グレイズアインはもう暫く先かなー?
十香が反転する手前くらいには出したい
「アンタが誰かなんてどうだっていい。アンタが敵だって事に変わりはないんだろ」
三日月・オーガス
「・・・あんたら、本気?」
低く響くような声を発し、燎子が目の前に居並んだ一団に睨めつける。
陸上自衛隊天宮駐屯地のブリーフィングルームには今、二十名ほどの人間がいた。
燎子の側に座っているのは既存のAST隊員たち。そして対面に居並んでいるのは、先日ASTに補充要員として配属されてきた、DEMインダストリーの出向社員たちである。
出向社員たちの真ん中に座ったジェシカが、ニィ、と唇の端を上げてくる。
「もちろン。もし信じられないのであれば、サイン付きの書類をご用意しましょうカ?」
「聞き直すわ───正気?」
無礼とも取れる燎子の問いに、しかしジェシカは心底愉快そうに笑みを濃くした。
燎子は憮然とした様子で顔を歪めると、手元に置かれた命令書に視線を落とす。
そこに書かれていたのは、にわかには信じられない作戦内容だった。
───精霊〈プリンセス〉の捕獲作戦。
現在、都立来禅高校に通っている少女・夜刀神十香が精霊であることが確認されたため、これを捕獲するというのである。
とはいえ、ここまでは分からない話ではない。確かにこの夜刀神十香という少女が精霊〈プリンセス〉に酷似しているという話は前々から聞いていたし、もし霊波反応が確認されたのであれば放ってはおけない。
「百歩譲ってここまではいいとしましょう。でも、これは何?」
「これ、っていうト?」
「すっとぼけんじゃないわよ。───なんで、捕獲対象にただの一般人が入ってるのよ」
そう。その書類には〈プリンセス〉の疑いがある少女の他にもう一人、捕獲対象が記されていたのである。
五河士道。詳細───秘匿。
「この少年も精霊だっていうの・・・?」
燎子が彼を見たのは〈プリンセス〉の消息以降。それ以降から、〈デーモン〉が出現しているのだが、それでも、この少年が精霊だとは思えなかった。
「詳細は秘密ヨ。でも、非常に重要なターゲットであるとだけ伝えておくワ」
「あんたねえ・・・・」
きっぱり言うジェシカを燎子は睨み付ける。ちッ、とわざとジェシカにも聞こえるように舌打ちをこぼし、次の要項に一瞥した。
「なら、こっちは何なのよ。─────作戦決行日、九月二十三日の土曜日。場所が天宮スクエア天央祭会場・・・!?一体何考えてんのよこれは!顕現装置は秘匿技術のはずでしょ!?こんな衆目に─────いえ、それ以前に、こんな人の集まる場所で精霊とドンパチするつもり!?あんたら、自分がどんだけ無茶苦茶なこと言ってるか分かってんの!?」
燎子はもはや悲鳴じみた声で叫んだ。問題は捕獲対象だけではない。恐らく、その日天宮市でもっとも人間が集まるであろう天央祭の会場。そこに押し入り、衆目の目の前で夜刀神十香と五河士道を捕獲せよというのである。
しかもその実行部隊はDEM出向社員たちのみで構成され、燎子たち既存のAST隊員たちは、周辺警戒や情報統制など裏方に配置され、現場にすら近づけないのである。
これでは彼女らの暴走を止める事もできはしない。
最悪、何百人もの犠牲者を出す事になる。
「意味がわからないわ!一体何のためにこんなことをするのよ・・・ッ!」
「これはセレモニーなのヨ。我々から、親愛なる御敵への挨拶なノ。────だから、少々リスクを負っても、盛大にしないといけないのヨ」
「は・・・?敵?挨拶?何を言って・・・」
「別に、納得してもらわなくても構わないワ。作戦に異存があるのであれば上へ訴えテ。もし撤回されたのであれば、我々もそれに従うワ」
「あ、ちょっと待ちなさい!」
燎子の呼び止める言葉も虚しく部屋に響くだけであった。
ちょこっとだけネタバレ。
このDEMの社員さん、ジェシカを除いて全員、ブチギレた三日月にぶっ殺されます。
ジェシカも半殺しにされますが。
三日月のブチギレた原因はまあ、この先、知っている人は知っていますが、まずブチギレ要因一。
十香と真那以外、全員美九に洗脳される。
そのニ。
十香の拉致。
そりゃ三日月も今まで以上に殺意MAXで襲いかかってきますわ