そして、三日月達のカチコミの回。
かなりド派手な方法でカチコミしにきます!
オルガ、言ったよね。最短で行くって─────
三日月・オーガス
「──────────!!」
天宮スクエア・セントラルステージの中には今、熱狂が渦を巻いていた。
何しろステージの中央に淡い輝きを放つ巨大なパイプオルガン───〈破軍歌姫〉が聳え、その前で霊装を纏った美九が光輝く鍵盤に指を走らせながら歌を歌っているのである。
美九の熱狂的なファンと化した観客たちの中には、感激のあまり失神している者もちらほらといるようだった。
男共は会場の外に追い出し、警備の任に就かせているため、美九の視界に犇めく観客たちは皆女の子ばかりである。
ちなみに今の演奏は、街中の至る所に設置されているスピーカーから、リアルタイムで流されていた。これで、この曲を聴いた者は美九の新たな尖兵となり、あの憎き男を捜索し始めることだろう。
「・・・うッ」
数時間前に起こった忌まわしい出来事が脳裏を掠め、美九は思わず息を詰まらせた。
ちょうどそこで演奏が終わり、会場内が割れんばかりの拍手で包まれる。
いつもなら最高の達成感と充実感に包まれる瞬間だというのに、先程よぎった男の顔のせいで気分が悪くなってしまった。
美九は憮然とした表情を作ると、今まで使っていなかったマイクに口を近づけた。
『・・・疲れたので、少し休みますぅ。再開まで好きにしていてくださぁい』
美九はそう言って、舞台の袖に戻っていった。
「ふぅ・・・」
支配領域を広げるために連続して天使を演奏したため、さすがに少し疲れた。小さく息を吐き、汗で湿った髪をかき上げる。
「お、お疲れ様です・・・お姉様。あの、よかったら・・・これを・・・」
と、そんな美九に、おずおずとした声がかけられた。見やると、そこにメイド服を着た小柄な少女が、美九にタオルを差し出しながら立っていることがわかる。
今日美九の演奏で以て虜にした少女───四糸乃だ。
緩くウェーブのかかった髪に、蒼玉のように美しい瞳。思わず抱きしめたくなるお人形さんのような女の子である。
模擬店部門・メイドカフェの制服が余っていたため、着替えておくよう指示したのだが・・・これがまた反則なまでに似合っていた。たまらず、ぎゅっと彼女を抱きしめる。
「あーもう可愛いですぅー!たまりませんねぇ!たまりませんねぇ!」
「き、きゃ・・・っ!お姉様・・・!?」
四糸乃が慌てふためいて目を白黒させる。
「ありがとうございます、四糸乃さん。私のために待っててくれたんですねー」
「あ、あの・・・は、はいっ」
四糸乃は酸漿のように真っ赤になった顔を隠すうつむかせながら、右手で握ったタオルを差し出してきた。
美九は礼を言いながらそれを受け取ると、額の汗を拭った。
「ふふ・・・っ、本当に私はラッキーですぅ。まさかあの会場に精霊さんがいるなんてぇ」
まさかこんなにも早く、精霊を自分のものにできるとは思っていなかった。しかも────
「くく、さぞ疲れたろう、姉上様。ゆるりと休むがよいぞ」
「誘導。こちらへどうぞ、お姉様」
美九が首を回すと、そこにはこれまたメイド服を着込んだ二人の少女が控えていた。
一瞬、そこに鏡でも立てかけてあるのではと疑ってしまうほどに、顔立ちの似た少女たちである。だがよくよく見てみると、双方に特徴があることが見て取れた。
芝居がかった言動と勝気そうな表情、それにほっそりとした身体のラインが魅力的な少女───耶俱矢に、ぼうっとした表情と特徴的な口調、そして美九に迫るやもと思えるほどの抜群のプロポーションを誇る少女───夕弦。
二人もまた、美九や四糸乃と同じ、精霊と呼ばれる存在だった。
無論双方、美九に心酔している状態である。今も美九の労をねぎらってか、控え室に椅子と飲み物を用意していた。
「ふふっ、ありがとうございますぅ」
美九な優しげに微笑むと、二人に促されるままに椅子に腰掛けた。
「あぁ・・・・」
美九は恍惚とした声を発した。
─────なんと、なんと幸せな空間だろうか。
美九だけのステージに、美九の歌を心待ちにする女の子たち。そして、心を込めて美九の世話をしてくれる、絶世の美少女たち。
あまりに最高すぎて、夢なのではないかと思ってしまうくらいだった。実際、美九は先程からニ、三度ばかり頬をつねったりしていた。
理想郷、ここに成れり。美九の邪魔をする者などどこにもいない。
だが─────
「・・・・く」
再び頭を掠めた忌まわしい記憶に、美九は顔をしかめた。
───五河士道。その名と顔が思い起こされたのである。
「許しませんよ・・・士道さん・・・」
胸の内に渦巻くドロドロとした憎悪を声と呼気に乗せ、うめくように呟く。
油断したとはいえ殺されそうにもなり、そして煽りも入れてきた士道に美九は歯を食いしばる。
「許さない・・・許さない・・・ッ!あの男だけは決してッ!!」
最高の理想郷を作り上げた美九の、最後の心残り。あの男を目の前に引っ立て、この世に生まれてきたことを後悔するような目に遭わせてやらねば気がすまないのである。
そして、五河士道が連れ去ったあの少女もすぐに手に入れる。
「あの男は・・・まだ見つからないんですかぁ?」
美九が怒気の籠もった声で言うと、四糸乃がビクッと肩を震わせた。
「は、はい・・・その、まだ連絡は入ってきて・・・いません・・・」
「そうですかぁ・・・引き続き捜索を続けさせて───」
と、美九が指示を出そうとしたところで────
「失礼しまッす!お姉様!」
「緊急事態です!お姉様!」
「てぇへんです!お姉様!」
と、少女たちが身長順に叫んでくる。
「どうしたんですかぁ、そんなに慌てて」
美九が問うと、三人は一瞬顔を見合わせてから言葉を続けてきた。
「た、大変なんです!五河くんが見つかったんですよ!」
「・・・なんですってぇ?」
美九はその報告に一瞬視線を鋭くし────
すぐにのどの奥からくつくつという笑いを漏らし始めた。
「ふふ・・・ふふふふふ・・・ッ、そうですかー、ようやく見つかりましたかー」
言いながら、椅子からゆらりと立ち上がる。
「思ったより粘りましたねぇ。でも無駄ですよぉ。私の可愛い軍勢からは逃げられません。で?どこにいたんですかぁ」
そう言う美九に亜衣麻衣美依は困惑した様子で顔を見合わせた。
そして─────
ボガァァァンッ!!
控え室の壁に土埃が舞いながら巨大な風穴が開く。
「・・・・へ?」
その風穴が出来た事で、美九は目を見開き、素っ頓狂な声を発した。
だが、それも無理はない。
風穴が開いた数百メートル先。
そこには“十九メートルのバルバトスルプスレクス“が街中でスラスターを吹かせ、腕部に内蔵された二百ミリ砲が火を放ちながら、此方へと向かってきているのだから。
バルバトス(モビルスーツ形態)「ヒャッハー!!逃げる奴はただの人間だァー!!向かってくる奴はよく訓練された人間だァー!!」
エイハブ・ウェーブ撒き散らして通信機器駄目にしながら
なお、三日月含む四人はバルバトスのコックピットの中です
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定員オーバー+三日月は上半身裸
操縦はほぼ阿頼耶識でやってる