少しずつUAとお気に入り登録者、コメントが増えてきて嬉しい限りです。軍知識も乏しい私ですが、これからも本作をよろしくお願いします。
「艦隊、帰投しました!」
「うん、三人ともお帰り。先に補給を済ませておいで。報告書はその後で持ってきてね?」
「はい、司令官」
「了解だよ、司令官」
「はーい!」
ちょっとしたハプニングはあったものの、遠征を無事に終えた暁達は司令官に遠征終了の報告をして、今終わったところ。この後は補給をして、旗艦である暁が報告書を書いて司令官に提出すれば、遠征任務は終わり。今回の遠征任務は近海にある資材の回収だから弾薬の消費はないし、燃料も少ししか減ってない。今日も余裕を持って報告書を書くことが出来そうね。
今のところ、遠征任務は全部暁が旗艦になってる。おかげで報告書を書くのは少しは上達したし、それに伴って書類処理の速度も少しは上がった。あ、書類処理と言えば……電はどうしたのかしら? そう考えた時、暁達が向かっている方向から電が妙に重い足取りで歩いてきた。
「電、どうしたの?」
「元気ないわねー、そんなんじゃダメよ」
「何かあったのかい?」
「あ……お姉ちゃん達……お帰りなさい。その……」
話しかけてみると電は返事をしてはくれたけど、その声にも表情にも元気はない。ここまで元気がないなんて、司令官と何かあったのかしら? でも司令官は特に変わった様子はなかったし……そもそも電はなんで向こうから? 電が歩いてきた先にあるのは食堂と工廠、後は資料室くらいだけど。
「お姉ちゃん達が出かけてる間に司令官さんと一緒に秘書艦のお勉強をして、最後にちょっとしたテストをしたんだけど……」
「まさか、テストの点数が悪かったの?」
「いえ、テストは満点だったのです。秘書艦としての基本ばかりだったし、司令官さんも頭なでなでしてくれて誉めてくれたし」
「じゃあなんでそんなに落ち込んでるワケ?」
電の話を聞く限り、落ち込む要素はどこにもない。それは響と雷の2人も思ったみたいで不思議そうにしてる。普段の電なら、司令官に誉められたらそれはそれは嬉しそうに笑うし、頭なでなでなんてされたら恥ずかしさと嬉しさで身動き出来なくなるくらいなのに……べ、別に羨ましくなんかないわ。暁は一人前のレディーだから、頭なでなでなんて子供にするようなことされたくないんだから!
「……外すって」
「ん?」
「もう電に教えることもなくなったから、秘書艦から外すって……うえ……うえぇぇん……」
「ちょ、泣かないで電! よしよし、いい子~いい子~」
「うえぇぇん……」
「響! 司令官に本当のところ聞いてきて! 電は食堂であやしとくから!」
「あやすって……了解」
ポロポロ泣く電をあやしつつどうにか食堂までやってきた暁達。今は響の報告を待ちつつ、電にお茶を飲ませてようやく落ち着かせたところだったりする。にしても、秘書艦から外す……しばらくは電だって言ってたからまだまだ秘書艦は変わらないと思っていたけど、予想以上に早かったわね。もしかしたら自分が秘書艦になれるかもと思うと嬉しいけど、こう目の前で泣かれると……。
「あ、響姉……と司令官?」
「えっ?」
「っ!?」
雷が見ている方を見てみれば、雷が言ったように響と、響に手を引かれた司令官がいた。司令官はなにがなにやら……といった様子でキョトンとしてる。響、司令官に聞いてきてって言ったじゃない。そう目で訴えてみると、なぜか肩をすくめられた。
「えっと……どうして電は泣いてるのかな?」
「司令官が秘書艦から外すって言ったからさ」
「え? 確かに言ったけど……響にも言ったように、次の秘書艦の育成が終わるまでだよ?」
「「「えっ?」」」
次の秘書艦の育成? どういうことかしら? 秘書艦は基本的に提督1人につき1隻のハズ。提督によっては日替わりだったりするらしいケド……あ、なるほど。司令官も日替わりみたいに複数の艦娘を秘書艦にするつもりなのね。
「それは、あの……どういう」
「基本的に秘書艦が電であることは変わらないよ。でも電だって疲労は溜まるし、出撃すれば被弾して長期の入渠をするかもしれない。そんな時、秘書艦の仕事が分かるのが電だけだったら困るよね? だから、もしも電が長期、あるいは数日秘書艦として行動出来ない時の為に、もう何人か秘書艦を出来る艦娘がいた方がいいかなって思ったんだ」
「じゃあ電は……」
「うん、少しすれば、また僕の秘書艦になってもらうよ」
その言葉を聞いて、泣いていた電がぱぁっと笑顔になる。我が妹ながら現金なものね……こういうのを落として上げるっていうのかしら。流石司令官、素でそんな技能まで持ってるなんて。こら電、気持ちは分からないでも司令官に抱き付かない。レディー足るもの、自分を安く見せてはうんぬんかんぬん。
それはさて置いて、電が期間限定とは言え秘書艦から外れるってことは、暁達3人の中から誰かが秘書艦に選ばれることになるわね。他に艦娘いないし。暁がなれたらいいなぁ。日替わりじゃなかったのは、少し残念だけど。
「じゃあ司令官、次の秘書艦は誰なの? 雷、司令官の為ならなんでもできちゃうんだから!」
「不死鳥の名は伊達じゃない……響もやれるよ? 司令官」
なんという露骨なアピール。雷、女の子がなんでもできちゃうなんて言っちゃダメじゃない……後で叱っておかないと。それから響、そこは不死鳥関係ないでしょ。それに、なんでずっと司令官と手を繋いでいるのかしら。抱きついてる電との間に見える火花は何? 故障か何か? 入渠ドックはこの食堂を出て左に真っ直ぐよ……って内心でツッコミしてたら出遅れちゃったじゃない!
「あはは、2人には悪いケド、次の秘書艦はもう決まってるんだ」
「「えっ?」」
「暁、今日の間に電から簡単に業務を聞いておいてね。明日からしばらくは、君が秘書艦だよ」
「「「……ええええ!?」」」
ということがあった日の翌日。誰かに体を揺すられた暁が目覚めた時間は……マルゴーサンマル。午前5時半。秘書艦じゃない時は6時半くらいに起きていたので凄く眠い。というか暁の体を揺すっているのは誰……?
「暁お姉ちゃん、朝ですよ。早く起きて準備しないと司令官さんが起きちゃうのです」
まあ、電しかいないわよね。昨日の晩ご飯の時から秘書艦の仕事を教えてくれていたワケだし。そんな秘書艦の仕事の最初は司令官よりも早く起きて、司令官の部屋の前でお出迎えすることなんだとか……絶対電がしたかっただけでしょそれ。
とは言っても今日から暁は秘書艦になるわけだし、先輩の言うことは聞いておかないとね。お布団から出て備え付けの洗面台で歯磨きと顔洗って目を覚まして、ぱぱっと着替える。因みに歯磨き粉はちゃんとしたスーッとする奴よ。ちょっとしかイチゴの味はしないわ!
で、身嗜みを整えて司令官の部屋の前まで来たワケだけど……。
「なんであんた達まで?」
「私も秘書艦の勉強しておこうかと思って」
「暁お姉ちゃんに教えるのは電の役目なのです!」
「司令官……うら~……」
流石は雷、抜け目ないわね。これはしっかり勉強して秘書艦の役目を果たさないと……雷は隙あらば秘書艦の座を掠めとるわね。電は元々そういう役目だからおかしいところは何もない。おかしいところはないから雷との間に火花を散らさないで、2人とも笑顔が怖いの。響は……半分寝てるわね。髪も寝癖があるし、目も閉じてるし、ふらふらしてるし。服は雷が着替えさせていたけど……雷、随分と着替えさせるのがうまかったわね。
そんなことを考えていると、司令官の部屋の扉が開いた。中から出てきたのは、当然司令官なんだけど……その姿はいつも見ていた提督服じゃなくて、着物姿だった。帽子を被ってないから獣耳も出てるし、ゆらゆらと揺れてる青い毛並みのふさふさした尻尾が可愛い……って。
「「「尻尾!?」」」
「ん? ああ、これ? そりゃあ僕は狐の妖怪だからね、尻尾くらいあるよ」
「で、でも今までは……」
「提督服に穴開ける訳にはいかないからね。この着流しは昨日の提督がくれたんだ。今日の朝に君達に見せようかと思って……どう? 似合うかな」
そう言ってクルリと回る司令官。何とも子供っぽい行動だけど、それが妙に似合っているから不思議よね。着流し……だったかしら。空のような綺麗な青に雲の刺繍の入ったそれも、司令官の青い髪に耳、尻尾がよく似合っている。ていうか尻尾可愛い。もふもふさせてくれないかしら……。
「司令官さん、似合ってるのです!」
「もう、言ってくれれば寝間着くらい繕ってあげたのに」
「出来るの!? 生まれた時間は変わらないのにこの差は何……?」
「あはは。じゃあ雷には今日の朝ご飯の準備を頼んじゃおうかな」
「まっかせなさい! もっと頼っていいんだからね!」
キラキラと目を輝かせて誉める電と、着流しを見て少し不満そうな雷に、雷の言葉につっこむ暁。なんで寝間着を繕うことなんて出来るのよ……ていうかどこで覚えたのよ。響を着替えさせたことといい、それといい……あんたはお母さんか。お母さんいないケド。
そして頼られたことが嬉しいのかドン、と胸を叩く雷。まぁこの中じゃ料理出来るの司令官と雷と響だし、司令官は着替えるだろうし響は寝てるし。そう考えて響を見てみると……ふらふらと司令官の方に向かっていた。あ、抱き付いた。
「ん? 珍しいね。響はまだ眠いのかな?」
「ん~……」
「髪もボサボサだし、女の子がそんなんじゃダメだよ? うー……仕方ないね。3人共先に行ってくれる? 僕は着替えと響の身嗜みを整えてから行くから」
「えっ!? そ、それなら私達が」
「早く用意しないと朝ご飯の予定が狂うし、暁は電に秘書艦の役割を教えてもらわないとね。響はこっちだよ。髪、梳いてあげる」
「「う~……」」
「ほら、2人とも行くわよー」
正論を言われて唸る2人の襟首を掴み、半ば引きずるように食堂へと向かう。その際にチラッと司令官と一緒に部屋に入っていく響の顔を見たけど……あれはなんていうのかしらね……勝ち誇った顔というか……そう、まさに“計算通り”という感じの微笑だったわね……って眠そうな仕草もボサボサの髪もまさか計算!?
そう考えると……普段キッチリしていてしっかり起きれる響が妙に身嗜みに無頓着で眠そうだったのは、まさか全部“フリ”!? 全てはあの瞬間に司令官の部屋に入り、司令官との朝の一時を過ごす為だとでも言うの!?
「響……妹ながら恐ろしい子」
「しまったその手が……でも頼られたし……う~」
「いいなぁ響お姉ちゃん……電も司令官さんに髪を梳いて欲しいのです……」
暁と同じ考えに至ったのか、雷からは悔しそうな、電からは純粋に羨ましそうな声がした。司令官、髪を梳くのも上手そうよね……司令官自身、髪長いし。因みに、暁達4人の中だと、やっぱり雷が1番髪を梳くのが上手い。やってもらうと妙に落ち着くのよね……これが母性かしら。
そんなこんなで司令官と響が食堂にやってきたのは、暁達が先に着いてから15分くらい後のこと。流石にまだご飯は出来てなかったので、司令官と雷が2人で作っていた。因みに、髪を梳いてもらった響はと言えば……。
「響お姉ちゃん、どうだったの?」
「あれは……スゴくイイね。膝の上に乗せられて、髪を梳きながら響の髪は綺麗だねって誉めてくれて……また、してもらいたいな」
「うぅ~、響お姉ちゃんズルいのです!」
こんな感じでとろけていたりする。そんなに良かったなら、今度暁もしてもらおっかな。
朝ご飯の後は司令官と一緒に執務室に行って秘書艦としてのお仕事。とは言っても秘書艦のお仕事は、提督がお仕事を“し易い”ようにサポートすることが大半。お茶汲みもその1つ。そもそも司令官……提督が行う仕事と言えば書類仕事くらい。書類と一言に纏めても、その内容は報告書だったり申請書だったり様々。そんな提督が快適に仕事に集中出来るように周りの環境に気を配り、飲み物や提督が片付ける書類の整理などの雑務を行い、食事の時間や来客、出張などのスケジュールを管理し、情報収集に電話対応までやる……というのが電から教わったこと。実際は書類整理とお茶汲みくらいしかしないみたいだけど。
それに、書類処理も司令官なら直ぐに終わってしまう。一応スケジュールを確認してみるけど、今日の予定は……起床→朝食→執務→昼食→執務→おやつ→執務→夕食→執務→入浴→就寝……となってはいるけど、実際は昼食後の執務で終わる。残りの執務の時間は暁達のお勉強を見てくれたり、昨日みたいな来客の時間になっていたりする。つまり、出撃に演習がなく、遠征にも出ない秘書艦はやることがかなり少ない。
「お茶はこうやって淹れるといいんですよ」
「ふむふむ」
今電から教わっていることだってお茶の入れ方だし。この数日で電は、元々才能があったのか司令官に肉薄する程にお茶を淹れる腕が上達した。料理は暁と五十歩百歩だけど。
書類仕事もあるけど、時間を掛けてでも出来る。司令官の作業が早いから、暁達が遅れても余裕を持って終わらせられる。暁達が整理した書類を司令官に渡し、次に渡す書類を整理する頃にはもう終わっているのだから、その早さは推して知るべし。
「これが終わったら今日する必要がある書類は終わりだよ。先に食堂に行っておいで?」
「秘書艦だし、ちゃんと待つわよ」
「電もお待ちするのです!」
「そっか。じゃあ待たせるのも悪いし、パパっと終わらせるね」
この後、司令官が宣言通りに素早くパパっと終わらせたのは言うまでもないわよね……もっと頑張らないと。
お昼ご飯の後、司令官と暁達は工廠に来ていた。何でも今朝方に声が聞こえたらしい……つまり、雷以来になる建造を行うみたいね。久々のお仕事だからか、妖精さんも凄く張り切っているし。因みに、この鎮守府の妖精さん達は料理以外のことなら大抵のことは出来る。でも料理は全く出来ない。司令官と暁達が毎日作っているのはそのためだ。秘書艦としては、やっぱり料理くらい出来ないとダメかしら……。
「司令官さん。今回の艦娘はどんな姿なのですか?」
「今回は……響みたいな髪色の、巫女服を来た子だよ。君達みたいな砲塔はないから、空母かな?」
「空母ですか? どなたが来てくれるんでしょうね」
空母……ね。軽空母か、それとも正規空母かしら? 因みに、正規空母とは初めから空母として運用される目的で建造されたもの、軽空母は正規空母よりも小型で、搭載できる航空機も少なく、装甲の薄い空母のことね。そもそも空母というのは航空母艦……飛行甲板を持ち、航空機を運用する能力を持った艦船のことを言うの。航空母艦だから、略して空母と言うのね。
そんなことを考えている内に、司令官が投入する資材の量を決めていた。空母というからには暁達よりも多い資材を使うんだろうけど、コツコツと遠征と配給で貯めた資材なら二桁は建造出来ると思う。開発資材も高速建造、修復材も充分貯まったし。さて、司令官が投入した資材は……燃料300、弾薬30、鋼材400、ボーキサイト300……やっぱり結構使うわね。あ、高速建造材も使うんだ。
「これでよし。さぁみんな、新しい仲間をお出迎えしようか」
「「「「了解!」」」」
そうして司令官と暁達は艦娘が出てくる扉の前へ。暁達は司令官の後ろに並び、司令官はゆっくりと扉に向けて手を伸ばす。その手に導かれるように、扉の中から銀の長い髪をした女性が出てきた。思えば、響を助ける時にも、雷が出てくる時にも……暁の時も伸ばしてくれた大きな手。それを握った時、私は……暁は懐かしさと共に直感したのよね。
ああ、この人は……この“青”は。
「ようこそ、僕達の鎮守府へ。僕は八意 氷狐。この子達と……これからは、君の提督になる。君の名前を教えてほしいな」
「翔鶴型航空艦1番艦、翔鶴(しょうかく)です! 妹の瑞鶴(ずいかく)はいないみたいですが、一航戦、二航戦の先輩方に少しでも近付けるように頑張りますね!」
私達にとって最高の司令官だって……司令官の手を握る笑顔の翔鶴さんを見て、改めてそう思った。
「ところで司令官。私と以前会ったことありますよね? 具体的には私が軍艦時代の時」
「うん、あるよ」
「やっぱり。私の出撃を見送ってくれたり、帰投を出迎えてくれたり、私の艦載機の上で日向ぼっこしてたりしてたのはあなただったのね。また会えて嬉しいわ」
「僕もだよ。よろしくね、翔鶴」
(((あっさり受け入れた!? この人大物だ!)))
(日向ぼっこかぁ……寝てる司令官に膝枕とか……うん、いいわね! 今度実践しましょう!)
という訳で、新しい艦は翔鶴型航空艦1番艦、みんなの翔鶴姉ぇこと翔鶴さんです。ニコニコ動画でGiftを踊る翔鶴の動画があるんですが、翔鶴さんが可愛すぎて辛い。私の艦隊にはいません(血涙
川内も来てくれません……第三艦隊開放はいつになるのやら。
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