んで、三日月が美九に言いたいことが出来る回です!
発掘されたモビルスーツ。やはり、相当危険な代物だろうな
∀が僚機のマクギリス
「ここ・・・ですの?」
「・・・多分」
時刻は二十一時。街灯と民家の明かりがぼんやりと輝く静かな住宅地に、士道と狂三、真那とマクギリスは立っていた。
目の前には、精緻な細工が施された背の高い鉄柵に、丁寧に手入れされた庭園。そしておとぎ話にでも出てきそうな洋風建築が聳えていた。
琴里に渡された紙に記された誘宵美九の自宅である。
中には誰もいないのだろう、窓に明かりはなく、静まりかえっている。
美九は他の精霊とは異なり、こちらの世界で学校に通っている上、歌手として活動しているらしい。
だからこそ自分の痕跡を数の多く残しているのだ。
「ちゃちゃっと調べちゃいましょう」
真那はそう言って門に手をかけるが、鍵がかかっているのか開く気配がない。
「鍵掛かってますね」
「どいて」
そう言う真那に、士道はそう口にして懐から銃を取り出すと、躊躇いもなく引き金を引いた。
鍵と弾丸がぶつかり合う音と共に、門の鍵が壊れて地面に落ちる。
そして士道が門を押すとキィと音をたてて開いた。
「開いたよ」
「荒っぽいですよ・・・兄様」
「だが、そうも言ってはいられない状況だろう」
マクギリスはそう言って門をくぐり抜け、狂三と士道も後を続く。
「ああ・・・もうっ」
真那はそんな彼等にそう呟いてから後を追った。
そして玄関の鍵も同じようにかかっていたので、先程と同じように撃ち抜いて破壊する。
家の中に入った士道達は暗い廊下の中、うっすらと光っているスイッチに手を触れさせ、明かりをいれた。
「それで、何処を探す?」
士道の言葉にマクギリスは言う。
「まずは彼女の寝室を探そう。基本、ものを置くとすればそこだ」
「分かった」
「りょーかいです」
「そうですの。では参りましょう」
言って階段を上っていく。
美九の寝室はすぐに見つかった。二階に上がって廊下をまっすぐ行ったところに、『BEDROOM』のプレートが下がった扉があったからだ。
「・・・・・」
士道は躊躇いもなくノブを回し、部屋へと入る。
部屋の中に入った士道は辺りを見回した。
広さは二十畳ほどだろうか。部屋の奥に天蓋付きのキングサイズベッドが置かれ、壁に沿うように木製のクローゼットや戸棚が置かれている。そしてベッドの正面には巨大なテレビが備えられていた。
「適当に探すか」
士道は適当に戸棚を開け、中を漁っていく。やっていることは完全に泥棒の類だが、この状況ではそうも言っていられない。
マクギリスや真那も同じように、テレビの戸棚やクローゼットを開けて探している。
と─────
「士道さん、士道さん。見てくださいまし」
「?」
背後から狂三が声をかけてくる。
「なんか見つけた?」
「ええ、凄いものがありましたわ」
言って、クローゼットの引き出しを指さしてくる。
士道はそれを目にすると、息を吐いた。
「・・・何やってんの」
そこには、なにしろ美九が使っているであろう下着類が、ぎっしり詰め込まれている。
「ほら、見てくださいまし。凄いサイズですわよ。私の顔が入ってしまいそうですわ」
「そんな事してる暇があったら探してよ」
「・・・・・・」
「・・・気にしているのかね?」
「よけーな世話です」
狂三が手にしている美九の下着を見て、真那は自身の胸元を見ながらマクギリスにそう言った。
そんなやり取りをしている中で、士道は写真立てを見つけた。それ自体は、何の変哲もないものである。
「・・・・・・」
だがこの写真にどこか違和感を覚える士道は、その写真立てを小棚の上に置く。
そして、伏せられた写真立てを士道は持ち上げた。
「─────」
その写真立てに入れられた写真を見て、士道は少しだけ目を見開けた。
子供の頃の美九と不機嫌そうな顔を作っている“子供の頃の士道“だった。
「・・・兄様?どうしました?」
真那はそう言って写真を除き込むと、士道と同じように目を見開けた。
「・・・えっ?これって・・・・」
と。真那が言いかけたところで。
窓ガラスが微かに揺れたかと思うと、すぐに外から、凄まじい音が流れてきた。
「警報?・・・いや、違うな」
マクギリスはその音に警報と思ったが、すぐに違う事に気づく。
─────音楽である。
巨大なパイプオルガンで奏でたような荘厳な音にと、聴く者を虜にする美声によって紡がれた歌が、街に響き渡り始めた。
「チッ─────こんな夜中に傍迷惑なヤツですね!」
おそらく非常時に警報などを流す公共のスピーカーをジャックしたか・・・そうでなければ街宣車か何かを走らせているのだろう。
「・・・行くよ。皆」
「あら?もうよろしいので?」
「うん。アイツに聞きたい事が出来たし」
士道はそう言って、写真立てから取り出した写真をポケットの中に入れた。
「それで?何か作戦はありますの?まさか、強行突破とは言いませんわよね?」
そう言う狂三に士道達は言った。
「それ以外何かある?」
「それ以外あります?」
「それ以外あるかね?」
同じ事を言う三人に、狂三は肩を落として呟いた。
「・・・馬鹿ばっかり」
狂三「同じことしか考えてない訳ですの?」
作者「まあ、三日月達はそんなもんですし、気にしてもしゃーない」