんでもないなんでもない!」

 

 恥ずかしいことを考えてる時に司令官が来たからびっくりして変な声が出ちゃったじゃない!きゃひって何よきゃひって。まぁ暁は一人前のレディーだから上手く誤魔化せたケド。

 

 「お客様はどうしたんですか?」

 

 「もう帰ったよ。今日は簡単な話し合いだけで済んだし」

 

 「そういえば、お客さんはどういう人だったんだい?」

 

 「違う場所の鎮守府の提督だよ。ああそうだ、この後のヒトロクマルマルから暁を旗艦に響、雷で第二艦隊を編成。3人には近場に遠征してもらうね。電は秘書艦のお勉強だよ」

 

 「「「「了解!」」」なのです」

 

 また遠征か……と内心で溜め息を1つ。実は響を深海棲艦から艦娘に戻したあの日以来、出撃も本部からの出撃要請もない。やることと言えば、電以外の3人で第二艦隊を編成して近場を遠征するくらい。演習もない。遠征を除けば朝起きて、朝ご飯を食べて、司令官と電は執務室で書類処理、暁達は掃除に洗濯。お昼ご飯を食べて、4人で自主訓練をして、おやつを食べて、遠征やら自主訓練をして、晩ご飯を食べて、お風呂に入って寝る……なんて規則正しい生活。レディーにはぴったりね。

 

 でも暁達はあくまでも軍艦……出撃して深海棲艦を沈めるのが存在意義と言っても過言じゃない。響のような事例があるから少しだけ全力攻撃には抵抗があるケド……因みに、響の事例と司令官が人間じゃなくて妖怪だというのは雷には既に教えてある。

 

 さてと、そろそろ遠征の準備をしないと……そう考えて、暁は最後の一口を口にした。

 

 

 

 

 

 

 「これでよし」

 

 遠征用の補給船に最後の燃料を載せ、ブルーシートを被せてロープで縛る。後はこれを引いて鎮守府に帰るだけ。気がつけばもう夕暮れ……だけどこの場所は鎮守府から近いので、完全に日が暮れる前には余裕を持って帰ることが出来る。

 

 ここで、暁達艦娘の海上での移動方法の説明をするね。暁達艦娘は艤装という軍艦時代の装備を今の艦娘としての身体のサイズに合わせた装備を最初から持っている。この艤装を装備している間は軍艦としての戦闘力を得る。でも身体は人間のままなので軍艦の時よりも素早い方向転換、回避行動、照準調整が出来るのです。力も硬さも軍艦並み。艤装を外せば普通の女の子並みに弱くなってしまう、なんてことはない。移動はスケートみたいにスイスイ進めるし、ジャンプだって出来る。しかも撃沈しない限りは文字通り沈まないのです。

 

 ただし、軍艦時代の身体はもうないから……こういう資材を得る為の遠征は資材を載せる為のボートを行き帰りで引っ張っていく必要があるのよね。重いとは感じないけど、面倒とは感じてしまう。取れる資材も載せられる資材もそんなに多くないから1日数回行かないといけない。鎮守府から近いから往復と作業を含めても1時間くらいで済むからいいけど、いずれは数日は戻ってこれないような大遠征をするかもしれない。そうなると数日は司令官と会えないわけなのです。

 

 「それはイヤだなあ……」

 

 「姉さん、何か言った?」

 

 「な、なんでもないなんでもない」

 

 あーもう、未来のこと考えてもしょうがない。そもそも大遠征に暁が組み込まれるかどうかも分からない。もしかしたらその時には暁が電の代わりに秘書艦……ってそうじゃないでしょ私。

 

 「……いいなぁ電。司令官の秘書艦」

 

 「そうだね。でも司令官も今は電から変えるつもりはないって言ってるし……仕方ないよ」

 

 「司令官の秘書艦……そうなったら、もっと頼ってくれるよね!」

 

 「電を見る限りはそうでもなさそうだけどね」

 

 「響姉ぇ……」

 

 秘書艦。それは第一艦隊の旗艦にして提督に一番近い場所にいる艦娘。提督の仕事のお手伝いにスケジュール管理、中には身の回りの世話までやる秘書艦もいるとか。その中には提督と……その……こ、恋人同士になる艦娘もいるって話も……。つまり、もしかしたら今秘書艦になってる電と司令官がそういう仲に……。

 

 

 

 『あの……司令官さん』

 

 『ダメだよ電。2人きりの時は……』

 

 『はい……氷狐、さん……』

 

 

 

 「ってそんなのダメー!! 電にはまだ早いわよ!!」

 

 「ちょ、姉さん!?」

 

 「暁姉!? いきなりどうしたの!?」

 

 確かに司令官は電とちゅーしてたけどそれは妖力を流し込む為だったし、あの1回以降してないし!そりゃあ暁は生まれたばかりだからちゅーしたことはないけど……あの時の電、気持ちよさそうだったなぁ……司令官も顔をちょっと赤くして、なんだか色っぽかったし。

 

 ちゅー……そんなにいいのかな。というか司令官がいいのかな。暁にはまだ、よく分からないけど。今は女の子の姿だけど昔は軍艦、人間ではなかった。いや、今も“人間”とは言い難いケド。

 

 「いきなり止まったり百面相したり……暁姉どうしちゃっのかしら?」

 

 「まぁ、何考えてるのかは大体想像出来るケドね」

 

 「響姉も同じこと想像してるもんね♪」

 

 「バレてるのか……恥ずかしいな……雷もだろう?」

 

 「そんなの当然じゃない!」

 

 「堂々と言い切るね」

 

 何だか後ろがうるさいわね……それはさて置き、司令官と電はどんなお勉強をしてるのかしら。覚えることは多いと思うけど、電は物覚えは悪くないハズ。簡単なお料理なら出来るようになってるし、掃除は元々出来る。洗濯も雷と司令官から教わって出来るようになった。勿論、暁も出来るわ……お料理は修行中だけど。暁のことはさて置き、電は以上のことから物覚えは悪くなく、むしろいい方。なのにも関わらず、秘書艦のお勉強だけはやたら時間が掛かってるのは何でかしら? そんなに難しいことが……多そうね。書類仕事なんて難しい文章とか漢字とか言い回しとか沢山あると思うし。身の回りの世話は……電が言うにはお茶汲みとか肩もみくらいらしい。スケジュール管理……司令官は暁達と同じスケジュールで行動してるし、ほとんど必要ない。やっぱり書類仕事が一番覚えるのが苦労しそうね。電もそうなのかしら。

 

 

 「そういえば、司令官って建造を全然しないわね。資材は少しずつだけど貯まってるし、最低限資材での建造なら50回は出来そうなのに」

 

 「司令官が言うには、今この鎮守府に来たいっていう声は聞こえないらしいよ。声が聞こえない限り建造する気はないみたいだね」

 

 「響は何でそんなことを知ってるの?」

 

 「あ、戻って来たんだ。何でって、司令官に聞いたからね」

 

 戻って来たってどういうことかしら? まぁいいわ。響が言うように、司令官は建造をしない。理由は響が言った通りみたいね。暁の時も雷の時も、司令官は“声”が聞こえたから建造したんだし。そうなると、声が聞こえない限りいつまで経っても艦隊が強化出来ないことになる。この近海なら強くても軽巡クラス、姉妹全員で行けば勝てない相手じゃない。でも、相手が空母や重巡、戦艦となれば話は別。制空権は握れない。装甲を中々貫けない。そもそもこっちの射程外から攻撃されてしまう。そうなってはいくら暁達が強くなったとしても、勝てる可能性は低くなってしまう。

 

 そう考えるとやっぱり建造、もしくは出撃して響みたいに深海棲艦を艦娘に戻す、他の鎮守府から異動するかして戦力を補充した方がいいんじゃないかしら。

 

 「まぁ、まずはこの遠征を成功させないとね」

 

 「だね、早く帰ってお風呂に入ろう。雷、今日の晩ご飯はなんだい?」

 

 「今日は司令官と一緒にロシア料理に挑戦するつもりよ。前に響姉が食べたいって言ってたのを司令官と一緒に聞いてて、ロシア料理の本を任務娘の人に頼んでたのを見たし……あ、内緒だった」

 

 「聞かれてたのか……しかも司令官に……恥ずかしいな」

 

 戦力の補充は大事だけど、今すぐする必要はない。深海棲艦が襲撃してきたワケでもないし、しばらくはこの生活が続くだろうし。やがては最前線に送られることは、間違いないと思う。だけど、それは今じゃない。今は、こうして姉妹達と司令官がいるのんびりとした生活を楽しもう。ただ、そのいずれ来る最前線に居座る時が来たならば。

 「さぁ、さっさと帰って司令官に報告するわよ!」

 

 願わくば、暁が……私が、司令官の隣にいれますように。

 

 

 

 

 

 

 「姉さんストップ! あんまり急ぐと資材が落ちる!」

 

 「え? ああ、ごめんなぐぇ!」

 

 「ちょ、暁姉大丈夫!?」

 

 「いったぁーい!! もうなんなのよ!?」

 

 「そりゃあ姉さんだけいきなり止まったら、補給船が止まらずに突っ込んでくるだろうに……やれやれ」




という訳で今回から暁視点での話になります。途中から何を書きたいのやら……混乱しましたw

この小説を書いて響が来てくれたので那珂ちゃんのファン辞めます←

それでは、あなたからの感想、評価、批評をお待ちしております(*゜∇゜)ノ
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