オレがサッカー部のマネジメントをしたら!? 作:ユーチャロー
翌日。
翔平はいつもどおりに朝6時に起きて朝ご飯を食べて支度をし出勤する。満員電車の中いつもと変わらない景色にOLや学生、サラリーマン達がすし詰め状態になりながら必死に耐えている。
翔平はこの光景を見て感じてた。自分が思い描いていた現実と異なっていることを。U15やU18の日本代表を経験し交際大会も経験していた。そして、日本やヨーロッパのチームのスカウト達が将来有望なセンターバックの選手として期待されていた。
本当は高校を卒業したらプロチームに加入する予定だったが…彼は大学でやりたいことがあったため大学を卒業するまでは育成選手という形で保留になった。しかし、20歳の時に不幸な出来事が起きる。
「さて…そろそろ新しいスパイクを買いに行こうかな。だいぶ使ってるし…金も溜まってきたから良いスパイクを買おう。」
彼が小学生の頃から通っているサッカーショップに向かう途中にスマホを見ながら自転車を漕いでいた若者にぶつけられ腰を強打。打ち所が悪く椎間板ヘルニアになってしまう。リハビリをし再びサッカーをやるつもりだったが…医師から衝撃な言葉を聞いてしまう。
「キミはもうサッカーは出来ない。激しい運動をすると腰に負担がかかり更に病状が悪くなり最悪下半身不随になる。そうなったらキミは車椅子の生活になる。これは…キミにとって辛い現実かもしれないが…理解してほしい…。」
翔平は言葉が出なかった。再びサッカーが出来ると信じていたがその想いは一瞬で砕けてしまった。
「わかりました……。」
彼は病院の屋上に行き青い空を見上げながら缶コーヒーを飲んだ。
凄く苦く美味しいと感じなかった。
「オレはまだ現実を受け止めることが出来ない。なんで…こうなったんだよ!!クソっ!!クソっ!!」
「お兄ちゃん?」
「歩美か……。なんだっ?」
「お兄ちゃん…。またサッカーが出来るよね……。」
「……。」
翔平は涙が一粒流す。翔平の表情を見た歩美は察した。
サッカーはもう出来ないと…。
「歩美…。すまんな…。オレの夢はここで終わった…。」
「………。」
(こんなに落胆してるお兄ちゃんは初めてみた…。自信がみなぎっているお兄ちゃんに憧れてた…。あの時の面影がない。)
「お兄ちゃん…。私…お兄ちゃんの分…一生懸命やるよ。ユースから引っ張ってもらえるよう猛練習して必ずプロでプレーするから!」
「……。歩美。すまんな。一緒にプロチームに入る夢はここで終わりだ。夢は潰えた。歩美は歩美らしく自分がなりたい道を歩めば良い。オレは応援してるから。」
「わかった…。お兄ちゃん…。病室に戻ろう…。」
「もう少しここにいたい。先に行って良いよ。」
「……。わかった…。」
歩美が居なくなるのを確認するとずっと涙を堪えていたのか雨のように涙が出てきた。妹の前で情けない姿を見せないように振る舞っていたが限界だった。
「うっ……。うっ……。うあああああああ!!!」
思い切り泣き崩れる姿を遠目で歩美は見つめていた。
(1番悔しいのはお兄ちゃんだよね…。わかってるよ…。だから……私がお兄ちゃんの夢を背負って頑張るから!!)
その後。翔平はケガが原因でプレー不能になり育成選手としてチームを退団。そして、彼はこの出来事によりスポーツ医学の道に行くと決意した。それと同時に将来子供達にサッカーを教える指導者を目指しライセンス取得に向けて勉強を開始した。
「○○駅。○○駅。」
翔平は昔の事を思い出していたらあっという間に下車する駅に着く。
(あれから2年経つのか…。早かったような気がする…。あの出来事がなかったらオレの未来は変わっていたかもしれない…。だが…これはこれで良いと思うし間違っていないと思う。あの頃と違って新たな目標も出来た。だから…オレはその目標に向かって進んでいく。)
翔平は駅のホームの階段を下っていくのであった。
次回話に続く…。