SS 紅き星の暴走 涼宮ハルヒの憂鬱×とある魔術の禁書目録 作:はるかさん
この話は宇宙編になります。
ちなみにこれは17話になりますが、同時に16話も更新していますので
合わせてご覧ください。
ではどうぞ!
17話 ~Le temps s'arrête~ 宇宙編
~地下渓谷 BF12階 深層部~
マイナス「ここまで辿り着くとは想定外だった」
化け物少女ことマイナス。神人を倒し、第2の神と呼ばれる佐々木を救出したことはさすがに思惑の外だったらしい。無理もない。あんな化け物相手に俺たちは全員生きてるんだからな。
キョン「もう俺たちの勢いは止められん。さっさと先に進ませてもらうぞ」
マイナス「だがここから先はお前たちとは無縁の世界......」
そして右腕を高く天に挙げ、召喚する時と同じ構えをするマイナス。
となると何者かが今召喚されようとしている、ってことになる。
......まさか!!!
マイナス「消えてもらおう。神と謳われる......最強の力で!!!」
そしてマイナスの身体が光り始め、マイナスの目の前に光が発生し、その光がエフェクトとなりとある人物の姿を造り上げていく。
そう。その影と言うか形成されていく形の人物、俺は知っている。俺が一番知っている。しかも神と謳われ最強の力を持つとなると......たった1人しかいない。そして俺の予想通りそこに姿を現した最強の力を持つ者とは......。
朝倉「す、涼宮さん!!」
美琴「あれが......神の力を持つ......」
上条「涼宮......ハルヒ!」
マイナス「消し去るのだ......神のみぞ知る力で!!!」
佐々木との戦いで、佐々木が操る神人を辛くも撃退。
なんとか佐々木を正気に戻すことに成功した俺たち。
能力なんて夢のような、誰もが憧れを持つであろうことが、こんな歴史を変えるんじゃあないかってくらいの出来事に巻き込まれたことに憧れなんてものは持ち合わせてはいない。
仲間は傷付き、能力を武器にし、相手を消したり倒したり破壊したり。行っていることは紛れもなく戦争。
しかし俺たちは平和を取り戻す為にも皮肉なことに戦争をしなければならない。
そんな気持ちの中、なんとか佐々木を救出することに成功した。
佐々木の様態、精神は徐々に回復、落ち着きを見せ、どうにか次の階へと進むことが出来た。
次の階は深層部。紅き星の最深部の手前と言ったところか。この奥に進めば創造主が待ち構えているのだろう。
しかしそんな深層部で立ち塞がった奴は化け物少女ことマイナス。よっ!久しぶり!なんて軽々しく会話をするつもりは金輪際、毛頭無い。
マイナスが次に俺たちと戦わせようと召喚した人物は我らがSOS団団長の涼宮ハルヒ。
古泉から言わせてみれば神。つまり今度の相手は神様ってことになる。
神様ってのはどちらかと言えば正義の味方だと思っていたが、どうやらそれは漫画やアニメの世界だけであって、現実は非情である、という言葉がしっくり来るのだろう。
今度の相手はヤバいどころの騒ぎではない。本来のハルヒの力が受け継がれているのであれば、願ったことが実現してしまう奴が敵なわけだ。
さて、どうしたもんかね。やれやれ。
キョン「ハルヒ!」
俺の目の前にいるハルヒは俺の知っているハルヒではなかった。
見た目外見はハルヒそのもの。目だけを除けば。
俺たちの目に映るハルヒの目はまさに赤色。血眼とかそう言う類いのものではない。瞳孔が赤い。その回りの瞳も朱色と言うかなんと言うか。
まるで何かに憑かれているかのような雰囲気。
間違いなく俺たちの知っているハルヒではない。
マイナス「今度こそお前たちはここで死ぬ。後悔するが良い。神の力に逆らう者の末路を!」
その言葉と同時にハルヒがいきなり飛びかかってくる。しかも走ってとかジャンプしてとかではなく、空中を浮かびながら突っ込んで来る。そして俺の視界にはハルヒは居るが先程まで居たマイナスが居なくなっている。逃げたのか?いや、今はどうでも良い。それよりもハルヒだ!
古泉「離れて下さい!一ヶ所に固まっては危険です!」
固まっていた俺達は四方八方に走り出して距離を取る。気が付けばハルヒは飛行していた状態から、俺たちの中心の場所に、地に足を着け静かに佇んでいる。
顔は俯いていて、まるでホラー映画の様に髪の毛が顔を覆っている。まぁロングヘアーではないから顔全体と言うわけではないが。
そんなハルヒが突然起こした行動は、いきなり顔を起こして右手をステイルに向けて差し出す。
その手からはいきなり火炎が生まれ、その炎がステイルに向かって真っ直ぐ伸びていく。
ステイル「ちぃ!Fortis931!」
今度はステイルが自身の魔術で応戦。炎と炎が真正面からぶつかり合う。あの中心は何千℃とあるのだろう。割りと距離が離れているのにも関わらず熱い。
そんな炎合戦が繰り広げられている中、ハルヒに向かって御坂さんが電撃を放つ。それを見たハルヒは直ぐ様大ジャンプをして回避する。そして空中でピタっと止まり、今度は左手から御坂さんに向かって電撃を放つ。
美琴「うそ!?」
上条「複数の能力を扱うだと!?」
そんな驚愕の時間など一瞬しかない。反撃するために御坂さんは飛んでくる電撃に向かって能力を奮う。
炎に電撃。さっきの炎合戦とは違い、今度は轟音と輝きで耳と目がどうにかなりそうだ。
ハルヒの能力は恐らく様々な能力を扱える能力。下手したらここまで出会ってきた仲間や敵の全ての能力を操るのかも知れん。しかし敵とは言え、あれは我らが団長のハルヒだ。出来れば傷つけたくはない。
そして今度は朝倉がいつの間にか溜めていたビームみたいなものでハルヒに向かって放つ。おいおい、死なないだろうな?
しかしまたもやギリギリのところでハルヒは空中に逃げてこれを回避。しかしその動きを読んでいたのか。白井さんがハルヒの真上に空間移動し、そのまま右足でハルヒの肩を後ろから蹴り飛ばす。
さすがにこれには予想外だったのか、ハルヒは振り返り白井さんを見ることは出来ても蹴りを回避することは出来なかった。
そしてそのまま落下し、ハルヒが最初に居た場所へと吹っ飛んでいく。叩きつけられるかと思いきや、いつの間にか空中で体勢を整えており、最終的には両足で着地。蹴り以外のダメージは見受けられない。
上条「は、神様だって言うからどんなに凄いのかと思ったら......所詮はこの程度かよ!」
今度は上条がハルヒに向かって猛ダッシュしていく。
普通の人間なら危険だと思うが、あいつの右手にはあらゆる異能な力を打ち消す魔法の右手が備わっている。戦う相手次第では、ほぼ攻防一体。
ハルヒ「受けて立つ」
上条に向かってハルヒも突っ込んでいく。まさに正面衝突を行おうと言うわけだ。
ハルヒと上条の距離がドンドンと縮んでいく。
少し上条の方が足は速いか?なんて考えていたらいつの間にかハルヒは上条の真ん前まで到着していた。
上条「なっ!?いつの間に!?」
恐らくワープか何かをしたんだろう。
白井さんやマイナスたちのワープを知っていれば別に不思議な話ではない。
上条「でもこの距離は俺の距離だぜ?涼宮さんよ!」
ハルヒに対して右手で触れようとするが、それに嫌がったのか。ハルヒはせっかく近距離まで詰め寄ったのにも関わらずバックステップで上条との距離を取る。つまりハルヒ自身を右手で触れればもしかしたら洗脳が解けるかも知れんということだ。
喜緑「これならなんとか涼宮さんを元に戻せそうですね」
喜緑さんの言うことも最もだ。正直自動書記や佐々木との戦いの方が死闘だった。あいつらの能力は強すぎて派手過ぎる。見ていて何が強そうなのかが直ぐわかったからな。俺も伊達に修羅場をくぐり抜けて来たわけじゃあない。このハルヒからはそう言った強みや凄みを感じる能力は持ち合わせていない。見ればわかる。
長門「......おかしい」
突然俺の隣に居た長門が呟く。
キョン「何がおかしいんだ?」
長門「涼宮ハルヒの人間離れした能力は貴方も知っているはず。だが貴方も見ての通り、特別な能力を扱っているわけでもない。しかしあの涼宮ハルヒからは何やら得体の知れない力を感じる」
おいおい。テンション駄々落ちのセリフを吐くのは止めて欲しいぜ長門よ。確かにハルヒはまだ全力を出していないのかも知れない。だが本気を出したところでせいぜい神人を出すことくらいだろう。
今まで戦ってきた俺たちが、ハルヒから見てとれる力と感じられる力は大きくはない。ハッキリ言って佐々木との戦いの方が恐怖心が湧いたぞ。
長門「それはそう......でも何かが違う。私にはわからない......しかし少し前から、涼宮ハルヒからノイズを感じる」
いきなり心を読むな長門。感情の次はデリカシーを覚える必要があるぞ?
しかし長門が言ったノイズ。一体何なのか。まさか既に何かしているのか?だがハルヒを見た限りではそんなものは見られない。だが長門が無意味なセリフを吐くとも思えない。
俺にはわからない何か特別な力を感じ取っていると言うことか?まぁ良いさ。いくらハルヒと言えど、この人数を相手にするのは無理がある。
キョン「それよりも長門。マイナスはどこに消えたんだ?」
長門「彼女はこの空間から消えた。今は木原幻生の元にいて別の者と戦っている」
別の者?誰だ?
一体誰と戦っているんだ?
上条「うおおぉぉぉぉー!!!」
ハルヒ「......」
気が付けば上条は右手を奮っていて、ハルヒは両手から見たことあるレーザーの様なものを出している。
あのレーザーは確か自動書記が出していた......竜王の殺息!
なるほど。長門が言っていたノイズとは隠している力のことか。しかもコピー技。下手したらこの空間でハルヒVS佐々木の神人合戦が拝めるのかも知れん。
ハルヒは連続して竜王の殺息を上条の右手に向かって出し続けるが、本家の魔術より力が弱いのか。上条の幻想殺しが処理し続けてジリジリと距離を詰めて行く。
上条「もう終わりか?なら!」
ハルヒ「!?」
ジリジリと距離を詰めていた上条はドンドンと距離を詰めて行く。あの野郎。少し手加減してやがったな?
こんなセリフを思ってはいるが、内心安堵の気持ちでいっぱいだった。
ハルヒの能力は複数の能力を扱える能力。しかしどれもが本家以下の力。その程度の力では押さえきれんぜ?ハルヒよ。まぁ安心しろ。直ぐにお前もその呪縛から解放して助け出してやる。そして一緒に創造主の元へと行くぞ。
ハルヒ「......お前たちは理解出来ていない。私の本当の力を......真の能力を」
なんだ?ハルヒの口調ではない。
いや口調だけではない。なんだこの変なプレッシャーは?
上条「はん、この状況で強がりですか?そんなハッタリなんてこの上条さんには効きませんのことよ!」
ハルヒ「そうか......ならば後悔するが良い」
その瞬間、ハルヒの両手から出ていた竜王の殺息はバン!と音をあげて衝撃波の様なものを出した。その衝撃波は、右手をかざしていた上条をいとも簡単に吹き飛ばしていく。っと言っても5m程後退させられた程度だが。
そしてハルヒが何か仕出かすと感じ取っていたのか、上条がハルヒの前から弾き飛ばされた事により、御坂さんの狙いがハルヒを捉える。
美琴「......ごめん!!」
両手から放たれる2枚のコイン。電撃を迸りながらそのコインはハルヒに向かって突き進んでいく。能力にはド素人の俺でも知っている御坂さんの超電磁砲の驚異的なスピードと破壊力。例え初見であっても、その2つを兼ね備えていることは見た目でも少なからず判断は出来る。
しかしそんなコインを目の前にしても臆することなく、顔色表情一つ変えずにハルヒは突っ立っている。
そしてこの後、俺たちはこのハルヒの恐ろしい真の能力を知るキッカケとなるスタート地点に立つことになるのだった。
ハルヒ「......そんな攻撃は無駄だ。言ったはずだ。お前たちは私の真の能力を理解していないと。私の真の能力の前では全てが無力。それが例え絶対能力者や大天使、地上にいるドッペルゲンガーでさえも」
ハッタリなのか本音なのか。
言葉だけでは真相はわからないが、どうやら遂に自身の能力を拝見させてくれるらしい。
ハルヒ「下等な劣等種よ。思い知るが良い......私の真の能力は......お前たちでは到底扱えず理解も出来ない能力だと言うことを......」
キョン「何をする気だハルヒ!」
ハルヒ「......
謎の呪文?と共に一瞬ハルヒが光り出す。
しかしそんな光景も一瞬中の一瞬。気が付けばハルヒは俺たちの目の前から消え去り、ハルヒに向かっていた御坂さんの2枚のコインは、重力が何倍にもなったとか、何かにぶつかったとかではなく、自然とそのまま垂直に自由落下し始め、しかも電撃でバチバチと音を鳴らしていたコインは、いつの間にか電撃すら発することなく普通のコインとして、スピードも破壊力も無くなり落下し、チャリンチャリンと音をたててバウンドしながら静まっていく。
そんなコインを眺めていたら、俺の視界に突如入ってきた1人の姿が。どうやら俺の後ろに居た誰かが吹っ飛んで来たようだ。
その正体は紛れもなく御坂さんだった。
正直言って何が起きているのかが全くわからん状況だ。何故御坂さんが吹っ飛んで来た?何故コインは力を失い自由落下し始めた?何故目の前に居たはずのハルヒが突如消えた?
建宮「なっ!?」
ステイル「御坂美琴が......いきなり吹き飛ばされた!?」
美琴「一体何が......ぐはぁ!」
吹き飛ばされ地面に叩きつけられお腹を押さえていた御坂さんの口から赤い液体が床を染めていく。大量と言うわけでは無いがダメージは深刻みたいだ。よくよく背中を見てみると御坂さんの服が破れかけている。素肌が見える、と言うわけではないが。なんだ、何が起きたんだ。まさか......ノイズがどうとか。長門が言っていたことはこの不可解な現象のことか?
ハルヒ「後ろから衝撃波で吹き飛ばしただけだ。何もそこまで驚く内容ではない」
そのハルヒの声はなんと俺の後ろから聞こえてきた。
振り返ると先程まで御坂さんが立っていた場所にハルヒがいるではないか。
何が起きているのかさっぱりわからん。これがハルヒの能力なのか?
白井黒子「いつの間に!?」
上条「まさか白井と同じ能力か!?」
つまり空間移動と言いたいのだろう。ハルヒが突然消えたことに関してはその説明がつくだろう。しかし、一瞬にしてハルヒが目の前から消え去り、御坂さんのコインは力を失ったかの様に自由落下し、御坂さんが吹き飛ばされた。
これら3つの事象が同時に起こった。空間移動だけでは説明がつかない。
朝倉「わからない......一体何をしたの!?」
長門「朝倉涼子。涼宮ハルヒの能力の得体が知れない以上、近づくのは危険」
迂闊にハルヒに近づこうとした朝倉を静止させる長門。情報統合思念体でもハルヒの能力を知り得ない。
まだ一度しか拝見していないから、と言う理由もあるだろうが、それにしては長門たちらしくない。
長門たちは一瞬で相手の能力や力を分析出来る。しかしハルヒの能力に関してはいっさいがっさい不明、と言う表現でも過言ではなさそうだ。
となると、目視することも、能力を感じる事も、分析することも出来ない能力、と言うことなのか?そんなバカなことがあってたまるか。常識的に考えてみろ。そんなハズはない。
上条「御坂!......てんめぇ!いくらキョンたちの仲間とは言え今のは許さねぇぞ!」
ハルヒ「......ならば相手になってやる。かかって来るが良い」
上条「余裕かましてんじゃねぇよ!!」
怒りに燃える上条がハルヒに対して右手で襲い掛かる。見ていて気分の良いものではないが、あのハルヒは早々に黙らせなければならない。
能力の得体が知れない以上は。
ハルヒ「
再びハルヒが謎の呪文を吐く。
今度こそハルヒの能力を見逃すまいと目を凝らしてハルヒに注目する。頭、顔、肩、胸、腕、脚と注意深く観察する。これは決して疚しい意味ではなく俺は真剣だ。なんせこちとら地球のことやこの星のこと、そしてハルヒの能力の正体と、クリアしなければならない課題が山積みになっているからだ。
そうして観察していた俺が見た光景は、上条が右手で相手を殴り付けた瞬間だった。
つまりハルヒは何も抵抗しなかったことになる。
俺は間違いなくあの右手はハルヒを捉えたと思っていた。いや、恐らくはこの場にいる全員が俺と同じことを考えただろう。
そんな思考は如何に的はずれだったことか。
上条が殴り付けた人物は赤髪の人物。つまりステイルだった。上条がハルヒに殴ると見せ掛け軌道を変えてステイルを殴り付けたとかではない。
上条が殴り付けた場所は間違いなくハルヒの居た場所。しかし目の前の光景ではハルヒではなく、ステイルが殴り飛ばされている。
まただ。また不可解な現象が起きた。
キョン「なっ!」
上条「なんでステイルが!?」
ステイル「一体何が......僕は一歩たりとも動いたりしていない......」
ハルヒ「その程度では私には勝てない。同時に複数の事柄が成し遂げられる私には......」
今度は最初にハルヒが居た場所にいつの間にかハルヒが戻っていた。
殴られるはずだったハルヒは元居た場所へと移動し、代わりにステイルが被害を受けている。
また同時に複数の事柄が一瞬にして起きた。
謎だ。スピードが速すぎるとかの話ではない。仮にスピードが速すぎて目で追えないのだとしても、複数の事柄が同時に起こるなんてことはあり得ない。
そうだとしても、速いスピードで動いたのだとしたら突風が起きたりするはずだ。車や電車が真横を通過したら風くらい起こる。しかしそんなことは皆無。
むしろ物静。白井さんのように空間移動するならわかるが、それでは同時に事柄が起こることを肯定出来ん。
長門(今の歪みは......)
ハルヒ「これが私の真の能力......侵入者は......消し去るのみ......」
朝倉「涼宮さんの能力がわからない......」
建宮「魔術でもなければ超能力でもなさそうなのよな......」
まずい。これではハルヒを救うどころか、全員がハルヒによってやられてしまう。
炎や氷、電撃に風と、様々な能力を扱うハルヒの能力は、あくまで技の一つ一つであって真の能力ではなかった。
俺はハルヒの能力とは"様々な能力が扱える能力"だと思っていた。
しかしそんなものはただ究極的に器用というだけで、特に特別な能力というわけではない。学園都市の能力の基準から考えれば珍しい能力らしいが。学園都市では、基本1人1種類の能力しか扱えないらしい。その1種類を如何にして扱うか。発想力や知識がものを言うだろう。例えば御坂さんの電気を操る能力は、ただ電気を出すだけではなく、コインを飛ばしたり砂鉄で剣を作ったり、磁場があれば壁や天井に張り付くことだって可能だ。
そう言う意味で1種類の能力だろうと扱う人間とレベル次第で様々なことが出来るのだろう。そう言った意味では、学園都市の常識に縛られていない俺からしてみれば複数の種類の能力が扱えることに関してはあまり不思議と思えん。
が、このハルヒの真の能力に関しては別だ。御坂さんや上条、古泉やステイル、他にも様々な能力を扱う仲間がいるが、ハルヒの能力はまるで次元が違う。能力が強いだとか弱いだとか、派手だとか地味だとか。そんなくだらん内容の能力ではない。情報統合思念体と近い力を感じる。
まるで......この空間全てを意のままに操っていて、更には見えないもう1人のハルヒがこの空間内を移動しているような......そんな感覚がある。
まさにハルヒや長門が世界改変を起こした能力と同じ様な......そんな圧倒的な力を。誰もが想像を凌駕するような力を。しかしこの感覚はどこかで味わったことがある。いつだ?いつ味わった?曖昧な感覚でしかないが、身体が覚えている。何の時だ?
上条「くそっ!一体何がどーなってんだよ!?」
インデックス「落ち着いてとうま!私の魔導書にも一切ヒントが無い。正直"何が起こったのか全くわからない能力"なんて全く知らないし、そもそもそんな能力聞いたこともない。魔術なのか能力なのかさえも。だけど冷静さは失っちゃダメなんだよ!」
橘「でも!一体何の能力なのか、そもそも能力を使ったのかどうなのかすら理解出来ない事柄に対して冷静でいろって言うのも難しいわよ!」
佐々木「とりあえず皆落ちつくんだ!焦燥感に陥ってもそれこそ思うつぼ!今は何とかして分析するしかない!」
佐々木(もう少し......もう少しで何かが......キョン?その表情は......)
この状況は非常にまずい。佐々木やインデックスの言い分もわかるが上条や橘の様に焦る気持ちもわかる。
炎を出したら炎。電気を出したら電気と、見て分かる単純明快な能力ではない。
ハルヒは"これがあたしの能力"とか言っていたが、橘が言った通り"そもそも能力を使ったのかどうかが不明"と言う事が皆の焦りの引き金となっている。
落ち着け。よく考えろ俺。整理するんだ。
まず始めに、御坂さんのコインが突然自由落下し、ハルヒによって御坂さんが吹き飛ばされ、目の前に居たはずのハルヒは御坂さんが居た場所にいつの間にか移動していた。これら3つの事柄が同時に起こった。
その次は、上条がハルヒを殴りにかかったが、実際に殴り付けられたのはハルヒではなくステイル。そしてハルヒはいつの間にか元の場所へと移動していた。
これら2つの事柄が同時に起こった。
また、風や突風が一切起きていないことからスピードが速すぎて目で追えないという話でもない。むしろそれならば長門たちはとっくに気がついているはずだ。従ってスピードが速いとか、分身がいるとか、透明人間がいるとかでもない。いや、そんな次元の能力ではない。もっとこう......基本的な能力を超越した能力......今まで見てきた能力を主軸にして考えてはダメだ。悪いが学園都市の能力を基準にして考えても解答は見つからない。金輪際生身の人間では扱えるハズがないと思う程の能力......。
分かるヒントと言えば、複数の事柄が同時に起こったと言うこと。少しの時間差もなく、一瞬の差もなく同時に起こった............差もなく......同時に......。
同時!?
待て。言葉や漢字の意味からすれば、同時と言うのは"同じ時"と書く。つまり同じ時間軸という意味だろう。それは時間的な意味で、本当にほんの一瞬の差も無いと言うことになる。理屈で言えば、例え一瞬の差でも出ればそれは言葉の意味的に言えば同時とは言わない。ハルヒも"同時に複数の事柄を成し遂げられるあたしには勝てない"と言っていた。つまり一瞬の差すらないと言う事になる。かなり強引な解釈かも知れんが。
そこでずっと謎である"複数の事柄が同時に起こる"と言うことを別の例えで言うと、例えば100m走で3人の選手がスタート地点に立って構えるとする。その後審判の合図で一斉にスタートを切る。今回のケースで言えば、このスタートを切った直後が複数の事柄が同時に起こる事と同じ定義になる。フライングや出遅れ、と言ったことを抜きにして考えればスタートを切った直後は一瞬の差も無く選手たちは動き始めると言う事になるからだ。
ならばスタートを切る前はどうだ?位置に着いて、と言われた状況は。走ることが目的と言う意味ならば、スタートを切る直前はまるで静止しているのと同じ。スタートして静止が解除される。つまり逆説的に考えれば、複数の事柄を同時に起こすには、例えで言う、位置に着いて、の状況が必要になると言うことだ。
その例え話を今の現実に当てはめるとどういうことになるか。位置に着いてとは一体どういう空間なのか。
更に言えば例え話であげた選手たちは、自らの意思で動き始めるが今目の前で起きていることに関しては自らの意思ではないだろう。誰が好き好んで自らの意思で吹っ飛んだり、吐血したりするだろうか。となれば、それは御坂さんや上条の意思ではなく、ハルヒの意思だと言うことになる。
位置についての状況、本人たちの意思ではなくハルヒの意思。
様々な事を考える必要なんてほぼほぼなかった。
何故なら考えはじめてから直ぐに俺の頭の中で一閃の稲妻と言う解答が脳内を走ったからだ。最早それ以外、ハルヒの真の能力は考えられないという解答。
なんてこった。それしか考えられない。
しかしそれならば、俺が抱いていた妙な感覚である
1.空間全てを意のままに操っている気がすること
2.見えないもう一人のハルヒが居る気がすること
これらが納得出来る。
1の意味は"位置に着いて"の状況を創り出すと言う意味であって
2の意味は"位置に着いて"の時間の中のハルヒと言うわけだ!!
となれば、俺が味わったことがある、と言うのは1年前、七夕の日に時間移動をし、元の時代に帰れなくなった俺と朝比奈さんが長門の部屋で長門による力で時間凍結された時。あの時だ!
ハルヒ「遊びはここまでだ。全員まとめて葬り去ってやろう」
佐々木「来てくれ......神人!」
身体の全身が輝き、頭の上から天井に向かって輝きが伸びていく。それが人形となっていき、佐々木の上には俺たちが先程まで苦戦していた神人が姿を現した。
さっきの戦いでは佐々木の能力にも驚かされた。神が産み出す神人を操る事が出来る佐々木の能力。
だがそれですら、今の俺から言わせてみればハルヒの能力とは雲泥の差。もう能力そのものの次元が違う話なのだ。
キョン「待て!佐々木!」
ダメだ。今のハルヒに無闇に攻撃しては。
ハルヒの......ハルヒの真の能力は!
佐々木(キョン。止めないでくれ。涼宮さんの能力がわかったかも知れないんだ。だけどまだ確証が出来ない。でもキョンも同じことを考えているのだろう?キミは真剣に物事を考えるときに何時も同じ表情をする。だがまだ確信が持てないのだろう?ならば僕が......自分の体を張って、お互いの思考を絡めている紐を解き、証明してみせる!)
長門(もし私の思っている通りの展開になるのであればこれで証明される......涼宮ハルヒの真の能力の正体が......)
ハルヒ「神人......たかだか人形ごときで下らぬことを。
俺は何とかして佐々木を止めようと、右手を伸ばしながらその場を走り出した。俺にはほぼ高確率の予測が出来たからだ。この後、佐々木はいつの間にかハルヒによって攻撃を受けてしまうと言う出来事が。目の前の光景として現れてしまうことが。しかし逆に言い返せば俺の予測通りになればそれは俺の中ではハルヒの真の能力に対して一辺の嘘偽りの無い確信に変わる。だが佐々木、それではお前が......。
そうして案の定、俺の前に居た佐々木はいつの間にか後方に吹き飛ばされていた。俺は佐々木の元まで必死に走っていて距離を縮めていたが、一瞬のうちに佐々木との距離が出来てしまった。
キョン「佐々木!!!」
佐々木「がはぁ!」
御坂さんと同じ攻撃を受けたのだろう。真後ろへと吹き飛ばされ吐血。姿を現していた神人は消え、ハルヒは上条や長門たちのいる中心の場所へと移動している。
ハルヒ「これでわかっただろう。お前たちでは私には勝てないと言うことを」
朝倉「また......いつの間に......」
橘「佐々木さん!大丈夫ですか!?佐々木さん!!」
佐々木「ぐっ......」
これで間違いない。ハルヒの真の能力に対して確信を持てた。だが......そんなことが。そんな反則的な能力を扱えるなんて......。物的証拠なぞ勿論ないが状況証拠はある。複数の事柄が同時に起こったということ。
だからハルヒの真の能力はほぼ俺の思っていることで確定だ。未だに信じられないがハルヒの真の能力と言うのは......。
長門(確信した。涼宮ハルヒの真の能力は......)
佐々木(間違いない......涼宮さんの......真の能力とは......)
キョン・長門・佐々木(時間を止める能力!)
止まった時の中を動けるだと!?そんなバカな能力があってたまるか!
くそ!だがもう否定したくても否定なぞ出来ん。最早それ以外考えられないからだ!
...
......
.........
~超電磁砲をハルヒに撃った瞬間 ハルヒ視点~
ハルヒ「下等な劣等種よ。思い知るが良い......私の真の能力は......お前たちでは到底扱えず理解も出来ない能力だと言うことを......」
キョン「何をする気だハルヒ!」
ハルヒ「......
この空間の時空が歪む。そして目の前から飛んできていたコインは私の能力によって急激に速度を落としていき、その後1/10,000秒と言う時間軸で最終的にはその場で停止した。
コインだけでなく、勿論その場にいる全員が。
そう。私の真の能力は時間停止。風を出したり炎や氷、電気を出すことも可能だが、そんなことは初歩中の初歩。神の能力とは誰もが容易く扱える能力では無い。
私だけが......私だけが扱える能力。私だけの時間。それが
ハルヒ「たかだかこんなコインで......」
私は空中で停滞しているコインに向かって水流を放つ。本来の水は絶縁体。海水は塩を含んでいるから電気を通すが、要らぬ成分混じりけ無しの水ならば電気を分解させる。これでこのコインから電気成分は除去。あとはこのコインを強く握りしめ上から軽く叩くだけ。これでこのコインは自由落下していく。
ハルヒ「撃ったのは......超電磁砲か。確かに通常の概念では凄まじい能力者だ。だがそれも私の真の能力の前では無力」
空中浮遊しながら御坂美琴へ近付き距離を縮めていく。止まった時間の中を動けるのは私だけ。人造人間であるマイナスですら私の時間には入って来れない。
ハルヒ「これが......
そして御坂美琴の真後ろへと移動し、両手を伸ばして風を圧縮させて御坂美琴の背中へ向けてそれを撃つ。綺麗に伸びていた背中はそれを受けて海老ぞり状態となり再びそのまま固まる御坂美琴。本当に哀れな存在だ。本人からすれば何が起きたのか全くわからずに吹き飛んでいく。
あとは時間停止を解除するだけ......。
ハルヒ「吹き飛べ......
空間の時空が再び歪む。そして解除された瞬間に目の前で海老ぞり状態になっていた御坂美琴は先程までまで私が居た場所へと吹き飛んでいく。
建宮「なっ!?」
ステイル「御坂美琴が......いきなり吹き飛ばされた!?」
美琴「一体何が......ぐはぁ!」
劣等種では理解出来まい。この私が何をしたのかなぞ。これこそが......これこそが神のみぞ知る力だ。
.........
......
...
これはヤバい、ヤバすぎる能力だ。このままでは俺達全員は間違いなくハルヒにやられてしまう。最早今までの能力戦闘なんぞ何の経験にもならない。気が付いたら死んでしまっている可能性だって十二分に有り得る話だ。
この事実を全員に伝えなくてはならない。だがハルヒに悟られてはいけない。
こう言うときにテレパシーと言う能力が役立つ事を実感する。内通出来るからだ。しかしこの場にいる奴等でそんな能力を持っているなんて......。
?(私がいる。忘れないで欲しい)
......すまん。長門よ。気が動転していたせいか、冷静でなかったようだ。
だが長門よ。仮にこの事実を全員に伝えたとしても対策がなけりゃあ意味がないんじゃあないか?
それに以前長門は俺と朝比奈さんが泊まっていた部屋を時間凍結したろ?それで対応は出来ないのか?
長門(それは不可能。今の私はこの星の影響を受けていてそこまでの力が発揮できない。だから私たち3人であの時間停止に割り込む。しかし直ぐには出来ない。時間が必要。あの能力に割り込むには壮大な情報量がいる)
朝倉(長門さんから話は聞いたわ。なんとしてでも割り込んでみせる。だからそれまでは悟られないようにお願いね)
喜緑(その間、私たちは一切の援護が出来ません。その時点で悟られる気もしますが......何とかして注意をこちらに向けない様、時間を稼いで下さい!)
......あぁ。OKさ。勿論。
さて、ハルヒよ。少し俺と付き合ってもらうぞ!
to be continued......