SS 紅き星の暴走 涼宮ハルヒの憂鬱×とある魔術の禁書目録   作:はるかさん

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お待たせしました。
今回今までの中で一番長くなりました(;'∀')
長いですがご了承くださいm(__)m

残すところあと少しとなりました。
当小説が終わり次第、永遠のライバルを再開致します。

それではどうぞ!


21話 ~Eternal Wind~

創造神「ギ......ギ......ゲ......ゴ......」

 

美琴「なに......あれ......」

 

その姿に恐怖を覚えるのもムリはない。

背中からは大量の触手の様な物が生え顔が無い。

無い、と言うより目や鼻、口と言った必要最低限のパーツが創造主には無いと言う言い方の方が伝わるか。

 

創造神「覚悟せよ......愚かな人間共よ!!!」

 

 

 

 

 

ハルヒの後を追った俺たち。その途中、驚くことにマイナスの量産施設にたどり着く。

中にはトラウマ少女が何十という数。戦闘になることもなく、難なくその階層を潜り抜けた俺たちだったが、次の階層もなんと量産施設。

しかしその階層にいたマイナスは全て培養器の中で眠っておりいわば育成中。その中の一つの培養器の中にミニマイナスの姿があった。

上条のうっかり行動からミニマイナスと接触することになってしまった。

 

マイナス?「指示を......」

 

美琴「そ、そうね。ここで大人しくまってられる?」

 

しかしそんな状況も御坂さんのナイス機転により、ミニマイナスをその場で待機させることに成功。

そしてその場から進み、ついに潜り込んだ敵の本拠地である最深部。

俺の経験則では、最も深く、最も不気味で、最も闇に近い場所。そんな生と死の狭間の様な所で、創造主と対峙していたハルヒと佐々木。

2人の神の力により、創造主は敗れ平穏を取り戻し歓喜の声が響く中、創造主は密かに力を蓄えていたことに俺たちは全く気が付かなかった。

 

案の定、生きていた創造主は本当の力を解放し始め、その力の暴走が始まりハルヒと佐々木以外は吹き飛ばされてしまう始末。

創造主ではなく創造神と名乗る者。その力は最早強大と形容出来るレベルではなく次元が全くと言って良いほど別のものであると俺は悟ってしまった。

 

傷つく仲間たち。ハルヒや佐々木までもが倒れて戦える者などいなくなってしまったその時、ハルヒが握っていたオーパーツから一閃の光が俺の視界に入ってくる。

オーパーツを通じて地上の仲間たちの祈りが俺たちの心へと直接届いてくる。

そのエールに救われた俺たちは、創造神と最後の戦いに挑むため立ち上がる。そしてハルヒから譲り受けたオーパーツを掲げその結果、その効果で創造神の身体に変化が表れ始める。

ついに創造神が真の姿を見せる。その姿に恐怖を超越したものを受け取る俺たち。

これが最後の戦いの幕開け。その死闘が今まさに始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

創造神を大量の触手が囲む。ウネウネと無数の長い触手が動き回る。視ているだけで気分が悪くなる。

先程までは創造神の姿が見えていたのだが、大量の触手のお陰で目視することすら出来ない。まるで1つの要塞レベル。

 

美琴「何なのよあの触手は!?」

 

白井黒子「あの触手......1本1本に意思があるとでも!?」

 

長門「気を付けて。私の力が介入出来ない。情報もない。アンノウン」

 

SOS団の最後の砦がそう言うのであればそうなのだろう。

あれは生き物なのか物質なのか能力なのか、はたまた未知なるものなのか。それすら情報がない。ただただウネウネと創造主の周りで動いている。

 

しかしそんなのも束の間。その無数の触手の先端が俺たちへ向けられ俺たちの危機感が一気に高まる。ここまで戦い抜いて来た俺たちだ。そう言う感性が身についたっておかしくはない。

その触手から突然次々と熱線が撃ち出される。

各々がその攻撃を回避し、上条は避けきれないと踏んだのか右手を伸ばし、向かってくる1本の熱線を打ち消す事に成功。

となるとあの熱線に対して俺の能力は無意味と言うことだ。上条が消せたとなれば、例えば火炎放射器から出る炎を凝縮したもの、とかではなく、あれは間違いなく異能な力だと言うことになるからだ。

 

朝倉「うっ......やってくれるじゃない!」

 

その攻撃に危機感を覚えたのか、らしくない行動を起こした朝倉とそれを追いかける様に後から飛び出した喜緑さん。大ジャンプで創造神に突っ込み空中戦を開始する。

触手を搔い潜って中に入ろうとする朝倉。しかし余りにも急いている気がする。

普段の朝倉らしくない。VS偽朝倉の時は相手の力を分析することに集中し、そこから自分なりに回答を見つけ出し対策を練る。それが朝倉の良いところであった。

しかし今はどうだ。まるで逃げ場の無いリング上でボクサーと対峙し、空振りのパンチを一発見せつけられ、それに恐怖を怯え、それを拭い去りたい一心で何も考えずがむしゃらに突っ込んでインファイトをしている様な、そんな感じがする。

 

喜緑「朝倉さん!入りすぎです!」

 

身体ごと朝倉の前に乗り出し、腕を朝倉の前面に伸ばしそのまま後ろに後退していく喜緑さんとそれに誘導されていく朝倉。そのいた場所に1本の触手が発した熱戦がその場を通過する。喜緑さんのファインプレー。

言わんこっちゃない。触手を掻い潜って中に入り込み創造神本体にダメージを与えようとしたんだろうが、あの相手はそんな甘くない。

 

喜緑「まだ創造神の能力が解析出来ていません!それまでは遠距離戦を!」

 

朝倉「ダメなのよ......それじゃあ」

 

朝倉の腕を掴みながら創造神との距離を取る喜緑さん。朝倉と何か会話をしている様に思える。しかしここからでは何を言っているのかはわからない。

 

朝倉「遠距離戦をやったところで創造神は同じ攻撃を繰り返してくるだけ。あそこの人たちには何の情報提供にもならない......なんでも良いからあの人たちの気力が無くならないうちに何か一つでも残さないといけない!」

 

2人そろってこっちを見ている。俺と長門、上条、御坂さんの4人を見ている様な気がするが。

 

喜緑「朝倉さん......まさか......」

 

朝倉「......さぁ、いくわよ」

 

喜緑「......わかりました!」

 

会話が終わり再び創造神のもとへと飛び立つ2人。それも同時に。つまり喜緑さんも朝倉と同じ気持ちだということになる。さっきは朝倉のむやみな飛び出しに対し慌てて飛んで行ったが、今は違う。2人同時に飛び出した。朝倉に説得されたのか何かの線が切れたのかは知らん。だがいくら何でも無茶だ。

 

キョン「くそ!」

 

長門「待って」

 

助けに行こうとした俺の前にいきなりワープしてきて静止させる。

止める意味がわからない。むしろ長門も一緒に来て欲しいくらいだと言うのに。

こうしている間にも朝倉と喜緑さんが創造神と激突してしまう。飛ぶことは出来ないが地上に降りて来た瞬間に左拳を叩き込むことだって万に一つ出来るかも知れない。

 

キョン「通してくれ!長門!」

 

長門「それは出来ない。相手の能力が未知。得体が知れない。ここは朝倉涼子と喜緑江美里に任せるべき。本人たちもそれを望んでいる」

 

橘「望んでいるって......じゃああの2人は自分たちで決着をつけるってことに.....いや、そんな無謀な事はしないはず......まさか情報提供のために戦っているってことですか!?」

 

長門「そう」

 

これが朝倉の本心だったというわけだ。そしてそれを聞いた喜緑さんも同意見となり2人揃って戦っている、ということになる。

助けに行きたいがそれをしてしまうとあの2人の邪魔になり希望を果たせなくなる。つまり俺らはここにいるべきなのだ。非常に歯がゆい気持ちだが。

 

相変わらず触手がウネウネ空中で動き回っている。1本1本が朝倉と喜緑さんを追いかけまわし、熱戦を絶えず放っている。よくもまああれだけの弾幕を回避出来るものだ。

次々と襲い掛かって来る熱戦に対応しているものの、相手の手数が多すぎて攻撃に回ることが出来ないでいる。回避するのみ。バリアを張りそのまま突っ込むが相手の触手本体にも何か特別な力が備わっているのか、振り下ろされた触手がバリアに直撃。耐える時間もなくバリアが一瞬にしてバリン!と音をたてて破壊される。

そしてそのまま貫通してくる触手に対して2人揃って早口言葉で左腕に光るシールドの様な物を作り上げる。

そのシールドに触手の本体攻撃が接触。しかし情報統合思念体のバリア、シールドをもってしても一瞬で破壊されてしまい、その攻撃が2人の情報統合思念体を襲う。

 

創造神「散れ......宇宙のゴミ屑が!」

 

その攻撃を真正面から受けてしまった2人はとてつもない速さで地面に吹っ飛ばされ叩きつけられてしまった。

その光景を見て俺たちは唖然としてしまった。相手が強すぎる、ということよりも、こうも簡単に情報統合思念体が敗れてしまったという事態にだ。

 

創造神「貴様らでは相手にならぬ......消えろ」

 

そして今度は俺たちをまとめて吹き飛ばす程の力があろうエネルギーの塊を溜めることなくいきなり奴の頭上に作り上げそれを飛ばしてくる。しかも上条から最も離れた場所に高速で。これにはこちらも対応出来ず、上条の右手で防ぐ事も出来ずで耐えるしか無い状況に追い込まれてしまった。

 

そしてそのエネルギーが地面に着弾し大爆発を起こす。必死に両腕を自分の顔の前にクロスさせて防御態勢を取るがこんなもんたかが知れてるだろう。それでも今の俺にとってはそれ以外の方法が無かった。

しかしどういうわけか全くもって爆発による被害を俺自身が受けない。熱くもなければ痛くも痒くもない。ゆっくり目を開くと俺の前に人影が2人。その後ろ姿からして上条と長門の2人。その2人が俺の前で踏みとどまっている。

上条は自慢の右手で、長門はその余波をバリアで防いでくれている。安堵の瞬間でもあったが、ここで俺は気が付いてしまった。俺と俺の後ろにいる御坂さんはこの爆発に対して何のダメージも受けてはいない。しかし他のメンバーは耐えることが出来ず防ぐ事も出来ずで後方にまで吹き飛ばされてしまっていた。

しかしたった1人だけ、荒れ狂う暴風と爆発の中で自身の攻撃で創造神に反撃している人物がいた。

それはインデックスだった。というよりもあれは自動書記(ヨハネのペン)。自身の前に魔術のフィールドを展開し、そこから竜王の殺息(ドラゴンブレス)で我が身は喰らわれど創造神に反撃している。

しかしそんな苦労も報われず竜王の殺息は途中から割り込んで来た触手の熱戦によって鍔迫り合い状態となる。が、次第に押され始め、ついにはその熱戦が自動書記の基にまで届き直撃してしまう。

今の状況は極めてマズイ。あの熱戦は自動書記のあの魔術を簡単に退けてしまうほどの威力を誇り、なおかつ俺、長門、上条、御坂さん以外の仲間は全員戦闘不能という事態に陥ってしまった。

 

爆発も止み、今度はあたり一面に煙が覆う。しかし相手からも見えていないのであれば好都合かも知れない。作戦を立てられるのなら立ててしまいたい、と願っていたところだった。

 

長門「......私があれを解析する。その為には接近して戦う必要がある。まだ相手の得体が知れない。私1人で行く」

 

今度は長門による特攻を掛けようというのだろうか。しかも単独。

いくらなんでも無理がある。朝倉と喜緑さんの2人がかりでも創造神を止めることも擦り傷を負わせることも出来なかったのに単騎で突っ込んでも返り討ちにあうだけだろう。

長門が朝倉や喜緑さんとの実力にどれほどの差を付けているのかなんてものはわからん。しかし1人で突っ込むのは死を意味する。

 

キョン「ダメだ!それは許可出来ない!お前を1人で行かせる訳にはいかない!」

 

長門「貴方の許可は必要ない。これは私の独断専行」

 

なんてこった。長門が独断専行だと。自分の意思を持って行動に移してくれるのは今までの長門でもそう多くはない。だがここまで決意した長門は初めて見る。

皮肉なもんだ。俺はずっと前から長門には自分の意思や気持ちを持って欲しかった。だが今の俺は長門のそんな意思や気持ちを反対している。持ってほしくないと思っている。

 

長門「......ごめんなさい」

 

キョン「待て!長門!!」

 

ボソっと告げた言葉を最後に長門は俺の隣から創造神の元へと飛び立ってしまった。

娘が出来て彼氏の元へと飛び立ってしまう親父の心境がよくわかる。こんなこと今考えるべきではないのだが。

 

俺は俺で援護に行くべきではないのか?今まで長門は何度俺たちを命懸けで救ってきた?そんなこともわからない愚か野郎にまで俺は成り下がっちまったのか?

そんなわけがあるか。俺は長門を助ける。それ以外何がある。

 

俺の考えとは裏腹に自分の気持ちってやつは実に正直だ。なんだこの脚の震えは。見ているだけで腹が立つ。無性に腹が立つ。つまり俺は頭の中では助けなければと思っていても俺の気持ちは怖くて怖くてしょうが無いと言うことだ。

俺はどこまで臆病者なんだ畜生。

 

震えていた脚を右手で拳を作り思いっきり叩く。震えを停止させるために。

震えは止まりはしたが、その行動を見ていた上条が俺の肩を掴み制止させる。

 

上条「キョン。お前......何考えてるんだよ?」

 

キョン「離せ上条。俺は行かなきゃならねーんだ!」

 

上条「落ち着け!今のお前、いや俺たちが行ったとしても長門さんの足を引っ張るだけだ!まだ相手がどんな奴でどんな性質の攻撃をしてくるのかわかんねーんだぞ!!」

 

キョン「......しかし!」

 

上条「お前はもっと冷静な奴のハズだ!マイナデスとの戦闘で俺にはそれがわかった!お前が焦ったらダメなんだ!長門さんが自ら動いて俺たちに情報を渡すとはどういう気持ちか考えてみろ!」

 

くそ。だが上条の言うことも理解出来る。

何のために長門があそこまでの自己主張をしたのか、何のために俺の発言を無視してまであそこまでするのか。俺は長門の気持ちを汲み取ることをしていなかった。

長門の気持ち、それは今上条が言ったことが大半だろう。

いつの間にやら長門は創造神の前で、空中で止まっている。その理由は対話をしていたからだ。

 

創造神「情報統合思念体。何故涼宮ハルヒの味方をする?わからないはずがなかろう。あれはいつかこの宇宙をも滅ぼす存在であることに」

 

長門「わかっていないのは貴方の方。涼宮ハルヒは変化している。今の彼女は世界を破壊したりはしない」

 

創造神「鍵の存在が涼宮ハルヒを変えたとしても、その鍵がいつまでも涼宮ハルヒの側にいるとは限らない。詰まるところ人間は全て自分が可愛いのだ。その為には破壊や殺戮を行うこともある」

 

長門「......」

 

創造神「既に私が動かなくても人間はそう言う行動を起こしている。環境汚染、人種差別、殺人や強盗。最早人間は矛盾だらけではないか。この現実をお前たちはどう否定する?それらは全て人間と言う劣等種な生き物が創り上げた世界。そこに涼宮ハルヒと言う天才が産まれたが早くも飽き飽きしているではないか」

 

奴の言い分はわからなくもない。確かに言っていることだけは正しい。だが奴の見方には未来が存在しない。今の現状を整理して連連述べているだけだ。

もし奴の言う通りなのであれば、世界はとっくに滅びているだろう。だが現状そうなっていない。これはつまり人間と言う生き物はそんな世の中でも満足したり、足りないものは作り上げ、誰かが傷付けば助けたい、と根本感情を持っていることにも繋がる。

人は変える力を持っている。それはもしかしたら情報統合思念体にも無い力かも知れん。

それにしても奴に人間の事を言われると腹が立つ。あんな奴に人間の何がわかるってんだ。

 

創造神「涼宮ハルヒは4年前にとある力を手に入れた。それを瞬時に観測した私は未完成状態のマイナスを地球に送りこみ、データ収集を行わせた。その結果、涼宮ハルヒはその気になれば宇宙をも喰い尽くす存在であると結論が出た。実際に地球の時間で言う丁度1年程前にこの星まで影響を揺るがす能力を行使した。私の防壁で完全に喰われることはなかったが、今後そうならないと言う保証はどこにもない。となれば涼宮ハルヒを亡き者にする他ない」

 

長門「貴方がいくら述べたところで私と貴方の考えは永久に交わることはない。人間は貴方が思っている以上に力を持っている。それは"変わる、変える"と言う力。そんなことも知らない貴方が人間にとやかく言う筋合いはない。貴方が人間について語るなど......おこがましい!!」

 

俺は初めて聞いた。長門がいつもの声量ではなく、大声を上げた。感情が芽生えたのか知らんが間違いなくあれは長門の怒り。俺たち人間が腹を立てるならわかるが、情報統合思念体である長門が怒りを顕にするとは。あいつはいつもSOS団の連中と行動を共にしていた。疲れたり、喚いたり、暴れたり、お前などもう知らんと言いたいこともあっただろう。だがそんな負の面だけでなく、人間の良いところまでも理解していたとなれば怒るのもわかる。

 

そしてそんな怒りを行動に移す長門。それは創造神の元へと突っ込んでいく。

あまりに濃い内容の会話だったからそっちに気を取られていたが、長門の目的はあの触手の分析を行うことだった。

朝倉と同様に触手の防衛網を突破し中に入り込むつもりだろうがやはりそんな簡単にはいかない。

 

相手の熱線を華麗に避けながら触手の中心にいる創造神へ向かって突撃するが、触手が行く手を阻みなかなか中に入る込むことが出来ない。触手本体の攻撃も避けることは出来るが肝心な創造神は無傷のまま長門に攻撃を仕掛け続けいわば劣勢状態。

 

創造神「貴様程度ではこの包囲網を潜り抜くことは出来まい」

 

長門「ならば」

 

閃光の様なものを打ちだし光が長門と創造神の間で輝き創造神へと延びていく。

それは目の前の触手を貫通し創造神へと突き進んでいき、貫通した触手が長門の放った閃光によりその隙間でバチバチと電気を散らしている。

ついに創造神の目の前にまで接近した閃光は突然何かにぶつかり消滅した。

目を凝らせばそれは創造神が作り上げたバリア。自身の目の前に展開しているではないか。

 

創造神「そんな攻撃が通ると思っているのか?」

 

長門(触手との接触に成功......受信した......あれは......あの能力は......)

 

長門「ならばもう一度」

 

再び長門が閃光を放つ。今度は先ほどよりも多い数を。およそ10本分のビーム。

その攻撃に対して創造神は再び触手でガードを試みるが、長門のビームの威力は高く触手を貫通していく。

そして再び触手と閃光がバチバチと音を鳴らしている。

そんなビームもやはり創造神のバリアを打ち砕くことは出来ず消滅してしまう。

 

長門(理解した......解析した結果あの触手は......!?)

 

グサリ、という表現が一番だろう。

まるで瞬きをする前とした後の話の様に一瞬の出来事だった。物凄いスピードで後方から触手が接近しいとも簡単に長門の身体を貫いていった。

 

創造神「バカめが......油断させるためにあえて触手を貫通させたことも知らずに......」

 

そして触手は長門の身体を貫いた状態で強烈な電撃を発し、長門にダメージを与えている。

あれはとどめなのかは知らんが、長門がピンチであることに間違いはない。

しかし俺や上条には、空中で行われている惨劇に参戦することは出来ず、なんとかなりそうなのは御坂さんくらいだが、幾分距離が遠すぎる。その上こちらに向けられているのは触手本体よりも長門の身体。つまり創造神は長門に攻撃をしつつ、盾にもしているということになる。

 

ついにその拷問が終わったのか、創造神は動けぬ身体となった長門をまるで壊れた玩具を屋上から落下させるように投げ飛ばした。

 

キョン「な......長門おぉぉぉ!!!」

 

必死に長門の元まで駆け寄る俺だが、冷静になれば長門は情報結合で自己再生が出来る。それを思い出し少しは安堵の気持ちが芽生える。

しかし遠くからでもわかる疑問。それは先ほどの電撃による被害が目視では確認が出来ないことだ。普通雷や雷撃にあえば少なくとも衣服は焦げるにではないか、そんな疑問が。

駆け寄り倒れている長門の背中を持ち上げ支えながら長門がメッセージを発し始める。

 

長門「あれは......脳波コ......有線......遠......作......気を......付け......あの触手......は......創造......意の......ま......ま......」

 

上条「おい!しっかりしろ!長門さん!!」

 

キョン「クソったれ!!!」

 

なるほど。先ほどの電撃は身体にダメージを負わせることが目的はなく、ネットワークを掻き消すことが目的。

でなければ長門は気を失うことなくそのまま情報結合を行っていただろう。

 

まさか長門までもがやられるなんて思ってもみなかった。預かったメッセージだが、所々聞き取るが出来なかった。聞き取れたのは【脳波コ、有線、気を付けろ、触手、創造、意のまま】くらいだ。

整理すると、脳波なんちゃら有線とは恐らくあの触手のことだろう。それに対して気を付けろ。そして触手は創造の意のまま。素直に文章を分かりやすく変えると、触手は創造神の意のまま、だろう。

つまり要約すると【あの触手は脳波なんちゃら有線による物でその意思は創造神にある】ということになる。

 

メッセージを受け取ったところで長門の様態は変わらない。

復讐してやりたい気持ちでいっぱいだ。俺の左手であの触手を掻き消すか?

待て俺よ。冷静になれ。さっき上条にも言われたばかりだろう。いつだってそうだった。ハルヒの無茶振りや能力行使の日々で何を学んだ?冷静になって分析、洞察する力を養っただろ。

俺にあんな力を持っている大量の触手を1人で殲滅するのはそれはいくらなんでも無理だ。

 

キョン(どうすれば良い!?殴りたくても空中にいられるんじゃあ俺の攻撃は届かない。せめてジャンプ力でも上がってくれれば......)

 

そんな願いが通じたのか。突如俺の身体に異変が起こる。

外観の変化はないが、身体全体に宿る不思議な力がまるで一気に解放されたかの様なそんな感覚。俺自身も一体何が理由でそう思うのかはわからん。だがそう思えてしまう。間違いなく何かの能力が備え付けられている。

 

長門(空を......)

 

喜緑(飛んでください......)

 

朝倉(私たちの最後の力......これで貴方も......)

 

俺の脳内に聞こえて来た声。それは間違いなくあの3人からの声。

どうやら俺に宿った摩訶不思議な力とは情報統合思念体からの贈り物らしい。それも空中戦を可能にする力。空を飛べる能力。

しかしどうすれば飛べるのかなんてわかりっこない。当たり前だ。たった今授けられた能力なんだからな。

 

なんとなく念じてみたりジャンプしてみたりするが一向に飛べない。

頭の中で考える。空を飛ぶ原理を。

重力、跳躍力、羽、エンジン、ガソリン、電気。科学的自然的に思いつくあらゆる単語を並べるが、それでも答えは見つからない。なんせ能力で様々なことを成し遂げてしまう宇宙人からの贈り物だ。羽はまだ良いとしてもガソリンやエンジン、電気と言った類なわけはないだろう。

 

その最中、俺の中にある何か不思議な力と言うか、生涯生きて来た中で俺が味わったことのない筋肉というか力と言うか、それが俺に備わっていることがわかる。

わかってしまうのだからしょうがない。いつか古泉が言っていたセリフだ。

その力をなんとなく意識して使ってみる。すると驚くことに俺は少しだけだが足が地面から離れているではないか。それも俺が意識している間はフワフワ浮き続けられている。

意識を切るとストンと地面に着地することに成功。

 

何としてでも長く、高く、速く飛べなければならない。そうでなければ創造神に俺の左手をプレゼントすることは出来ないからだ。

長門や朝倉、喜緑さんの力により、俺は重力を無視することが可能となったがまだ慣れちゃあいない。

それに物質なら消滅させられるとは言え、その効果は左手のみ。脚でも貫かれたりでもしてみろ。それどころの騒ぎではない。やはりこの戦いの中でさっさとコツを掴む以外の選択肢は無い。

創造神が余裕の笑みを浮かべている今こそがチャンス。この時間を使ってこの能力を身に付けなければならない。

 

その間も創造神が幾度となく俺たちに攻撃を仕掛けては来るが、上条や御坂さんの能力で身体に被害を負わずここまではこれている。しかしそれも時間の問題。こちらの対抗が間に合わず徐々に押され始めているからだ。

当然と言えば当然。相手は大量の触手を武器にして、物理攻撃や遠距離攻撃を仕掛けてくる。能力レベルでも数でも向こうの方が上回っている。

 

そんな状況下の中、ついに痺れを切らしてしまったのか、御坂さんが不用意に創造神の元へと突っ込んで行った。

俺と上条で静止させようとするも、電気の力で大ジャンプをした御坂さんを引き戻す方法はない。

更に御坂さんは攻撃を仕掛けるつもりだ。何故なら右手にはポケットから取り出された1枚のコインが握られているから。

 

美琴「そんな触手で!」

 

俺と上条の忠告を無視して突っ込みコインを右手に握り込んで向かってくる1本の触手に放つ。

しかし期待感はある。なんせ学園都市の第3位の必殺技だからだ。そんな些細な希望を持つ俺を誰が攻めよう。

しかしそんな考えは単なる幻想に過ぎず、触手の正面にコインが直撃したのだが、傷1つなくそれらは御坂さんに向かって突っ込んでいく。

 

美琴「なっ」

 

さすがのこの状況に御坂さんも驚く、いや御坂さんだけではない。俺や上条も驚愕の一言で片づけられる。

 

創造神「脳波コントロール出来るこの触手を相手に何をしようがお前では止められまい......死ねい!!」

 

あれでは回避は確実に間に合わない。必殺技をかませば触手であれば1本だろうと10本だろうと跳ね除けると思っていたのだろう。俺たちもそう考えていた。だからこの現実に驚かされている。

油断大敵とは正にこのことか。

そして触手は1本だけではなく、御坂さんの全方位から触手が向かって来る。あれでは逃げ場なんてない。

電撃でシールドするか、もてる力を使い迎撃するか。

考えている時間はない。既に射程圏内であり、御坂さんの全身を貫く手はずが整っている。

電撃を周囲に溜めてまとめて吹き飛ばす、そんなことが出来たらどれほど楽に倒せる相手だろうか。

恐らくはそんな攻撃ではあの触手を落とすことなんて出来はしない。

 

もう時間がない。触手が全方位から御坂さんを襲う。朝倉と喜緑さんのバリアを一瞬で砕いたあの触手による攻撃が。

そして案の定、触手の攻撃により、全身を貫かれてしまい、大量の出血どころか顔以外の身体が全て根こそぎ喰われ、身体を貫通している触手によって浮いている状態となってしまった。

 

キョン「あ......うっ......」

 

突然の吐き気。無理もない。ズタズタどころか体中に穴が開き赤い液体が飛び散っている状態だからだ。

その場でしゃがみ込み地面を見る事しか出来ない俺。そして御坂さんが貫かれてしまったという悲劇。それらが重なり合い、吐き気と同時に目から涙まで出始める。俺自身一体これが何の涙なのかわからない。

 

?「くっ......って、え......そ、そんな.....!!!」

 

突然俺の真後ろから誰かの声が聞こえる。誰かが復活したのかも知れない。だけど吐き気が襲い気分が悪い状態では誰の声なのかが確認出来ない。

 

上条「な......御坂!じゃああそこにいるのは......」

 

どうやら俺にも聞こえてきた謎の声は御坂さんのようだ。となると触手の攻撃を受けてしまった人物とは一体誰なのか。

確かに俺の後方には御坂さんがいる。青ざめた表情で前方を見つめている。

その前方を見れば誰なのかがわかるが、あの地獄絵図を今一度目に焼き付けなければならないということになる。

だが状況を整理すれば、御坂さんを命がけで助けた人物がいる、ということだ。ウダウダつまらんこといってはいられない。

そのまま振り返りその人物が誰なのか見ようとした瞬間、その人物が触手によって勢いよく飛ばされてきた。つまり放り投げられたということになる。

 

その先には電撃を身体中に溜めて受け取る覚悟をした御坂さんが。電撃を張ってその力でクッションとなるように能力を使い、なんとかその勢いを殺しながら受け止めることに成功。そしてその満身創痍の人物とは。

 

白井黒子「相手の......能力の威力がわからない時は......無闇に手を出しては......いけませんの......」

 

美琴「く、黒子!!しっかりして!!!」

 

爆発で気を失っていた白井さんクローンであった。

最期の力を振り絞り御坂さんを助け出した。

 

白井黒子「私はもう......生きられませんの......」

 

徐々に身体が消えていく白井さん。

身体の一部一部が徐々に砂の様に綺麗にサラサラと流れ出していく。

地面に落ちた砂は無性にキラキラしていてまるで一粒一粒に白井さんの魂が含まれている様な感覚。

しかしそんな砂も最期の灯の様に瞬く間に消えていく。まるで尽きてしまった命の様に。

 

美琴「黒子......あんた......私を守って......」

 

白井黒子「お会い出来て......光栄でしたの......お......ねえ......さ......ま......」

 

美琴「ダメ!しっかりして!!!」

 

白井黒子「あ......りが......と......う......ご......ざ...............」

 

最期の言葉を残して御坂さんの腕の中で姿を消していく。

地面にはまだ砂のような身体の一部分が残ってはいるが、それも次第に消えていく。

ついに御坂さんの腕の中からも地面からもその砂は消え去ってしまい、ついに白井さんクローンの命が尽きてしまった。

 

美琴「う......う......」

 

地面に両手を付けてその砂を見ながら泣き出す御坂さん。

そして遂に完全にその砂は消えてしまう。

 

美琴「うああぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!」

 

突然立ち上がり電撃を周囲にバチバチと発する。それは今まで以上の音と光。キレたのか隠し持っていた力を解放したのかはわからんが、あれは今までの御坂さんには無い力であると理解出来る。

理由は単純明快。両肩からは白い小さな羽が、背中からは御坂さんの横幅を超える白い翼が生え、頭に白い角の様な物が形成され初めているからだ。

 

上条「あの姿は!!」

 

どうやら上条は知っているらしい。進化段階の御坂さんの姿を見たことがあると言うことは、少なからず御坂さんは過去にあの様な姿になったことがあると言うことだ。

 

御坂さんの突然変異はまだ終わらない。羽や角だけではなく、両肩にはどこから持ってきたのか謎である小型のシールドの様な物が装着されており、更には左肩から左腕にかけては電撃が纏わりその延長にある左手には電撃で形成された剣が握られている。

そして右手にはコインを握りしめている。つまりは右手には御坂さんの十八番である飛び道具。左手には接近戦用の剣。

御坂さんの根本の能力は電気である。ならばこの力はその電気を応用した能力と言うことになるのだろうか。いやそうとしか考えられない。角や翼、肩のシールドをよく見ると若干動いている。更にはバチバチと音をたてている。つまりあれは電気の力で固められている物だと言うことだ。

そんな色んな物を装備した御坂さんの進化が止まる。

御坂さんの目からは大量の涙が溢れていると同時に怒り狂う表情で創造神を睨みつけている。

ちなみに顔は御坂さんのままなので幾分安心出来る。

 

美琴「あんたが......あんたが黒子を!!!!!」

 

創造神「ほう......その姿はまるで雷神ではないか」

 

泣きながら叫び睨む御坂さんは、背中から生えている翼の力で浮上する。そして空中を飛び創造神の元へと飛んでいく。なんという雷神モード。

だがいくらなんでも迂闊だ。御坂さんの姿形が少し変わったことは能力レベルが強化されたと解釈したとしても、触手の数は大量。まさに多勢に無勢だ。それにあの熱線を電撃だけでガード出来るとも考えにくい。創造神が超能力者への対策を取らないとは思えない。少しの可能性でも創造神からしてみれば俺達が対峙することは考慮していたハズだ。

 

俺の考えは正しかった。何故なら今御坂さんが触手に向けて放った電撃を熱線で掻き消したからだ。つまり体中に電撃を張り巡らせたとしてもあの熱線はいとも簡単に電撃を上回る力で御坂さんに直撃するだろう。

しかし御坂さんの能力もあの進化によって上昇しているはずだ。現に翼が生えて空を飛んでいる。

それなのにあの熱線は電撃を弾くというのか。

だがここで1つ朗報が。飛ばした電撃では触手をどうにかすることは出来なくても、御坂さんの左手に握られている電撃の塊、つまりは剣で熱線を弾き、向かってくる触手も弾くことは可能なようだ。現に御坂さんが行っている。

しかし焼き斬ることまでは出来ないみたいだ。その為には力が足りないんだろう。

 

美琴「あんたは下がって!!!」

 

上条「バカ言うな!いくらなんでもお前1人で持つわけねーだろうが!!」

 

御坂さんを援護するために地上から突っ走って創造神へと向かう上条。

いくら御坂さんとは言えあれを1人で相手にするのは無理がある。しかも上条は幻想殺しを持ち、俺は現実壊しを持っているならば御坂さんの援護に回るのが一番だ。

 

キョン「行くぞ!上条!御坂さん!」

 

援護することしか考えておらず、またそのチャンスタイム到来のお陰で他のことを考える隙間なんぞ俺の脳内はそれほど優秀ではない。

そのせいか、何も考えることなく無意識的に俺は飛び方をマスターしてしまったのだ。

その時、これが意識的に行えるのが超能力者という天才なのだろうと半ば強引に自分の中で結論が出てしまった。

つまり俺は凡人である、ということだ。願ったり叶ったりだ畜生め。

 

俺と御坂さんは空中移動を行い、その途中で俺が地面を走り創造神に向かって行く上条を拾い上げて突っ込み3人固まっての移動となる。バラバラになるほうが自殺行為。近くにいれば互いの援護もしやすいし、相手の狙いもある程度見極めやすい。

フォーメーションは御坂さんが後衛、俺と上条はそれぞれ右手左手が活かしやすい配置。つまり後ろから見て、俺が左側前衛、上条が右側前衛ということになる。

 

目の前から大量の触手が迫ってくる。熱線を撃ってくるのであれば上条が、触手自体で攻撃してくるのであれば俺が捌かなければならないからだ。

前衛のリスクが高すぎるのは仕方がない。だが俺たちの手が回らなくなってしまったら御坂さんに頼む他ない。

 

キョン「うおぉぉ!!」

 

伸びてくる触手に対して左手を奮う。その触手は俺の左手の拳に当たった瞬間に分解されていく。

いける。あの触手相手でも俺の左手は通用する。それが証明された瞬間であった。

しかしこの能力を一度でも見せれば、創造神は俺に対して触手での物理攻撃はしてこないだろう。誰が間違いなく負ける戦に飛び込んでくるだろうか。

 

今度は俺と上条の間に熱線が飛んでくる。つまり創造神からしてみれば敵のど真ん中の位置に攻撃しているということだ。

その熱戦は、今度は上条による能力で消滅する。俺たちの左右の手は攻撃としても防御としても役に立つ。

 

創造神「なるほど......その左右の手......侮れないほどの能力だ......しかし重大な欠点がある」

 

上条「なに!?」

 

創造神「それは......有効範囲が狭く機動力に欠ける、という点だ!」

 

そして触手があらゆる方角から俺たちを包み込むように襲ってくる。

これはある程度想定していたことだ。

こうなれば御坂さんの出番。俺たちの周囲半径5m程に電撃で形成したフィールドを球状に張る。勿論これだけで迎撃出来るほど甘くはないことは承知済み。しかし中に入り込むまで若干の猶予は出る。その間に目の前の触手を俺の左手で掻き消し、退路を作り突き進む。そうなれば触手は全方位から襲ってきたとしても、退路から抜けられてしまってはその後ろから追いかけてくるしかない。回り込もうとしても時間が掛かる。対応するとすればその時だ。

 

そして作戦通り、御坂さんによるフィールドを展開し、触手がそのバリアにぶち当たりバチバチと轟音と強烈な光を発しそのバリアを打ち砕こうとしている。

その隙に目の前の触手を消滅させ、先へと突き進む、までは良かった。

その先には創造神が生み出したエネルギー波の様なものが待ち構えていた。勿論それに対しては上条に頼り切るしかない。

そして上条が手を伸ばした瞬間、そのエネルギーが突如爆発。

その威力は計り知れない。あっという間に御坂さんの電磁バリアは崩壊し、それに伴い上条が爆発から俺たちを守る為に右手を伸ばす。が、その爆発のどさくさに紛れて触手が俺の真下に突然姿を現した。下から追い上げて来た、とかではなく、本当に突然現れたのだ。

 

創造神「エネルギー体の中に潜んでいた触手......ただの人間には予想できまい......」

 

上条「ぐあぁぁぁぁ!!!」

 

キョン「があぁぁぁぁぁ!!!」

 

触手に縛られる俺と上条。左手で殴りたくても左手首までも思いっきり縛られているため身動きが取れず、ただひたすら身体の所々から出血していく。

それで済むならまだしも、その触手は更に俺たちの身体を破壊していく。もう出血どころではない。腕や脚の骨は折れ、視界は徐々にぼやけていく。

走馬燈なんてものはありはしないことが立証された。俺の光景には楽しかったガキの頃や振り回されながらも充実していたSOS団の光景なんてものは一切見えず、見えているのはただただ大量の触手がうじゃうじゃいるおぞましい光景だけだった。

 

そんな俺たちは用済みと判断したのか、既に満身創痍を超えたボロボロの肉体の俺たちを放り投げる創造神。まるでポイっという風な感じに地面に投げ飛ばされる俺と上条。

長門が立ち上がれるなら助けてもらえそうだが、その長門も地面に寝転がったまま。情報統合思念体でもダメージを負うことがあるんだなぁなんて思っていたら俺たち2人は地面に叩きつけられる。

無論起き上がることなんて出来はしない。情けない話だが手すら動かすことが出来ない。上条も上条で再び立ち上がれるとも思えない。

だが俺はまだ仰向けになっているから光景を眺めることは出来る。だが身体が言うことを聞かない。

そんな俺たちを空中から見下げている御坂さんの顔色は蒼白。まるで信じられないと言った表情。

 

美琴「そんな......キョ......キョンさん......当麻ぁぁぁ!!!!!」

 

はっきりと聞こえてくる御坂さんの声と一段と増したバリバリと言う電撃の音。どうやら聴覚はまだ奪われていないようだ。

俺たちへの心配の声を荒げた後、御坂さんは一気に顔色を変え単騎で創造神へと突っ込んでいく。

 

創造神「まだ戦うというのか......愚かな人間よ」

 

美琴「あんただけは......あんただけは絶対に許さない!!!!!!!」

 

これが御坂さんの底力なのか、両肩の羽が若干の光を帯び始める。そしてその小さな羽がバサっ!と開く。その効力により、御坂さんの身体全体にも若干の光を帯び始める。更には身体に纏っていた電撃がより一層強くなり御坂さんの動きも一段と速くなった。

羽と光の効果なのか御坂さんが咄嗟に扱えるようになった能力なのかは知らんが、御坂さんが移動する度に、一定の間隔(およそ0.3秒毎)でその通過点に御坂さんの分身が姿を表している。

どういう原理であれが発生しているのかなんてものは知らん。だが現に俺の目にはそう言う光景が映し出されている。

 

創造主「これは......残像の能力とでも言うのか!?」

 

その残像とも呼べる御坂さんの分身はやや強い光を発してその時の姿を残している。残すと言っても1秒ほど経てば消えてしまってはいるが。

しかし重要なのはそこではない。御坂さん本体よりも分身の方が強い光を発している。そして御坂さん自体の動きもかなり速い。

分身だとわかっていても光が強い分、そっちに目を奪われてしまう。残像と言えば残像、目晦ましと言えば目晦まし。

とは言え御坂さんの動きを捉えるのは容易ではない。実際に触手の攻撃がそれ以降、御坂さんへ攻撃を仕掛けるよりも分身へ仕掛けている数が圧倒的に多い。つまりは全く捉えられていないと言うことだ。

完全に御坂さん覚醒状態(アウェイクンモード)

 

創造神「当たらないだと!?この私の能力を持ってしてもか!?御坂美琴......奴がここまでの力を秘めているとは......」

 

なんとか創造神の所にまで突撃しようとはしているものの、触手の数が多すぎてなかなか近づくことが出来ずにいる。

しかし電撃の威力が上がっていることもあり、触手自体を御坂さんの左手に握られている剣でバッサバサ斬って手数を少なくさせようとしている。

ここまでのポテンシャルを持っていたとは。さっきまでは弾くことがやっとだったと言うのに。

 

なんとか近付こうと機を伺っているのか、御坂さんが創造神の周り上下左右をグルグルグルグル無尽蔵に動き回り錯乱させている。

触手は御坂さんを捉えようと必死になって熱線を撃ち出してはいるがカスリもしない。それ程までに御坂さんのあの小さな羽はとんでもない力を持っている。

 

美琴「私の大切な人たちを奪い取る権利なんてあんたになんか無い!!!」

 

再び向かってくる触手を1本1本切り落としていく。そして向かってくる触手の中で斬ることが間に合わないと判断したものは、背中の翼の力を使い、上昇したり回転しながら上手く回避し、御坂さんは創造神に向かって突き進んでいく。

下から見てるとよくわかる。創造神は今の御坂さんの動きを間違いなく捉えきれていない。触手から放たれている熱線はさっきまで御坂さんが居た場所に攻撃している。攻撃が全てワンテンポ遅れている。

 

創造神「あるのだよ私には!!新しい世界を構築する権利が!!創造神としての役割が!!!」

 

美琴「仮にそうだとしても、こんな方法で得る世界は再び滅ぶ!争いは争いを呼ぶ!結局それは単なるあんたのエゴよ!!!」

 

真正面から突っ込んでくる御坂さんに脅威を感じたのか、創造神は触手同士を交差させてシールドの役割を果たそうとしている。

しかしそれを見た御坂さんは今度は右手に握りしめていたコインをその交差の中心点に飛ばす。大きな爆発と共に交差していた何十本という触手が一瞬にして焼かれていく。

 

創造神「ならば教えてやろう!私は地球の人類や他の惑星の細胞を集約させ機械的に生み出された者!すなわち私は人類、いや宇宙の神だ!!!」

 

美琴「何が宇宙の神よ!何が細胞よ!人間でないあんたに人間の何がわかるのよ!!人は未来を変える力を持ってる!!消すことでしか再構築、いや虐殺しか出来ないあんたが人類の神であるはずがない!!!」

 

繰り広げられる空中戦。相変わらず御坂さんの残像に攻撃を仕掛ける創造神。

本当に的を絞れていないみたいだ。

 

上条「キョン......」

 

ボーっと覚醒御坂さんVS創造神の戦いを寝っ転がりながら観戦していると、ボロボロになりながらも脚を引きずりながら歩いて近寄って来た上条の姿が俺の目の前にあった。

この野郎。かっこつけやがって。

衣服は血だらけ、肩を抑えていないと痛みを誤魔化せない程の致命的ダメージ。。

御坂さんが上条に惹かれるのもわからんでもない。こいつはアホなんだ。ハルヒと並ぶくらいのな。

だが上条の言いたいことはわかっている。なんせ俺も同じ気持ちだからな。助けない訳にはいかない。皆で笑顔で暮らすってのが上条の夢っぽいしな。

 

あぁそうか。つまりは俺もアホなんだな。ここにいるのはアホばっかりだ。喜べハルヒ。心底アホなのはお前だけじゃないぞ。

 

キョン「へっ......わかってるさ......行くぞ......」

 

上条「あぁ......俺たちのありったけの力で......あいつの幻想と現実をぶち殺す......」

 

キョン「同感だ......!」

 

最期の力を振り絞り、上条の肩を抱えて空中を飛ぶ準備を始める。

立つだけで身体が軋む。肩を組むだけで身体が悲鳴を上げる。脚なんてガタガタだ。

しかしそれでも援護に行かなければならない。幻想殺しの上条と現実壊しの俺。何も足を引っ張る存在ではない。能力だけでも十分な戦力になる。

 

キョン「行くぞ......上条!」

 

上条「おう......」

 

フワっと浮かび上がり上条の肩をより一層強く抱え、そして一気に加速して空を飛んだ。

あの激戦の中にこの身体で飛び込んだら危険極まりないのは承知している。

だがそれでも今は間違いなくこちらが優勢。優勢の神様がいたら礼でも言いたいくらいだ。

 

上条「御坂あぁぁぁ!!!」

 

キョン「うおぉぉぉぉ!!!」

 

美琴「な、何考えてるのよアンタたち!?」

 

そうだろう。

あぁそうだとも。

何も考えちゃあいないさ。

俺と上条が考えているとすれば、奴の幻想と現実を殺すことだけさ。

 

創造神は俺たちが考えている以上に力と能力を持っている。

御坂さんが覚醒したところで1人で片づけられる相手ではない。

しかしこの御坂さんの覚醒により創造神が精神的に揺らいでいるのも事実。この機会を逃すわけにはいかない。

御坂さんへの対応策を考えさせる時間を与えてはいけない。

 

恐らくこの戦いの終止符もそう遠くはない。

相手が滅ぶか俺たちが滅ぶか。

 

答えはもう間もなく出てくるだろう。

 

創造神さんよ......俺たちは負けない!

 

to be continued......

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